新築マンションの構成比の減少によって、マンション全体も0.7ポイントの下落

2017年6月、住宅金融支援機構は「2016年度 フラット35利用者調査」を公表した。
この調査は、2016年4月~2017年3月までに買取り又は付保の承認を行った案件(※借換え除く)から集計しており、集計件数は76,101件。今回はこの調査から、主にフラット35の利用者の住宅種別、購入価額、年収倍率、中古住宅の築年数について紹介する。

まず、フラット35利用者の住宅種別の構成比を上昇率順に見ると、前回の2015年度調査と比べて「中古マンション」が9.6%から10.7%(+1.1ポイント)、「土地付注文住宅」が31.5%から32.3%(+0.8ポイント)、「注文住宅」が19.5%から20.0%(+0.5ポイント)と上昇している。上昇した「中古マンション」とは反対に、新築「マンション」は11.9%から10.2%(-1.7ポイント)に下落しており、2016年度における新築、中古を合わせたマンション全体の構成比は、0.7ポイント下落する結果となった。
また、フラット35利用者の平均年齢は、4年ぶりに減少した前回の2015年度調査の「39.8歳」と変わらない結果となった。年代別で見ると、30歳未満が13.0%から13.6%(+0.6ポイント)、50歳代が10.0%から10.3%(+0.3ポイント)上昇した一方で、全体に占める割合が最も多い30歳代は、45.2%から44.5%(-0.7ポイント)、次いで多い40歳代が25.2%から24.9%(-0.3ポイント)と下落した。

住宅種別における融資区分の構成比(融資区分別)
出典:「2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成住宅種別における融資区分の構成比(融資区分別) 出典:「2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成

新築マンション購入価額が鈍化する一方、中古マンション価額は上昇傾向に

住宅種別で見た場合、構成比の下落幅が最も大きかった新築マンションの購入価格は、2016年の全国平均が4,267.7万円と、前年の2015年度の4,249.7万円から+17万円(+0.4%)とほぼ横ばいである。このうち最も購入価額が高かったエリアが首都圏で、2016年度の平均額が4,754.2万円と前年の4,827.1万円から72.9万円減(-1.5%)と4年ぶりに下落したものの、依然、近畿圏をはじめとする他エリアと比べて1,000万円以上高い状況に変わりない。首都圏の新築マンションの購入価額が下落する一方で、近畿圏は前年の3,808.5万円から3,866.6万円(+1.5%)、東海圏は前年の3,422.2万円から3,620.9万円(+5.8%)、その他地域は3,180.8万円から3,308.3万円(+4.0%)と上昇している。ただ、首都圏の下落が大きく、全国平均はほぼ前年と同等という結果になった。
都道府県別に見てみると、全国平均よりも高いのは5,135万円の東京都(全国平均比+867万円)と4,443万円の神奈川県(全国平均比+175万円)の2都県のみである。最も安かったのは、2,508万円の山口県(全国平均比-2,260万円)で、東京都のほぼ半分の価格となっている。

一方、住宅種別の構成比が最も増加した中古マンションの購入金額は、2,692.2万円だった2015年度から2,797.1万円と104.9万円(+3.9%)上昇しており、首都圏が2,975.9万円から3,061.5万円(+2.9%)、近畿圏が2270.6万円から2371.0万円(+4.4%)、東海圏が1,740.7から1,833.8万円(+5.3%)、その他地域が1,921.1万円が1,975.7万円(+2.8%)と全エリアで上昇した。特に首都圏では2012年度から5年連続で増加しており、新築マンション価額の高騰による中古マンションの購入世帯の増加が、中古マンション価額を押し上げていることも考えられる。なお、中古マンションの購入価額が3,000万円を超えたのは、2007年の3,263.4万円以来9年ぶりとなる。

フラット35利用者の新築・中古マンション購入価額の推移(首都圏)<BR />出典:「2007年度~2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成<BR />
(首都圏)東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 (近畿圏)大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県<BR />(東海圏)愛知県、岐阜県、静岡県、三重県(その他)上記以外の地域フラット35利用者の新築・中古マンション購入価額の推移(首都圏)
出典:「2007年度~2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成
(首都圏)東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 (近畿圏)大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
(東海圏)愛知県、岐阜県、静岡県、三重県(その他)上記以外の地域

年収倍率は全住宅種別、全エリアで上昇傾向に

新築、中古マンションの購入価額が5年連続で上昇する中、"住宅の買いやすさ"の一つの目安である年収倍率も上昇している。全国で見た場合に新築マンションは6.5倍から6.8倍へ、中古マンションは5.1倍から5.4倍に上昇しており、全ての住宅種別、全てのエリアで上昇する結果となった。※本調査においては、年収倍率を「各利用者の所要資金を世帯年収で除したものの総和をサンプル数で除したもの」としている。

年収倍率を算出する際に用いる世帯年収(全国)は、全ての住宅種別で前年よりも下落している。新築マンションの購入世帯を全国平均で見た場合、前年に比べて購入価額が0.4%と微増しているのに対し、世帯年収が前年度の786.5万円から774.4万円(-1.5%)と、購入価額と世帯年収の乖離が大きくなっている。また、中古マンションにおいても購入価額が2692.2万円から2797.1万円と3.9%増加しているのに対し、世帯年収は609.5万円から607.6万円と0.3%下落している。

また、マンション以外の住宅種別に目を向けると、「注文住宅」(全国)の年収倍率においては、2011年度以降6年連続で上昇しており、「土地付注文住宅」(全国)の年収倍率においては、2010年度以降7年連続で上昇している。さらに「土地付注文住宅」の中でも、首都圏については、全住宅種別中最も高い7.4倍となっており、住宅価格が上昇傾向にあるにも関わらず、年収の増加が伴っていないことがうかがえる。

新築・中古マンションにおける年収倍率の推移<BR />「2006年度~2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成<BR />(首都圏)東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 (近畿圏)大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県<BR />(東海圏)愛知県、岐阜県、静岡県、三重県(その他)上記以外の地域新築・中古マンションにおける年収倍率の推移
「2006年度~2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成
(首都圏)東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 (近畿圏)大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
(東海圏)愛知県、岐阜県、静岡県、三重県(その他)上記以外の地域

中古住宅の平均築年数は長期化へ

最後にフラット35利用者が取得した中古住宅の築年数を見ていきたい。2016年の中古住宅の平均築年数は、中古戸建が18.2年(前年比+0.5年)、中古マンションが21.3年(前年比+1.7年)で、共に2011年から6年連続で長期化している。いずれも築21年以上の中古住宅の割合が増加しており、中古マンションにおいては、2016年度の築21年以上の割合が47.9%と約半分を占めている。このうち築40年超の割合も、2011年以降6年連続で増加しており、2016年度には8.1%と前年と比べて2.2ポイント増加している。

2016年の日銀によるマイナス金利導入後、1%を切る水準まで低下していたフラット35の金利。現在は上昇の気配を見せているものの、長期間の固定金利で借りられる点は魅力の一つである。さらに、2016年10月に申請受付が始まった「フラット35リノベ」や、団体信用生命保険(団信)が月々の返済金に含まれる新制度、子育て世帯の金利が優遇される「フラット35子育て支援型」など、金利が優遇される対象者が広がる新商品が次々に登場している。
今後フラット35を利用する人は、無理のない資金計画を立てて利用したい。

中古マンションの築年数推移<BR />出典:「2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成中古マンションの築年数推移
出典:「2016年度フラット35利用者調査」(住宅金融支援機構)を元に作成

調査概要

調査方法:住宅金融支援機構に提出されたフラット35の借入申込書から集計
調査対象:金融機関から買取りの申請があった債権(借換えに係るものを除く)で、2016年4月1日から2017年3月31日までに買取りの承認を行ったもののうち集計可能となった76,101件(2017年4月19日現在のデータに基づく)
注文住宅 15,239 件
土地付注文住宅 24,582 件
建売住宅 14,789 件
マンション 7,760 件
中古戸建 5,570 件
中古マンション 8,161 件
計76,101 件

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2017年 10月23日 11時05分