月額500円から1万5,000円で、好みの家具を必要な期間利用可能
2020年3月に新型コロナ感染症対策を鑑みた緊急事態宣言が出されて以降、多くの人たちが家に閉じこもって暮らす日々が続いている。圧倒的に家で過ごす時間が長くなると、住まいをもっと居心地よくしたい、と思う人は少なくないのではないだろうか。部屋の雰囲気を変えたり、収納量を増やしたいときなど、真っ先に思い浮かぶのが家具を替える、買い足すという手だろう。しかし、新品で買いそろえようとすれば、ある程度の初期費用は覚悟せざるを得ない。
そのような悩みを解消する手段のひとつに、家具のサブスクリプション・サービスがある。サブスクリプション・サービスとは、月々など定額課金により、一定期間自由に情報を得たり、モノなどを使えるサービスを意味する。オフィス用、一般家庭用の双方の家具・家電を対象に、いち早くこのサービスを立ち上げ全国展開しているのが、株式会社subsclife(サブスクライフ)だ。現在、400ブランド10万種類もの家具から、選ぶことができる。価格帯は月額500円~1万5,000円(税込)程度と幅広く、「journal standard Furniture」「ACME Furniture」など固定ファンの多いブランドも少なくない。ユーザーの年齢は若年層から高齢者まで幅広いという。
アメリカで先行していたサブスクに家具ビジネスを着想
subsclifeの立ち上げのきっかけは何だったのだろうか。
「2017年、他のビジネスで、アメリカで開催されたベンチャー企業100社が集うカンファレンスに参加した際、他国の多くの企業がサブスクリプション・サービスを採用しているのを目の当たりにしました。ソフトウェア会社がほとんどでしたが、私はこれに家具を組み合わせて新しいビジネスを生み出せるのではないかと考えたんです」と同社代表の町野健氏は説明する。
また、町野氏は、家具についてはこのような思いもあった。
「日本は残念ながら、インテリア後進国だと思います。デザインや機能、材質にこだわった長く使い続けられる家具を取り入れるだけで、日々の暮らしはもっと豊かになるはずです。とはいえ、そのような良質な家具は得てして高額で、ましてや一式そろえようとすると初期費用がかさみ購入に踏み切れない。しかし、月々定額の利用料を支払うサブスクリプション・サービスなら、気軽に家具を取り入れられるようになるのではないでしょうか」
一方、家具業界は売り上げ不振が続いていたため、新たな販路を探している会社もあった。そういった背景から、立ち上げ後2年で、約400ブランド10万種の商品のラインナップにこぎつけたのだという。
家具を借りた後、「継続」「返却」「買取り」が選択可能。定価、もしくはそれ以下に
サービスの仕組みはこうだ。家具はすべて新品からのスタートで、料金は1台ごとに課金される。利用期間は3ヶ月から24ヶ月までの間で、ユーザーが自由に選択可能。それらの条件により、1ヶ月あたりの支払い金額が決まってくる。
「ポイントは、利用期間終了のタイミングでユーザーには『継続』『返却』『買取り』の3つの選択肢を用意したことです」と町野氏。
継続の場合は、その商品を使い続けて、家具の定価を超えた時点で利用料は請求されなくなる。つまり、普通に購入したときと比べても損はしないわけだ。ちなみに一般的なレンタルでは、家具の定価などは関係なく、一定の利用料を支払い続けることになる。
返却の場合は、定価で購入するよりも、少々安くなるように利用料が調整されている。もちろん、返却手続き後に他の家具との入れ替えも可能だ。買取りの場合は、それまでにサブスクで支払った利用料と定価の差額を支払う。いずれにしても、無駄な出費はほぼない。実際に部屋で試してから購入を決められるのは、大きなメリットだろう。
リモートワーク推奨後、ホームオフィス用家具の引き合い増
そのほか、ユーザーが家具を利用しやすくするために、さまざまな配慮をしている。たとえば、一連のサービスには、ユーザーが頭を悩ませがちな、家具の搬入・搬出の手配、部屋へのセッティングも含まれている。
オフィス向けの場合だと、無料で使用する家具すべてをトータルコーディネート提案してもらえる。「送料とサブスクの月額料金のみで家具を導入できるので、購入した際と比べ、初期費用が22分の1になったケースもあります」(町野氏)
なお、これまで一般家庭に向けて貸し出された家具の組み合わせは、ダイニングテーブルとダイニングチェア、ソファという組み合わせが多かったという。契約のタイミングは、学生の就職時や、結婚などのいわゆるライフイベントだ。
「2020年3月以降、コロナ感染症対策のため自宅でのリモートワークが各社で推奨されるようになってからは、ホームオフィス用のデスクやチェア、照明器具のような家電の引き合いも増えてきました」
SHIBUYA109とのコラボで、若い女性向けの家具シリーズも
また、2020年4月からはファッションビルの名称であり人気ブランドでもあるSHIBUYA109と組んで、若者向け企画も始まった。
「109のターゲット層に合わせた家具のサブスク・サービスです。調査チーム、SHIBUYA109 lab.の調査結果をもとに、家具の選定などを行いました。ターゲット層の好みは意外にも、白や木目を中心とした、ナチュラルな雰囲気のもの。貸し出す家具は『ホワイトモダン』『モカナチュラル』の2シリーズにまとめました」
調査対象は19歳から24歳までの一人暮らしの男女600人。そこから見えてきたのは家具の好みだけでなく、一人暮らしを始める際に52.3%が家具一式の利用に興味を持っていること、サブスクを利用する場合の月額は5,000円未満を希望していることなどだ。「ヒアリングでは、家具はできれば捨てたくない、長く使いたいという声も聞かれました」(町野氏)。サブスクのユーザーとしても当てはまりそうだ。
在宅の長期化はもちろん、subsclifeの家具のバリエーションの拡張で、ますますユーザーの幅は広がりそうだ。これを機に、家具の導入にサブスクリプションを活用あるいは併用して、住まいの快適化、ホームオフィス化を目指し模様替えにトライしてはどうだろうか。
2020年 06月09日 11時05分