たとえ盗まれた物がなくても不快な思いをする侵入窃盗

実は空き巣などの侵入窃盗の被害は年々減少傾向だ。警察庁のデータによると2015年は前年比マイナス7.7%の8万6,373件で13年連続減少しているそうだ。

とはいえ、実際に被害を受けた人に話を聞くと、たとえ盗まれたものがほとんどなくても自宅に見ず知らずの者が入ったという事実だけで非常に不快な思いをするそうだ。物質的にも精神的にも被害を受ける侵入窃盗。誰もが絶対に被害者になりたくないと思うだろう。

前出のデータの手口別認知件数を見ると、もっとも多いのが空き巣で3割を上回る36.4%。続いて夜間の就寝時などを狙う忍込みが14.2%。昼間の在宅中に侵入する居空きも2.8%ある。

その手段は巧妙化しており、ドライバーを使って窓ガラスにひびを入れ、音を出さずに割る「こじ破り」や窓ガラスをバーナーで熱してから霧吹きで水をかけて割る「焼き破り」といった方法が目立つようになっている。高層階なら安心なような気もするがそうでもない。警視庁の2015年の調べによると全発生場所のうち4階建て以上の物件が9.6%を占めていた。これはマンションの屋上から高層階のベランダに侵入する手段などによるものだ。

侵入窃盗の手口でもっとも多いのは空き巣(36.4%)だが、最近は夜間の就寝時などを狙う忍込みが増加傾向で前年比+9.5%となっている(出典:警察庁『住まいる防犯110番』)侵入窃盗の手口でもっとも多いのは空き巣(36.4%)だが、最近は夜間の就寝時などを狙う忍込みが増加傾向で前年比+9.5%となっている(出典:警察庁『住まいる防犯110番』)

防犯カメラなどの設備があるだけでは不十分。専門家の目が必要

このようなことから最近のマンションは、オートロックや防犯カメラの設置が当たり前になりつつある。ところがそのような設備が有効に活用されているとは限らないのが実情だ。たとえば、防犯カメラは朝日などが当たってほとんど映らない時間帯が、オートロックは隣の物件との位置関係からベランダに飛び移りやすいといったことがあり得る。やはり、防犯対策は専門家の目を入れた方がより安心だ。

では、一般的な人が専門家による防犯対策を講じたマンションを見つける方法はあるのだろうか。その一つの回答が防犯優良マンション認定制度だ。同制度は、公益社団法人日本防犯設備協会、公益財団法人全国防犯協会連合会、財団法人ベターリビングの3公益法人が警察庁、国土交通省の指導を受けて作成した防犯優良マンション標準認定基準などをクリアしたマンションを認定するものだ。おもな内容は次のようになっている。

[認定機関]
各都道府県の住宅関係公益法人と防犯関係公益法人が共同で行う。

[認定基準]
防犯優良マンション標準認定基準をもとに、それぞれの都道府県の状況を考慮して各認定機関が認定基準を制定。

[認定対象]
新築、既存を問わずすべてのマンション

[審査]
認定機関である各都道府県の住宅関係公益法人と防犯関係公益法人がそれぞれ指名した2人の審査員(住宅・建築・防犯設備の専門家など)により、設計図書審査(設計段階審査)および現地審査(竣工段階審査)を実施。

[認定マンションの公表及び認定の表示]
認定(設計段階適合も含む)マンションは、認定機関のホームページで公表。さらに、当該マンションには、全国公益法人が定めた統一の認定マークまたは各認定機関オリジナルのプレートを表示できる。

左上:全国公益法人が定めた防犯優良マンション認定マーク。右下:愛知県の認定機関が定めた認定プレート左上:全国公益法人が定めた防犯優良マンション認定マーク。右下:愛知県の認定機関が定めた認定プレート

制度を実施しているのは全国22の都道府県。希望物件が該当するか否かは各役所に確認を

日本防犯設備協会では防犯優良マンションの具体的なイメージとして以下のような例をあげている。

○ 共用部分
・共用玄関は、見通しが確保された位置に配置
・共用玄関には、オートロックシステムを設置
・エレベーターホールは、共用玄関又は管理人室等からの見通しを確保
・エレベーターかご内には、防犯カメラを設置
・共用玄関、共用玄関の存する階のエレベーターホール及び共用メールコーナーの照明設備
は、50ルクス以上の照度を確保
・共用廊下及び共用階段は、乗り越え等による侵入が困難な構造
・共用廊下及び共用階段の照明設備は、20ルクス以上の照度を確保
・塀、柵又は垣等を設置する場合は、周囲の死角の原因及び住戸の窓等への侵入の足場とな
らないもの
・防犯カメラを設置する場合は、見通しの補完、犯意の抑制等の観点から有効な位置、台数
等を適切に配置

○ 専用部分
・住戸の玄関は、防犯建物部品等の扉及び錠を設置
・住戸の玄関扉は、ドアスコープその他外部の来訪者を確認できるものを設置
・住戸内には、住戸玄関の外側との間で通話が可能な機能等を有するインターホンを設置
・共用廊下に面する住戸の窓は、防犯建物部品等のサッシ及びガラス、面格子その他の建具
を設置
・住戸のバルコニーは、縦樋、階段の手摺等を利用した侵入が困難な位置に配置

防犯優良マンションに認定された物件ならば、素人でも専門家の目をクリアした高い防犯性を有していると判断できるだろう。

ただし、同制度を実施しているのは全国で22の都道府県だ(2016年9月現在)。また、たとえ実施していてもその普及率には差がある。希望する物件がある自治体が実施しているか否かは、各役所に確認してほしい。

オートロックなどの防犯設備が完備された物件でも、それらが適切に活用されていなければ安心はできない。防犯優良マンションに認定されていればその一つの判断基準となるオートロックなどの防犯設備が完備された物件でも、それらが適切に活用されていなければ安心はできない。防犯優良マンションに認定されていればその一つの判断基準となる

2016年 10月04日 11時04分