賃貸物件に住み替えた人の平均居住期間は?

前回の記事「高齢者の住む住宅のバリアフリー化は進んでいるのか?」では、2015年3月に国土交通省から発表された「平成26年度住宅市場動向調査」より、高齢者の住宅のバリアフリー化の対応状況について紹介した。
今回は、年始から3月にかけて入学や転勤などによる住み替えが増え、1年のうち最も盛況な時期を迎える賃貸物件について取り上げたい。

賃貸物件に住み替えた人の住み替え前の住宅は、「民間賃貸住宅」が50.1%と最も多く、次いで「親・兄弟姉妹など親族の住宅」が26.3%だった。どれくらいの期間居住してからの住み替えかというと、平均居住期間は11.3 年となっている。
10年超と居住期間としては長く感じるが、住宅の種類別にみると、「従前も賃貸住宅に居住していた世帯」は平均6.6 年、「従前親族の住宅に居住していた世帯」は平均19.5 年だった。
平均期間でみると長いものの、入学や入社などの理由により親もとから引越した人の19年が平均を引き上げており、賃貸から賃貸へ住み替えた人の居住期間は平均6年ほどであることが分かる。

従前も賃貸住宅に居住していた人は住み替えを経験しているので知っていると思うが、賃貸物件の初期費用は敷金、礼金だけではなく保険料や仲介手数料など様々な費用が必要となる場合がある。
しかし、物件情報に具体的な初期費用の合計金額が掲載されているのはあまり見かけない。ある程度、希望する月額賃料からどれくらいの初期費用が発生するのかの目安を計算しておく必要がある。せっかく気に入った物件も初期費用が意外に高額になってしまって契約できなくなった…とならないよう、賃貸の初期費用の平均を参考にしてほしい。

敷金/保証金、礼金の平均は?

まずは敷金礼金について見てみよう。
敷金/保証金の有無は、「あり」と回答した人が首都圏で76.1%、中京圏で57.8%、近畿圏で54.8%となった。

「あり」と回答した人の支払った敷金/保証金は首都圏で賃料の「1か月ちょうど」が50.9%、「2か月ちょうど」が29.8%と、おおむね1~2か月分程度が目安となっているようである。
中京圏は「1か月ちょうど」が28.8%、「2か月ちょうど」が42.3%、「3か月ちょうど」が19.2%と、2か月の場合が最も多かった。
近畿圏は「1か月ちょうど」が28.8%、「2か月ちょうど」が27.5%、「3か月ちょうど」が27.5%と、1~3か月の間で幅があるようだ。最大で賃料の3か月分はかかると認識しておいた方がよいだろう。

礼金や敷金などの慣習が地方によって異なることもあり、このようにエリアによってバラつきが出てくる。関東の場合は契約時に敷金と礼金を支払い、退去の際に敷金から修繕やクリーニングにかかった費用を差し引いた金額が返金される。関西は契約時に保証金を支払い、退去の際は保証金から修繕費用に加えて、敷引きが差し引かれる。敷引きは契約時に保証金から差し引かれるお金で、契約時に決まっている敷引きの金額は返金されない。初期費用について慣習の異なるエリアへ住み替えをする人は、物件情報に記載されている項目名の違いとその金額についても十分把握する必要がある。

なお、首都圏で礼金が契約時に発生したと回答した人は53.3%で、かかった費用は「1か月ちょうど」と答えた人が83.8%と最も多かった。約半数の人が礼金がかかったと回答しているが、4年前の67.4%と比較し割合が年々減少傾向にある。(下グラフ参照)
礼金は物件の大家に対して「お礼」として支払ったことが慣習として定着したものだ。退去の際も返金されないので、礼金がかからない物件を選ぶ方がユーザーにとってメリットがある。賃貸物件の供給数が増えたことや空き室が増え、礼金0物件が増えてきているので、初期費用を極力減らしたい人は礼金がかからない物件をまずは探してみるといいだろう。

国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成<br>
首都圏礼金ありと回答した人の割合国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成
首都圏礼金ありと回答した人の割合

他にもかかる賃貸物件の初期費用

首都圏での入居にかかる費用は敷金が賃料の1~2か月分、礼金が1か月分かかった人の割合が多かった。だが敷金、礼金以外にも入居の際に必要な費用があるので把握をしておこう。

□仲介手数料
契約する不動産会社の取引態様が「仲介」だった場合に不動産会社に支払う費用。貸主、代理の場合は仲介手数料が不要になる。仲介手数料の上限金額は宅建業法により最高で賃料の1か月分までと決まっているので、最大で賃料の1か月分と消費税を加えた金額の支払が発生する。この借り主の負担金額の割合を、貸し主から100%報酬を受け取り、借り主からは0%にする仲介手数料0円物件も最近増えてきている。

□前家賃
契約時に入居月にかかる賃料や共益費、管理費を事前に支払うことが求められる。月の途中の入居の場合、入居日から月末までの日割り家賃も必要になる。引き落としの準備が出来る期間までの2か月分程度を前払いするケースもある。

□住宅保険料
賃貸物件は住宅保険への加入が義務づけられているケースがほとんど。保険の代理店にもなっている不動産会社に指定した保険に加入するよう勧められたことがある人が多いのではないだろうか。だが勧められた保険ではなく、自身で探して契約することもできる。おおむね2年契約で1~2万円程度の保険が多いが、1か月ごとや1年契約のものもある。

□家賃保証会社の保証料
賃貸契約の際には連帯保証人が必要となるが、家賃保証を利用することで連帯保証人をたてなくても入居が可能な物件がある。場合によっては、親が高齢で年金生活だったりすると、別途家賃保証会社との契約が必要となることもある。
利用には初回保証料として家賃の30%~100%かかる。また、1年もしくは2年ごとに更新料が発生する。家賃保証については、不動産会社が提携している会社との契約となり、基本的には借り主が保証会社を選ぶことはできない。

それ以外にもよく賃貸物件の広告で見かけるのが、鍵交換費用だ。1~2万円から、オートロック付きの物件などは3万円ほどかかることもある。借り主が負担するものと思っている人も多いかもしれないが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(平成23年8月再改定版)には下記のように記載されている。

"鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人(貸主)の負担とすることが妥当と考えられる。"

ただし、あくまでガイドラインであり法的強制力を持っていない。そのため、契約書に鍵の取り換え費用が賃借人負担であるという記載があり、それを受諾すれば費用を支払わなければいけなくなる。

敷金が1~2か月分、礼金は0円からかかる場合は1~2か月、加えて仲介手数料1か月分、前家賃1~2か月分となると、おおよそ賃料の6か月分は準備が必要となる。加えて引越し費用や家具の買い換えが発生すればその費用も上乗せになる。

初期費用を自身が納得して契約し、後から思ったより費用がかかってしまった…ということにならないよう、初期費用の見積りを不動産会社に依頼したり、不明な費用があればしっかりと契約前に確認するようにしよう。

調査概要

調査実施:国土交通省
調査対象:平成25年4月~平成26年3月に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、訪問留め置き調査により実施

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2016年 01月26日 11時28分