定年後を楽しむことができない日本人

ハッピーリタイアメントという言葉をご存知だろうか。定年前に老後の資金を確保し、悠々自適な引退生活に入ることだ。
欧米では、リタイアした後を思いきりエンジョイしたいという価値観があり、退職時には職場や家族、友人などからグリーティングカードを贈られる習慣がある。それほど楽しみにしているのだ。

一方で日本では、問題があるとはいえまだまだ年金制度がしっかりしているので、経済面では今のところ、大きな不安をかかえるシニア世代は少ないといえる。ところがリタイア=定年を楽しみにしている人が大多数という訳でもないだろう。特に男性は「特に趣味がない」「会社以外に知り合いがいない」といった理由で、定年後にいきなり老け込んでしまうというのはよくあるケース。そんな残念な老後を迎えないためのアクティブシニア向け分譲マンション「スマートコミュニティ稲毛」(千葉県千葉市)を取材してきた。

スマートコミュニティ稲毛を簡単に表現すると「毎日イキイキと過ごしたい人へ」。シニア世代が充実した日々を送り、心身ともに衰えないための工夫が随所に見られる。

この背景には、シニア世代の「不安を軽減したい」という思いがある。

スマートコミュニティ稲毛は現在全5棟。さらに2016年春には2棟完成予定。このほか食事やアクティビティなどを楽しむクラブハウスが隣接し、徒歩10分ほどの場所に入居者専用グラウンドがあるスマートコミュニティ稲毛は現在全5棟。さらに2016年春には2棟完成予定。このほか食事やアクティビティなどを楽しむクラブハウスが隣接し、徒歩10分ほどの場所に入居者専用グラウンドがある

シニア世代に「味わう」「愉しむ」「つながる」を

具体的には分譲マンションにコミュニティ施設を併設することで、生きがいのある暮らしを構成する3大要素を提供している。

3大要素とは、「味わう」「愉しむ」「つながる」こと。
老若男女を問わず食事は大きな楽しみだ。しかしリタイア後には夫婦2人暮らしを続けていると、どちらか一方が1日3回食事を作る役となり心身ともに負担が大きくなる。年金の範囲内で毎食栄養のとれる食事を用意するのは、かなり工夫が必要かもしれない。その結果、毎日同じような物を食べることとなり、「きょうは何にしようか」というワクワクする気持ちを忘れてしまう。
また、栄養の不足や偏りは筋力の低下や脳梗塞、認知症の原因にもなり得る。そのため厚生労働省は2013年、13年ぶりに健康づくりの指針を見直し、高齢者も肉などのタンパク質をしっかり摂るよう指導に乗り出している。

同マンションは隣接するクラブハウスで、毎日朝夕、栄養のバランスを考えた食事を提供する。
しかもその内容の充実ぶりに驚いた。朝食は2階のレストランで摂るビュッフェ形式。約40品目からチョイスできる。もちろんお米とパンを選択でき、玄米とお粥も用意している。
夕食は5つのレストランで毎日約30種類メニューから好きな物を選べ、月に半分は入れ替わる。どれも専門レストランのようなメニューなのだ。
1階では老舗日本料理店「なだ万」監修のミニ懐石風御膳を味わえる(こちらのみ人数制限があるため入店できるのは週に1回)。2階では和食、洋食、海鮮、焼き肉店を楽しめる。レストラン街ではお酒も用意され、別にバースペースもある。

クラブハウスはマンションから道路を1本隔てた場所にある。この「近いので行くのは面倒ではないけれど、きちんとした服装でいかないと恥ずかしい」という微妙な距離感が、生活に生きがいを持つことに役立ちそうだ。
なお、食事の費用は後で説明する施設利用費に含まれている(昼食のみ別途料金)。

まるで専門レストランのような夕食のメニュー。味だけでなく栄養のバランスにもこだわったこのようなメニューを毎日約30種類、和食、洋食、海鮮、焼き肉、そして「なだ万」監修(週に一度)から選べるまるで専門レストランのような夕食のメニュー。味だけでなく栄養のバランスにもこだわったこのようなメニューを毎日約30種類、和食、洋食、海鮮、焼き肉、そして「なだ万」監修(週に一度)から選べる

文化祭や運動会を目標にサークル活動に燃える

食事が終わったら「愉しむ」だ。多種多様なアクティビティとサークルで現役時代から興味があったこと、時間がなくてできなかったことなどに挑戦できる。
男性は「やりたいことがあるけど仲間がいない」、女性は「やりたくても家事がある」という声をよく聞くが、食事が提供され同世代が約700人いるここでは、そんなこととは無縁だ。

アクティビティとは、スマートコミュニティが主催する様々な教室。テニスやゴルフなど運動系と陶芸や写経など文科系から選べ、50教室以上ある。初心者でも講師がいるので十分楽しめる。ほとんどが無料なのもうれしい。

サークルとは、入居者が主体となって運営している活動。こちらもバトミントンやウォーキングといった運動系と写真や手編みといった文科系があり、その数は30以上。アクティビティで上達した人たちが、より上を目指して立ち上げるケースもあるそうだ。年に数回、文化祭や運動会で腕前を披露できるので、それを目標に熱くなっている人も多い。

これらの活動は総面積約3万m2のクラブハウスと約7万m2の入居者専用グラウンドで行われる。
グラウンドはマンションから徒歩10分くらいの場所にあり、散歩するにもちょうどいい距離。1周700mのジョギングコース、野球場、ゴルフ練習場、テニスコート、サッカーグラウンドがあり、桜やイチョウといった四季折々の草花も楽しめる。

2015年4月3週目のアクティビティプログラム。どれに参加するかは自由。講師がいるので初心者でも楽しめる2015年4月3週目のアクティビティプログラム。どれに参加するかは自由。講師がいるので初心者でも楽しめる

毎月開催されるイベントでワクワク・ドキドキを維持

「味わう」ことも「愉しむ」ことも入居者同士が「つながる」ことになる。たとえば食事のときは近くに誰かしら知り合いがいる。そこで会話が弾むのだ。これが楽しみでクラブハウスへ向かうことになる。食事を作るのが面倒だからとカップラーメンを食べ、その繰り返しで家を出なくなる、といったことにはなりにくい。

また、アクティビティやサークル活動を続けていれば、当然同じ趣味、目標を持った仲間ができる。これが食事のときに話かける人がいる状況をつくり、生活が充実する好循環が生まれるのだ。
実際に朝食は夫婦でとるが、その後は別々に複数のアクティビティやサークル活動を行い昼食は仲間と、再度夫婦が顔を合わせるのは夕食のとき、という生活パターンの人も多いそうだ。

また、同マンションでは毎月様々なイベントを開催している。なぜなら若いときは当たり前だった1月は初詣、7月・8月は海水浴、12月はクリスマスといったイベントを歳をとるごとにしなくなっていき、リタイア後は「年に1回、孫に会うのが唯一のイベント」となってしまう……、という状態になりがちだからだ。
たとえシニア世代であっても季節ごと、月ごとのイベントは生活に張りを与える。1月は初詣ツアー、5月は運動会、8月は夏祭りといったように頻繁にイベントがあることで、入居者同士の新しい出会いがあるだけでなく、「この次はなにかな?」と常にワクワク、ドキドキを感じ、適度な緊張感を維持できる。

とはいえ、たまには一人でくつろぎたいときもあるだろう。そのためこのようなサークル活動やイベントへの参加は自由だ。もし一人になりたいときにはクラブハウスの図書コーナーなど静かにすごせるスペースも複数ある。

夏に開催された流しそうめんの風景。毎月このようなイベントで盛り上がる夏に開催された流しそうめんの風景。毎月このようなイベントで盛り上がる

年金で支払える月額費用

さて、気になるのは費用だろう。現在分譲中で3月(2015年)から入居がはじまったD棟、E棟の例を紹介しよう。

専有面積:28.81m2~69.61m2(主に1K~2LDK+S)
販売価格(税込):1,490万円~3,670万円(2015年4月現在)
施設利用費
初期費用(税抜):190万円(1名)、285万円(2名)
月額費用(税抜):8万4,763円(1名)、16万2円(2名)

同マンションは現在このD棟、E棟を含めて全5棟。さらに2016年春には2棟完成予定だ。なお、全5棟に関してまだ若干空室があるそうだ。

入居条件は、原則満50歳以上で健康的に自立した日常生活を送ることができる人など。その他くわしくは本記事最後にある「スマートコミュニティ稲毛」ホームページで確認してほしい。

これだけ充実した設備・サービスなので、富裕層向けだと思うかもしれないがそうではない。販売価格は億単位ではないし、毎月の費用は一般的な厚生年金受給者であれば十分支払える額だ。実際に入居者はサラリーマン家庭だった人が多く、平均年齢は約71歳だそうだ。

同マンションは、健康なシニア世代が今までの生活を長期間維持するための環境を提供している。よく老人福祉施設と勘違いされるそうだが、そちらへの入居をできれば一生したくないと考えている人向けの分譲マンションだ。
とはいえ、生活するうえでは従来の分譲マンションとまったく変わらない。自由に電車やバスに乗って出かけられるし、海外旅行もOK。犬などのペットも飼える(ペット飼育細則あり)。売却も自由だ。

人間、最期は「ピンピン、コロッ」がいいという。リタイア後を積極的に楽しんで、寝たきりになることなく最期を迎える。この物件に住めば多くの人がそんなハッピーリタイアメントを実現できるような気がした。

取材協力:株式会社スマートコミュニティ
http://www.smartcommunity.co.jp/

グランド内にあるゴルフ練習場。このほか入居者はジョギングコース、野球場、テニスコート、サッカーグラウンドを自由に利用できるグランド内にあるゴルフ練習場。このほか入居者はジョギングコース、野球場、テニスコート、サッカーグラウンドを自由に利用できる

2015年 05月08日 11時06分