建て替え前の家は危険がいっぱい!
2009年に「マンガはじめて家を建てました!」(ダイヤモンド社)という、自分の体験談+家づくり情報を盛り込んだ本を描きました。
私の実家を二世帯住宅にしたときの、家づくりの基本的な知識と、すったもんだの体験を面白おかしく描いたマンガ書籍です。
そこでこのコラムでは、今家づくりを考えているみなさんの役に立ったり立たなかったりする情報を、楽しくお伝えしていきたいと思います。
さて、建て替え予定の私の実家も、いよいよ解体の時が来た。
実家は築35年くらい。一度改築工事をして2階を作った。
今考えても「住みやすい」とは言えない家だったと思う。
冬は寒い。雨戸を閉めて眠っていても息が白くなった。
夏はクーラーをガンガンつけてもスイッチを切るとあっというまに暑くなる。
断熱がまったくされていないのだ。
もっとも、家を改築したころには「断熱」自体が普及していなかったのかもしれないけど。
そして、お風呂が危ない。
水を流すために排水口に向かって床全体にゆるい傾斜がついている。
床は石みたいな材質で固くて冷たい。
その上にすのこを置いて使っている。
脱衣所とお風呂場の床には20cmくらいの段差があるから、気をつけて入らないとすのこごとつるっと滑ってヒヤッとするのだ。
お風呂場は寒いけど、湯船に入るとお湯はあったかいので急激に血圧があがる。
若いうちはよくても、ある程度年齢がいっているとこれは身体によくないな、と思っていた。
そして、家の使い勝手もなんだかちぐはぐな感じ。
いや、「使いやすい、住みやすい家に」という考え方自体なかったような気がする。
改築をしたときのことを母に聞いてみた。
私「なんでこういう間取りにしたの?」
母「え?なんでっていうか…全部大工さん任せだったから」
私「ええっ!?おまかせ??」
こちらの希望を取り入れて家を作ってもらう、という考えすらなかったようだ。
高いお金を払うのに…。そんなにおおらかでいいのか?
腕立て伏せで揺れる家!?
そしてなんといっても一番ダメな部分は家が揺れることだ。
(「ダメな部分」というより、むしろこの家自体がダメだ、という気もするが)
人が歩いたり、階段を上ったりするとすごく揺れる。
一番ビックリしたのは、ウチの旦那さんが2階で腕立て伏せをしたら
筋肉の動きに合わせて揺れたのだ。家が。ぷるぷると。
これほどだと、あんまりすごすぎて、逆に自慢したいくらいだ。
すごいだろー。
という感じで悪口を言い始めたらきりがないくらい、
私は建て替える前の家にはあまり愛情がなかったのだ。
家を解体する時、見に来る施主さんは少ないらしい。
やっぱり長く暮らしていた家だからね。
なんだかいろいろ思い出して切なくなっちゃうもんね。
ウチの父母もやっぱりちょっと寂しいようで、現場を見には行かなかった。
私は仕事の都合で見に行くことが出来なかった。
「大黒柱以外の柱は家の基礎から浮いているに違いない」
と予想していたのだけれど確認することができずとても残念だった。
そうそう、解体の前に大切なことがある。
ご近所へのあいさつだ。
重機が入ると、周りの家はけっこう揺れる。
騒音とかホコリでも、ご迷惑がかかる。
今までウチに住んでいたゴキさんとかヤモリさんとかもご近所へ引っ越しすると思うのでそのことも含め、菓子折り持ってキチンとごあいさつをしておこう。
庭木はほぼ残しておけない!?
建て替え前の家は庭も結構広かった。
敷地の半分くらいが庭で、いろんな植物が植えられていた。
キンモクセイ、ドウダンツツジ、シャクナゲ、オオデマリ。
春になると庭中にかわいいスズランがたくさん咲いた。
植木が好きで世話をしていた母には、とっても申し訳なかった。
私「ごめんねー、植木、とっておけなくて…」
母「いいわよ……」
<間があって>
母「だってしょうがないじゃない!!(ちょっと感情的)」
<その後、重い空気…>
となってしまうのだ。ああいやだ。
なるべく植木を残したいと、現場の監督さんにはお願いしていたが、ほぼ無理だった。
家をつくるときには、現場の土をほっくり返して、全体をキレイな更地にする必要があるのだ。
家を建てるスペースとは別に、柱などの部材を置く場所も必要だ。
結局、残しておけたのはツバキ3本と植木鉢。
植木鉢の植物はほとんど近所の人にあげてしまった。
近所に小さい畑スペースを借りていたので、そこに何本か植木を移したけど、だめになってしまった。移植はなかなか難しいらしい。
というわけで、建て替えの時、広ーい敷地のあるお家は別だけど、そんなに広くないお家では植木を残しておくのは難しいようだ。
思い出のある植木がたくさんあるお家では、寂しいお別れをしなくてはならないけど、ひとつ、私の経験から言えることがある。
「木はまた植えられますよ!」
建て替え前の庭には、柿の木があった。渋柿だ。
母に聞くと、家を建てた時に一緒に植えたという思い出があるらしい。
でもなんで渋柿。
で、建て替えの時にその渋柿の木も切ることになって、
それなりにちょっと寂しい思いをした。
そして建て替え後、母は今度は甘~い富有柿を植えたのだ。
10年経った今では、秋になるとオレンジの実がいっぱいなって、とっても豊かな気持ちになる。
あのちょっと寂しい思いをしたことなど、あっという間にどこかに吹っ飛んでしまうほどだ。
だから悲しまなくても大丈夫。木はまた植えられますよ。
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