高齢者の家庭内事故は交通事故の約2倍
浴室は転倒や溺水のリスクが高く、高齢者の浴槽内での溺水事故死は年間約4,750人に上ります。床の段差や滑りやすさ、浴槽の深さを改善し、ヒートショック対策を行うことで、本人と介助者双方の身体的・精神的負担を大幅に軽減できます。
詳しくは、「ユニットバス(浴室)をバリアフリー化すべき理由」をご覧ください。
手すり設置は2万円台から・全体交換は80万〜150万円が目安
浴室のバリアフリー化は、手すりの取り付け(2万〜3万円)や出入り口の段差解消(5万〜10万円)といった部分的な改修から、ユニットバス全体の交換(80万〜150万円)まで様々です。利用者の要介護度や身体状態に合わせて最適な工事範囲を選びましょう。
詳しくは、「浴室のバリアフリー化にかかる費用相場」をご覧ください。
介護保険で最大18万円支給・事前申請が必須
要支援・要介護認定を受けている場合、介護保険から最大18万円(工事費用20万円の7〜9割)が支給されます。さらに国の省エネリフォーム補助金や自治体の助成金も併用可能です。必ず「工事着工前」にケアマネジャー等を通じて事前申請を行いましょう。
詳しくは、「浴室のバリアフリー化で使える3つの補助金・減税制度」をご覧ください。

浴室をバリアフリー化する際の工事内容や費用相場、注意点を徹底解説!
扉や段差解消、手すり設置からユニットバス全体の交換費用まで詳しく紹介します。最大20万円支給される介護保険や国の補助金制度を活用して、安全で快適なお風呂リフォームを実現しましょう。
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浴室をバリアフリー化する際は、国や自治体の補助金を使うことで、実費負担額をかなり減らすことができます。浴槽や床、出入り口の段差や扉をバリアフリー化すれば、介護される側もする側も毎日の入浴が楽になりますよ。

 

今回は、浴室をバリアフリー化するための工事内容や、費用相場などを解説します。

 

高齢者の方や障がいを持つ方など、介護を必要とする人にとって、一般的なユニットバスには転倒や溺水のリスクが多数潜んでいます。

 

厚生労働省の人口動態統計(令和3年)によると、高齢者の浴槽内での不慮の溺水による死者は年間4,750人ほどに上り、これは交通事故による死亡者数の約2倍に相当します。このような家庭内事故を防ぐためにも、浴室の安全対策は非常に重要です。

 

一般的な浴室には、以下のような危険なポイントがあります。

 

  • 床から浴槽までの高さがある(またぐ際に転倒する危険)
  • 浴槽が深すぎる(溺れる危険)
  • タイル張りの床(濡れると滑りやすく転倒する危険)
  • 出入り口に数cmの段差がある(つまずいてケガをする危険)

 

しかし、浴室をバリアフリー化すれば、利用者本人はもちろん、介助する家族にとっても浴室内を安全性の高い空間にできます。お風呂は毎日利用する場所なので、少しでもお互いの心理的・身体的負担を取り除くために、早めのバリアフリー化を検討しましょう。

 

一口に「浴室をバリアフリー化する」といっても、どのような工事が必要かは利用者の身体状況によって異なります。ここでは、「一般的なバリアフリー改修」と「身体状況に応じたバリアフリー改修」の2段階に分けて解説します。

 

自立して入浴できる高齢者から、少しの介助が必要な方まで、まずチェックしておきたい改修項目は以下の6つです。

 

・扉を引き戸か折り戸にする
古い浴室で使われがちな押し戸は、開閉時に力が必要でバランスを崩しやすく、万が一浴室内で人が倒れた際に外から開けられなくなる危険があります。車いすや介助者が一緒に出入りすることも想定し、扉は開口部を広く取れる「引き戸」か「折り戸」に変更すると安全です。

 

・出入り口の段差をフラットにする
浴室の出入り口には水漏れを防ぐための数cmの段差がありますが、高齢者にとってはつまずきやすい危険ポイントです。出入り口をフラットにし、段差をなくすことで、すり足での移動や車いすでの出入りがスムーズになります。水漏れ対策として、排水溝を設けるグレーチングを設置するのが一般的です。

 

・出入りしやすい浴槽にする
またぎやすい浴槽の高さは、洗い場の床から約40cm程度が目安とされています。これ以上高いと転倒リスクが高まり、介助者も腰を痛めやすくなります。浴槽の3割ほどを床に埋め込んだ「半埋め込み式」や、一度腰掛けてから浴槽に入れる縁の広いタイプを選ぶと、転倒事故を大幅に防げます。

 

・滑りにくい床にする
昔ながらのタイル床は水に濡れると滑りやすいため、クッション性が高く滑りにくい樹脂製などの床材への張り替えがマストです。万が一転倒しても衝撃を吸収してくれるため、ケガの度合いを軽減できます。同時に冷気を遮断する素材を選べば、足元の冷えも防げます。

 

・手すりを設置する
浴室内での移動や立ち座りの補助として、手すりの設置は欠かせません。利用者の身長や動線に合わせて、以下の場所に設置します。

 

  • 出入り口付近(縦型):浴室に出入りする際の転倒防止
  • 洗い場から浴槽への動線(横型・L字型):移動や立ち座りの補助
  • 浴槽の中や縁:浴槽内で姿勢を維持し、溺れるのを防ぐため

 

・ヒートショック対策をする
冬場など、脱衣所と浴室の激しい温度差によって血圧が乱高下する「ヒートショック」は、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす原因になります。浴室暖房乾燥機を設置したり、脱衣所にも専用の暖房器具を設けたりして、空間ごとの温度差をなくす対策が重要です。

 

利用者の要介護度が高い場合や、車いすを日常的に利用している場合は、さらに以下のような設備があると便利です。

 

・シャワーキャリーの設置
シャワーキャリーとは、入浴用の車いすのことです。脱衣所でシャワーキャリーに座り、そのまま浴室へ入って体を洗えるため、移動にかかる本人と介助者の負担を劇的に減らせます。リクライニング機能付きなど、身体の状態に合わせて選ぶことができます。

 

・バスリフトの設置
バスリフトは、浴槽内に設置して電動で昇降するシートです。足腰が弱く、浴槽の底までしゃがむことや立ち上がることが困難な方でも、シートに座ったまま安全に湯船に浸かれます。大がかりな工事不要で後付けできるタイプも多く市販されています。

 

・非常用ブザーの設置
万が一、入浴中に気分が悪くなった際や転倒した際に、外にいる家族へ知らせるためのブザーです。力を入れなくても鳴らせる押しボタン式や、床に倒れ込んでも引っ張れるひも付きタイプを選び、洗い場と浴槽付近の2箇所に設置すると安心です。

 

浴室のバリアフリー化には、既存の浴室を活かして部分的に改修する方法と、ユニットバス全体をバリアフリー仕様のものに丸ごと交換する方法があります。それぞれの費用相場は以下の通りです。

 

部分的なリフォームの内容費用相場
手すりの設置(1箇所)2万~3万円
出入り口の段差解消(フラット化)5万~10万円
扉を引き戸か折り戸に変更12万~19万円
滑りにくい床への張り替え10万~20万円
浴室暖房乾燥機の設置(ヒートショック対策)10万~20万円
出入りしやすい浴槽への交換30万~50万円

 

もし在来工法(タイル張り)の古い浴室からバリアフリー対応の最新ユニットバスへ丸ごと入れ替える場合、全体費用の目安は80万~150万円程度となります。手すりの追加や床材の変更などを複数組み合わせて行うと部分改修でも割高になることがあるため、築年数が古い場合は全体交換も視野に入れてリフォーム会社に見積もりを依頼するとよいでしょう。

 

納得のいくリフォームのために

バリアフリー工事は、実績のある施工会社に依頼することが成功の秘訣です。複数社から見積もりを取り、提案内容や費用を比較してみましょう。

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浴室のバリアフリーリフォームにはまとまった費用がかかりますが、国や自治体の制度を正しく活用すれば、実質的な負担を大幅に減らすことができます。主な3つの制度と、失敗しないための申請手順を解説します。

 

要支援1・2、または要介護1~5の認定を受けている人が居住する住宅でバリアフリー改修を行う場合、介護保険から補助金が支給されます。支給限度基準額は生涯で20万円までとなっており、所得に応じて費用の7割から9割(最大18万円)が支給されます。

 

浴室においては、手すりの設置、段差の解消、滑りにくい床材への変更、扉の取り替えなどが対象となります。20万円の枠内であれば数回に分けて使うこともでき、引っ越しをした場合や、要介護度が3段階以上上がった場合には、再度20万円の枠が設定される特例もあります。

 

国が実施している住宅支援事業(「子育てエコホーム支援事業」など)でも、バリアフリー改修に対する補助金が用意されている場合があります。これらの事業は名称や内容が年度ごとに変わることがありますが、手すりの設置や段差解消、高断熱浴槽への交換といった工事に対して、数千円から数万円単位で補助額が設定されるのが一般的です。

 

利用には「国の事業に登録している事業者(リフォーム会社)に工事を依頼する」などの条件があるため、事前の確認が必須です。

 

市区町村などの各自治体でも、介護保険とは別に独自の助成金制度を設けているケースが多くあります。対象工事や支給上限額は自治体によって異なるため、お住まいの自治体のホームページや窓口で確認しましょう。

 

また、一定の要件を満たすバリアフリー改修を行った場合、確定申告を行うことで所得税の控除が受けられる「バリアフリーリフォーム減税」や、固定資産税の減額措置といった税制優遇制度も活用できます。

 

【重要】補助金を活用するための行動手順
補助金を受け取るために最も注意すべき点は、必ず「工事を着工する前」に申請を行うことです。事後報告では補助金が一切受け取れません。以下の手順で進めましょう。

 

  1. 担当のケアマネジャー、または地域包括支援センターに相談し、住宅改修が必要な理由書を作成してもらう
  2. リフォーム会社に現地調査と見積もり作成を依頼する
  3. 見積書や図面、改修前の写真を添えて、自治体の窓口へ「事前申請」を行う
  4. 自治体からの「承認」が下りてから、工事を着工する

 

安全な浴室を実現するためのバリアフリー化ですが、施工にあたっていくつか気をつけるべき制約や注意点があります。直前に慌てないよう、あらかじめ把握しておきましょう。

 

ユニットバスは工場で規格化されたパネルを組み立てて造られているため、浴槽の形を自由にオーダーしたり、壁の好きな場所に手すりを付けたりすることはできません。壁の裏に補強用の下地が入っていない場所に無理に手すりを付けると、体重をかけた際に壁ごと外れてしまう恐れがあります。

 

メーカーが指定する場所以外に穴を開ける工事を行うと、水漏れなどの不具合が生じてもメーカー保証の対象外となってしまうため、必ず専門の施工会社を通じて安全な設置位置を検討しましょう。

 

手すりを付けるだけといった簡単な工事であれば半日程度で終わりますが、床材の張り替えや浴槽の入れ替え、ユニットバス全体の交換となると、工事期間は2日〜1週間程度かかります。

 

工事期間中は当然お風呂が使えないため、あらかじめ近隣の銭湯や日帰り温泉の場所を調べておくか、要介護者の場合はケアマネジャーと相談して、デイサービスでの入浴やショートステイの利用などを計画しておくと安心です。

 

マンションにお住まいの場合、専有部分であってもリフォームを行う際には管理規約による細かなルールが定められています。工事の騒音や、配管の都合などで希望する段差解消が物理的にできないケースもあります。

 

着工の1ヶ月前〜数週間前までに、管理組合へ「工事申請書」を提出し、承認を得なければならないマンションがほとんどです。早めに管理規約を確認し、必要な手続きを進めましょう。

 

将来の安心を家探しから考えるなら

リフォームだけでなく、はじめからバリアフリー設計が施された住宅やマンションを検討するのも一つの手です。将来を見据えた住まい探しに役立つカタログや物件情報もチェックしてみてください。

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Q.1 賃貸住宅でも浴室のバリアフリー化はできますか?

A.1 賃貸住宅でも可能ですが、必ず事前に貸主(大家さんや管理会社)の承諾を得る必要があります。勝手に手すりなどを付けると退去時に多額の原状回復費用を請求される恐れがあります。介護保険の住宅改修制度を利用する場合も、貸主の承諾書が必須となります。

 

Q.2 バリアフリーリフォームの費用をできるだけ安く抑えるコツは?

A.2 費用を抑えるには、複数のリフォーム会社から相見積もりを取って比較することが大切です。また、介護保険の住宅改修制度や各自治体の補助金、バリアフリーリフォーム減税を漏れなく活用することで、実質的な負担を大幅に軽減できます。必ず着工前に制度の対象になるか専門家に相談しましょう。

 

Q.3 浴室暖房乾燥機を後付けすることは可能ですか?

A.3 多くの場合、後付けは可能です。既存の換気扇の開口部を利用して設置するタイプや、壁掛け式の暖房機など、浴室の状況に合わせた製品があります。ただし、電気の専用配線工事が必要になるため、分電盤(ブレーカー)の空き状況などを含め、施工会社に現地調査を依頼してください。

更新日: / 公開日:2020.12.14