神奈川県から埼玉県に至る鉄道ネットワークが形成される

相鉄新横浜線と東急新横浜線の直通運転の開始が2023年3月に予定されている。相鉄の羽沢横浜国大駅から新横浜駅を経由して東急の日吉駅までの間に約10kmの連絡線を新設し、両線が相互直通運転を行うものだ。これにより神奈川県央部および横浜市西部から東京23区西部、埼玉中央・西部地域に至る、7社局14路線による広域的な鉄道ネットワークが形成されることとなり、各地域の発展が期待されている。

相鉄の羽沢横浜国大駅から東急の日吉駅までの直通運転の開始が2023年3月に予定されている。これにより神奈川県央部から東京都心部への移動時間がぐっと短縮される(引用元:相鉄グループ「都心直通プロジェクト」サイト )相鉄の羽沢横浜国大駅から東急の日吉駅までの直通運転の開始が2023年3月に予定されている。これにより神奈川県央部から東京都心部への移動時間がぐっと短縮される(引用元:相鉄グループ「都心直通プロジェクト」サイト )

乗換回数が減り、所要時間も短縮

所要時間

具体例をあげると、相鉄線と東急線が直通することで、次のように神奈川県中央部の駅から都心部などの駅へ向かう際の乗り換え回数と所要時間が減り、より快適なアクセスが実現する。(2022年1月時点の発表による)

・新横浜駅→渋谷駅 :約30分
・二俣川駅→目黒駅 :約38分
・海老名駅→目黒駅 :約54分
・大和駅 →新横浜駅:約19分
・湘南台駅→新横浜駅:約23分

これまで大和駅から東海道新幹線を利用するには、横浜駅で乗り換えてから新幹線の停車駅である新横浜駅まで約42分かけて行く必要があった。ところが直通線が開通すれば乗り換えなしで新横浜駅まで行くことができ、所要時間はわずか約19分になる。なんと23分も短縮できるのだ。

大和駅から新横浜駅までは乗り換えなしで行くことができ、今までよりも23分短縮できる(引用元:相鉄グループ「都心直通プロジェクト」サイト )大和駅から新横浜駅までは乗り換えなしで行くことができ、今までよりも23分短縮できる(引用元:相鉄グループ「都心直通プロジェクト」サイト )

運行頻度

また、2022年1月の発表では、運行頻度も公表されている。

■朝ラッシュ時

羽沢横浜国大~新横浜間:10本/時
新横浜~日吉間    :14本/時

■その他時間帯

羽沢横浜国大~新横浜間:4本/時
新横浜~日吉間    :6本/時

上記から、朝ラッシュ時は毎時4本が、その他時間帯は毎時2本が途中の新横浜駅で折り返しとなると思われる。

車両編成数

羽沢横浜国大~新横浜間:10両、8両
新横浜~日吉間    :10両、8両(一部6両)

車両編成数も羽沢横浜国大~新横浜間は10両または8両であるのに対し、新横浜~日吉間は一部に6両編成が含まれるとしていることから、6両編成の列車は新横浜駅までとなる。

従来東急目黒線と、その直通先である東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線・埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線はすべて6両編成での運用だったが、直通運転開始を見据えて2022年4月より一部で8両編成での運用を開始している。

直通運転開始の恩恵を受ける駅周辺の家賃相場に注目

ここで注目したいのが、今回の直通運転開始の恩恵を受ける駅周辺の家賃相場だ。たとえば相鉄 二俣川駅の場合、今まで目黒駅へ行くには、途中の横浜駅と大崎駅で乗り換える必要があり、約54分かかった。それが開業後は乗り換えなしで約38分と16分も短縮できる。また、目黒駅からは都営地下鉄三田線に直通し、大手町駅まで乗り換えなしで約55分で行くことが可能だ。そこで交通の便が大幅に向上する二俣川駅を例に、同等の所要時間の駅と家賃相場を比較してみたいと思う。

現在、二俣川駅から目黒駅へ行くには、2回乗り換える必要があり、約54分かかる。それが乗り換えなしで約38分と16分も短縮される(引用元:相鉄グループ「都心直通プロジェクト」サイト )現在、二俣川駅から目黒駅へ行くには、2回乗り換える必要があり、約54分かかる。それが乗り換えなしで約38分と16分も短縮される(引用元:相鉄グループ「都心直通プロジェクト」サイト )

相場を比較する前に二俣川駅の周辺がどのような住環境か確認しておこう。同駅は横浜市旭区にある。駅の周辺は再開発が進み、北口では1996年に複合ビル「アルコット二俣川」が完成。109戸の住戸のほか、ドン・キホーテやニトリといった商業施設も入居している。

また、南口では2012年に再開発組合が設立認可され、2018年3月にユニクロなどが入る商業施設「ジョイナステラス1」と地上29階建てのタワーマンション「グレーシアタワー二俣川」が竣工した。さらに南口には桜の名所として知られ、動物園や巨大遊具も楽しめる「こども自然公園」もある。このようなことから二俣川駅周辺は、かなり住みやすい環境といえるだろう。

相鉄 二俣川駅と交通の便が同等の駅の家賃相場を比較

それでは各駅の周辺家賃相場を確認しよう。この相場の条件は以下とする。

・駅徒歩:10分以内
・間取り:ワンルーム・1K・1LDK

この条件を前提に、LIFULL HOME’Sのデータを利用して独自のロジックで以下の家賃相場を算出した(管理費・駐車場代などを除く、2022年3月現在)。

相鉄 二俣川駅の家賃相場

目黒駅まで約38分、大手町駅まで約55分
家賃相場:5.25万円

目黒駅まで乗り換えなしで40分前後の駅の家賃相場

※()内は目黒駅までの所要時間

・東京メトロ南北線 志茂駅(39分)

 家賃相場:7.31万円

・都営地下鉄三田線 板橋本町駅(40分)

 家賃相場:7.51万円

大手町駅or東京駅まで乗り換えなしで55分前後の駅の家賃相場

※()内は大手町駅or東京駅までの所要時間

・小田急線 生田駅(57分)

 家賃相場:5.80万円

・東急田園都市線 中央林間駅(54分)

 家賃相場:5.24万円

・JR常磐線各駅停車 取手駅(53分)

 家賃相場:5.49万円

・東武伊勢崎線 春日部駅(57分)

 家賃相場:4.93万円

・JR京葉線 蘇我駅(54分)

 家賃相場:6.17万円

・JR中央線 豊田駅(56分)

 家賃相場:7.04万円

・JR根岸線 磯子駅(54分)

 家賃相場:5.99万円

・JR宇都宮線 新白岡駅(56分)

 家賃相場:5.63万円

・JR東海道線 藤沢駅(54分)

 家賃相場:7.53万円

・JR武蔵野線 三郷駅(56分)

 家賃相場:5.47万円

2015年に、グループ100周年と都心相互直通運転に向けて「デザインブランドアッププロジェクト」が始動。車両デザインも「YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー)」をまとうデザインに一新された2015年に、グループ100周年と都心相互直通運転に向けて「デザインブランドアッププロジェクト」が始動。車両デザインも「YOKOHAMA NAVYBLUE(ヨコハマネイビーブルー)」をまとうデザインに一新された

家賃相場が上昇する可能性も

以上にリストアップした駅のうち、二俣川駅の家賃相場5.25万円を下回る駅は、東急田園都市線 中央林間駅と東武伊勢崎線 春日部駅しかない。要するに同駅周辺は今のところ穴場の一つといえるだろう。
相鉄新横浜線と東急新横浜線の直通運転の開始によって家賃相場が上昇しそうなエリアは、ほかにも複数あるはず。ニーズが高まることで、今後家賃相場が変動する可能性も考えられるため、沿線への引越しを検討するなら、早めに動くのも一つの手かもしれない。

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