アメリカ村が若者のまちになるまで

アメリカ村の会 会長の四月朔日(わたぬき) 幸平さんアメリカ村の会 会長の四月朔日(わたぬき) 幸平さん

大阪で若者のまちと言えば、アメリカ村だろう。若者好みの店が立ち並ぶ地域で、まちを行きかう人々も、ほかの繁華街に比べると、各段に若者が多い。
だが、違法駐輪やゴミのポイ捨てなど、関西を代表する繁華街であるがゆえの問題もある。それを解決し、アメリカ村をよりよいまちにするために活動するアメリカ村の会がある。今回は、会長の四月朔日(わたぬき)幸平氏に、若者のまち特有の活動について聞いてきた。

アメリカ村も、昔から繁華街だったわけではない。50年ほど前までは、船場の商店の倉庫が立ち並ぶまちだった。時代がくだり、心斎橋や難波に百貨店ができはじめると、百貨店に出入りするデザイン事務所ができ、流行の最先端をいく若者が集まり始める。その中に、「アメリカ村のママ」とも呼ばれる日限(ひぎり)萬里子氏もいたようだ。彼女は、炭屋町に喫茶店「LOOP」を開業したあと、南堀江のクラブ「LIFE」、「QOO」を演出し、若者が集まるきっかけを作った。その後流行に敏感な人たちが、続々とこのあたりにお店を開いていき、古着やサーフボード屋などの、いわゆるサーフカルチャーのまちとなっていった。そして、アメリカの文化が根付く場所という意味で「アメリカ村」という呼称が生まれたのだ。
アメリカ村の会の誕生もほぼ同時期で、45~6年前だという。アメリカ村界隈には、古くからの住人もおり、若者たちが集まることへの反発もあった。会結成の目的は、そうした住人に受け入れてもらうためで、最初は掃除会から始まったという。

四月朔日氏がこの会に参加したのは、勤務する大阪屋通商株式会社が、三角公園でビジョンの運営を始めたころだとか。まちを活性化させるための手段として設置したのだから、町のことをもっと知りたいと思ったのだという。
アメリカ村の会の会員は現在50社ほど。商店やビル主、広告代理店のほか、FM大阪やFM802などのメディア、そしてアメリカ村でイベントを開催している会社も、賛助会員として入会しているのだそうだ。

アメリカ村における問題と、それに対する取り組みとは

「アメリカ村の問題といえば、なんといっても違法駐輪とゴミのポイ捨てです。このあたり一帯が駐輪禁止区域なのですが、気にしている人は少ない。放置しておくと、車いすが通れないほどになってしまうこともあります」と、四月朔日さん。大阪市における駐輪の撤去費用は、年間9億円にものぼるらしい。

違法駐輪の対策は非常に地道で、まずは口頭注意。また、大阪市の放置自転車等啓発指導員制度において、サイクルサポーターに認定されれば、違法駐輪自転車を適正に移動できるようなる。アメリカ村の会の会員にも2~30人のサイクルサポーターがいるので、こまめに適正移動し、自分たちの自転車が邪魔であると気づいてもらっているそうだ。
会員は商店主が多く、違法駐輪が増える時間帯は店の繁忙時間と重なるため、自転車の移動は、活動時間を決めずに、それぞれ時間があるときに実施している。こうして継続して活動し続け、とても迷惑な駐輪をしているのだと気が付く雰囲気にしてしまうしかないと考えている。

アメリカ村自治会の「御津連合」が主体となって取り組んでいるのは、落書き対策だ。一時期はほとんどの店のシャッターに落書きされていたのを、一斉に消したのだ。
すべての落書きを消すのは大変だったが、それ以降は落書きが少なくなったという。落書きのしづらい雰囲気をつくるのがもっとも効果的だと、落書きを見つけるたびに、コマメに消し続けている。数多くの防犯カメラも設置され、落書きしづらい雰囲気もできつつあるのかもしれない。
また、アメリカ村の象徴として知られる関西電力道頓堀変電所ビルの壁は落書きのメッカだったので、アメリカ村を拠点に世界でも活躍するグラフィックアーティストに、あらかじめ落書きアートを書いてもらった。するとそれ以降は一切落書きがなくなったという。

アメリカ村の象徴ともいえる関西電力道頓堀変電所ビルの壁画。アメリカ村を拠点に世界でも活躍するグラフィックアーティストに落書きアートを書いてもらうことで、新たな落書きを予防しているアメリカ村の象徴ともいえる関西電力道頓堀変電所ビルの壁画。アメリカ村を拠点に世界でも活躍するグラフィックアーティストに落書きアートを書いてもらうことで、新たな落書きを予防している

若者が多く集まるまちだから、意欲のある若者を応援したい

毎月開催されているキッズダンスコンテストの風景毎月開催されているキッズダンスコンテストの風景

アメリカ村の会は、若者の活動の積極的なサポートもしている。たとえば、大阪出身の歌手がメジャーデビューした際は、ビジョンの下でゲリラライブ、商業施設での物販、軽食店舗での一日店長と、多角的なイベントをおこなった。また、アマチュアバンドのライブイベントやアメリカ近辺のみならず西日本全域から参加者が集まるキッズダンスコンテストは、毎月開催されている。

しかし、どんなイベントでも良いというわけではない。
「まずは意欲があること。そしてこのまちにとって意味があることが条件です。まちの活性化とか、啓発に役に立つことなら、積極的に応援しています。当たり前のことですが、私たちより、若者の方が、若者に対する影響力を持っていますから」

たとえば、イラストレーターやラッパーなど、アメリカ村で影響力のある若者が集まっての、ダンスや歌のイベントも年に5~6回開かれ、イベント後には参加者全員でゴミを拾うのだ。また他のイベントでは自作の違法駐輪の啓発ラベルを制作し、「パレード」と称して、参加者たちで一斉に違法駐輪の自転車にラベルをつけていくという。

今後も地道にコツコツと

アメリカ村の会の活動は、地味なようだが、コツコツやっていかないと仕方がないと四月朔日氏は考えている。

「以前はキャッチセールスをする店もありましたが、キャッチセールスを見かけるたびに『そういったことをしていたら、アメリカ村に人が来にくくなるよ』と、道理を諭した続けたところ、そういった店はアメリカ村にいなくなりました。結局地道な努力を続けるのが一番なんです。活性化するためには、まず啓発しなくてはいけません。人が集まる場所は、前向きなことばかりしていてはダメなんです。そして啓発活動は地道にコツコツが原則だと思っています」

アメリカ村は日々刺激があり、個性がギュッと詰まった、大阪を象徴するまちだ。その良さが活きるよう、これからも地道な活動を続けていくつもりだという。

アメリカ村の象徴ともいえる三角公園前には、たくさんの若者が集まるアメリカ村の象徴ともいえる三角公園前には、たくさんの若者が集まる

2017年 06月03日 11時00分