舞台は名古屋。異業種・産学連携の三者コラボレーション企画

巷では、様々な「コラボ」が注目を集めている。住まいに関する取り組みとして、HOME’S PRESSでもこれまでに企業と学生がコラボレーションする産学連携を紹介してきたが、今回取材したのはそこに「地元色」の要素を入れた取り組みだ。

名古屋モード学園の学生が内装をデザインし、それを表現する物件を株式会社レオパレス21が、素材を株式会社サンゲツが提供する。
この情報だけだと今までもあったような内容に聞こえるが、今回はもうひとつおもしろい要素が加わっている。名古屋に縁のある三者が行う今回の企画、学生に課されたデザインのテーマは「名古屋らしい部屋」。地元の特色を内装で表現しようというものだ。

学生たちはどのようにして内装デザインで「名古屋」を表現したのか?既に投票は終了し、最優秀賞も決定した先日、株式会社レオパレス21にコラボ企画の詳しいお話を聞いてきた。

「味噌煮込みうどん」を部屋に表現!?個性豊かな応募作品

「様々な文化が入り交じる名古屋に、”味噌煮込みうどん”のように馴染んでいけるような空間を」というコンセプトのこの作品、ターゲットは「名古屋に来て初めて一人暮らしをする20代女性」。こうした明確なストーリーが設けられた作品が多かったのも特徴だ「様々な文化が入り交じる名古屋に、”味噌煮込みうどん”のように馴染んでいけるような空間を」というコンセプトのこの作品、ターゲットは「名古屋に来て初めて一人暮らしをする20代女性」。こうした明確なストーリーが設けられた作品が多かったのも特徴だ

今回の企画は、名古屋モード学園のインテリア学科・グラフィック学科の計7チームがそれぞれデザインし、サンゲツ・レオパレス21の社員と一般の方、合わせて約1300名による投票で最優秀賞を選んだ。

応募された作品には、「味噌煮込みうどん」「金のシャチホコ」「武将×名古屋飯」など、コンセプトを聞いても「それをどうやって内装で表現するのか?」と質問してみたくなる、興味を惹かれるものばかり。
個人的に気になった「味噌煮込みうどん」をモチーフにした作品について聞いてみたところ、以下のようにコンセプト設計されているそうだ。

・床の2種類のフローリングと畳を使い味噌煮込みうどんのおいしい出汁をイメージ
・和調の壁紙にうどんの麺をモチーフとしたデザインを施し、壁と壁の繋がりをもたせてうどんのなめらかさ、のびやかさを表現

確かに、出汁の色を表現した茶色をベースにボーダーのようなデザインの壁紙が味噌煮込みうどんの印象を表現し、和風を取り入れた色調。凝ってはいるが、和の雰囲気で落ち着けそうなデザインだ。
応募のあった作品全体の印象として、今回お話を伺った株式会社レオパレス21 賃貸事業部 営業企画推進部 営業企画課 課長の三條正吾氏は「若い人の柔軟性のあるアイディアで、私たち他県の者にとっても“こんな文化があるんだ”という発見のある作品が多かったです。テーマのキャッチーさだけでなく、それがきちんとストーリーに落とし込まれている点が良かったですね」と話してくれた。

栄えある優秀作品は?

投票の結果、約1300票によって選ばれたのは以下の2作品だ。

・最優秀賞
「妖艶なる名古屋嬢~秘密の花園~/魅惑の名古屋嬢~小悪魔room~」(2作品で1提案)
コンセプト:「美しさを武器とする名古屋嬢。全身に美を追求するその姿は女性の鏡である。舞台のような輝かしい空間の中で常に美の追求をし、男性を翻弄する女豹のようにセクシーな魅力を放つ大人の女性へと豹変する。」(魅惑の名古屋嬢~小悪魔room~)
フォトフレームやフックを設置して、装飾好きな女性が自由に部屋をデコレーションできるよう設計。金色の装飾やアニマル柄のクロスで小悪魔感を演出しつつも、色と切り替えの工夫で圧迫感を軽減した。女性からの支持を集めるかと思いきや、意外にも男性からの投票が多かったそう。

・優秀賞
「グラビティ・ゼロ」
コンセプト:「世界最大級のプラネタリウムをもつ名古屋市科学館をモチーフ。スペースシャトルのようなSFチックな室内から、プラネタリウムさながらの美しい宇宙空間を感じ取ることができる」
ホワイト、パープル、ブルー、ブラックなどのスペースカラーで統一され、落ち着きがありながらも子供心を思い起こさせるデザインとした。日々の疲れを忘れられるような、ファンタジーな空間を提案し、天井には夜空のようなデザインが描かれている。

この二つの作品が、実際にレオパレス21の物件に施工され、モデルルームとして利用される。さらに希望があれば入居も可能とのこと。11月末の現在、内装施工中だ。実際の現場の様子は後日取材し、その様子をお伝えしたい。

最優秀賞作品「名古屋嬢」のイメージ図。緑色が効いた壁紙と、</br>マリリン・モンローのステッカーを貼った扉がポイントだ最優秀賞作品「名古屋嬢」のイメージ図。緑色が効いた壁紙と、
マリリン・モンローのステッカーを貼った扉がポイントだ

経験を提供して、アイディアを得る。産学連携の意義

お話を聞いた、レオパレス21株式会社 賃貸事業部 営業企画推進部 営業企画課 課長の三條正吾氏。日本で第三の都市である名古屋は「重要な市場」と語る。レオパレス21としても今後、地方での取り組みは強化していきたい考えだそうお話を聞いた、レオパレス21株式会社 賃貸事業部 営業企画推進部 営業企画課 課長の三條正吾氏。日本で第三の都市である名古屋は「重要な市場」と語る。レオパレス21としても今後、地方での取り組みは強化していきたい考えだそう

これまでにも、大学と連携して自社の広告作成コンテストを実施するなど、学生を応援する取り組みをしてきた株式会社レオパレス21。今回のような産学連携の取り組みを通して、企業として受けるメリットも大きいという。

「社内だけで仕事をしているとどうしても頭が固くなりがちですが、学生の若いアイディアに触れる事で新しい発想が生まれるという点は、こうした連携ならではです。今回、学生にはA2サイズのプレゼンボードを使って発表してもらいましたが、その表現力の高さに刺激を受けたという声も社員から上がっていましたね」(三條氏)

一方の学生にとっては、実際の施工までの関係業者との対応や実務的な経験は、学校というフィールドではできないことが学べるということが大きい。自分がデザインした作品が実際に施工されるという実績や喜びはもちろんだが、それ以上に、インテリアやデザインの業界を目指す学生にとって現実的な業務に近い経験は、進路を含めた将来を考える上での貴重な機会となるだろう。「そうした意味もこめて、“学生さんを応援したい”という思いが産学連携の取り組みの根底にあります」と三條氏は語ってくれた。

賃貸物件のカスタマイズが流行している昨今だが、主に中古物件の再活用を目的としたものが多い。レオパレス21では、壁紙や内装に自由度をもたせた「お部屋カスタマイズ」を新築物件も含めた全国約16万戸に対応し、手を加えることで部屋の印象が大きく変わる“自分仕様の賃貸物件”という新しい選択肢を提案し続けている。今回の企画も、内装デザインの目的が「部屋を自由にカスタムし、表現すること」であったのが、これまで多かった「空室回避のための付加価値の付与」を目的とした産学連携企画とは異なる点だろう。

実はこの三者連携の企画は、次回大阪でも開催予定だ。「大阪らしい部屋」は、名古屋ともまた違う個性的なものが集まりそう。大阪の学生がどのような表現をするのか、とても興味深い。

2014年 12月15日 11時14分