本業務とは別の「部活動」からDIY部発足

女子DIY部で活動する株式会社フェリシモの馬場雅和さん、永井友理さん、荒木恵さん女子DIY部で活動する株式会社フェリシモの馬場雅和さん、永井友理さん、荒木恵さん

衣類やインテリア雑貨などを扱う通販を手掛ける株式会社フェリシモには、趣味を同じくする人が集まって新しい事業開発につなげるための「部活動」がある。部活動は業務の一端として認められているが、参加は任意。本業務とは異なるため、集まっている人たちの部署はまったくバラバラなのが特徴だ。
そんな部活動に、「女子DIY部」なるものがあるという。そこで、部長を務める馬場雅和さん(eビジネス部)をはじめ、中心となって活動している永井友理さん(新事業開発本部)、荒木恵さん(CFV事業本部)にお話をうかがってみた。

2011年に結成された女子DIY部の現在の部員は10名程度。サイトを立ち上げ、既存の通販事業と連携を取りながら顧客との接触も可能とし、さらに新しい顧客の獲得にも一役買っているという。ビジネス的なアプローチの側面も持ちつつも、好きな事に打ち込む「部活」を行っているということだ。
発足させた馬場さんは前職でホームセンターに勤務しており、DIYの経験があったが、奥さんに頼まれて作ったものが「部屋の雰囲気とあわない」と叱られたのだという。そこで、DIYに女性目線を取り入れたいと考え、部を結成したのだそうだ。だから、「女子DIY部」とは言っても、男子部員も3名在籍している。
発足人である馬場さんは、実際に活動をしてみて、どんな感想を持ったのだろうか。
「作る工程を楽しむ男性に対し、女性は実際に使うことを楽しみに作るという違いがあります。男性がノウハウとテクニックを提供し、女性がアイデアを提供することで、良いバランスができていると思います」と話してくれた。

外部企業からも注目され、多くのコラボ企画も

URからの依頼でDIYしたリビングURからの依頼でDIYしたリビング

女子DIY部発足当初からDIYが好きな人にヒントにしてもらえたらとの思いで、自分たちのDIY作品をブログで発表している。
永井さんは「ブログなどを通じてDIYの楽しさを知ってもらいたいですね。その結果、DIYに興味を持つ女性が増えれば、ホームセンターに行く女性も増えて女性向けの工具などの商品が開発されるかもしれません。そしてさらに、女性DIY人口が増える…という循環が生まれれば嬉しいです」と思いを語る。
サイトの閲覧者が増える中、独立行政法人都市再生機構(UR)から声がかかる。現状復帰をマストにせず、好きなようにDIYできる「DIY住宅」のモデルルームの施工を依頼されたのだ。
「好きなようにDIYしてよい」という依頼内容で、必要な材料はすべUR側が用意した。通常業務の合間を縫っての作業であるため作業は隔週に一度だが、作業日は朝から晩までDIYに没頭し、プランニングから半年で完成させたという。

これをきっかけに、異業種企業など外部とのコラボが開始される。女性によるDIYが注目され始めていることからメディアの取材を受けることもあり、女子DIY部の活動を知った団体から、コラボ企画の声がかかることも増えた。コラボを多くするとDIYに興味を持つ女性を増やすためのPRは加速できそうだが、本業務ではなくあくまでも“部活”であるため業務の合間での作業となる。依頼されたコラボ企画は受けているものの、残念ながら現状は女子DIY部の発信で外部にコラボ企画を持ちかける余裕は無い、というのが本音だそうだ。

「神戸ママネット・あじさい倶楽部」とのコラボで店舗をサロンに

「サロン ド マルシェ」の改装では、DIY部が手本を見せた後は、あじさい倶楽部のメンバーがDIYを実施した「サロン ド マルシェ」の改装では、DIY部が手本を見せた後は、あじさい倶楽部のメンバーがDIYを実施した

最近では、「神戸ママネット・あじさい倶楽部」の店舗DIYを、神戸市を通じて受託。神戸市内にある空き店舗のDIYをしたとき、協賛していた神戸市の職員が視察に訪れたことがきっかけで、DIYのアドバイザーを依頼されたという。

地域の福祉活動などの取り組みを行うNPO法人輝支援センター神戸に所属する「神戸ママネット・あじさい倶楽部」は、主に未就園児を対象に様々な活動を行う団体だ。これまでは神戸市中央区の神戸市立婦人会館でイベントを開催していたが、多くのママたちから「自分たちの持っているスキルや趣味を活かし、自己実現につなげていく拠点がほしい」という声が高まり、マルシン(丸神)市場の空き店舗に改装を施して利用することにしたのだという。

市場内に拠点を設けた理由について、「神戸ママネット・あじさい倶楽部」の藤原麻紀さんは「兵庫区はとても市場が多い土地柄です。でも最近の子どもたちはスーパーで買い物をすることが多く、魚と言えば切り身だと思っていたり、野菜の「旬」を知らない子がとても多いのです。市場なら、魚や野菜の本来の姿を身近に見る機会が増え、”食育”の面でも有効だと考えました」と熱意を込めて話す。

ママや子どもたちにも「DIYの楽しさを知ってもらう」きっかけに

子どもたちも大活躍子どもたちも大活躍

今回のプロジェクトでは女子DIY部としてはアドバイザーといった立ち位置で、実際の作業はあじさい倶楽部が中心となって行ったという。英会話や料理教室など、多種多様な使い方を予定しているため、デザインを決め込みすぎず、フラットになるようにとのアドバイスを心がけたそうだ。
DIY部が作業の説明と手本を示した後は、ママと子どもたちが自由に作業をする番だ。子どもたちも、ペンキだらけになりながら楽しそうに作業をしてくれたそうで、「DIYの楽しさを知ってもらう」をコンセプトとするDIY部との相性は、ぴったりだったようだ。

この改装プロジェクトでは、「市場に眠っていた什器を活かす」というコンセプトもあったため、使えるものを見つけるたびに、どう利用するかとDIY部とあじさい倶楽部のメンバーが提案しあい、試行錯誤しながら作り上げていったという。例えば、この店舗はもともと果物屋だったため特徴的な棚があったが、それをどう活用するかなど、その度に話し合って進めたという。
店舗は3月15日に「サロン ド マルシェ」としてオープン。「ママの夢 応援サロン」というコンセプトに沿って、明るくポップな印象に完成したそうだ。

DIYを日常レベルまで浸透させるのが目標

フェリシモで生活雑貨や手づくりキットを扱う「kraso」で販売中の「木製ミニドロワー」をDIYした一例。内部に箱型のベニヤ板を組み込み、仕切りを作っているフェリシモで生活雑貨や手づくりキットを扱う「kraso」で販売中の「木製ミニドロワー」をDIYした一例。内部に箱型のベニヤ板を組み込み、仕切りを作っている

フェリシモの商品はターゲットが女性で、「生活や暮らしを豊かにする」というのがテーマ。このテーマはDIYにも通じるため、うまく融合させて、たくさんの人に幸せな生活を送ってもらいたいいう。とはいえ、今のところDIYキットなどの女子DIY部独自の商品開発の予定はしていない。
「顧客の住居形態はさまざまで、フェリシモが提供するようなキットでは、個々のニーズにはあてはまりづらいのです。女性用工具の通販も考えましたが、私たちにはノウハウがありません。それよりはDIY部がさまざまなDIYのノウハウを提案することによりDIYを趣味とする人口を広げ、その結果としてホームセンターがさまざまな工具を扱ってくれるようになることを目指しています」と、荒木さん。
ただ、フェリシモの商品をDIYでアレンジしてもらえればと、同社の製品にDIYで手を加えてアレンジしたものをブログで発表している。

自分が本当に欲しいものを作れるのがDIY。創意工夫で、自分の部屋を理想に近づけることができるところに、フェリシモのコンセプトと近いものがあるという。
ユーザーに役立つDIY情報をどんどん発信し、日本でも海外と同じように、DIYが日常文化レベルまで浸透するようお手伝いしたい。そして、その結果としてフェリシモを知っていただきたいというのが、DIY部の今後の活動指針なのだそうだ。

参考URL
フェリシモ女子DIY部
http://info.felissimo.co.jp/kraso/act/diy/

2015年 04月26日 10時48分