近年、コスト面に優れ、自分のライフスタイルや趣味に合わせて住まいを作り変えられる「中古物件リノベーション」に注目が集まっています。新築住宅の価格が高騰する中、好立地の中古マンションや一戸建てをお手頃な価格で購入し、内装や設備を新築同様に一新するスタイルは、特に20代〜40代の若い世代に人気です。
一方で、リノベーションには物件ごとの見えない制約や、解体してからわかる追加工事の発生など、事前の知識がないと「想定外の費用がかかってしまった」「希望通りの間取りにならなかった」と後悔してしまうケースもあります。
この記事では、中古物件を購入してリノベーションする魅力やメリットから、物件種別ごとの注意点、リアルな費用相場、補助金・減税制度まで詳しく解説します。失敗しないための物件選びのポイントを押さえ、理想の住まいづくりを成功させましょう。
中古物件を購入してリノベーションする魅力とメリット
中古物件を購入してリノベーションする最大の魅力は、新築よりも総予算を抑えつつ、立地やデザインにおいて自分の希望を叶えやすい点にあります。
新築住宅の場合、エリアや間取りの選択肢があらかじめ限られていることが多く、予算内で理想をすべて満たす物件を見つけるのは簡単ではありません。しかし、中古物件に目を向ければ、選択肢は一気に広がります。ここでは、具体的な3つのメリットを解説します。

リノベーションの希望が増えている
メリット1:新築よりも費用を抑えやすい
中古物件は、築年数が経過しているぶん新築よりも物件価格が安く設定されています。そのため、物件購入費とリノベーション費用の合計額で見ても、周辺の新築物件を購入するより大幅にコストを抑えられるケースが多いです。
浮いた予算を好みのキッチン設備や無垢材のフローリングなど、内装のこだわりに充てることもできます。「新築には手が届かないけれど、綺麗で設備の整った家に住みたい」という方にとって、コストパフォーマンスの高さは大きな魅力です。
メリット2:希望のエリア・好立地で見つけやすい
駅からの距離が近いエリアや、閑静な人気の住宅街など、条件のよい立地にはすでに多くの建物が建っています。そのため、好立地で新築物件を探そうとしても、そもそも物件が出てこないか、出てきても非常に高額になりがちです。
一方で中古物件であれば、好立地に建てられた良質なマンションや一戸建てが豊富に流通しています。通勤や通学の利便性、周辺環境のよさを重視するなら、中古市場を含めて探すことで、理想のエリアに住める確率がぐっと高まります。
メリット3:自分のライフスタイルに合わせた自由な空間づくり
リノベーションの大きな醍醐味は、ライフスタイルに合わせて間取りやデザインを自由にカスタマイズできることです。
株式会社LIFULLが実施した調査(2021年公開)(※)によると、リノベーションで重視したポイントのトップは「デザイン性(45.8%)」、次いで「間取りや生活家事動線(30.7%)」となっています。単に古くなった設備を新しくするだけでなく、趣味の道具を飾る土間を設けたり、テレワーク用のワークスペースを作ったりと、自分らしい空間づくりが主な動機になっていることがわかります。
※LIFULL『マンションのリノベーション事情』(2021年公開)
https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01408/
【データで見る】中古物件+リノベーションの費用相場と最新トレンド
中古物件を購入して本格的なリノベーションを行う場合、20〜40代の平均費用は約660万円にのぼり、資材高騰の影響などで上昇傾向にあります。
株式会社LIFULLの調査(2024年公開)(※)によると、2024年度における20~40代の平均リフォーム・リノベーション費用は662.6万円に達しており、2020年度(464.9万円)と比較して約42.5%も上昇しています。新築価格の高騰により「中古購入+本格リノベーション」を選ぶ若い世代が増えていることや、建築資材や人件費の高騰が背景にあります。
物件の規模や工事内容によって費用は大きく変動しますが、「想像以上にコストが膨らんでしまった」という事態を避けるためにも、以下の相場観を把握しておきましょう。
| 工事の規模・内容 | 費用相場の目安 | 特徴 |
| 部分リフォーム | 約100万〜300万円 | 水回り(キッチン、浴室など)の交換や、壁紙・クロスの張り替えなど |
| フルリノベーション | 約500万〜1,000万円以上 | 間取りの変更、配管の更新、内装の全面刷新など、住まい全体を作り変える |
| スケルトンリノベーション | 約1,000万〜2,000万円以上 | 建物の構造躯体(骨組み)だけを残して解体し、間取りから断熱材までゼロから作り直す |
物件探しを始める前に、「物件の購入費用+リノベーション費用+諸費用」の総予算をしっかり試算し、無理のない資金計画を立てることが何よりも重要です。
※LIFULL『若い世代のリフォーム費用急増から見る、「中古+本格リノベ」時代の到来』(2024年公開)
https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01522/
リフォーム・リノベーションについて相談する
【マンション・一戸建て別】リノベーションの注意点とデメリット
リノベーションはどのような物件でも自由にできるわけではありません。物件種別ごとに管理規約や構造上の制約があり、想定通りの工事ができない場合があることが大きな注意点です。
中古マンションの場合:管理規約や構造(壁式・ラーメン)の制約
マンションには、個人が所有する「専有部分」と、全員で共有する「共用部分(バルコニー、玄関ドアの外側、窓ガラスなど)」があります。リノベーションで変更できるのは原則として専有部分のみです。
さらに、専有部分であってもマンション独自の「管理規約」によって制限を受けることが多々あります。たとえば、「下の階への騒音防止のため、床材はフローリング不可(カーペットのみ)」と定められていたり、配管の都合でキッチンやトイレの水回りの移動が禁止されていたりするケースです。
また、建物の構造も重要です。柱と梁で支える「ラーメン構造」であれば間取り変更の自由度が高いですが、壁全体で建物を支える「壁式構造」の場合、室内の壁を壊すことができず、思い通りの間取りを作れないことがあります。
中古一戸建ての場合:耐震基準と見えない劣化(シロアリ・断熱など)
中古一戸建てのリノベーションで最も注意すべきは、建物の「耐震性」と「目に見えない部分の劣化」です。
1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた物件は「旧耐震基準」で建てられており、現在の「新耐震基準」を満たしていない可能性があります。旧耐震基準の物件を購入する場合は、耐震診断を実施し、必要に応じてリノベーション時に耐震補強工事を行うための予算を見込んでおく必要があります。
また、一戸建てはマンションに比べて外気の影響を受けやすいため、断熱材の追加工事が必要になることも多いです。解体してみて初めてシロアリ被害や雨漏りによる木材の腐食が見つかるケースもあり、修繕に想定外のコストがかかるリスクがあります。
共通の注意点:想定外の追加工事・費用が発生するリスク
マンション・一戸建てに共通する注意点は、解体後に隠れていた不具合が発覚し、追加工事と費用が発生するリスクがあることです。とくに築年数が古い物件では、配管の劣化や断熱材の不足など、表面からは見えない問題が隠れていることが少なくありません。予算をギリギリで組むのではなく、総予算の1割程度を「予備費」として確保しておくことが大切です。
リノベーションで後悔しない!中古物件選びのポイント

リノベーションを前提に中古物件を選ぶなら、物件探しと施工会社選びを別々に進めないこと、そして購入前に建物の状態を専門家にチェックしてもらうことが成功のポイントです。
物件探しとリノベーション業者は同時に探す(ワンストップのすすめ)
「不動産会社で物件を購入した後に、別のリノベーション会社を探す」という進め方は、実はトラブルの原因になりがちです。いざ工事を依頼しようとしたら、「この物件の構造では、希望の間取りに変更できません」「配管の移動ができない規約になっています」と後から判明し、後悔するケースがあるからです。
物件探しから設計、施工、さらにはローン相談までをひとつの窓口で対応してくれる「ワンストップリノベーション」のサービスを利用するか、物件探しの初期段階からリノベーション会社の担当者に同行してもらうことをおすすめします。専門家の視点で「希望の工事ができる物件か」を見極めてもらうことができます。
購入前にホームインスペクション(住宅診断)を検討する
購入を検討している物件の状態を正しく把握するために、「ホームインスペクション(住宅診断)」の活用も有効です。建築士などの専門家が、目視や計測によって建物の劣化状況や欠陥の有無を客観的に調査してくれます。
LIFULL HOME’Sの取材記事(2022年公開)(※)では、築40年の家を購入する際に「既存住宅状況調査(ホームインスペクション)」を実施し、建物の健全性を確認したうえでリノベーションを行った実例が紹介されています。この事例では、調査によって建物の良さを確認できたため、古い家の趣である立派な梁や吹き抜けを活かしながら、現代のライフスタイルに合わせた見事な改修を実現しています。
専門家の診断を受けることで、購入後に想定外の修繕費が発生するリスクを減らし、残すべき建物の価値を正しく判断することができます。
※LIFULL『東海初!リノベーション・オブ・ザ・イヤー受賞 築40年の家に宿る思いを受け継いだ”他人間相続”の物語』(2022年公開)
https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01457/
中古物件リノベーションで活用できる補助金・減税制度
国は空き家対策や環境配慮の観点から、中古住宅の流通と省エネリノベーションを積極的に後押ししています。要件を満たせば補助金や減税制度を活用でき、経済的な負担を大きく軽減できます。
住宅ローン控除(減税)の中古要件
住宅ローンを利用して中古物件を購入し、リノベーションを行う場合、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が利用できる可能性があります。これは、毎年末の住宅ローン残高の一定割合が所得税や住民税から控除される強力な減税制度です。
以前は「築後〇年以内」といった厳しい要件がありましたが、税制改正により要件が緩和されました。現在は「昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅(新耐震基準に適合しているとみなされる住宅)」であれば、広く適用対象となります。さらに、中古購入とリノベーション費用をまとめて借り入れられる「リフォーム一体型ローン」を提供している金融機関も増えています。
省エネ改修に関する補助金制度
国が推進する「住宅省エネキャンペーン」などの補助金制度も要チェックです。高い断熱性能を持つ窓への改修(先進的窓リノベ事業)や、エコキュートなどの高効率給湯器の導入、子育て世帯や若者夫婦世帯が行う一定の省エネリフォーム(子育てエコホーム支援事業)に対して、数十万円規模の補助金が支給される場合があります。
補助金制度は年度ごとに予算枠や名称、要件が頻繁に変更されるため、検討のタイミングで最新情報を確認し、補助金申請の実績が豊富なリノベーション会社に相談することが重要です。
中古物件リノベーションの進め方・流れ
実際に中古物件を探してリノベーションを完了するまでは、一般的に半年から1年程度の期間がかかります。焦らず着実に進めるための基本的な流れは以下の通りです。
| ステップ | 行うことの概要 | 期間の目安 |
| 1. 情報収集と資金計画 | どのような暮らしがしたいかイメージを固め、総予算(購入費+工事費)を算出する。 | 約2週間〜1ヶ月 |
| 2. パートナー探し | ワンストップ対応の会社や、信頼できる不動産会社・リノベーション会社を探す。 | 約2週間〜1ヶ月 |
| 3. 物件内見とプランの検討 | 専門家と一緒に物件を内見し、希望の工事ができるか確認しながら物件を絞り込む。 | 約1〜3ヶ月 |
| 4. 購入申し込み・ローン事前審査 | 物件が決まったら買付証明書を出し、一体型ローンなどの事前審査を受ける。 | 1〜2週間 |
| 5. 売買契約・設計の確定 | 物件の売買契約を結び、リノベーションの最終的な設計・見積もりを確定する。 | 約1ヶ月 |
| 6. 物件の引き渡し・着工 | ローンを実行して物件の引き渡しを受け、その後解体・リノベーション工事がスタートする。 | 工事は約2〜4ヶ月 |
| 7. 完了検査・入居 | 工事完了後に検査を行い、問題がなければ引越しをして新しい生活をスタートする。 | – |
物件選びのタイミングで設計担当者に同行してもらうことで、「この壁は壊せない」「水回りの配管に制限がある」といった専門的なアドバイスをその場で受けられるため、後戻りを防ぐことができます。
まとめ

中古物件を購入してリノベーションする手法は、新築よりも立地の選択肢が豊富で、自分の理想の空間を予算内に収めやすいという大きな魅力があります。家づくりそのものを楽しみたい方にとって、最適な選択肢のひとつと言えるでしょう。
一方で、マンションの管理規約による制限や、一戸建ての耐震性、目に見えない配管の劣化など、素人では判断が難しい注意点も多数存在します。後悔しないためには、物件探しとリノベーション設計を切り離さず、専門家のサポートを受けながら同時に進めることが成功の秘訣です。
理想の住まいづくりに向けて、まずは豊富な中古物件情報から希望に合うエリアや物件を探してみましょう。また、予算や進め方に不安がある場合は、専門家に無料で相談できる窓口の活用も検討してみてください。
リノベーション会社を探すよくある質問
Q.1 中古物件リノベーションの平均費用はどれくらいですか?
A.1 20代〜40代の平均リフォーム・リノベーション費用は約660万円です。部分リフォームなら約100万〜300万円、フルリノベーションなら約500万〜1,000万円以上、構造躯体のみ残すスケルトンリノベーションなら約1,000万〜2,000万円以上が目安となります。
Q.2 中古マンションのリノベーションで注意すべきことは何ですか?
A.2 マンション独自の「管理規約」による制限(床材の指定や水回り移動不可など)と、建物の構造(壁全体で支える壁式構造は間取り変更が困難)に注意が必要です。リノベーションできるのは専有部分のみで、バルコニーや窓ガラスなどの共用部は変更できません。
Q.3 中古一戸建てのリノベーションで気をつけるべきポイントは?
A.3 1981年5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の物件は、現在の新耐震基準を満たしていない可能性があり、耐震診断や補強工事の予算を見込んでおく必要があります。また、解体して初めてシロアリ被害や腐食が見つかるなど、追加費用が発生するリスクもあります。
Q.4 中古物件探しで失敗しないコツはありますか?
A.4 物件探しと施工会社選びを別々に進めないことが最大のコツです。物件探しの段階からリノベーション会社に相談する「ワンストップリノベーション」の利用や、購入前に専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を受けることをおすすめします。
Q.5 中古物件のリノベーションで補助金や減税は利用できますか?
A.5 はい、利用可能です。一定の要件(昭和57年1月1日以降建築など)を満たせば「住宅ローン控除」が適用され、リフォーム一体型ローンも利用できます。また、断熱窓の改修や高効率給湯器の導入など、国が推進する省エネリノベーション向けの補助金制度も活用できる場合があります。
更新日: / 公開日:2014.04.14










