そもそも繰り上げ返済とは

繰り上げ返済とは、本来の返済額とは別枠で任意の額を返済することです。
金融機関によって、繰り上げ返済手数料がかかる場合とかからない場合がありますので事前に確認が必要です。
最近では、ネットバンキングで簡単に繰り上げ返済できる金融機関も増えてきました。

繰り上げ返済の効果
繰り上げ返済をした場合、その分は元金の返済に充当されます。
すると元金が減った分、元金をもとに計算される利息も減るため、毎月の返済額が減ったり、返済期間が短縮できたりという効果があります。

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    利子は元本をもとに計算されているため、元本が減る分、利子も減ることになります。

繰り上げ返済のメリットとは

繰り上げ返済は、その効果によって2つのタイプがあり、好きなタイプを選んで返済することが可能です。
タイプの種類とそれぞれのメリットについて解説します。

◆毎月の返済額を削減することができる:返済額軽減タイプ
住宅ローンは返済中の毎月の返済額が常に一定となる、元利均等方式を選ぶケースが多いです。
年々毎月の返済額が減っていく元金均等方式とは違い、元利均等方式を選択すると最後まで返済額が変わりません。
繰り上げ返済を活用すると、元利均等方式であっても元金が減るため、毎月の返済額を減らすことが可能です。

例えば「これから子供の進学でお金がかかる」という家庭は、毎月の返済が苦しくなることがあります。
そこで繰り上げ返済を利用すれば、毎月の返済額を抑えることができるのです。

◆早期に完済できる:返済期間短縮タイプ
住宅ローンの返済を早く終わらせたい場合は、繰り上げ返済しても返済額を変えずに、返済期間を短縮することができます。
繰り上げ返済の金額に応じて返済期間を短縮できますので、早く住宅ローンのプレッシャーから解放されたい方にはこちらがおすすめです。

繰り上げ返済で利息はどれくらい変わるのか

繰り上げ返済したお金は元金に充当されます。
そのため、繰り上げ返済する金額によっては、利息もかなり減らすことができます。
具体的にどの程度利息が減るのか見てみましょう。

  • <条件>
    ローン金額3,000万円 返済期間35年 金利3%全期間固定 元利均等方式
    5年目で100万円を繰り上げ返済した場合

【返済額軽減タイプの場合】

毎月の返済額
繰り上げ返済前115,455円
繰り上げ返済後111,238円
軽減額(115,455円111,238円=)4,217円
トータルの利息軽減額517,566円


【返済期間短縮タイプの場合】

返済期間
繰り上げ返済前35年
繰り上げ返済後33年3ヶ月
短縮期間1年9ヶ月
トータルの利息軽減額1,412,621円

このように、100万円繰り上げ返済するだけでも、総返済額が大きく変わってきます。
特に返済期間短縮タイプであれば、100万円の繰り上げ返済で140万円以上もの利息が軽減されるのです。
また、返済期間についても1年9ヶ月短縮できるので、この点でもメリットがあると言えるでしょう。

変動金利の場合、繰り上げ返済で返済額が上がる?

ここまでは、住宅ローン金利が変わらない、フラット35のような固定金利で繰り上げ返済をする場合を解説してきましたが、中には住宅ローンを変動金利で組んでいる人もいるでしょう。
実は、変動金利の人が繰り上げ返済をすると、タイミングによっては毎月の返済額が増えてしまう可能性があるため注意が必要です。

変動金利でも急に金利が上昇した時のために、一定期間は返済額が変わらないような設定になっていることがあります。

例えば、変動金利が1%から2%に上昇した場合、
直ちに利息分の返済額が増額するのではなく、一定期間については利息が増えた分だけ毎月の元金返済分を減らすことで、月額返済額を一定に保ってくれるのです。
これによって、急に金利が上昇しても家計を直撃するリスクを回避してくれます。

ところが、繰り上げ返済をすると、繰り上げ返済時点の金利で毎月の返済額が再計算されてしまいます。

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繰り上げ返済をすると
いつでも返済額が減るわけではありません。

つまり、金利が2%に上昇した時に繰り上げ返済をすると、2%の金利で以降の返済額が計算されるため、かえって返済額が増えてしまうのです。

変動金利の人は、タイミングによってはデメリットとなる可能性もありますので、金利が激しく変動している時は慌てて繰り上げ返済せず、返済時期を見極めることをおすすめします。

繰り上げ返済はしないほうが良いこともある

日本人はローンに対して“借金”というネガティブなイメージが強いため、繰り上げ返済をして住宅ローンの早期完済を目指すことはとても良いことだと考えられています。
確かに繰り上げ返済は、今後の家計の負担を考えるとベストであることもありますが、反対にお金に余裕があっても繰り上げ返済しないほうが良いケースもあります。

◆住宅ローンは最も低金利な融資である
子供がこれから高校や大学へ進学するとなると、かなりの現金が必要になります。
もしも現金がなければ銀行などからローンを組んで借入れをすることになります。
ただ、銀行でローンを組むにしろ、クレジットカードでキャッシングするにしろ、金利については間違いなく住宅ローン金利よりも高くなるはずです。

住宅ローンというと、1日も早く完済することが最善と信じられていますが、無理をして繰り上げ返済すると、手元の現金に余裕がなくなってしまい、万が一の出費の時に新たな借入れが必要になってしまいます。
そのため、手元の現金に余裕がなければ、無理をして繰り上げ返済をせず、ある程度の金額は手元にとっておく方が良いでしょう。

繰り上げ返済はすれば良いというものではない

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ライフプランを立て
計画的な選択をしましょう

繰り上げ返済というと、ほとんどの人がした方が良いと考えてしまうかもしれません。
ただ、現状の金利や返済方式、さらには家庭における現金の蓄えなどによっては、繰り上げ返済をしない方が良いケースもあります。

そのため繰り上げ返済をできるだけのまとまった現金が準備できたら、一度繰り上げ返済した場合としない場合で削減できる利息の減額幅や、短縮できる返済期間などについてシミュレーションしてから判断すると良いでしょう。

◆どうしたらいいのか困ったら...
繰り上げ返済をすべきかどうかは、金利のほか、家庭の会計の状況や家族構成によって変わってきます。
自分だけで判断がつかない場合は、ファイナンシャルプランナーや銀行の窓口で相談すると的確なアドバイスやシミュレーションをしてもらうことができるでしょう。

●まとめ●
・繰り上げ返済には、返済額軽減タイプと返済期間短縮タイプがある
・繰り上げ返済すると、その時点の金利で再度計算される
・住宅ローンは他のローンよりも金利が非常に低い