壁紙による用途別空間の作り方について
家にいる時間も増え暮らしに対する考えも変化した。人と物との関係が見直されてきている。これまで外で着るファションなどで表現していた自分らしさや楽しみを、インテリアで実現してみてはいかがだろう。
家でさまざまなことを行うようになり、部屋で過ごす時間も長くなった。部屋にいて自然に触れる機会が減ると、体のバランスを保つため、自然や楽しい気持ちを感じて気分転換することが大切になる。今季の壁紙には気分を明るくしてくれる新作が多く、ちょっとした散歩気分が味わえ部屋に自然を取り込めるデザインが登場している。
壁紙は場所を取らずに部屋の雰囲気を一変させてくれる。すっかり見慣れてしまった四角い白い壁に好みの壁紙で魔法をかけ、気分を変えてみてはいかがだろう。
爽やかな塗り壁調のブルーグレーの壁紙は、リビングを明るくフレッシュにしてくれる ブルーはナチュラルな家具やシンプルな家具ともよくマッチし、親しまれる誠実な色だ リビングはみんなで使用する部屋であり、光を感じる明るめの色調もよいだろう FINE FE6132:株式会社サンゲツ日本でも色柄の壁紙を目にする機会が増えてはきたが、実際に選ぶことはまだそう多くない。壁紙選びにはコツがある。まずは色や目的をはっきりさせると選びやすくなる。つい柄に魅せられ部屋に合わない壁紙を選んでしまいがちだが、どんな部屋にしたいのかを考え、色のイメージと貼る壁面を決め、そして決めた壁面のどの範囲に貼るかを考えるといい。
出隅といって、出っ張った所で張り替えるとそこから剥がれやすくなる。一般には入隅という凹んだ箇所での壁紙の切り替えがよく、見切り材を使用し貼り替えることもできる。
インテリアをすてきにまとめるコツは、色がポイント。ベースとなる候補の色を決め、その壁紙を並べて目指すイメージに近い壁紙を確認するとよい。その他の床や家具、ファブリックなどとの組み合わせを考え、それぞれの柄や質感を合わせて、アクセントとなる色を加えていくとよいだろう。忘れてはならないのが光の影響。光は状況によりそれぞれ異なる。いつも見る状態での見え方の確認もお忘れなく。
ここでは主に多彩な色柄の壁紙を例に、楽しくすてきな気分をもたらす今の暮らしにおすすめの、壁紙による用途別の楽しみ方をお伝えしよう。
気取りがない、人気のブルックリンスタイル
◆ブルックリンスタイル
黒のアイアンをアクセントにレンガなどを合わせるブルックリンスタイルは、カッコいいインテリアとして人気である。
映画「マイ・インターン」で登場した気取りのないキッチン。撮影はインテリアセンスのよさで知られる監督によるもので、ブルックリンにある実際のアパートで行われた。映画では壁に本物のタイルが貼られていたが、レンガ柄の壁紙なら、値が張るタイルを貼らなくてもスタイルを作ることができる。
赤いレンガ柄はラフなイメージとなり、モノトーンのレンガ柄はクールな印象になる。見落としがちなのがレンガの目地の色。黒目地だと全体に目地の色が反映し、黒っぽく素朴な印象になる。人気のウォームグレーに白目地を用いれば、タイルの持つ冷たさが軽減し、白によるセパレーション効果も出て、スッキリ洗練された印象を作ることができる。
柄はもちろんだが色による印象を忘れずに。素朴にしたいのか、洗練された印象にしたいのかをイメージして色を決めるとよい。レンガ柄は木やステンレスとも相性がいい。手軽な小物を合わせれば、すぐにでも絵になるスペースが作れるだろう。
取り入れやすくセンスよく映える壁紙
◆表現が豊富な木目の壁紙
木目は、飽きがこない誰にでも好まれる柄のひとつである。最近は巧みな凹凸による木のリアルな質感を持つ壁紙もあり、年を経たリラックス感を作りだしてくれる。
グレーがかった白い木目柄の壁紙は空間を広く感じさせ、こなれたインテリアが作れる。どんなものともコーディネートがしやすく、小物もセンスよく映え、取り入れやすい壁紙である。同じ木目でも生成りになると温かみが増す。節や傷などのダメージ柄をプリントで入れたものは、ラフな手作り感が出る。またダークな木目は重厚な印象となり、落ち着いた雰囲気を出したいときによいだろう。
◆人気の北欧調壁紙
北欧調も広く好まれるテイストである。塗り壁調の無地の壁紙を使用したカジュアルなテイストや、柄で表情をつけてもいいだろう。甘い印象の花柄も、淡いブルーにすれば落ち着いて爽やかな印象となり、家具や小物とも合わせやすいソフトなノルデック空間が作れるだろう。
◆色や大きさで印象が変化する幾何柄
一般に四角や線などによる幾何柄はきちんとした印象になるが、色や大きさにより印象は大きく変わる。手で描いたような幾何柄は堅苦しさのないニュアンスある空間を作ってくれる。
部屋で運動やゲーム、ワークアウトをするようになったという方もいるだろう。大胆なモチーフで軽快な動きのある幾何柄は、ワークアウトや軽い運動をするリビングの壁にも向きそうだ。
お気に入りの椅子や照明を合わせ、壁紙でホームオフィスをバージョンアップ
家にパソコンなどを持ち込み仕事場にしたという方もいるだろう。一部屋をまるごと仕事場に充てられない場合も多いと思うが、部屋の一角の壁紙を替えるだけでも、コーナーとしてまとまりを作り出すことができる。
机の前の壁の壁紙を替え椅子や照明で個性を出すと、スペースはそのままでも気分が変わり、自分らしい思いを反映したホームオフィスを作ることができる。
適度に集中して緊張を感じさせないブルーグリーンは、ホームオフィスに向く壁紙のひとつである。ホームオフィスは、家族が共有して使ったり、リビングに隣接している場合もあり、家庭の雰囲気に溶け込み事務的で冷たい印象を与えないものがよい。ストレスを軽減し目も疲れにくく、グリーンの安心感とブルーの集中力を併せ持つブルーグリーンは、ホームオフィスにおすすめの色である。
自然が恋しくなったら広げたい壁紙
ステイホームとなり、白の無機質な壁に囲まれる部屋で長く過ごしている方も多いだろう。自然を部屋に取り込もうと、これまでも人気だった植物が描かれたボタニカル柄の壁紙を取り入れる人が増えている。
人は自然と隔たって過ごすとバランスを保ちにくくなることが知られている。白は緊張をもたらす色である。長くいる部屋には壁紙で色やニュアンスを加え、くつろぎを取り入れるとよいだろう。
ひばりが空から眺めた風景を抽象的に描いた壁紙 MissPrintの壁紙の多くは無毒で重金属を含まず、非発がん性に分類される水性インクで印刷されている SKYLARK MissPrint MISP1332:株式会社テシード◆緑に包まれてリラックスする
緑は安らぎの色、安心してリラックスする空間作りにおすすめである。白い壁やグレー、ベージュなどのベーシックな色との相性もよく、緑の濃淡のベッドリネンを合わせれば、安らぐ空間が作れるだろう。
◆ピンクに癒やされる
森でふわふわのうさぎに出合ったような、ほっと優しく包まれる壁紙はいかがだろうか。ピンクは幸せな気持ちを促しストレスを軽減してくれる。
グラフィカルなノスタルジーにひたる
レコードの針を置く雑音やジャケットが人気だそうだ。おこもり時間を楽しみたくなるような、ノスタルジックなテイストの壁紙を取り入れてみてはどうだろう。
◆70年代のテイストを楽しむ
70年代のファションが人気である。オレンジやピンク、深い緑のグラフィカルな柄がノスタルジックな雰囲気を醸す壁紙で、タイムスリップしてみてはいかがだろう。深い色の壁紙は背景となり飾るものを引き立ててくれる。壁紙で背景をつくり小物を飾るコーナーにしてもよいだろう。壁に合わせた小物を見つけにアンティークショップや蚤の市を巡るなど、特別な思いも湧きそうだ。壁紙を替えてみたら、いつかやってみたいと思っていた暮らしが訪れるかもしれない。
◆ビンテージの味わいを楽しむ
ビンテージの布のような、色が少しずれて印刷され、ノスタルジックでどこか懐かしい柄の壁紙。手作り感がありリラックスできる。明るい黄色の壁紙は、ステイホームを楽しい時間にしてくれそうだ。
◆リビングに明るい壁紙で華やぎを
家族で食事をする機会も増えているが、皆が集まる食事の場には、リズムをもたらす壁紙が向いている。黄色やオレンジは実りの色で、食欲を増進し活気をもたらしてくれる。きれいな色の壁紙で、気持ちも明るく会話を弾ませてはいかがだろう。
特別な空間を作りだす壁紙
◆旅にいざなってくれる壁紙
移動が制限される期間が長くなり、どこか旅に行ってみたい、そんな気持ちに応えてくれる壁紙も増えている。木々や豊かな土地や風景が描かれている壁紙は、家に居ながらバカンスでリラックスするような、贅沢な気分をもたらしてくれるだろう。
◆周辺の色やテイストをコーディネートしてみる
壁紙の色に家具やクッションの色を合わせると、空間につながりができて、友達を招きたくなるような空間に変身する。一見華やかな柄も隣接する壁に締まる色を合わせれば、柄が引き立ち完成されたイメージになる。
◆想像力をかき立てる壁紙
壁紙に合わせ小物やファブリックをコーディネートすると、部屋全体にまとまりが出て、イメージが際立つ。案内したステップを忘れずに、ひとつずつ楽しみながらまとめていくとよいだろう。
壁紙で作る空想の旅は楽しんでいただけただろうか。壁紙は毎日見て楽しめる。何年も毎日使えると思えば、意外とコストパフォーマンスもよく、イメージをガラッと変えることができるインテリア材といえるだろう。
おうち時間ができた今、家族やお子さんと、どんな部屋にしたいのか、どんな色や何が好きなのかを話し、好みの壁紙で空間づくりにチャレンジし暮らしを作っていくとよいだろう。
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