カード払いが「得になる人・損になる人」の分かれ目
固定資産税のカード納付には納付額に応じたシステム利用料がかかります。カードのポイント還元率がおおむね0.8%を超えるかどうかが損益の分かれ目になる理由を、納付額別のシミュレーション表とあわせて具体的な金額で確認できます。感覚ではなく数字で判断できるようになります。
2023年に大きく変わった納付の仕組み(eL-QR・地方税お支払サイト)
以前は自治体ごとにバラバラだったカード納付が、2023年4月開始の「地方税お支払サイト」と納付書のeL-QR(地方税統一QRコード)により全国共通の手続きに変わりました。自宅で5分で完了する具体的な手順と、必要なものを順を追って説明します。
意外と知られていない落とし穴と、納付前チェックリスト
領収証書が発行されない、納付後の取り消しができない、口座振替からの切り替えには手続きが要るカード払いには手数料以外の注意点もあります。手続き前に確認すべきポイントをチェックリスト化し、住宅ローン控除や車検など「証明書が必要になる場面」での失敗を防ぎます。

毎年春、納税通知書の入った封筒を開けるたびに、ため息がひとつ出る固定資産税は、持ち家に住む限り毎年必ずやってくる出費です。金額が数万円から十数万円とまとまっているだけに、「せめてクレジットカードで払ってポイントくらい貯めたい」と考えるのは、ごく自然な発想でしょう。

実際、固定資産税はクレジットカードで納付できます。しかも2023年からは仕組みが全国的に整備され、以前よりずっと使いやすくなりました。ただし、ここにひとつ見落としやすい事実があります。カード納付には納付額に応じた手数料がかかるため、お使いのカードの還元率によっては、ポイントを貯めているつもりで実は損をしているケースがあるのです。

この分かれ目は、実は簡単な計算で見極められます。手数料の仕組みと損益分岐点、そして手数料以外の注意点まで、順番に整理していきましょう。
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固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・家屋・償却資産を所有している人に課される市町村税です(東京23区内は特例で東京都が課税)。税額は原則として「固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率1.4%」で計算され、土地や家屋の評価額は3年に一度見直されます(出典:総務省「地方税制度|固定資産税」)。

 

自分の家の税額がどう決まっているのか気になる方は、税額の計算方法や軽減措置を詳しく解説した「一軒家の固定資産税の目安はいくら? 計算方法や軽減措置についても紹介」もあわせてお読みください。

固定資産税は通常、年4回の納期に分けて納めます。納期は自治体ごとに異なりますが、例えば東京都では6月(第1期)・9月(第2期)・12月(第3期)・2月(第4期)の年4回で、第1期の納付月に届く納税通知書に同封された納付書で納めます(出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」)。一括で全期分をまとめて納付することも可能です。

 

納付スケジュールや通知書が届くタイミングの全体像は「固定資産税はいつ払う? 支払い方法や通知が来るタイミングについて」で詳しく紹介しています。

納付方法は、金融機関やコンビニの窓口払い、口座振替、ペイジー(Pay-easy)、スマートフォン決済アプリなど複数あります。それぞれ「手間」「手数料」「ポイント」の面で一長一短があり、この違いこそが本記事の主題です。後ほど比較表で整理します。

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かつて固定資産税のカード納付は、対応する自治体としない自治体があり、対応していても自治体ごとに専用サイトが異なる状態でした。これが大きく変わったのが2023年です。2023年(令和5年)4月から、地方税共同機構が運営する仕組みを通じてクレジットカードによる地方税の納付が可能になり(出典:eLTAX 地方税ポータルシステム「クレジットカードを利用した納付の手順」)、納付書に印刷された「eL-QR(地方税統一QRコード)」を読み取れば、全国共通の「地方税お支払サイト」から納付できるようになりました。

 

お手元の納付書にeL-QRやeL番号(収納機関番号・納付番号など)が印字されていれば、この仕組みが使えると考えてよいでしょう。逆に、これらの記載がない古い様式の納付書や、一部の税目では利用できないことがあります。

仕組みが全国共通になった今でも、次のようなケースではカード納付ができません。

  • 口座振替を登録している場合:口座振替が優先されるため、カード払いに切り替えるには自治体で口座振替の停止・変更手続きが必要です。「今期だけカードで」という一時的な使い分けは基本的にできません
  • 納期限を過ぎた納付書:期限切れの納付書はサイトで受け付けられないことが多く、その場合は窓口などでの納付になります
  • 納付額が高額な場合:地方税お支払サイトのクレジットカード納付は1,000万円未満が上限とされています(出典:西宮市「地方税お支払サイトでの納付」

自治体によって細部の運用は異なるため、最終的には「お住まいの市区町村名+固定資産税+クレジットカード」で検索し、公式サイトの案内を確認するのが確実です。

カード納付で最も見落とされがちなのが、システム利用料(決済手数料)です。地方税お支払サイトのクレジットカード納付では、<a>最初の1万円まで37円(税別)、以降1万円ごとに75円(税別)が加算される</a>仕組みになっています(出典:福岡市「地方税お支払サイトを利用した納付」)。この手数料は決済事業者に支払われるもので、自治体の収入になるわけではありません。

 

ポイントは、納付額が大きくなるほど手数料率は約0.8%(税込・概算)に近づいていくということです。つまり、お使いのカードの還元率が0.8%を上回っていれば得、下回っていれば損。これが損益分岐のおおまかな目安になります。

実際の金額で見てみましょう(手数料は上記の料金体系にもとづく試算。税込額は消費税10%で計算した概算で、端数処理により実際と数円異なる場合があります)。

納付額システム利用料(税込・概算)還元率1.0%のポイント損益(1.0%)還元率0.5%のポイント損益(0.5%)
5万円約371円500pt+129円250pt−121円
10万円約783円1,000pt+217円500pt−283円
20万円約1,608円2,000pt+392円1,000pt−608円
30万円約2,433円3,000pt+567円1,500pt−933円

この表からわかるのは、次のシンプルな判断軸です。

  • 還元率1.0%以上のカード:手数料を差し引いてもプラス。カード払いを検討する価値あり
  • 還元率0.8%前後のカード:ほぼトントン。「窓口に行かなくて済む手間の削減」に価値を感じるかどうかで判断
  • 還元率0.5%以下のカード:確実にマイナス。ポイント目的なら口座振替やスマホ決済など他の方法が合理的

なお、カードによっては税金の支払いがポイント付与の対象外だったり、付与率が通常より低く設定されていたりします。手続き前に、カード会社の規約で「税金・公金支払い時の還元率」を必ず確認してください。ここを見落とすと、シミュレーション自体が成り立たなくなります。

納付方法手数料ポイント手間領収証書
クレジットカード(地方税お支払サイト)納付額に応じて発生カードにより付与自宅で完結発行されない
口座振替無料なし一度登録すれば自動発行されない(通帳記帳で確認)
スマホ決済アプリ原則無料アプリ・チャージ方法による自宅で完結発行されない
窓口・コンビニ(現金)無料なし出向く必要あり発行される

「絶対にカードが正解」でも「カードは損」でもなく、還元率・手間・証明書の要否という3つの軸で、自分にとっての最適解が変わる。これがこの比較表の結論です。

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カード納付では領収証書が発行されません。普段は困らなくても、車庫証明の取得や各種手続きで「納税証明書」が必要になる場面では注意が必要です。カード納付の場合、決済から自治体側で納付が確認できるまでタイムラグがあり、納税証明書の発行までに時間がかかることがあります。直近で証明書を使う予定がある期分だけは、窓口で現金納付して領収証書を受け取っておく、という使い分けが安全です。

地方税お支払サイトでの納付手続きが完了すると、原則として取り消しはできません。誤って二重に納付してしまった場合は後日還付の手続きになりますが、手元にお金が戻るまでには時間がかかります。決済ボタンを押す前に、納付書の期別・金額・カード情報を落ち着いて確認しましょう。

口座振替と違い、カード納付は登録型ではなく都度払いです。一度カードで払ったからといって、次の期や翌年に自動で引き落とされるわけではありません。「払ったつもりで納期限を過ぎていた」という事態が、カード払いに切り替えた人が最も陥りやすい失敗です。納期限をスマートフォンのカレンダーに登録する、自治体の納期お知らせメールに登録するなど、リマインドの仕組みをセットで用意しておくことをおすすめします。

手続きの前に、次の6点を確認しておけば大きな失敗は防げます。

  • 納付書にeL-QRまたはeL番号が印字されているか
  • カード会社の規約で、税金支払い時のポイント還元率を確認したか
  • 還元されるポイントがシステム利用料を上回るか(上の表で試算)
  • 近々、納税証明書や領収証書が必要になる予定はないか
  • 口座振替を登録している場合、停止・変更手続きは済んでいるか
  • 次の納期限のリマインドを設定したか
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手続きに必要なのは、①eL-QR付きの納付書、②クレジットカード、③スマートフォンまたはパソコン、の3点だけです。

  1. スマートフォンのカメラで納付書のeL-QRを読み取る(パソコンの場合は地方税お支払サイトにアクセスし、納付書のeL番号を入力)
  2. 納付内容(税目・期別・金額)が表示されるので、納付書と一致しているか確認する
  3. 支払い方法で「クレジットカード」を選択し、表示されるシステム利用料を確認する
  4. カード情報を入力し、内容を最終確認のうえ決済する

決済前の画面でシステム利用料の金額が明示されるので、そこで「ポイントと比べて得かどうか」を最終判断できます。迷ったら、いったん画面を閉じても納付書が無効になるわけではありません。

 

ちなみに、毎年の固定資産税額は資産価値と連動しています。評価替えのタイミングで税額が変わったのをきっかけに、「今の家にはどれくらいの価値があるのだろう」と気になった方は、地図から参考価格を確認できるツールで眺めてみると、住まいのお金の全体像がつかみやすくなります。

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固定資産税のクレジットカード払いは、2023年のeL-QR導入で誰でも使いやすい仕組みになりました。ただし「カードで払えばお得」と無条件に言えるわけではなく、判断軸はシンプルにひとつ。カードの還元率がシステム利用料率(目安0.8%)を上回るかどうかです。上回るなら自宅で完結する手軽さとポイントの両取りができますし、下回るなら口座振替やスマホ決済のほうが合理的です。

 

なんとなく毎年同じ方法で払い続けていると、この差は10年、20年と静かに積み上がっていきます。年間の納税額が15万円なら、還元率1.0%のカードで年間約1,500ポイント。大きな金額ではないものの、「知らずに損をし続ける」のと「納得して選ぶ」のとでは、住まいのお金との付き合い方が変わってきます。

 

そして固定資産税は、住まいの維持費のごく一部にすぎません。住宅ローン、保険、修繕費—住まいのお金全体を一度整理してみたいと感じたら、専門アドバイザーに無料で相談できる窓口を活用するのもひとつの手です。まずは話を聞いてみるだけでも、優先順位がクリアになります。

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より詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

Q1. 固定資産税のカード払いは、どの自治体でも利用できますか?

A. 納付書にeL-QR(地方税統一QRコード)が印字されていれば、全国共通の「地方税お支払サイト」から納付できます。ただし一部の税目や古い様式の納付書では利用できない場合があるため、お住まいの自治体の公式サイトで最終確認してください。

 

Q2. 手数料はいくらかかりますか?

A. 地方税お支払サイトのクレジットカード納付では、最初の1万円まで37円(税別)、以降1万円ごとに75円(税別)が加算されます。例えば納付額10万円なら税込で約780円が目安です。決済前の画面で正確な金額が表示されるので、そこで確認できます。

 

Q3. 口座振替を利用中ですが、カード払いに変更できますか?

A. 口座振替が登録されている間はカード納付を利用できないのが一般的です。切り替えたい場合は、まず自治体で口座振替の停止・変更手続きを行ってください。手続きの締め切りは自治体によって異なるため、納期の直前ではなく余裕をもって進めるのが安心です。

 

Q4. カードで払うと領収証書はもらえますか?

A. 発行されません。納税の証明が必要な場合は納税証明書を取得することになりますが、カード納付は自治体側での納付確認に時間がかかり、証明書の発行が遅れることがあります。近々証明書を使う予定がある期分は、窓口での現金納付を検討してください。

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更新日: / 公開日:2019.07.04