まちを盛り上げたいと著名建築家が手がけたスタイリッシュなビル

東海道新幹線・三河安城駅の南口から徒歩3分。上部のデザイン性が目を引く建物がある。2015年10月に誕生した「カガヤキスクエア」だ。

設計は、建築家・鵜飼哲矢氏。「カガヤキスクエア」のある愛知県安城市と隣り合う刈谷市の出身で、観覧車や高級感のある“デラックストイレ”などでオープン時に大いに話題になった「刈谷ハイウェイオアシス」を手がけたことで知られる。独立前に働いていた丹下健三氏の事務所では、フジテレビ本社の設計も担当したそうだ。

「カガヤキスクエア」は、1階が飲食店のテナントスペースに。正面入り口から見て右側と左の2~3階はオフィスフロア、左側の4階以上が1LDKの賃貸とマンスリーマンション、そしてシェアハウスがある住居棟となっている。

「鵜飼先生がコンセプトとしたのは、三河安城のまちをつくる、また、盛り上げるために、ランドマークになるような建物を建てることでした」と教えてくださったのは、同建物を管理する、かがやき建物株式会社・代表取締役の稲垣知子さん。

住まいだけでなく、テナント、オフィスを含めた複合ビルとすることで、さまざまな人が集い、それがまちをつくっていくことにつながると考えたという。

今回、三河地区ではまだ珍しいというシェアハウスと賃貸の住居フロアを見学させてもらった。

左/三河安城駅前にある「カガヤキスクエア」。右側がオフィス棟、左側が住居棟。右/オフィス棟の屋上となる6階部分はガーデン屋上庭園となっており、オフィスで働く人や住人の憩いの場に(写真提供:かがやき建物)左/三河安城駅前にある「カガヤキスクエア」。右側がオフィス棟、左側が住居棟。右/オフィス棟の屋上となる6階部分はガーデン屋上庭園となっており、オフィスで働く人や住人の憩いの場に(写真提供:かがやき建物)

ウェイティングリストがある人気のシェアハウス

住居フロアにシェアハウスを入れることは建築家・鵜飼氏の提案だったそうだ。鵜飼氏は後日、その理由を「三河安城は、これまで分譲マンションが立ち並んでいました。所得層や家族構成などが近いファミリー層が住む郊外型のまち。でも、新幹線駅前で、もっと都市的なまちになる可能性があると考えたとき、さまざまな背景を持った人が住める、多様性のあるライフスタイルを提供することが必要だと思いました。

また、住まいを固定化するのではなく、流動的に住むというのも都市の在り方です。三河安城が、本当の『都市』になるためには、シェアハウスがひとつのターニングポイントになると思いました」と明かしてくださった。

シェアハウスは4階と5階の2フロアにあり、4階は10部屋、5階は8部屋ある。「私自身、他人同士がひとつの空間で暮らすというこは受け入れられるのかな…と、オープンするまで不安がありましたが、今ではウェイティングリストがあるほどの反響に驚きました」と稲垣さん。

「比較的リーズナブルな値段で、広めの施設に住めるというのが、今の若い方に人気があるのかなと思います。ライフスタイルにも合うのでしょうね。スーツケースひとつで来るような、マンスリーマンションの感じで利用される方もいらっしゃいますよ」と語る。

オープン当初は、九州大学准教授も務める鵜飼氏のゼミの卒業生が運営する管理会社が管理人をしていたが、2年前から稲垣さんがオーナー兼管理人となった。

公認会計士でもある稲垣さんだが、管理人を引き継いで、とまどいはなかったのだろうか。「マンションの管理人って、主婦の延長のようなところがあると感じました。エアコンや洗濯機などが壊れた、水が詰まったなどの問題は家庭で起きることですよね。家の主婦業がそのまま規模が大きくなったような感じで(笑)。そんなにとまどいはなかったですけれど、最初の頃は住人同士のクレームの対応にどうしようと思ったことも。今は、住人みんなでSNSでつながっており、来客時にはお知らせしておくなど、連絡をとりやすくしています。管理人は人間関係の緩衝役と思って、努めています」

6階にある共用部となる受付ホール。シェアハウスなどの住人やオフィスの来客との打ち合わせやミーティングに利用できる。白い外観とは打って変わって、この受付や玄関ホールなどはブラウンベースのぐっと落ち着いた雰囲気となっている(写真提供:かがやき建物)6階にある共用部となる受付ホール。シェアハウスなどの住人やオフィスの来客との打ち合わせやミーティングに利用できる。白い外観とは打って変わって、この受付や玄関ホールなどはブラウンベースのぐっと落ち着いた雰囲気となっている(写真提供:かがやき建物)

家電、家具付きで気軽に入居

シェアハウスの部屋の広さは7.5~11.2m2で、賃料は6万円。4階、5階ともに、中央にLDKがあり、その周囲に個室が並ぶという造りだ。

共用のリビングはゆったりとしており、くつろぎやすい空間に。また、キッチンはシンクを2セット設置。エアコン、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、テレビなどの家電や、ソファ、テーブルなどの家具はあらかじめ備えられている。

個室もエアコン、ベッド、カーテンが備わっており、身軽に入居できるようになっている。

現在は男女比がほぼ半々で、外国籍の住人もいる。文化の違いといったことから、水回りの使い方にクレームもあったため、週に一度、清掃会社の清掃は入っているものの、使ったあとはきれいにすることをルール化したそうだ。

左上/シェアハウスのLDK部分。左下/ゆったりしたリビング。この写真は完成時のものだが、使われている現在も共用部はきれいに整えられていた(以上、写真提供:かがやき建物)。右上/シェアハウスの個室。右下/個室はオートロックで、テンキー錠を採用左上/シェアハウスのLDK部分。左下/ゆったりしたリビング。この写真は完成時のものだが、使われている現在も共用部はきれいに整えられていた(以上、写真提供:かがやき建物)。右上/シェアハウスの個室。右下/個室はオートロックで、テンキー錠を採用

高級感ある賃貸マンション

賃貸の部屋は、先にも紹介したとおり、1LDKのみ。LDKで約8~10畳ほどの広さがあり、ベッドルームは3.2~4.6畳となっている。

近隣に大手企業などがあり、単身赴任での利用も。また、ワンルームで一体的に使えることから、ネイリストやデザイナーなど店舗として利用している人もいるそうだ。

見学して、バスルームがガラス張りという大胆なデザインには驚いたが、落ち着いた色調で高級感のある雰囲気だと感じた。


三河安城駅ができてから開発がすすめられた駅前エリアで、新たにまちを盛り上げたいとつくられた「カガヤキスクエア」。多彩な住空間に、多彩な人が集まって、まちのにぎわいにつながるという考えは素晴らしいと思った。

取材協力:カガヤキスクエア http://kagayaki-square.jp/

賃貸の部屋。バスルームは部屋側の天井にカーテンレールが備えられているので、カーテンをつけられる。また、入居時に相談すれば、目隠しシールを貼ってもくれるそうだ(写真提供:かがやき建物)賃貸の部屋。バスルームは部屋側の天井にカーテンレールが備えられているので、カーテンをつけられる。また、入居時に相談すれば、目隠しシールを貼ってもくれるそうだ(写真提供:かがやき建物)

2020年 03月25日 11時05分