滞納から差し押さえまでの時系列がわかる
固定資産税を滞納すると、納期限の翌日から延滞金が発生し、原則20日以内に督促状が届きます。その後は財産調査を経て、法律上は督促状の発送から10日を過ぎると差し押さえが可能になります。「いつ・何が起こるのか」を時系列で整理し、どの段階で動けばよいかが判断できるようになります。
延滞金が実際にいくらになるか試算できる
令和8年(2026年)の延滞金の割合は、納期限の翌日から1ヶ月以内が年2.8%、それ以降が年9.1%です。税額10万円を3ヶ月・1年滞納した場合の具体的なシミュレーションを掲載しているので、放置した場合の負担額を自分事としてイメージできます。
払えないときに使える3つの制度と相談のコツがわかる
分納・徴収猶予・換価の猶予という3つの救済手段の違いを比較表で整理しました。あわせて、自治体の窓口に相談する前に準備しておきたい項目をチェックリスト化。「何を持って、何を伝えればいいのか」まで具体的にわかります。

固定資産税の納付書を前に、「今期分はどうしても払えない」と手が止まってしまった。失業や病気、収入減、あるいは相続で急に不動産を引き継いだなど、事情は人それぞれですが、税金の支払いに行き詰まる場面は誰にでも起こり得ます。

そして多くの人が、「督促状が怖くて封を開けられない」「役所に相談したら怒られるのではないか」と、つい問題を先送りにしてしまいます。

けれども、固定資産税の滞納は「放置した時間の長さ」に比例して不利になっていく問題です。逆にいえば、早く動くほど選べる手段は多く残っています。実際、法律には分納や猶予といった救済の仕組みがきちんと用意されており、自治体の窓口も「払う意思のある人」に対しては現実的な落としどころを一緒に探してくれるのが基本です。

この先では、滞納したときに何がどの順番で起こるのか、延滞金は実際いくらになるのか、そして今日からできる対処法を、順を追って整理していきます。
物件の参考価格を調べる無料で住まいの窓口に相談する【無料】住まいの窓口の講座を探す

まず押さえておきたいのは、滞納後の流れには法律で決まった「型」があるということです。感情的に催促されるわけではなく、事務的に、しかし確実に手続きが進んでいきます。

固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者に課される地方税で、自治体から届く納税通知書に従い、原則として年4回の納期に分けて納付します。納期限を1日でも過ぎると、その翌日から納付日までの日数に応じて延滞金が発生します。

 

「うっかり数日忘れていた」程度であれば、延滞金が少額にとどまり、実際には加算されないケースもあります(多くの自治体では、計算した延滞金が1,000円未満の場合は徴収されない扱いです)。ただし、これは「数日なら滞納してよい」という意味ではなく、あくまで結果的に救済されることがあるという話です。気づいた時点ですぐ納付するのが原則です。

納期限を過ぎても納付が確認できない場合、自治体は納期限から20日以内に督促状を発送することが地方税法で定められています(出典:e-Gov法令検索「地方税法」第371条)。

 

督促状には、滞納している税額や本来の納期限などが記載されています。この段階で納付すれば、大きな問題に発展することはまずありません。怖いのは、督促状を「見なかったこと」にしてしまうことです。

あまり知られていませんが、地方税法では、督促状を発した日から起算して10日を経過しても完納されないときは、滞納者の財産を差し押さえなければならないと定められています(地方税法第373条)。

 

もちろん、実務上は督促状の10日後にいきなり自宅が差し押さえられるわけではなく、電話や文書による催告、財産調査(預貯金・給与・保険・不動産などの調査)を経て進むのが一般的です。それでも、「法律上は督促状の10日後から差し押さえができる状態にある」という事実は、放置のリスクを考えるうえで知っておくべき前提です。

 

差し押さえの対象になりやすいのは、換金しやすい預貯金や給与です。差し押さえられた不動産は登記簿に「差押」と記載され、最終的には公売にかけられて滞納税に充当されることになります。

「延滞金がつく」と聞いても、金額のイメージが湧かないと危機感は持ちにくいものです。ここでは最新の割合で具体的に試算してみましょう。

延滞金の割合は市中金利に連動して毎年見直されます。令和8年1月1日以降の期間については、納期限の翌日から1ヶ月を経過する日までが年2.8%、それ以降が年9.1%です(出典:三郷市「令和8年中における延滞金・還付加算金の割合について」)。

 

参考までに、令和7年中は年2.4%・年8.7%でした。ポイントは、滞納が1ヶ月を超えると割合が3倍以上に跳ね上がるという構造です。国税の延滞税も同じ仕組みで運用されています(出典:国税庁「延滞税の割合」)。なお、地方税の延滞金の詳細な取り扱いは自治体により異なる場合があるため、正確な金額はお住まいの自治体のホームページや窓口で確認してください。

延滞金は「滞納税額 × 割合 × 経過日数 ÷ 365日」で計算されます。令和8年の割合で、1期分の税額10万円を滞納したケースを見てみましょう。

滞納期間計算の内訳延滞金の目安
3ヶ月(約90日)最初の30日:10万円×2.8%×30日÷365日≒230円
残り60日:10万円×9.1%×60日÷365日≒1,496円
約1,700円
1年(365日)最初の30日:約230円
残り335日:10万円×9.1%×335日÷365日≒8,352円
約8,500円

3ヶ月なら千数百円ですが、1年放置すると1期あたり約8,500円。年4期分を丸ごと滞納すれば、延滞金だけで年3万円規模になり得ます。しかも本税は消えないままです。「延滞金は雪だるま式」と言われるゆえんがここにあります。

固定資産税の徴収権には5年の消滅時効がありますが、これを当てにするのは危険です。督促や差し押さえなどの手続きが行われると時効の完成は妨げられ、カウントは振り出しに戻ります。自治体は時効成立の前に必ず督促を行うため、実務上、黙って5年逃げ切れるケースはほぼ考えられません。時効を待つ間に延滞金が膨らみ、差し押さえリスクだけが高まっていく。それが現実的なシナリオです。

物件の参考価格を調べる

滞納問題で後悔する人の多くは、「税金の滞納は借金の延滞と同じようなもの」と誤解しています。しかし、税金には民間の借金にはない特有の厳しさがあります。

民間の借金であれば、貸主が財産を差し押さえるには裁判所の判決や支払督促といった手続きが必要です。ところが税金の場合、自治体は裁判所を通さずに自らの権限で差し押さえを実行できます(自力執行権)。「訴えられていないから、まだ大丈夫」という感覚は、税金には通用しません。

「差し押さえ」と聞くと自宅を失う場面を想像しがちですが、実際に優先されやすいのは換金の手間がない預貯金や給与です。ある日突然、口座から滞納分が引き落とされていたり、勤務先に給与差し押さえの通知が届いて滞納の事実を職場に知られてしまったりするケースもあります。生活と信用への影響は、想像以上に早い段階で表面化し得るのです。

固定資産税を含む税金は、自己破産の免責の対象になりません(非免責債権)。「最悪、破産すればゼロになる」という発想は税金には通用せず、支払い義務は残り続けます。だからこそ、債務整理を検討するほど困窮する前に、税金は税金として自治体と直接交渉することが重要になります。

ここからが本題です。固定資産税が払えないとき、取るべき行動はシンプルで、「督促を待たずに、自分から自治体の納税窓口に相談する」。これに尽きます。

自治体の徴収実務では、「納税する意思があるかどうか」が対応を大きく左右します。連絡を絶って督促を無視する人には財産調査・差し押さえという強制的な手続きが進む一方、自ら事情を説明し、払う意思を示す人には、分納や猶予といった柔軟な選択肢が提示されやすくなります。相談したこと自体が不利益になることはありません。むしろ、相談の記録が残ることで「誠実に対応している納税者」として扱われます。

すぐに全額を納められない場合の主な手段は、次の3つです。

制度どんなときに使える?期間の目安延滞金の扱い
分納(分割納付)一括では払えないが、月々なら払える場合。窓口との話し合いで柔軟に設定個別に協議原則として軽減なし
徴収猶予災害・盗難・本人や家族の病気、事業の休廃業や著しい損失など特別な事情がある場合原則1年以内(延長が認められる場合あり)全部または一部が免除される場合あり。猶予期間中は差し押さえも行われない
換価の猶予財産を換価(差し押さえ・売却)されると生活や事業の継続が困難になる場合原則1年以内一部が免除される場合あり

徴収猶予と換価の猶予は地方税法に定められた正式な制度で、申請には財産や収支の状況がわかる書類が必要です。要件や運用は自治体によって異なるため、詳細は窓口で確認しましょう。

窓口での相談をスムーズに進めるために、次の項目を整理してから臨むのがおすすめです。

  • □ 納税通知書・督促状:滞納している期別と金額を正確に把握するための基本資料
  • □ 払えなくなった事情:失業・病気・収入減など、時期と経緯を簡潔に説明できるように
  • □ 現在の収支の概算:月々の収入と支出。「月にいくらなら払えるか」の根拠になる
  • □ 預貯金や他の債務の状況:住宅ローンやその他の借入があれば返済額もあわせて
  • □ 今後の見通し:再就職の予定、収入回復の時期など、返済計画に反映できる情報

「月々◯円なら確実に払える」という現実的な数字を自分から提示できると、分納の合意は格段にまとまりやすくなります。

住まいの窓口に資金計画を相談する

分納や猶予はあくまで時間を稼ぐ手段です。収入の回復が見込めるなら有効ですが、そうでない場合、延滞金と滞納額が積み上がるだけの消耗戦になることもあります。

長期化しそうなときは、次の3点を冷静に見つめてみてください。

  1. 収入回復の見通しは具体的にあるか:「いつか良くなるはず」ではなく、時期と金額で語れるか
  2. 固定資産税以外の負担も滞り始めていないか:住宅ローン、管理費・修繕積立金、他の税金。複数が同時に滞り始めたら黄色信号です
  3. 今の住まいの資産価値はいくらか:売却すれば滞納分を清算してなお手元に残るのか、それとも足りないのか

特に3つ目は、多くの人が把握しないまま悩み続けているポイントです。判断材料として、まずは自宅がいくらで売れそうかを知っておくだけでも、選択肢の見え方が大きく変わります。個人情報を細かく登録せずに概算を知りたい場合は、匿名で査定を依頼できるサービスから始めてみるのも一つの方法です。

▶ LIFULL HOME’Sで匿名査定依頼へ進む

不動産が差し押さえられ公売にかけられると、一般に市場価格より低い金額で落札される傾向があり、売却のタイミングも自分では選べません。一方、差し押さえ前(または自治体と調整のうえ)に自分の意思で売却できれば、市場価格に近い金額で売り、滞納税を清算して生活を立て直す道が開けます。「家を守ること」だけがゴールではなく、「生活を守ること」を軸に考えると、早めの売却が最善手になるケースは決して珍しくありません。

 

売却も視野に入れる段階になったら、税金滞納中の売却実務に慣れた不動産会社に相談することが重要です。

▶ LIFULL HOME’Sで売却を相談する不動産会社を探す

無事に立て直せた後、あるいはこれから住宅を購入する人にとって大切なのは、固定資産税を「年に数回来る臨時出費」ではなく「毎月の固定費」として捉え直すことです。たとえば年12万円の固定資産税なら、月1万円を住居費として最初から積み立てておく。住宅ローンや管理費・修繕積立金と合わせた「本当の毎月の住居コスト」で家計を設計すれば、滞納の芽は大きく減らせます。住まいのお金全般の設計に不安があれば、中立的な立場のアドバイザーに無料で相談できる窓口を活用するのも手です。

▶ 無料で住まいの窓口に相談する

固定資産税の滞納は、放置する時間が長いほど延滞金が膨らみ、預貯金や給与、そして自宅の差し押さえへと選択肢が狭まっていく問題です。逆に、督促状が届く前でも後でも、「自分から自治体に相談する」という一歩を踏み出せば、分納・徴収猶予・換価の猶予といった正式な救済ルートが見えてきます。

 

そして、滞納が長期化しそうなら、感情的に「家を手放したくない」と踏ん張り続けるより、自宅の資産価値を把握したうえで冷静に判断するほうが、結果的に生活を守れることも少なくありません。何もしないまま数ヶ月が過ぎれば、延滞金という確実なコストと、差し押さえという取り返しのつかないリスクだけが積み上がっていきます。

 

まずは今日、納税通知書を手元に置いて自治体の窓口に電話を1本。そして並行して、「今の家がいくらか」をざっくり知っておく。この2つの小さな行動から、立て直しは始まります。

▶ LIFULL HOME’Sで匿名査定依頼へ進む

Q1. 固定資産税を1日だけ滞納してしまいました。すぐに何か起こりますか?

A. 納期限の翌日から延滞金の計算は始まりますが、多くの自治体では計算結果が1,000円未満の延滞金は徴収されない扱いのため、数日程度の遅れであれば実際の追加負担が発生しないケースもあります。気づいた時点で速やかに納付すれば、督促状が届く前に解決できます。放置だけは避けましょう。

 

Q2. 督促状を無視するとどうなりますか?

A. 地方税法上、督促状の発送から10日を経過しても完納されない場合、自治体は財産を差し押さえることができます。実務では催告や財産調査を経て進むのが一般的ですが、預貯金や給与の差し押さえは予告なく実行されることもあります。督促状が届いたら、納付が難しくてもまず窓口に連絡することが重要です。

 

Q3. 生活が苦しくて払えません。免除してもらうことはできますか?

A. 固定資産税そのものの免除は、災害で資産が大きな被害を受けた場合など、ごく限られたケースに限られます。ただし、徴収猶予や換価の猶予が認められれば延滞金の全部または一部が免除される場合があり、分納で月々の負担を現実的な水準に抑えることもできます。まずは自治体の納税窓口で事情を説明し、使える制度を確認しましょう。

 

Q4. 固定資産税を滞納したままの家でも売却できますか?

A. 滞納があっても売却自体は可能です。ただし、不動産が差し押さえられている場合は、売却代金などで滞納分を清算して差し押さえを解除しなければ買主に引き渡せません。売却代金で滞納税を完済できる見込みがあるかどうかが鍵になるため、早めに査定で資産価値を把握し、滞納案件の経験がある不動産会社に相談するのがおすすめです。

 

あわせて読みたい関連記事

固定資産税の仕組みや金額の調べ方、関連する滞納トラブルについては、以下の記事も参考にしてください。

更新日: / 公開日:2020.06.25