「超」低金利の時代、新たに貸し出される住宅ローンの傾向とは?

住宅ローンを利用する人にとって重要な要素の一つである金利。変動金利型と固定金利型で悩む人も多いのではないだろうか。
2016年2月、日本銀行によるマイナス金利政策が導入され、全期間固定型の代表格でもある「フラット35」の金利は、同年8月に0.90%(※返済期間21年~35年の場合)と過去最低水準を記録。また、変動金利についてもメガバンクを中心に0.5~0.6%台で推移するなど、依然として低金利の状態が続いている。
こうした中、新たに貸し出されている住宅ローンの金利タイプや貸出期間にはどのような動きが見られるのだろうか。2017年12月19日に住宅金融支援機構が公表した『2017年度民間住宅ローンの貸出動向調査』から見て行きたい。
※なお、本調査では、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携する全期間固定型ローン「フラット35」が含まれていない点に留意したい。

マイナス金利政策導入後、平成28年7月には0.93%、同年8月には0.90%と1.0%を割る月も現れた<BR />参照:住宅金融支援機構『民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)』を元に作成マイナス金利政策導入後、平成28年7月には0.93%、同年8月には0.90%と1.0%を割る月も現れた
参照:住宅金融支援機構『民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)』を元に作成

2016年度の新規貸出は変動金利型が減少。反対に増えたのは?

民間の住宅ローンを取り扱う金融機関が、2016年度に新たに貸し出した(借り換え含む)民間住宅ローンの額の構成比を見てみると、「変動金利型」が49.9%と半数を占めているものの、2015年度から-11.9%と大幅に減少している。これは、住宅ローンを利用しようとする人が、金利はすでに最低水準に近く、"ここから大きく下がることはないだろう"という予測が増えたことが一因として考えられる。
反対に「全期間固定型」と「固定期間選択型」は増加しており、特に「固定期間選択型(10年固定)」は、2015年度の18.2%から28.8%と大幅に増加した。「固定期間選択型(10年固定)」は、10年間固定金利になり、変動リスクを抑えられる上に、同じ固定期間選択型(5年固定)と比べて金利の差が少ない商品が多い。今後10年の金利は大きく下がることはなく、同程度の金利が続くと考えた人が多いのだろうか。
なお、「全期間固定型」は、金利水準が3タイプのうち最も高めであるためか、前年比1.0%増と「固定期間選択型(10年固定)」と比べて増加率はそこまで高くない結果となっている。
ちなみに、金融機関が既に貸し出している総額を表わす「貸出残高」については、「変動金利型」が61.1%と半数以上を占めている。前年と比べて全ての金利タイプが1%以内の差となっており、大きな変化は見られない。

金利タイプ別の住宅ローン貸出実績<BR />参照:住宅金融支援機構『2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果』を元に作成金利タイプ別の住宅ローン貸出実績
参照:住宅金融支援機構『2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果』を元に作成

新規貸出額に占める借換割合

マイナス金利政策が開始された2016年当時、住宅ローンを少しでも低く借りようとする「借換」が急増し、審査が長期化しているという報道がされた。
実際に、2016年度の「新規貸出額に占める借換割合」の単純平均を見てみると、2015年度と比べて2.5%増に留まっており、直近の4年間で、おおよそ3分の1の世帯が借換をしているという傾向は大きく変わっていない。

新規貸出額に占める借換割合<BR />参照:住宅金融支援機構『2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果』を元に作成新規貸出額に占める借換割合
参照:住宅金融支援機構『2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果』を元に作成

住宅ローンを35年以上借りる人は1割程度?

では、住宅ローンを借りた人の、当初の貸出期間はどのくらいなのだろうか。約定貸出期間を見てみると、2016年度の平均は「25.6年」と2015年度の「25.4年」と比べてほぼ横ばいとなっており、最も割合の多い「21年以上25年以下」は、2015年度から27.5%と3.2%増加している。また、2015年度と比較して最も上昇率が高かったのは「31年以上35年以下」(13.1%)で、昨年から3.5%増加している。
実際に完済されるまでにかかった期間を見てみると、「10年以下」の割合が33.1%で最も多く、次いで「11年以上15年以下」が30.5%となっている。15年以下の割合は、2015年度から7.0%減少しており、「31年以上35年以下」は3.9%増加していることで、2016年度の新規貸出における完済債権の平均期間は、0.6年増の15.0年となっている。
とはいえ、20年未満で完済している割合は半数以上にのぼっており、一般的に"住宅ローンは35年"というイメージを持つ人も少なくないと思うが、実際のところ「35年」借りている人は全体の1割程度しかいないことがわかる。

全期間固定金利型、変動金利型、固定金利期間選択型など、最終的にどの金利タイプを選ぶかは、適用される金利や想定している返済期間、今後の金利変動をどう予測するかで変わってくる。
長く返済する住宅ローンだからこそ、借入額や返済期間、金利タイプを慎重に判断し、人生プランに合った金利タイプを選ぶようにしたい。

住宅ローンの貸出期間 参照:『2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果』を元に作成住宅ローンの貸出期間 参照:『2017年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果』を元に作成

調査概要

■調査対象
民間住宅ローンを取り扱う金融機関に対して、アンケート調査を実施。本調査結果は、回答が得られた機関からの回答(N=311)を集計したもの。
都市銀行(7)、地方銀行(57)、第二地方銀行(37)、信用金庫(169)、信用組合(19)、労働金庫(12)、モーゲージバンク・その他(10)…計311機関

<調査対象とした商品>
【住宅ローン】新築住宅の建設・購入、中古住宅の購入、リフォームに関するローン
       ただし、フラット35(買取型)(保証型)は除く。
【アパートローン】賃貸住宅やアパートの建設・購入に関するローン
※上記には、借換ローン、宅地購入ローン、つなぎローンも含む。

■調査時期 2017年7月~9月

■主な調査項目
住宅ローンの貸出実績、取組姿勢、営業戦略、審査、リスク、証券化の動向などに関する事項

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2018年 02月19日 11時05分