そもそも、国家戦略特区って何?どこのこと?

東京都区部で特区となっているのはこの9区のみ東京都区部で特区となっているのはこの9区のみ

地域を絞り、そのエリア内に限って従来の規制を緩和することで地域の活性化を促そうというのが特区だが、その中でも現在安倍政権が成長戦略の柱に据えて進めようとしているのが国家戦略特別区域(以下、戦略特区)。これまで以上に大胆な緩和が行われると考えれば分かりやすいだろう。

具体的な地域として平成26年3月28日に発表された指定区域は、
・東京圏(東京都千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、大田区、渋谷区、神奈川県全域と千葉県成田市)
・関西圏(京都府・大阪府・兵庫県)
・沖縄県
・兵庫県養父市
・福岡県福岡市
の6エリア。他府県では全域が指定されているのに対し、東京都が9区のみの指定となっているのは、雇用や外国人労働者受け入れ、医療などの規制緩和に市区町村、都議会の反発があったためだという。

国家戦略特区が空き家問題を解決する?

この指定を受け、5月22日には早くも特区の規制緩和を利用したサービスの記者発表が行われた。それが賃貸住宅の空き室に旅行者が泊まれるというサービス。日本では宿泊料を受け取って空室を貸す契約は旅館業法の対象となり、フロントなどの設備を用意する必要が出てくる。しかし、戦略特区対象地域では一定の要件を満たす部屋は旅館業法適用除外となり、アパートなどの空室を貸せるようになる。東京五輪で増えると予想される外国人観光客を受け入れると同時に、空き家問題に一定の解決策を提示する仕組みというわけだ。

現在までのところ、宿泊期間は7日から10日以上、居室の条件としては専有面積25m2以上、寝具その他の家具、家電類の設置などが挙げられているが、詳細は今後、自治体の条例で定められていく予定。最初に多少の投資は必要なものの、住宅、宿と2種類の貸し方が可能になることで空室を減らす効果は期待できそうだ。また、この仕組みを利用すれば、看病のため、仕事のためなどで数週間だけある街に居住するなど、新しい暮らし方が可能になるかも知れない。

一方ですでに居住している人への配慮も必要になってくるものと思われる。物件によっては1週間、10日ほどで隣人が入れ替わることになり、しかも、それが文化、生活習慣の異なる人だとすると、トラブルの発生は十分あり得る話。その際にだれがどのように解決してくれるのか、その辺りのルール作りも大事だろう。

六本木・虎ノ門に渋谷、新宿、品川……、都心エリアの規制緩和で建物、道路空間が変化する?

虎ノ門ヒルズから完成したばかりの環状2号線を見下ろしたところ。こうした幹線道路沿いが開かれた空間となる予定虎ノ門ヒルズから完成したばかりの環状2号線を見下ろしたところ。こうした幹線道路沿いが開かれた空間となる予定

東京では「国際標準のビジネス空間作り」もテーマとなっており、新宿駅周辺、渋谷駅周辺、六本木虎ノ門地区、大丸有(大手町、丸の内、有楽町)地区、竹芝地区、品川駅周辺が挙げられている。

たとえば、先日オープンして話題になっている虎ノ門ヒルズ周辺では容積率用途地域など土地利用にあたっての規制緩和が行なわれる予定で、日比谷線新駅の整備、周辺エリアのさらなる再開発が予定されている。虎ノ門ヒルズはあのエリアの変化の第一歩に過ぎないのである。

街の風景を変えそうなのは道路占有基準の緩和。都はこれを「東京シャンゼリゼプロジェクト」と名付けており、都心の道路添いにカフェを作ったり、イベントを行うなどが可能になる。実際、環状2号線沿いにはオープンカフェが登場しており、これまでにない風景が生まれつつある。

これらの地域のみならず、区域内では都市計画法などの特例措置が計画されており、居住環境その他も大きく変わることになるはずだ。地元はもちろん、周辺からも変化への期待は大きいが、ハコモノ作りに終始しない活用になることを祈りたい。

個人的には、関西エリアを中心に行なわれる古民家等の活用のための建築基準法の適用除外、歴史的建築物に関する旅館業法の特例などで、少しでも歴史的建築物、古民家の保存、活用が進むことに期待をしている。また、住宅関係以外でも起業を促進する、創薬を容易にするその他、様々な策が挙げられている。

2014年 06月20日 11時28分