
日本の不動産価格は、世界経済の動向や国内の金融政策、社会構造の変化など、様々な要因に影響を受けながら変動しています。2022年以降は、ウクライナ情勢や中東情勢による建築資材の高騰、円安の進行などが建築コストを押し上げ、新築不動産価格の上昇を招きました。
一方、日本銀行が実施した2024年のマイナス金利解除、2025年の追加利上げは、住宅ローン金利の上昇といった形で市場に影響を与え始めています。
この記事では、日本の不動産価格が上昇傾向にある理由や不動産価格の全体的な推移などについて解説します。
この記事で分かること
- 【2025年】日本の不動産価格が上昇傾向にある理由
- 不動産価格の全体的な推移
- 【地域別】・【物件種別】・【築年数別】日本の不動産価格の推移
- 日本の不動産価格はいつ下がる?下落の主な要因
- 日本の不動産価格推移を自分で調べる方法
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【2025年版 最新】不動産価格が上昇傾向にある理由

ここでは、昨年2024年から2025年12月現在において、不動産価格が上昇傾向にある理由を紹介します。
- 世界情勢の影響を受けているから
- インバウンドの需要が回復しているから
- 建築費が高騰しているから
- 金融緩和によってインフレが発生しているから
世界情勢の影響を受けているから
不動産価格の上昇には、世界情勢が大きく影響しています。
特に2022年以降のウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰や、建築資材の供給不足が建設コストを押し上げ、不動産価格の上昇を招いています。
ウクライナ侵攻だけでなく、中東情勢(イスラエル・パレスチナ紛争など)やトランプ関税をめぐる米中関係の緊張なども、世界の輸入関連産業に影響を与え、エネルギー価格や特定の原材料価格の変動要因となっています。
また、円安によって輸入建材の価格が上昇し、さらなるコスト増につながっています。
これらの要因が新築物件の価格を上昇させ、結果的に中古物件の需要増加や価格上昇につながっています。今後も、世界情勢の動向が不動産市場に影響を及ぼすため注視が必要です。
※参考:米国の関税措置に関する日米協議:日米間の合意(概要)|内閣官房
インバウンドの需要が回復しているから
観光客の増加によって都市部の商業不動産の価値が押し上げられ、特に宿泊施設や商業施設の需要が急速に回復しています。
JNTO(日本政府観光局)が公表した訪日外客数を見ると、2025年6月は337万7,800人となり、前年同月比で7.6%増となり、6月として過去最高を記録しています。
上半期の累計では21,518,100人となり、2024年同期を370万人以上上回り、過去最速となる6ヶ月で2,000万人を突破しました。
この背景には、コロナ禍が収束しつつある中で、多くの国で観光客が再び増加に転じていることがあります。
特に、日本国内の都市部ではインバウンド観光の需要が戻り、商業不動産市場が活発化しています。外国人投資家による日本の不動産への投資も増え、価格上昇が加速しています。
円安が続く限り、インバウンド需要は引き続き好調であることが見込まれ、これにより観光地の地価上昇も続くと予想されます。
※参考:訪日外客数(2025年6月推計値)|報道発表|JNTO(日本政府観光局)
建築費が高騰しているから
不動産価格の上昇要因の1つとして、建築費の高騰が挙げられます。建築コストの増加は新築物件の供給に直接影響を与え、その結果、不動産全体の価格が押し上げられています。
以下は、2014年〜2023年における、木造住宅と非木造住宅の建設工事費の推移です。

※数値(価格)は2015年度基準 / 2021年〜2023年は暫定の数値
※出典:総合政策:建設工事費デフレーター|国土交通省の年度次データをもとに独自作成
グラフを見ると、2020年度以降から急激に建設工事費が上昇していることが分かります。
建築費の上昇理由として主に以下が挙げられます。
- 建築資材のコスト増加
- 労働力のコスト増加
- 円安の影響
- ロシアからの木材輸入制限
建築費が上昇すると、新築マンションや一戸建ての価格も上がります。新築物件を諦めて中古物件を選ぶ人が増え、中古物件の需要が高まり価格も上昇するという流れになっています。建築費の高騰は不動産価格全体の上昇を招いており、今後もこの流れが続く可能性があります。
金融緩和によってインフレが発生しているから
2013年ごろから続く緩和的な金融政策の影響で、インフレが進行していることも不動産価格の上昇に大きく寄与しています。金融緩和によって資金供給が多くなり、不動産市場への投資を後押ししてきました。
金融緩和とは、一般に中央銀行が金利を低く抑え、市場に多くのお金を供給する政策です。この政策は経済成長を促す目的などで行われるものですが、お金の量が増えるとその価値が下がり、物価が上昇する、つまりインフレが発生します。
不動産は資産価値を守る手段と考えられやすく、インフレ時には投資先として注目されます。その結果、不動産への需要が増え、価格が押し上げられています。また、低金利の状況が続くことで住宅ローンの借り入れがしやすくなり、購入需要を後押しするという一面もあります。
こうした緩和的な金融政策が不動産価格上昇の要因の1つとなっていますが、今後は利上げによって市場はやや調整される可能性もあります。
実際、2024年8月から大手銀行を中心に固定金利が引き上げられ、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行などが固定型住宅ローンの金利を相次いで引き上げています。
また、2025年1月に日銀による追加利上げが行われました。こうした動きが住宅ローン金利のさらなる引き上げにつながる可能性もあるため、今後の金融政策の動向についても注視が必要でしょう。
LIFULL HOME'S総研 中山 登志朗氏によるコメント
ただし、日本全国どこでも新築住宅の価格がこれほどまでに高いのかと言うと、そういう訳ではありません。やはり住宅は交通・生活の利便性や周辺環境、防犯・防災に関する安全性や資産性などにも十分配慮して購入する必要がありますから、価格が高い安いという要因だけで判断するのは早計です。
明治大学政治経済学部教授の野澤千絵氏の見解
日本の大都市は、電気・水道などのインフラや治安、不動産取引の法制度が他国と比較して安定しています。その上、価格が安いとなれば投資家からの人気が高まるのも自然なことだと言えます。
オーストラリアでは、海外の投資家層が流入した結果、自国民の住宅購入が困難になったため、外国人の中古住宅購入は基本的に不可にしたり、空室税を徴収するといった施策を導入しています。他にも外国人の不動産取引を規制している国もあるのですが、日本ではそうした規制はまだないというのが現状です。
逆にいうと、海外勢が投資妙味を感じにくい地域については、比較的手が届きやすくなる可能性もあると思います。
【2025年】不動産価格の全体的な推移

不動産価格は2013年以降、着実に上昇しています。
国土交通省が公表している『不動産価格指数』を見ると、近年はマンション価格が一戸建てを大幅に上回る急上昇を見せています。

※出典:不動産価格指数|国土交通省
なお、不動産価格指数とは年間約30万件の不動産取引価格データをもとに、その動向を指数化したものです。
2025年7月31日時点に公表された不動産価格指数は、上図のようになっています。不動産価格指数の推移から判断すると、今後も不動産価格は上昇を続ける可能性はあるでしょう。
【地域別】日本の不動産価格の推移

ここでは、地域別の不動産価格の推移を紹介します。
- 東京都内の価格推移
- 主要都市の価格推移
東京都内の価格推移
以下は、公益財団法人東日本不動産流通機構『月例速報Market Watch 2025年6月度』をもとに、東京都内の価格推移をまとめた表です。
| 中古マンション | 中古一戸建て | 土地 | |
|---|---|---|---|
| 2024年6月 | 6,156万円 | 5,792万円 | 6,059万円 |
| 2025年1月 | 6,622万円 | 5,525万円 | 6,226万円 |
| 2025年6月 | 6,791万円 | 5,936万円 | 6,723万円 |
※参考:月例速報Market Watch 2025年6月度 (P4:中古マンション)/(P64:中古一戸建て)/(P244:土地)|公益財団法人東日本不動産流通機構
中古マンション、中古一戸建て、土地の全てにおいて、東京都内の不動産価格は2024年6月から上昇しています。
主要都市の価格推移
以下は、公益財団法人東日本不動産流通機構の同データをもとに、首都圏の価格推移をまとめた表です。
| 中古マンション | 中古一戸建て | 土地 | |
|---|---|---|---|
| 2024年6月 | 4,956万円 | 4,016万円 | 4,113万円 |
| 2025年1月 | 5,147万円 | 3,785万円 | 3,781万円 |
| 2025年6月 | 5,209万円 | 3,937万円 | 3,769万円 |
※参考:月例速報Market Watch 2025年6月度(P2:中古マンション)/(P20:中古一戸建て)/(P50:土地)|公益財団法人東日本不動産流通機構
上記の表によると、2024年6月から2025年6月において、中古マンション価格は上昇しているものの、中古一戸建てと土地は下落しています。特に土地のほうが下落率が高い状況です。
首都圏で、中古マンション価格が上昇している理由として、新築マンションが高額で手が出しにくい層が中古マンションに目を向けていることが考えられます。
立地の良さと利便性を兼ね備えたマンションには、根強い需要があるといえるでしょう。
【物件種別】日本の不動産価格の推移

ここでは、物件種別の不動産価格推移を紹介します。
- 土地の価格推移
- 一戸建ての価格推移
- マンションの価格推移
土地の価格推移
以下は、公益財団法人東日本不動産流通機構『首都圏不動産流通市場の動向(2024年度)』における土地の価格推移です。

※出典:首都圏不動産流通市場の動向(2024年度)(P5)|公益財団法人東日本不動産流通機構
2024年度の成約物件価格は3,794万円(前年度比7.5%上昇)で、2020年以降連続で前年度を上回っています。
土地の価格には、今後の開発計画や人口増加が見込まれるイベントの有無が影響します。または人気の高いタワマンが集まるなど憧れのエリアであるかといった、人々の関心や人気によっても大きく影響されます。
現在の土地価格が高騰している要因の1つとして、人気エリアに投資する層が増えていることが考えられるでしょう。
一戸建ての価格推移
以下の画像は、公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2024年度)」」の一戸建ての価格推移です。

2024年度における首都圏の中古戸建住宅の成約物件価格は平均で3,948万円となり、前年から2.6%上昇したことで4年連続の上昇となりました。都県・地域別に見ると、多摩地域、埼玉県を除く都県・地域で上昇しています。
築年数の平均は22.22年(前年21.82年)で、経年化が進んでいます。
マンションの価格推移
以下の画像は、公益財団法人東日本不動産流通機構の同データにおける、マンションの価格推移です。

※出典:首都圏不動産流通市場の動向(2024年度)(P2)|公益財団法人東日本不動産流通機構
成約物件の価格は4,890万円で、前年から6.9%の上昇を記録し、㎡単価と同様に12年連続で上昇しています。都県・地域別に見ても、全ての都県・地域で前年を上回りました。
価格帯別に見ると5,000万円以上の物件の成約件数が増加しており、全体の成約件数に占める割合も拡大しています。
【築年数別】日本の不動産価格の推移
次に、築年数別で日本の不動産価格の推移を見ていきましょう。
- 築0年〜築5年の価格推移
- 築6年~築10年の価格推移
- 築11年~築15年の価格推移
- 築16年~築20年の価格推移
- 築21年~築25年の価格推移
- 築26年~築30年の価格推移
- 築31年~の価格推移
なお、価格推移は東日本不動産流通機構が公表している「年報マーケットウォッチ2023年」のデータを参照しています。
※参考:年報マーケットウォッチ2023年・年度 表15-① 中古マンションの築年帯別状況[首都圏] ■成約物件|東日本不動産流通機構
※参考:年報マーケットウォッチ2023年・年度 表16-① 戸建住宅(中古)の築年帯別状況[首都圏]|東日本不動産流通機構
築0年〜築5年の価格推移
首都圏における、築0年〜築5年の不動産成約価格の築年帯別状況は以下のとおりです。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 5,619 | 4,171 |
| 2020年 | 5,891 | 4,168 |
| 2021年 | 6,136 | 4,557 |
| 2022年 | 6,638 | 4,821 |
| 2023年 | 7,077 | 5,021 |
上表によると、中古マンション・中古一戸建てともに年々価格は上昇しています。2019年から2023年の間でマンションは約1,460万円、一戸建ては850万円程度、高くなりました。
マンションのほうが一戸建てよりも平均価格が高く、年毎に差が開きつつあります。
築6年~築10年の価格推移
次に、築6年〜築10年の価格推移を見ていきましょう。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 4,885 | 3,984 |
| 2020年 | 5,075 | 3,957 |
| 2021年 | 5,538 | 4,155 |
| 2022年 | 6,193 | 4,653 |
| 2023年 | 6,655 | 4,733 |
築6年〜築10年も中古マンション・中古一戸建ての価格は年々上昇傾向にあり、2019年から2023年の間でマンションは1,770万円、一戸建ては約750万円高くなっています。
築6年〜築10年の中古マンションは築0年〜築5年の物件より価格差の開きが大きく、年々需要が高まっていると見られます。
築11年~築15年の価格推移
次に、築11年〜築15年の価格推移を見ていきましょう。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 4,391 | 3,745 |
| 2020年 | 4,482 | 3,774 |
| 2021年 | 4,886 | 3,955 |
| 2022年 | 5,543 | 4,436 |
| 2023年 | 5,932 | 4,573 |
築11年〜築15年も、中古マンション・中古一戸建てともに年々価格が上昇しています。2019年から2023年の間でマンションは約1,540万円、一戸建ては約830万円高くなりました。
一戸建ては築6年〜築10年よりも築11年〜築15年の方が価格の差が開いています。
築16年~築20年の価格推移
次に、築16年〜築20年の価格推移を見ていきましょう。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 3,941 | 3,485 |
| 2020年 | 4,179 | 3,460 |
| 2021年 | 4,685 | 3,810 |
| 2022年 | 5,250 | 4,024 |
| 2023年 | 5,509 | 4,271 |
築16年〜築20年でも、中古マンション・中古一戸建ての価格が毎年上がっています。2019年から2023年の間でマンションは約1,570万円、一戸建ては約790万円高くなりました。
築16年〜築20年になると、マンションと一戸建ての平均価格の差が、やや顕著ではなくなっています。
築21年~築25年の価格推移
次に、築21年〜築25年の価格推移を見ていきましょう。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 2,846 | 3,023 |
| 2020年 | 3,202 | 3,109 |
| 2021年 | 3,746 | 3,421 |
| 2022年 | 4,290 | 3,955 |
| 2023年 | 4,887 | 3,919 |
築21年〜築25年の中古マンション・中古一戸建ても、全体的には5年間で価格が上昇傾向です。2019年から2023年の間でマンションは約2,040万円、一戸建ては約890万円高くなっています。
築21年〜築25年の中古マンションは築浅といえませんが、5年前と比較すると価格が約2,040万円も上昇しており、一定の需要があると見られます。
築26年~築30年の価格推移
次に、築26年〜築30年の価格推移を見ていきましょう。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 1,787 | 2,453 |
| 2020年 | 1,883 | 2,596 |
| 2021年 | 2,275 | 2,917 |
| 2022年 | 2,832 | 3,333 |
| 2023年 | 3,344 | 3,496 |
築26年〜築30年の中古マンション・中古一戸建ても、年ごとに価格が上がっています。2019年から2023年の間でマンションは約1,557万円、一戸建ては約1,040万円高くなっている状況です。
築26年〜築30年になると、一戸建てのほうがマンションよりも平均価格が高くなっています。
築31年~の価格推移
最後に、築31年以上の価格推移を見ていきましょう。
| 年度 | 中古マンション価格(万円) | 中古一戸建て価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 1,835 | 2,062 |
| 2020年 | 1,904 | 2,023 |
| 2021年 | 2,040 | 2,355 |
| 2022年 | 2,193 | 2,345 |
| 2023年 | 2,359 | 2,460 |
築31年以上の中古マンション・中古一戸建ても、毎年価格が上昇しています。2019年から2023年の間でマンションの価格は約520万円、一戸建ては約400万円高くなりました。
築31年以上では、築26年〜築30年の物件と同様に、一戸建てのほうが平均価格が高い状況です。
【2025年】日本の不動産価格は今後どうなる?

2025年の不動産価格の動向は、経済全体の状態や金融政策が大きく影響します。
特に、金利の上昇は住宅ローンを組む人にとって直接的な影響を与え、需要に変化をもたらす可能性が少なくありません。
ここでは、不動産価格が今後どうなるのかを以下2つの金利タイプに分けて解説します。
- 固定金利の見通し・予測
- 変動金利の見通し・予測
固定金利の見通し・予測
2025年現在、固定金利は、引き続き緩やかに上昇する見込みです。
固定金利は主に長期金利に連動しており、2023年には政府や日本銀行による金融緩和政策の縮小が話題になりました。これにより、長期金利が徐々に上昇傾向にあります。
固定金利は住宅ローンを組む際に借り入れた金額の返済が一定であるため、金利が上昇するとその分、今後借り入れを行う人たちの負担が増すことになります。
実際、金融緩和政策の縮小によって、以下のように固定金利は引き上げられています。
| 年月 | 長期金利変動許容幅 |
| 2022年12月 | 0.25%から0.5% |
| 2023年7月 | 0.5%から1.0% |
長期金利の変動許容幅の引き上げが実施される度に、住宅ローンの固定金利も少しずつ上昇しています。したがって、不動産購入を慎重に考える人が増えることが予想され、価格の上昇が抑制される可能性が高まるでしょう。
変動金利の見通し・予測
変動金利は現在も低水準を維持していますが、一部の金融機関では変動が見られます。
2024年7月、日銀が政策金利の利上げを決定したことで、同年10月には一部の金融機関で変動金利が0.15%引き上げられました。
ただし、金融機関ごとに対応は異なっており、多くの銀行は優遇金利を拡大することで新規借入れや借換えの金利を据え置きにしています。
以下は、2025年7月時点の各金融機関の変動金利の様子です。
| 三井住友銀行 | 0.925%〜 |
|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 0.595% ~ 0.675% |
| りそな銀行 | 0.640% |
| みずほ銀行 | 0.525%〜 |
※2025年7月時点
なお、日銀は「銀行の銀行」として民間銀行に対する利払いの負担を増やさないように、変動金利を急激に引き上げることが難しい状況です。変動金利は日銀の政策と経済の状況に大きく依存していますが、国債市場への影響を考えると大幅な上昇は考えづらくなっています。
しかし、円安や物価高などの影響を受け、将来的には若干の金利上昇が起こる可能性もありますが、その幅は限定的であると予想されています。
日本の不動産価格はいつ下がる?下落につながる主な要因

ここでは、不動産価格が下落するのはいつなのか、考えられる要因とあわせて紹介します。
- 日銀が金利を大幅に引き上げたとき
- 2025年問題の影響が生じたとき
- 税制が改正されたとき
- 人口が顕著に減少したとき
日銀が金利を大幅に引き上げたとき
日本銀行(日銀)が金利を引き上げると住宅ローンの利息が高くなるため、住宅を購入する際の負担が大きくなります。これにより住宅需要が減少し、結果として不動産価格が下落につながる可能性があります。
日銀が実施する金融政策は、経済全体に大きな影響を与えます。実際に2024年7月に政策金利が0.25%に引き上げられた際には、株価が大きく変動しました。
今後、さらなる金利引き上げが実施されれば住宅ローン審査が厳しくなり、不動産市場の冷え込みにつながることが予想されます。また、金利を急激に引き上げれば、既存の住宅ローン支払いの増加につながる場合もあるため、国民に負担が重くのしかかり、日本経済全体に悪影響を与えるおそれがあります。
したがって、政府が直ちに大幅な金利引き上げに踏み切る可能性は低いと考えられています。
※参考:事実上の変動許容幅の拡大を実施 |明治安田総合研究所
2025年問題の影響が生じたとき
2025年問題とは、日本の人口構成が急激に変わるタイミングを指します。
特に、1947〜1949年生まれの”団塊世代”の大量退職が進むことから、労働力不足や空き家の増加が深刻化する問題です。この問題によって経済活動が停滞し、特に不動産市場に以下のとおり大きな影響を与える可能性があります。
- 労働力不足
- 空き家の増加
- 社会保障費の増加
労働力不足
2025年に向けて団塊世代が大量に退職することで、労働市場において深刻な労働力不足が発生する見込みです。特に建築業界や不動産業界も例外ではなく、働き手が減少することで新規の建設プロジェクトが遅延し、供給が減る可能性があります。
内閣府が公表したデータによると、生産年齢人口(15〜64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少し続けており、2025年には7,310万人になると推計されています。

※参考:令和6年版高齢社会白書(P2)|内閣府 より独自作成
上図を見ると、15〜64歳の人口は減少傾向であるにもかかわらず、高齢化率は上昇している様子が伺えます。この背景からも、高齢化による労働不足が生じると推測できます。
労働力不足は経済成長の鈍化を招き、不動産への需要も低下する要因となり得ます。需要が低下すれば不動産価格も下落する可能性があり、業界全体への影響は大きいでしょう。
空き家の増加
人口減少と高齢化が進むなかで、特に地方では空き家が増加しています。2025年問題によってこの現象はさらに加速し、全国で利用されない住宅が増える見込みです。
国土交通省によると2018年の空き家は349万戸ですが、2025年には420万戸まで増えることが予想されています(※)。
空き家が増えると不動産市場に供給過剰が生じ、不動産価格が下落する可能性が高まります。特に、都市部以外の地域では空き家の問題が深刻化し、不動産全体の価格にも影響を与える可能性があります。
※参考:空き家政策の現状と課題及び検討の方向性(P8)|国土交通省(住宅局)
社会保障費の増加
高齢化社会の進展に伴い、社会保障費の増加は避けられません。
社会保障費とは、年金や医療保険、介護保険、生活保護などに国が支出する費用のことです。特に、老齢年金や介護保険など高齢者向けの支出が大きな割合を占めています。
この増加に対応するため、政府は増税や福祉の削減を余儀なくされる可能性があります。その結果、個人の可処分所得が減少し、不動産購入の余裕が減ることも考えられます。そのため、不動産価格が下落する可能性が高まるでしょう。
税制が改正されたとき
税制改正が行われると不動産取引や所有に関わる負担割合も変化する場合があるため、市場に影響を与えることがあります。
特に、不動産取得税や固定資産税や住宅ローン控除などの優遇措置が変更されれば、所有者にとって負担が増し、不動産の需要が減少する可能性も少なくありません。
2025年には住宅ローン控除が引き続き実施されるため、住宅購入にかかる負担を軽減できるようになりました。住宅ローン控除が延長されない場合は市場の低迷につながるケースも考えられます。
不動産取引件数が減少すれば、価格が下がる可能性が高まるため、税制改正の動向には十分に注意する必要があります。
人口が顕著に減少したとき
人口が顕著に減少した場合も、日本の不動産価格が下落する要因となります。人口が減少すると住宅の需要が少なくなり、住宅市場全体の需要が縮小することが考えられるからです。
不動産の買い手が減少しますが、相続などによる不動産の売却件数が増えるため、不動産価格が下落する可能性があります。
日本の不動産価格推移を自分で調べる方法

不動産価格の推移を自分で把握することは、取引を成功させるために不可欠です。現代では、インターネットを活用すれば誰でも簡単に最新の不動産価格の情報を取得できるようになりました。
ここでは、不動産価格の推移を自分で調べる方法を紹介します。
- 不動産情報ライブラリ
- 不動産ポータルサイトの各サービス
不動産情報ライブラリ
不動産情報ライブラリとは、不動産関連のデータを一元的に集約し、地域の取引価格や地価公示、防災情報、学区情報などを簡単に確認できるツールです。
従来、データは別々の機関が提供していたため個別に調べる必要がありましたが、不動産情報ライブラリでは、これらを一括で地図上に表示できます。
例えば、ある地域の過去の地価推移を確認しながら、周辺の防災リスクや学校の位置なども同時に把握することが可能です。
したがって、物件選びの際に多角的な視点から適切な判断ができるようになります。
【あわせて読みたい】
▶︎【国土交通省】不動産情報ライブラリとは?特徴や使い方を徹底解説
不動産ポータルサイトの各サービス
不動産ポータルサイトは、現在売り出されている物件の情報が集約されたWebサイトです。 主に、物件の検索や価格動向の確認に役立ちます。
希望の広さ、間取り、築年数などの条件を指定して検索することで、売却を検討している物件と似た物件の売出価格を比較することが可能です。
また、各ポータルサイトにはそれぞれ独自の機能やサービスがあり、自分のニーズにあったサイトを選ぶことができます。ここでは代表的なサービスを紹介します。
ホームズの「プライスマップ」
ホームズのプライスマップは、地域ごとのマンションの価格を視覚的に表示する便利なツールです。このサービスでは地図上に物件の価格や坪単価が表示されるため、エリア全体の価格水準を簡単に把握できます。
また、プライスマップでは売却価格だけでなく、貸出賃料をシミュレーションできるAI査定ツールも付いているため、投資目的で物件を探している人も参考にすることが可能です。
ホームズの「不動産一括査定」
ホームズの不動産一括査定は、最大10社の不動産会社に同時に査定を依頼できるサービスです。不動産の価格査定は物件の売却を検討する際の重要なステップであり、複数の査定結果を比較することで、より正確な売却価格を知ることができます。
一括査定を利用することで、地域に詳しい不動産会社の意見を聞くことができ、査定価格の裏付けとなる根拠や市場動向についてのアドバイスも受けることが可能です。
物件の適正価格を知り、効果的な売却戦略を立てたい人は、ぜひ参考にしてください。
日本の不動産価格に関するよくある質問

ここでは、不動産価格に関するよくある質問を紹介します。
- 不動産価格指数ってなに?
- 不動産価格は今後下がるといえる?
- 2025年に不動産が大暴落するって本当?
不動産価格指数ってなに?
不動産価格指数とは、市場の価格動向を数値化した指標で、価格の変動を客観的に把握するためのデータです。
例えば、物件の売買が行われた実際の価格データをもとに、過去の取引価格や現在の市場動向を反映して算出されます。
この指標は、物件タイプごとの動向を比較する際に非常に役立ちます。具体的には、住宅地やマンション、一戸建てなどの不動産価格がどのように推移しているかを視覚的に理解することが可能です。
不動産価格指数を用いれば、過去のトレンドをもとに今後の価格変動の予測も立てやすく、投資や売買のタイミングを見極めるのに役立つ情報源となります。
不動産価格は今後下がるといえる?
結論として、不動産価格は今後下がる可能性があるものの、地域や物件の種類によって異なります。
日本全体で人口減少と高齢化が進んでいるため、全体的な傾向で見れば不動産価格が下がる場面も多いと考えられます。特に、地方都市では住む人が少なくなり空き家が増え、供給過多により価格が下がるリスクが高くなっています。
一方で、都市部では依然として需要が高く、不動産価格が大幅に下がるとは限りません。特に人気のエリアにあるタワマンなどの物件は価格が下がりづらいと言えます。
とはいえ、政府の経済政策や金融市場の動向も、不動産価格に影響を与える要因となります。最終的に、不動産価格の変動は地域ごとの需要と供給、そして経済全体の動きによって決まるため、総合的な判断が必要です。
2025年に不動産が大暴落するって本当?
2025年に全国一律で日本の不動産が大暴落するというのは、現時点(2025年7月)においては「考えにくい」というのが一般的な見方です。
日本全体の人口は減少していますが、東京都をはじめとする大都市圏への人口集中は続いています。また、海外の都市と比べると不動産価格が割安であるため、海外投資家からの注目も集まっています。そのため、都心部の不動産は引き続き高値で推移する可能性が高いでしょう。
しかし、地域や物件によっては、価格下落や厳しい状況に直面する可能性は十分にあるため、都市部と地方、人気エリアと不人気エリアの間で価格の二極化がより一層進む可能性があります。
日本の不動産価格の推移から今後の動向を探ろう

不動産価格の推移を分析することで、今後の市場動向を予測する手がかりが得られます。過去数年の価格上昇は、都心部や人気エリアへの需要が高まっていることが大きな要因です。
しかし、金融政策や経済環境の変化により、今後は価格が緩やかに下落する可能性も考えられます。特に、住宅ローン金利の変動が購入検討者に与える影響は大きく、不動産市場全体の動きを注視しながら慎重に判断することが重要です。
不動産売却を検討している人には、ホームズの不動産一括査定をぜひご利用ください。複数の不動産会社から査定を受けることで、より適正価格での売却が期待でき、スムーズな取引を実現する手助けとなります。
記事執筆・監修
矢口 美加子(やぐち みかこ)
宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。