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【2026年】東京都の公示地価動向。最新データで読み解く不動産の売り時

2026年の東京都における地価は、過去10年の中でも類を見ないほどの上昇を見せています。ニュースなどで「都心の不動産価格が高騰している」という話題を耳にし、所有する自宅などの売却を考え始めている方も多いのではないでしょうか。

しかし、現在の東京の不動産市場は、都心部や再開発エリアに記録的な高値がついている一方で、郊外エリアでは都心部・再開発エリアとの価格差が広がり、資産価値の多層化が進行しています。さらに、市場金利の引き上げに伴う住宅ローン金利の上昇や、物件価格の高止まりによる買い手の購買力の限界など、売却に影響する懸念材料もあります。

本記事では、令和8年の地価公示データや独自調査に基づき、東京都における不動産相場の現在地と今後の見通しを徹底解説します。所有する不動産の最適な売り時を見極め、後悔のない売却を成功させるための参考にしてください。

この記事で分かること

  • 2026年の東京都の地価動向と過去10年の推移
  • 東京都の不動産価格が上昇し続けている主な要因
  • 2026年以降の地価動向の見通し
  • 売り時に影響する2つの懸念材料
  • 独自データに基づく掲載価格と反響価格の乖離

もくじ

東京都の公示地価動向と推移

公示地価は、国土交通省が毎年3月に公表する、その年の1月1日時点における全国の標準地の土地価格です。一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安などに活用されます。

令和8年の地価公示によると、全国で2.8%(全用途平均)の上昇となり、5年連続でプラス成長を続けています。この上昇幅は1992年以来の高い水準であり、特に都市部を中心とした地価の押し上げが顕著です。

以下の表は、全国および各都市圏における住宅地の対前年変動率をまとめたものです。

表:全国および都市圏別 住宅地の対前年変動率

エリア 住宅地の前年比上昇(%)
全国平均 2.10%
東京圏 4.50%
大阪圏 2.50%
名古屋圏 1.90%

参照:令和8年地価公示の概要|国土交通省

三大都市圏の中でも、東京圏の伸び率は4.5%と突出しています。地方圏においても上昇傾向は継続しているものの、都市部とそれ以外の地域では上昇率に大きな違いがあります。

このような全国的な地価上昇の傾向を踏まえ、東京都の公示地価(住宅地)について詳しく解説します。

東京23区(区部)の平均価格と変動率一覧

東京23区(区部)の住宅地は、全体平均で前年比9.0%のプラスとなり、前年の7.9%を上回る力強い上昇が見られます。

以下の表は、令和8年における東京23区の住宅地の平均価格と対前年変動率をまとめたものです。

区名 平均価格(円/m2) 対前年変動率(%)
千代田区3,631,40010.7
中央区1,930,00013.8
港区3,013,70016.6
新宿区1,131,60011.2
渋谷区1,874,10011.0
都心5区2,138,70013.0
文京区1,448,10013.8
台東区1,320,80014.2
墨田区613,30013.2
江東区661,50011.9
品川区1,244,10013.9
目黒区1,404,50013.7
大田区647,6007.9
世田谷区779,9007.0
中野区782,7009.0
杉並区703,2008.2
豊島区912,10012.9
北区742,00011.6
荒川区718,70011.8
板橋区553,6008.5
練馬区480,5006.2
足立区410,8006.3
葛飾区387,5005.6
江戸川区441,1005.7
区部全域856,4009.0

参照:令和8年地価公示価格(東京分)の概要|東京都財務局

区部全域の変動率が9.0%であるのに対し、都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の平均変動率は13.0%に達しており、都心部に特に需要が集中していることがわかります。なかでも港区は16.6%増と、ひときわ高い上昇率を示しました。

また、台東区や品川区、文京区といったエリアも、平均を大きく上回る伸びを記録しています。これは、都心部の価格高騰により、比較的近接した利便性の高い周辺区に土地の需要が波及しているためと考えられます。

一方で葛飾区や江戸川区、練馬区などは上昇こそしているものの、上昇ペースには区内でも地域差が生じている状況です。

多摩地区の住宅地・平均価格と変動率一覧

多摩地区の住宅地は、全体平均で前年比3.9%の上昇となりました。区部全域(9.0%)と比較すると緩やかな上昇ペースですが、エリアによって価格の動きに違いが見られます。

以下の表は、令和8年における多摩地区の市町村(住宅地の地点がない檜原村・奥多摩町を除く)の平均価格と対前年変動率をまとめたものです。

市町村名 平均価格(円/m2) 対前年変動率(%)
立川市308,4007.0
武蔵野市692,2005.6
三鷹市492,4005.0
府中市355,6004.3
昭島市214,3004.1
調布市425,1005.9
小金井市388,6004.8
小平市255,6003.3
東村山市208,7003.2
国分寺市351,0007.2
国立市411,5007.1
狛江市377,8005.9
東大和市181,1002.6
清瀬市201,5002.9
西東京市328,5003.8
東久留米市236,5003.1
武蔵村山市128,5002.4
北多摩334,8004.6
八王子市131,3003.9
町田市172,6003.1
多摩市202,8003.0
日野市218,6005.4
稲城市268,3004.1
南多摩172,6003.8
青梅市98,6000.7
福生市173,5001.4
羽村市146,1001.3
あきる野市99,4000.4
瑞穂町96,9001.8
日の出町88,8000.4
西多摩112,3000.9
多摩全域248,2003.9

参照:令和8年地価公示価格(東京都分)|東京都財務局

多摩地区においても全体としては上昇傾向が続いていますが、駅周辺の開発状況や都心へのアクセスのよさによって変動率には違いがあります。

国分寺市や国立市、立川市といった交通利便性が高く再開発が進むエリアでは、区部同様の高い上昇率を見せている状況です。この要因の一つとして、都心部の価格高騰によって流れてきた実需層の受け皿となっていることが考えられます。

一方で、あきる野市や日の出町、青梅市など、都心から距離がある郊外エリアでは横ばいに近い上昇率にとどまっています。同じ多摩地区でも、立地条件による不動産の選別が鮮明になっていることを読み取れる結果です。

東京(住宅地)地価ランキング

以下の表は、区部および多摩地区の住宅地価格トップ5地点をまとめたものです。

■区部(住宅地)の地価高順位

標準地の所在表示
(住居表示)
価格(円/m2) 対前年変動率(%)
1 港区赤坂1-14-11 7,110,000 20.5
2 港区白金台3-16-10 5,480,000 16.6
3 千代田区六番町6番1外※所在表示 5,300,000 9.7
4 港区南麻布4-9-34 4,990,000 15.5
5 港区南麻布1-5-11 4,760,000 17.0

参照:令和8年地価公示価格(東京都分)|東京都財務局

■多摩地区(住宅地)の地価高順位

標準地の所在表示
(住居表示)
価格(円/m2) 対前年変動率(%)
1 武蔵野市吉祥寺南町1-19-3 1,200,000 6.2
2 武蔵野市吉祥寺本町4-21-6 891,000 6.1
3 武蔵野市吉祥寺南町4-4-19 823,000 5.9
4 武蔵野市御殿山1-8-16 822,000 5.9
5 三鷹市下連雀3-6-4 813,000 6.0

参照:令和8年地価公示価格(東京都分)|東京都財務局

区部のランキングを見ると、港区が上位5地点中4地点を占めました。1位の港区赤坂一丁目では1m2あたり711万円と、都心一等地の資産価値の高さが際立っています。

一方、多摩地区では、武蔵野市の吉祥寺周辺エリアが上位4地点を占めました。5位には隣接する三鷹市の下連雀がランクインしており、多摩地区東部の人気住宅地に対する底堅い需要がうかがえます。

多摩地区では、吉祥寺周辺エリアが上位にランクイン

過去10年間の推移から見る現在の相場水準

以下の表は、2017年から2026年までの過去10年間における、東京都の住宅地の対前年変動率の推移をまとめたものです。

エリア 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026
区部 3.0 3.9 4.8 4.6 ▲ 0.5 1.5 3.4 5.4 7.9 9.0
多摩 0.7 0.8 1.0 0.8 ▲ 0.7 0.5 1.6 2.7 3.4 3.9
都内
全域
1.9 2.4 2.9 2.8 ▲ 0.6 1.0 2.6 4.1 5.7 6.5

参照:令和8年地価公示価格(東京都分)|東京都財務局

2017年から2020年にかけては、各エリアとも緩やかな上昇傾向が続いていましたが、2021年には新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞などの影響を受け、すべてのエリアで変動率がマイナスに転じました。

ただし、2022年に再びプラスに転じると、その後は年を追うごとに上昇幅が拡大していき、直近の伸びは過去10年間で最大となっています。

このように、過去の推移を見ても、現在の相場がいかに強い上昇局面にあるかが読み取れます。

東京の地価が上昇する3つの要因

上昇傾向が続く東京の地価ですが、その背景には、実需や投資マネーなど複数の要素が絡み合っています。

ここでは、現在の不動産市場を牽引する3つの主な要因を解説します。

利便性の高い都心部におけるマンション需要

地価上昇の主要な要因は、都心部の利便性を求める強い実需(実際に住むための需要)です。特にマンション用地に対するデベロッパーの取得意欲が高く、土地の価格を押し上げる原動力となっています。

マンション需要を支える主な背景は、以下のとおりです。

  • 共働き世帯の増加による職住近接ニーズの拡大
  • 新築マンションの高騰に伴う周辺エリアへの需要波及
  • 商業施設などが揃う駅近物件への人気集中

近年は夫婦ともにフルタイムで働く世帯が増え、通勤時間の短縮や生活利便性を重視する層が拡大傾向です。その結果、価格が高くても都心部や駅前などの立地条件が良い物件への需要が強まりました。

また、建築費高騰による新築マンション価格の高止まりも影響しています。新築に手が届きにくくなった層が、立地の良い中古マンションや周辺の一戸建てへ流れました。これらの要因が、都心エリア全体の地価を底上げしています。

晴海ふ頭の晴海フラッグ周辺

円安を背景とした国内外の投資マネーの流入

東京の地価上昇を後押しする2つ目の要因は、円安を背景とした国内外からの投資マネーの流入です。

現在の円安水準により、日本の不動産は相対的に割安な資産として海外投資家に認識されています。なかでも東京は、世界的な主要都市と比較しても治安やインフラが安定しており、海外の富裕層や機関投資家にとって魅力的な投資先となっています。

国内外の投資マネーが流入する主な背景は、以下のとおりです。

・国内投資家の動向

インフレによる現金の価値目減りを防ぐため、インフレに強いとされる実物資産である不動産に資金を移す動きが活発化しています。

・海外投資家の動向

為替差益というメリットを活かし、資産価値の落ちにくい都心のハイグレードマンションや商業ビルなどを積極的に購入しています。

このような資産保全や運用を目的とした投資マネーの不動産市場への流入が、都心部を中心とした不動産価格を押し上げる要因となっているといえます。

家賃相場の上昇による投資用不動産の価値向上

東京の地価上昇を支える3つ目の要因は、賃貸マンションなどの家賃相場の上昇です。

投資家が物件を購入する際、判断基準の軸となるのが「利回り(投資額に対する収益の割合で、単に家賃に対する投資額の割合は表面利回り、経費を差し引いた純粋な稼ぎと投資額の割合は還元利回りと言います)」です。近年は、東京都心部では投資需要も高まり投資家の期待する利回りの数値も逓減しているため、相対的に投資額が高額となり、地価を押し上げる原動力となっています。

2026年竣工の大規模再開発が周辺エリアに与える影響

2026年3月にグランドオープンしたOIMACHI TRACKS(品川区)

2026年は、東京都内で注目を集める大規模な再開発プロジェクトが複数竣工(完成)を迎える予定です。再開発によって街の機能が更新されると、対象エリアだけでなく最寄り駅や周辺エリアの地価にも影響を与えます。

現在進行中のプロジェクトのうち、特に注目されている主なエリアは以下のとおりです。

2026年頃に竣工が予定されている主な再開発エリア

  • 高輪ゲートウェイ駅周辺(港区):大規模複合施設「TAKANAWA GATEWAY CITY」のグランドオープン(一部先行開業済み)

  • TOFROM YAESU TOWER(中央区):東京駅直結の地上51階建て大規模複合タワー。地下には「バスターミナル東京八重洲」の第2期エリアが開業

  • OIMACHI TRACKS(品川区):JR大井町駅直結、JR東日本広町社宅跡地を活用した大型複合施設

  • 西新宿一丁目プロジェクト(新宿区):駅と街を結ぶ歩行者空間とみどりの広場を備えた大規模複合施設

  • 中野駅周辺(中野区):駅ビルや中野駅西側橋上駅舎・南北通路の整備に伴う駅前広場などの拡充

大規模な再開発が周辺の地価を押し上げるのには、主に3つの理由があります。

1つ目は、生活利便性の向上です。商業施設やオフィスの集積により、魅力的な店舗や生活施設が増えると、そのエリアに住みたいと考える人が増加します。

2つ目は、エリアのブランド力向上です。街の景観整備や防災性の強化により、エリア全体の評価が高まります。

3つ目は、再開発によって土地の効用を最大限発揮する新築建物に建て替えた場合、高水準の家賃収入もしくは分譲収入が期待できるため、収益性の面で有利となり、それだけ高額での再開発用地の取得がなされる傾向にあるからです。

さらに、再開発の効果は計画発表の段階から徐々に地価に反映されていき、竣工に向けて価格が上昇し続けます。完成後も人の流れが活発化することで、隣接する駅や周辺の住宅地へも波及効果をもたらします。

高輪ゲートウェイシティ

2026年以降の地価見通し

2026年以降の東京都の地価は、全体として底堅く推移し、緩やかな上昇傾向が続く見通しです。金利上昇や建築費高騰といった懸念点はあるものの、金融機関の積極的な融資姿勢や、都心部を中心とした家賃相場の上昇が不動産投資への期待を維持し、相場の下支えになるでしょう。

ただし、都内全域が一律に上昇するわけではなく、立地や条件によって不動産価値の格差がより細分化されるフェーズへと移行していくと予測されます。具体的には、以下の3つの層が考えられます。

【上昇傾向が続くエリア】

都心5区などの中心部や大規模な再開発が控える地域は、引き続き強い上昇圧力が期待できます。中野駅や金町駅などの都心から少し離れた拠点駅でも、再開発による将来性の高さから、継続的な地価上昇が見込めます。

【底堅い需要を持つ中間エリア】

23区内で駅徒歩10分前後の立地や、交通利便性が高く大型商業施設がある近郊エリアには、現実的な選択肢として底堅い需要が集まります。バス便エリアでも運行本数が多いなど、吉祥寺のように弱点を補う条件が揃えば、資産価値の維持が見込めます。

【下落リスクを抱えるエリア】

都心へのアクセスが良くないエリアや土砂災害や洪水リスクが高い災害レッドゾーンは、金融機関の担保評価が厳しくなりやすく、資産価値の低下が懸念されます。また、郊外の空き家も買い手が減少し、価格調整を迫られる可能性が高まります。

このように全体として上昇傾向は続くものの、今後は立地や個別条件による物件の選別がより一層シビアになっていくといえるでしょう。

水害や土砂災害などの危険性が高い地域は下落リスクの可能性があります

売り時に影響する? これからの不動産市場における2つの懸念点

地価の上昇が続く一方で、不動産の売却を検討するにあたっては注意すべき懸念材料も存在します。

ここでは、不動産の売り時に影響を与える2つの懸念点について解説します。

住宅ローンの金利上昇による買い控え

日本銀行の金融正常化に向けた動きなどに伴う住宅ローン金利の上昇は、買い手の購買力を低下させ、不動産市場における買い控えを引き起こす要因となり得ます。

住宅ローン金利の上昇が買い手に与える具体的な影響は以下のとおりです。

  • 借入可能額の減少による購入予算の縮小
  • 月々の返済負担増による購入意欲の低下
  • 将来的な変動金利の上昇に対する不安感

借入額が同じでも、金利が上がるだけで総返済額が数百万円単位で増大するため、ターゲットをより低価格の物件に変更するか、購入自体を見送る層が増加する可能性があります。

修繕積立金など維持費の増大

マンションに対して継続的にかかる修繕積立金や管理費といった維持費の増大も、買い手のハードルを上げる要因です。

近年、建築資材の価格高騰や建設業界の人手不足を背景に、大規模修繕にかかる工事費用が上昇しています。これに伴い、修繕積立金の段階的な値上げを行っているマンションや、将来的な資金不足が懸念されるマンションが増加傾向にあります。

維持費の増大は、不動産市場に以下のような影響を与えます。

  • 毎月のランニングコスト増による買い手の予算減
  • 修繕費用の見通しが不透明なマンションの資産価値下落

買い手は、ローンの返済額に維持費を加えたトータルコストで毎月の支払いを計算します。そのため、物件価格が適正であっても、維持費が高過ぎると毎月の支払いが厳しいと判断され、成約に至りにくくなります。

維持費の増加はすべてのマンションに関わる問題ですが、コスト増を吸収できる物件でなければ、将来的に売却活動が困難となる可能性があります。

LIFULL HOME’S独自データで分析! 掲載価格と反響価格の違い

以下の表は、LIFULL HOME’Sの独自データを基に、東京都における売り出し価格といえる「掲載価格」と、成約に至る「反響価格」を比較したものです(2026年2月時点)。

中古マンション(万円)
※ファミリータイプ
中古一戸建て(万円)
23区内 掲載価格 11,932 9,152
反響価格 7,370 5,334
4,562 3,818
都下 掲載価格 3,885 3,946
反響価格 3,051 3,096
834 850

参照:LIFULL HOME'Sマーケットレポート 2026年2月(価格動向)

東京23区のファミリー向け中古マンションでは、平均掲載価格が1億1,932万円に達しているのに対し、実際に買い手から反響があった価格は7,370万円にとどまっており、約4,500万円もの開きがあります。

また、中古一戸建て(23区)においても、掲載価格の9,152万円に対して反響価格は5,334万円と、約3,800万円の価格差が生じている状況です。

この結果から、相場上昇の波に乗って強気な価格で売り出しても、実需層の予算を大きく超える物件には買い手がつきにくい実態が読み取れます。売却を確実に成功させるには、買い手のリアルな購買力を示す成約価格を意識した戦略的な価格設定が重要です。

新築から中古住宅へのシフトが加速する今が売り時

住宅の売却を検討している方にとって、現在は有利なタイミングといえます。新築住宅の価格が一般的な世帯の収入では手の届きにくい水準まで高騰し、供給数も減少傾向にあるなか、実需層における「新築から中古住宅へのシフト」が鮮明になっているためです。

このシフトをさらに後押しするのが、2026年度の税制改正における「住宅ローン控除」の拡充です。

中古住宅に関する主な改正ポイントは、次のとおりです。

  • 省エネ基準を満たす場合に控除期間の延長(10年間から13年間に延長)
  • 省エネ性能の高い住宅に対する借入限度額の引き上げ
  • 対象となる床面積の緩和(50m2以上から40m2以上に緩和、所得制限あり)

この改正により、買い手は資金計画を立てやすくなり、中古住宅購入のハードルが下がります。市場全体の流動性がさらに高まるため、売り手にとっても物件をスムーズに売却しやすい環境が整いつつあります。

また、築年数を一定程度許容する買い手が増える分、ホームインスペクション(建物状態の専門家による客観的な調査)を実施するなど、買い手の不安を払拭する取り組みが重要となってくるでしょう。

参照:住宅ローン減税等の住宅取得等促進策に係る所要の措置|国土交通省

省エネ性能の高い中古住宅は住宅ローン控除の対象となり、需要は今後も新築から中古住宅へシフトしていくでしょう

まとめ

2026年の東京都の地価は、都心部や再開発エリアを中心に力強い上昇を見せています。一方で、今後は立地や物件ごとの条件による資産価値の多層化が進むほか、住宅ローン金利の上昇や維持費の増大といった懸念材料も顕在化しつつあります。

とはいえ、新築価格の高騰を背景とした中古住宅へのシフトや、住宅ローン控除の拡充という追い風もあるため、中古物件の売却を検討している方にとっては売り時といえるでしょう。

ここで解説した公示価格や、不動産鑑定士による鑑定評価額は、「その不動産の公正な価値」を決定する不動産鑑定士等が独立の立場から評価した価格です。このため、その動向は客観的な立場からの判断であり、公示価格の推移の分析で地域の価格動向を把握することも高い意義を有します。

一方で、不動産会社の無料査定による査定価格は、その不動産会社と土地所有者との間においての限定的な関係において、「この程度で売れたらいいなぁ」という、その不動産会社が「この程度の価格での売却を目指します」との希望・意気込みの目線に過ぎず、「その不動産の公正な価値」ではありません。そのため、例えば相続の遺産配分や共有物分割、税務目的など、売却以外で不動産の価値が問題となっている局面においては、不動産会社の査定価格を提示しても無意味です。

一方で、売却を期待したい場合は、たまたまその不動産会社が地域において特有な人脈などを有する場合、公正価値よりも高い価格での売却も考えられなくはないため、高い査定価格の提示もありえます。

ですので、公示価格と不動産鑑定士の鑑定評価額と不動産会社の無料査定の違いを理解しつつ、これらを使い分けることが重要でしょう。

売却を成功させるうえで重要なのが、相場全体の動きだけでなく、所有物件の価値を正確に把握することです。東京都の不動産市場では、売り出し価格と買い手が実際に動く反響価格の間に乖離が生じる傾向があるため、適切な査定が欠かせません。

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記事執筆

吉満 博(よしみつ ひろし)” class=吉満 博(よしみつ ひろし)

不動産ライター/不動産コンサルタント
宅地建物取引士/ファイナンシャルプランニング2級技能士/住宅ローンアドバイザー
大学で建築を専攻後、ゼネコンおよびハウスメーカーにて、オフィスビルから一戸建て・アパートの設計業務に従事。意匠設計や法規制、構造などの専門的知識を習得。 その後、自身の住宅購入をきっかけに不動産会社を独立開業。売買仲介の実務を行う傍ら、ライフプラン作成を軸とした提案で多くの顧客をサポート。 現在は自身の実務やサイト運営の経験を活かして、不動産を中心に金融・相続など幅広くライターとして活動するほか不動産売買のコンサル業務を行う。これまでに執筆・監修した記事は700本を超える(2025年12月現在)

記事監修

冨田 健” class=冨田 健(とみた たける)

不動産鑑定士、税理士、公認会計士。慶應義塾中等部・高校・大学卒業。大学在学中に当時の不動産鑑定士2次試験合格、卒業後に当時の公認会計士2次試験合格。大手監査法人・ 不動産鑑定業者を経て、独立。全国43都道府県で不動産鑑定業務を経験する傍ら、公的な鑑定評価、相続税関連や固定資産税還付請求等の不動産関連の税務業務、ネット記事等の寄稿や講演等を行う。特技は12 年学んだエレクトーンで、平成29年の公認会計士東京会音楽祭では優勝を収めた。 令和3年8月には自身二冊目の著書「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)を上梓し、令和7年9月に改訂版を刊行。 令和5年春、不動産の売却や相続等の税金について解説した「図解でわかる 土地・建物の税金と評価」(日本実業出版社)を上梓。Yahoo!エキスパートとしても記事・コメントを執筆している。
公式HP https://tomitacparea.com/