柏に開館予定の科学館。DIYでコツコツ改修が進む

DIYで改装が進む科学館DIYで改装が進む科学館

千葉県柏市に科学館ができる、という話を聞いて取材に伺った。
行ってみるとそこにあったのは、住宅街に建つ、古いアパート。
これからオープンするのは、DIYでコツコツ作り上げる、手作りの科学館なのだ。

柏の科学館を運営する柏の葉サイエンスエデュケーションラボ(以下KSEL)。KSELは科学コミュニケーションを通じて、地域交流の活性化を目指している市民団体だ。会長の羽村太雅(はむらたいが)さんにお話を伺った。

アパートの改修現場を拝見する。
作業に参加している人は普段、数人から10名くらい。本業の合間に作業する方々ばかりなので、活動は土日のみだ。
この日は5人の方が、床を張ったり、塗装をしたり、各々作業をしていた。
配管工事をしている方もいた。この方は専門の技術を持った愛原さん。SNSを通じてKSELの活動を知ったという。

「面白そうなことをやってるなと思って覗いてみたんです。そこで羽村さんに状況を聞いて、水回りの工事はどうするのかと思ったら、何もわからず途方に暮れているって。じゃあ俺がやるよ、って立候補したんです。」
古くて使い物にならなかったトイレを修繕してくれたのも愛原さんだ。こんな風に多くの人がボランティアで参加しているのだ。

しかし、改修もアパート一棟となると、思ったよりも大規模だ。
1階の2部屋の壁を抜いて、ひと部屋の展示スペースにする。
畳敷きだった床をはがし、フローリングに張り替える。床下には断熱材が無かったので加える施工をした。
ボランティアの方が張ったフローリングは、不揃いのところもあるが、それがかえって手作りの味になっている。
そのほか水回りや電気など、大掛かりなインフラの再構築も必要だった。
「難しいことも多いけれど、最近は作業のペースが見えてきて、できることが分かってきました」と羽村さん。

クラウドファンディングで得たものとは?

コツコツと改修作業の進む科学館だが、なにより一番苦労をしたのは、資金の調達だという。

KSELは⾮営利活動市⺠団体だ。資金力があるとは言えない。しかし、今回のような活動には、まとまった資金が必要になる。

科学館の資金集めには、最初から苦労があった。
スタート時、助成金の申請を何件もしたが、得られたのは、1件の30万円のみだった。当時は勢いで、この金額だけでなんとかしてやろう、と思ったこともあったが、やはり資金は確実に足りない。

様々な努力を続けた後、クラウドファンディングに挑戦することに決めた。

羽村さん「果たしてこれに手を出していいのか?と思っていました。」
クラウドファンディングの手数料がけっこう高いことにもモヤモヤしていた。しかし、「それでもやるしかない!」と舵をとったことが良い結果につながった。

クラウドファンディングに参加したことで、資金集めに対する意識が変わった。
通常の寄付と違い、リターンがあることで、お買い物感覚で参加をしてくれる人がいることがわかった。
情報が表示されることで、必要な金額や期間が明確になった。
資金集めを公開し、周知してもらうことで、寄付のお願いがしやすくなった。

なにより、KSELの活動に賛同し、
「お金は出せないけど、なにか手伝うよ!」というたくさんの方に支援していただくことができた。
応援のネットワークを通じてSNS等で情報が拡散され、多くのメディアで取り上げられるようになった。専門技術や知識を持った方も作業を手伝ってくださるようになり、工事は一気に進むようになった。  
結果的に、クラウドファンディングは資金問題の解決だけではなく、たくさんの人たちにKSELの活動を知ってもらうきっかけになった。それによって多くの方々とつながり、助けていただけたことが一番の成果だったそうだ。

現在でもまだ資金は十分ではなく、助成金の申請は続けている。2件目の申請が通り、3件目も決まりそうな状況だ。

この日作業に参加していたみなさんこの日作業に参加していたみなさん

地域の人の反応は?

ご近所の反応は?ご近所の反応は?

科学館になる予定のアパートは、駅近くの住宅街に建っている。
近所の方の大半は、科学館ができることに、ポジティブな反応だそうだ。
なに作ってるの?とのぞきに来たり、気軽に声をかけたりしてくれる。

羽村さん「ご近所の方から『子どものために若い人がガンバッテよ!』なんて言われます。子どもだけでなく、大人にも自分のために遊びに来てほしいので、どうしたら来ていただけるか、常に考えています。」
(KSELは子どもだけではなく、大人向けにも科学の啓蒙普及活動を行っている。前回【古アパートをDIYで科学館に!柏市の"手作り科学館"ってどんなところ?】参照)

限られた予算の中で、全てを解決することは難しいけれど、お互いに良い方向へ向かうような対応をしていきたい、とのこと。

近所の方々とは、いつでも気兼ねなく遊びに来てもらえるような、良好な関係を築きいていきたいです」と羽村さん。

仲間と進む、遠くまでの道のり

アパートは全部で6部屋あり、1階の2部屋をひと部屋に改装。まずはそこを展示室としてオープンする予定だ。
夏の開館を⽬指し、エアコンの設置を予定していたが、そのためには、新たな電気⼯事、配線
⼯事などが必要で、場合によっては電柱の建て直しまで必要かもしれない。これだけでもかなりの時間がかかる。
ボランティアで来られる人が来られる時に参加するため、作業日に何人集まれるかも、いつもわからない。科学館のオープンはまだもう少し先になるかもしれない。

羽村さん「夏には出張授業の依頼があちこちであって、時間もとれないので、まあ、こっち(科学館の改修)は落ち着いてやろうか、と話しています。」


何もないところから何かを作り出すのは、とても⼤変なことだと思う。特に人との意見のすり合わせ、話し合いの合意などは、気を使う場面が多く、気苦労が多いことだろう。
お仕事も忙しい中、どうやってこんな大変な活動を続けていられるんですか?と伺うと、
「仲間がいるからできているんです。一人でやっていたらすぐにやめているかもしれませんね。
Fast alone, far together. です」

一人だと速く行ける、一緒だと遠くへ行ける。
できる人は一人のほうが物事が速く進むけれど、遠くへ⾏くにはチームの力が必要だ、というアフリカのことわざだそうだ。

チームを作るとトラブルが起きることもあるだろうし、マネージメントも必要になる。でもひとりでは作れない世界をつくることができる、と羽村さんはおっしゃっていた。

きっと気の置けないステキな仲間たちなのだろう。

柏の科学館のオープンの情報を、今後も楽しみに待っていたい。
KSELでは、科学館づくりに参加してくださる方もまだまだ募集している。
私も絵を描くお手伝いならできるので、お役にたてるなら、参加させていただきたいと思う。

長年放置されたトイレを見ますか?長年放置されたトイレを見ますか?

2017年 09月16日 11時00分