築60年超の団地を建替え、「新しい日常」にも対応する賃貸マンションへ
小田急線「経堂」駅から徒歩12分。閑静な住宅街に立つのが、2棟98戸からなる賃貸マンション「コーシャハイム経堂フォレスト」。「全面禁煙」「タッチレス型エレベーター」「ワーキングスペース」の導入など「ニューノーマル」にも対応した設備を備えているのが特徴だ。
「コーシャハイム経堂フォレスト」は、1953年(昭和28年)に建築された「経堂第一住宅」3棟96戸の建替えにより生まれた。築65年ほど経過した経堂第一住宅は、建物の老朽化や設備水準等の相対的な低下、2K・29m2の画一的かつ狭小な間取りなど、現代の住宅ニーズに対応できないさまざまな課題を抱えていた。JKK東京は、ただ建替えるだけでなく、多様なライフスタイルやライフステージに対応できる間取りや住宅設備のほか、「禁煙住棟」の導入、タッチレス型エレベーターやワーキングスペースの設置のほか、コロナ禍など社会状況の急激な変化にも積極的に対応して「コーシャハイム経堂フォレスト」を完成させた。
今回、2020年10月に竣工した「コーシャハイム経堂フォレスト」の生まれた背景や物件の特長、JKK東京が考える「ニューノーマル」への対応などを取材した。
コロナ禍における「ニューノーマル」に対応した取組みも積極的に導入
コロナ禍により今までの生活が一変した中で建設が進められた「コーシャハイム経堂フォレスト」。物件を手がけたJKK東京の築地さんと小松さんにお話を伺った。
「今回の建替えではコロナ禍における『ニューノーマル』に対応する取組みも積極的に行っています。ボタンに触れることなく居住階に到着できる『タッチレス型エレベーター』や、従来から継続して導入している『宅配ボックス』の採用など、“非接触・非対面”の設備を導入しました。また、一部の住戸には工夫によってはテレワークにも活用できるスペースを設けたり、共用施設内に無料で利用できる『ワーキングスペース』を設置したりするなど、コロナ禍における快適な暮らしを支える仕様も取り入れています。また、2号棟には『禁煙』のコンセプトを取り入れ、住戸内および敷地内を全面禁煙にすることにより、住まいの選択ニーズにも対応しています」と小松さん。
住戸については、ワンルームから3LDK(34~63m2)の多様な間取りタイプを用意。現在の暮らしに必須ともいえる高速インターネット回線によるWi-Fi環境を全住戸に整備したほか、床を下げることで高天井を実現し、開放感を創出するダウンフロアスペースや可動家具の設置、ウォークスルークローゼットを採用した一部の企画住戸をつくるなど、暮らす楽しさを味わえる間取りも提案している。
「禁煙住棟」や「タッチレス型エレベーター」などを導入した背景
「コーシャハイム経堂フォレスト」で特に興味深いのが、健康志向や暮らしの快適性を求める声に応え、「禁煙」をコンセプトに取り入れていること(2号棟のみ)。そのような物件を誕生させた背景をお聞きした。
「『禁煙住棟』の導入については、喫煙率が低下傾向にあるうえ、受動喫煙防止のために法令等ですべての施設において屋内が原則禁煙になるなど社会環境が変化するなか、喫煙する方としない方のライフスタイルや喫煙に対する価値観の違いなどに応じることを目的として『禁煙』をコンセプトに取り入れました。
禁煙住棟である2号棟は、住戸内を含めた敷地内すべて(階段、共用廊下、バルコニーなどの共用部分を含む)を禁煙としてルール化していますが、多様なライフスタイルに対応するためには、従来どおり居住できる環境も提供する必要があると考えており、1号棟は禁煙としないなどの対応を取っています」と築地さん。
また、「タッチレス型エレベーター」の導入や「ワーキングスペース」の設置については、コロナ禍など社会状況の急速な変化への対応であるとともに、暮らしの快適性や利便性を向上させる取り組みであると判断し、採用することにしたという。
コロナ禍で住まいに対する顕在化したニーズに加え、潜在的にあったニーズにも対応
お話をうかがった、JKK東京 住宅計画部 住宅計画課 住宅企画係の築地さん(左)と小松さん(右)。「5人のチームで、どの物件を、どのようなコンセプトで建替えるかなどを検討し、採算性や家賃付けなども行っています」と係長の築地さん。経堂の近隣では建替えによる「(仮称)コーシャハイム大蔵」の建設が進行中で、約1200戸の大規模なマンションになるという「コーシャハイム経堂フォレスト」の建設中に襲った、コロナウイルス感染症の拡大。「ニューノーマル」の導入など対応できることを検討し、一部に仕様変更などを加え、今回の完成にこぎ着けたという。生活が一変したコロナ禍をどのように捉え、また対応したのだろうか。
「鍵をかざすだけで居住階またはエントラス階に自動着床する『タッチレス型エレベーター』の導入は日常生活においてさらなる利便性の向上につながりますし、ワーキングスペースの設置は従来から働き方の多様化を見据えて住まいの魅力づけのひとつとして検討を進めていたこともあり、暮らしの快適性の向上につながるものと考えています。コロナ禍により導入までの意思決定のスピード感が上がった部分もありましたが、住まいに対する顕在化したニーズに加え、潜在的にあったニーズにも焦点を当てることができ、お客さまへ暮らし方の提案をすることができたのではないかと思います。
住まいにおける『新しい生活様式』は、コロナ禍への対応だけではなく、居住性の向上を図る取組みとして認識しており、今後も、より多くの人の暮らしに合った快適な住まいを提供できるようにしていきたいと考えています」と築地さん。
JKK東京では老朽化した住宅ストックの更新を推進しており、2021年2月現在7住宅において建替え事業を行っている。
「現在建替えが進行中の住宅についても、敷地条件や地域性、住宅の規模などを考慮しながら、誰もが暮らしやすい安全・安心で快適な住まいへの再生を目指して、住宅ごとに事業を進めています」と小松さん。
高度成長期に日本中に数多く建てられた「団地」が建替えや改修の時期を迎えている。どのように生まれ変わり、地域の発展に寄与するか。楽しみに見守っていきたい。
■コーシャハイム経堂フォレスト
https://www.to-kousya.or.jp/chintai/new/kh_kyodof/index.html
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