倒壊の可能性などがある空き家には税の軽減特例がなくなる

空き家を放置していると、樹木が茂って隣家まで伸びる、害虫が大量に発生するなど周辺住民に多大な迷惑をかけることにつながる空き家を放置していると、樹木が茂って隣家まで伸びる、害虫が大量に発生するなど周辺住民に多大な迷惑をかけることにつながる

空き家の増加が社会問題となっていることはすでにご存じのことだろう。総務省統計局が公表している「平成25年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は820万戸で、前回調査の5年前に比べ63万戸(8.3%)増加した。空き家率も13.5%と0.4ポイント上昇し、過去最高となった。

空き家が増える大きな要因の一つとして、固定資産税と都市計画税の軽減がある。居住用の建物が建っている土地は、固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1に軽減されるという優遇措置がとられているため、利用する予定のない空き家を解体しないケースも多い。

その対策として2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行された。この法律により倒壊の危険性がある、衛生上問題があるといった判断がされた空き家は、これらの税金が軽減されなくなる。

空き家を放置するメリットがなくなったならば、周辺住民に迷惑をかける前に解体するべきだろう。そこで知っておきたいのが「建物滅失登記」だ。

建物滅失登記を怠ることで様々なデメリットも

建物滅失登記とは、法務局の登記簿から建物がなくなったことを登記することだ。建物の解体後1ケ月以内にこれを行わないと、以下のようなデメリットが生じる。

・土地の売却ができない
・解体した建物に固定資産税がかかり続ける
・建築許可がおりないため、建て替えができない
・建物の所有者が亡くなった場合、建物滅失登記の手続きが煩雑になる
・建物滅失登記は申請義務があるため、怠ると10万円以下の過料に処される場合がある

多くの人は建物を解体したからには、その土地を活用したいはずだ。しかし、建物滅失登記をしておかないと更地にした土地を売ろうとしても売れないし、自宅やアパートを建てようとしても建てられない。さらに存在しない建物に税金はかかるし、過料に処されることもある。したがって建物滅失登記は、空き家を解体したからには絶対にやっておきたい手続きといえる。

建物滅失登記をしておかないと更地にした土地を売ろうとしても売れない建物滅失登記をしておかないと更地にした土地を売ろうとしても売れない

意外にも簡単な建物滅失登記の手続き

建物滅失登記申請書の記入例(参照:法務局 不動産登記の申請書様式について)建物滅失登記申請書の記入例(参照:法務局 不動産登記の申請書様式について)

このように「知らなかった」では済まされない建物滅失登記。登記というからには手続きが難しいと思うかもしれない。ところが実は意外に素人でも簡単にできる。

【建物滅失登記の方法】
◯期日:建物を解体してから1ケ月以内
◯手続きを行う場所:建物の所在地を管轄する法務局(郵送も可)

【必要書類】
1)建物滅失登記申請書(法務局のWebサイトからダウンロード可能)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
2)案内図(取壊した建物の位置を記した地図)
3)取毀(とりこわし)証明書(解体を依頼した会社からもらう)
4)取り壊した会社の登記事項証明書(解体を依頼した会社からもらう)
5)取り壊した会社の印鑑証明証(解体を依頼した会社からもらう)

もし、登記されている建物の所有者がすでに亡くなっていたら、さらに以下の書類が必要になる。
・亡くなった人の戸籍謄本または除籍謄本
・相続人の戸籍謄本(亡くなった人の戸籍の中に相続人の記載が無い場合)
・亡くなった人の住民票の除票、または戸籍の附表

これらの書類をまとめて法務局に持って行くだけでよい。

なお、手続き自体に費用はかからないが、事前に建物の登記情報を調べる必要があるため、登記簿謄本の取得費用が1通1,000円前後かかる。また、手続きは郵送でも可能だが、書類の不備などがあれば修正のために都度法務局に行かなければならない。初めてならば直接行くほうが無難だろう。

土地家屋調査士に委任するという方法も

このように比較的簡単にできる建物滅失登記だが、多忙な人にとってはどうしても自分ではできない人もいるのではないだろうか。そうした場合は、不動産の表示に関する登記の専門家である「土地家屋調査士」に委任するという方法もある。その場合は委任状と自分の印鑑証明が必要になる。代行費用の目安はおおよそ4万円前後だ。

空き家を放置していると、樹木が茂って隣家まで伸びたり、害虫の発生、劣化した雨どいや屋根材、外壁材などの落下・飛散、不法投棄や不法侵入、放火の危険性など周辺住民に多大な迷惑をかけることにつながりかねない。
現在空き家を所有している人や、今後空き家を相続する予定のある人は、空き家の適切な管理、または活用を検討すると共に、もし解体した場合には、是非ともこの「建物滅失登記」の手続きを行って欲しい。

2017年 11月20日 11時05分