初年度だけ確定申告が必要な理由と申告スケジュール
住宅ローン控除は年末調整では初年度に適用されず、入居した年の翌年に自分で確定申告する必要があります。申告期間は原則2月16日〜3月15日ですが、還付申告だけなら翌年1月1日から提出できること、早く出せば還付も早いことなど、逆算で動くためのスケジュール感がつかめます。
必要書類の全体像と「どこで入手するか」
年末残高証明書や登記事項証明書など、初年度の申告に必要な書類は入手先がバラバラで、取り寄せに時間がかかるものもあります。本記事では書類ごとの入手先と入手時期を一覧表に整理しているので、抜け漏れなく準備を進められます。
意外と知られていない落とし穴と回避策
「申告を忘れたら控除は一切受けられない」と思われがちですが、実は還付申告は5年間さかのぼれます。一方で、ペアローンは夫婦それぞれの申告が必要になるなど、知らないと損をするポイントがあります。後悔しないための判断軸を確認できます。

新居での生活が始まり、段ボールの片付けもようやく一段落。そんな頃にふと頭をよぎるのが「そういえば、確定申告をしないと住宅ローン控除が受けられないらしい」という話ではないでしょうか。会社員として年末調整に慣れていると、自分で税務署に申告する手続きは正直ハードルが高く感じられるものです。

けれども、この最初の一度だけの手続きを済ませるかどうかで、その後10年以上にわたる税負担が大きく変わります。必要な流れと書類さえ押さえてしまえば、決して難しい手続きではありません。順番に確認していきましょう。
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住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得し、一定の要件を満たす場合に、年末のローン残高の0.7%を所得税額から差し引ける制度です。控除期間は新築住宅で原則13年、中古住宅で10年です(出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」)。

 

重要なのは、この控除が「自動的には適用されない」という点です。所得税の控除は納税者本人の申告に基づいて行われる仕組みのため、入居した年の翌年に、自分で確定申告をして初めて適用されます。会社の年末調整は住宅ローン控除の初年度分をカバーしてくれません。

住宅を購入しただけでは新たな納税義務は基本的に発生しないため(贈与が絡む場合を除く)、申告をしなくても罰則はありません。しかし罰則がないぶん、誰も催促してくれないのがこの手続きの怖いところです。仮に年末のローン残高が3,000万円あれば、控除額は単純計算で年21万円。申告を後回しにしている間、その還付は一円も戻ってきません。

 

なお、控除を受けられるのは合計所得金額が2,000万円以下で、床面積50平米以上(新築で合計所得金額1,000万円以下の場合などは40平米以上)といった要件を満たす場合です。ご自身が対象かどうかを先に確認したい方は、適用条件を詳しく整理した「【新築・中古】住宅購入時に住宅ローン控除が適用される条件(要件)とは」もあわせてお読みください。

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確定申告の期間は、入居した年の翌年2月16日から3月15日までが原則です(期限日が土日祝の場合は翌平日にずれます)。たとえば2025年中に入居した人は、2026年の申告期間中に手続きを行います。

あまり知られていませんが、納める税金がなく還付を受けるだけの申告(還付申告)であれば、申告期間を待たず翌年1月1日から提出できます(出典:国税庁「所得税及び復興特別所得税の申告等」)。給与から源泉徴収されている会社員の住宅ローン控除の申告は、多くの場合この還付申告に該当します。

 

2月中旬以降の税務署は大変混み合いますし、還付金は申告が早いほど早く振り込まれます。「年内に書類をそろえ、年明けすぐに提出する」を目標に逆算して動くのが、もっともストレスの少ない進め方です。

10〜11月頃に税務署や金融機関から書類が届き始めるので、年末までに手元の書類を確認・収集、1月に申告書を作成・提出、というのが理想的な流れです。書類の中には法務局で取得するものや、不動産会社に依頼して写しをもらうものもあり、直前に動くと間に合わないことがあります。

初年度の申告でつまずく最大の原因は、必要書類の入手先がバラバラなことです。以下のチェックリストで「何を・どこから」を一度に確認しておきましょう。

書類入手先・入手時期
確定申告書税務署または国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作成
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書同上(作成コーナーなら自動計算)
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書借入先の金融機関から10月〜翌1月頃に郵送
土地・建物の登記事項証明書(全部事項証明書)法務局(窓口・オンライン請求)
売買契約書または工事請負契約書の写し手元の契約書類をコピー(紛失時は不動産会社・施工会社に相談)
源泉徴収票勤務先(提出は不要だが申告書作成に必要)
マイナンバーカード等の本人確認書類手元で確認
省エネ性能等を証明する書類(建設住宅性能評価書、住宅省エネルギー性能証明書など)不動産会社・施工会社・評価機関
【認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合】認定通知書・住宅用家屋証明書等の写し不動産会社・施工会社経由で入手した認定書類

特に注意したいのが省エネ関連の書類です。2024年1月以降に入居する新築住宅は、原則として省エネ基準に適合していることが控除の前提となり、省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は原則控除の対象外です(2023年末までに建築確認を受けた住宅などは、借入限度額2,000万円・控除期間10年で対象になる経過措置があります)。借入限度額も、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅といった住宅の性能区分によって変わるため、自分の住宅がどの区分かを示す書類が欠かせません(出典:国土交通省「住宅ローン減税」)。

 

契約時にもらった書類一式は、この申告が終わるまで(できればその後も)まとめて保管しておきましょう。

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国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額を入力するだけで申告書と計算明細書が自動作成され、マイナンバーカードがあればそのままe-Taxで送信できます。スマートフォンからの申告にも対応しており、税務署に出向く必要がないのが最大の利点です。添付書類の一部はイメージデータでの提出にも対応しています。

パソコンで作成した申告書をプリントアウトし、管轄の税務署に持ち込むか郵送する方法です。オンライン送信の設定が不安な人には、作成はオンライン・提出は紙、という折衷案が現実的です。

入力そのものに不安がある場合は、税務署で説明を受けながら作成するのが確実です。ただし申告期間中の窓口は混雑し、相談に事前予約が必要な場合もあります。窓口を利用するなら、なおさら早めの行動が鍵になります。

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「初年度に申告し忘れた=控除を全部失う」と思い込んで諦めてしまう人がいますが、還付申告は対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。たとえば申告期限を過ぎてから気づいた場合でも、さかのぼって手続きすれば控除を受けられる可能性があります。「もう遅い」と判断する前に、まず税務署に確認しましょう。

夫婦それぞれが住宅ローンを組むペアローンや連帯債務型のローンでは、控除も各人の持分・借入額に応じて別々に適用されます。つまり確定申告も夫婦それぞれが行う必要があり、年末残高証明書などの書類も2人分そろえなければなりません。「夫の分だけ申告して妻の分を忘れていた」というケースは典型的な失敗例です。

同じ借入額でも、住宅が「認定長期優良住宅」なのか「省エネ基準適合住宅」なのかによって、控除対象となる借入限度額は異なります。子育て世帯・若者夫婦世帯には限度額が上乗せされる措置もあるため、自分の世帯と住宅がどの区分に当たるかで還付額が変わります。区分を証明する書類を申告前に確認しておくことが、控除を取りこぼさない判断軸です。詳細な区分と金額は国税庁のタックスアンサーで最新情報を確認してください。

 

なお、中古マンションを購入した方は、控除額の目安を試算した「中古マンション購入時の住宅ローン控除額をシミュレーション! 適用条件や注意点も解説」も参考になります。

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会社員の場合、確定申告が必要なのは初年度だけです。2年目以降は、次の2つの書類を勤務先に提出すれば、年末調整で控除が適用されます。

 

1つ目は「住宅借入金等特別控除申告書」です。初年度の確定申告後、税務署から控除期間の残り年数分がまとめて送られてくるため、なくさないよう保管してください。

 

2つ目は「住宅ローンの年末残高証明書」で、借入先の金融機関から毎年10月頃に届きます。

 

一方、自営業やフリーランスの方には年末調整の仕組みがないため、2年目以降も毎年の確定申告の中で控除を申請します。とはいえ初年度に一度経験しておけば、2年目以降の記載はぐっと楽になります。

住宅ローン控除の初年度の確定申告は、「翌年1月から出せる還付申告」であることを踏まえ、年内に書類をそろえて年明けに提出するのが理想です。手続きを先延ばしにしている間は、本来受け取れるはずの還付が手元に戻らないままになってしまいます。逆にいえば、一度きりのこの手続きさえ終えれば、あとは毎年の年末調整だけで10年以上の減税が続きます。

 

まずは今日、契約書類のファイルを開いて、チェックリストの書類がそろっているかを眺めてみることから始めてみてください。入居後の手続きは確定申告のほかにも登記や保険などが重なりがちなので、やることを一覧で管理しておくと安心です。

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また、「そもそも自分の控除額はいくらになるのか」「繰上返済と控除のどちらを優先すべきか」といった資金計画の疑問は、一人で抱え込まず専門家に整理してもらうのも近道です。

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Q1. 確定申告の期限を過ぎてしまいました。もう住宅ローン控除は受けられませんか?

A. 還付を受けるだけの申告(還付申告)であれば、対象年の翌年1月1日から5年間は提出できます。期限を過ぎていても控除を受けられる可能性が高いので、諦めずに管轄の税務署へ相談してください。

 

Q2. 会社員でも本当に確定申告が必要なのですか?

A. 初年度だけは必要です。年末調整では住宅ローン控除の1年目を処理できないため、自分で申告しない限り控除は始まりません。2年目以降は、税務署から届く申告書と金融機関の年末残高証明書を勤務先に提出すれば年末調整で完結します。

 

Q3. 申告書はどこで作成すればよいですか?

A. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面案内に沿った入力で申告書と計算明細書を作成でき、マイナンバーカードがあればe-Taxでそのまま送信できます。入力が不安な場合は、税務署の窓口で説明を受けながら作成する方法もあります。

 

Q4. 夫婦でペアローンを組んだ場合、申告は1人分でよいですか?

A. いいえ、夫婦それぞれが確定申告を行う必要があります。控除は各人の借入額・持分に応じて別々に適用されるため、年末残高証明書などの必要書類も2人分そろえてください。

 

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更新日: / 公開日:2019.08.02