シェアオフィスとホテルを特別価格で利用できる企画を官民連携でPR

福岡の街並み福岡の街並み

多くの地方都市が人口減少に悩む中、国内の「住みたい都市」ランキングなどでよく上位に入り、人口が増え続けている福岡市。イギリスの情報誌「モノクル」が毎年発表する「世界で最も住みやすい都市」でも7位(2016年)にランクインするなど、世界的にも注目されている。

そんな福岡市に「進出したい」「拠点を置きたい」と考えている企業を対象として、シェアオフィスやホテルを一定期間特別価格で利用できる「福岡市お試し進出企画」が行われている。「福岡市ではITやWEB、デジタルコンテンツなどの知的創造型産業を重点分野として、関連企業や人材の誘致に力を入れてきました。折しもコロナ禍によってリモートワークが一気に浸透し、場所を問わない働き方の一つとして地方移転という選択肢がクローズアップされています。そこで今回の企画が立ち上がりました」と福岡市経済観光文化局 創業・立地推進部 企業誘致課の井上辰之係長は説明する。

企画の主体となっているのは、シェアオフィスを展開する民間企業2社と、リゾートホテル1つ。福岡市は協力という形で、官民連携で誘致に取り組んでいる。

対象はIT・WEBサービス、デジタルコンテンツなどを手がける企業

今回、対象としているのは、次の両方を満たす企業だ。
1.福岡市域外に所在し、福岡市に新たに拠点進出を検討していること。
2.IT・WEBサービス、デジタルコンテンツ、ソフトウェアの研究開発など、福岡市が福岡市企業立地促進条例施行規則の別表第1に定める対象分野の事業を行う拠点であること。

お試し進出では、対象となるシェアオフィスとホテルを特別価格で利用できる。利用条件は、同企画のシェアオフィスまたはホテルのいずれかで業務を行うことと、福岡滞在期間中にインタビューを受けること。

申し込み先は福岡市企業誘致課で、原則として滞在予定初日の2週間前までに連絡が必要だ。利用期間や人数については、福岡市や利用施設と調整する。今のところ終了期間は決まっておらず、企業がコロナ禍でオフィスのあり方などを模索・検討している間、当面継続する予定という。

左上:天神の中心にある緑豊かな「天神中央公園」 右上:歴史ある旧小学校に起業家と支援者が集まる「FUKUOKA GROWTH NEXT」 下:屋台やごまさば、もつ鍋など、福岡ならではの豊かな食も滞在の楽しみ 左上と下の写真提供:福岡市左上:天神の中心にある緑豊かな「天神中央公園」 右上:歴史ある旧小学校に起業家と支援者が集まる「FUKUOKA GROWTH NEXT」 下:屋台やごまさば、もつ鍋など、福岡ならではの豊かな食も滞在の楽しみ 左上と下の写真提供:福岡市

福岡の西・中心・東にあるシェアオフィスやリゾートホテルを利用

企画主体となっているシェアオフィスは次の2つ。福岡市西区の海辺にある「SALT」(西区今宿駅前1-15-18)は、目の前に美しい海を臨むロケーションが魅力だ。スモールオフィスからコワーキングや1日利用、合宿などのプログラムがあり、これまでTOYOTAや日本航空など大手企業を受け入れてきた実績もある。

「The Company」は、福岡市の中心にある天神PARCO(中央区天神2-11-1)、キャナルシティ博多前(博多区祇園町8-13)、中洲川端(博多区中洲4-6-12)という抜群の立地に3店舗を展開。そのほか熊本やハワイ、東南アジアに計10拠点を構え、会員になると全ての施設を利用できて、ビジネス創出やマッチングの支援もある。

そして、リゾートホテルは「THE LUIGANS Spa & Resort」(福岡市東区西戸崎18-25)。都心から車で20分の立地ながら、豊かな緑と海に囲まれた非日常の空間で、ワーケーションを楽しめる。

左上:海岸沿いにそびえる青白の建物が「SALT」 右上:「The Company」のシェアオフィス 右下:「THE LUIGANS Spa & Resort」 左下:福岡市役所
写真提供:福岡市左上:海岸沿いにそびえる青白の建物が「SALT」 右上:「The Company」のシェアオフィス 右下:「THE LUIGANS Spa & Resort」 左下:福岡市役所 写真提供:福岡市

リリースから3ヶ月で数十社から問合せがあり、4社が体験

福岡市はもともと民間企業と行政との距離が近く、特にスタートアップやクリエイティブ、移住などの分野では連携して多くの事業を行ってきた。今回も官民で話す中でアイデアが生まれ、2020年8月23日にプレスリリースを出した。「予想以上の反響があり、これまで数十件のお問合せをいただきました。11月末までに4社がお試し進出に来られて、他にも数社と打ち合わせを進めているところです。パンフレットなどで説明するよりも、やはりリアルに体感してもらうのが一番いいですね」と井上さんは手応えを感じている。

問合せがあった企業は、首都圏がメイン。売上規模が100億円を超える企業から起業したばかりのところまで幅広いという。すでに体験した4社はいずれも何かしら九州にゆかりがあり、1~2週間の滞在だった。

例えば、クリエイティブで起業した関東在住の男性は、別の会社で働く妻、2歳の子どもと一緒に家族で来た。夫婦がシェアオフィスで働いている間、子どもは近くの認可外保育園の一時預かりを利用した。「市内の企業や人とお引き合わせをしたり、観光やグルメスポットを紹介したり、各シェアオフィスの近くの一時預かり可能な保育園を案内したりと、ご要望を聞いて対応しています」(井上さん)と市のバックアップも万全だ。

写真提供:福岡市写真提供:福岡市

新たな価値が創造される福岡市をみんなで作る

福岡市経済観光文化局 創業・立地推進部 企業誘致課の井上辰之さん(左)と山下亮介さん福岡市経済観光文化局 創業・立地推進部 企業誘致課の井上辰之さん(左)と山下亮介さん

福岡市は第3次産業が9割を超え、国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」の指定を受けている。福岡市の企業誘致課は、誘致対象を知的創造型産業、本社機能、コールセンターなどに絞り、企業へのアプローチを積み重ねて、2014年からの5年間で268社の誘致に成功した。

同課の山下亮介さんは「企業の方々の話を聞いていると、コロナによって働く場所や働き方の概念がより柔軟になり、地方への拠点進出の機運が高まっていると感じます。拠点を出すのは企業として投資なので、簡単にはできないでしょう。ただ、数年前に訪問した企業から連絡をもらうこともあり、すぐに結果は出なくても、汗をかきながら地道に活動していくことが大切だと考えています」と話す。

井上さんは「福岡市に立地する魅力は、若者を中心とした豊富な人材、アクセス抜群のビジネス環境、リーズナブルなコストなどさまざまですが、個人的には多様な人を受け入れるあたたかくてオープンな気質が大きなウリだと思っています。これからも官民で力を合わせて、新たな価値が次々と創造されるような刺激あふれる福岡市を目指します。興味を持ってくださった企業は、ぜひお試し進出にお問合せください」とアピールした。

2021年 01月08日 11時00分