ワークショップでDIYリノベーション初体験!

毎回、受講者と大工職人を含む関係者全員で、記念撮影!毎回、受講者と大工職人を含む関係者全員で、記念撮影!

大阪府堺市の泉北ニュータウンで、地域再生の一環として大阪府住宅供給公社が管理する茶山台団地の5戸を、プロの指導のもとDIY(セルフ)でリノベーションする「DIYリノベーションスクール(正式表記は「DIY R SCHOOL」)」が開催されている。
建築を勉強している学生やDIYによるリノベーションに興味がある一般の方々を対象に、定員30名で、2014年10月4日〜2015年3月14日の期間、土曜日開催にて、全21回分の工事工程が計画されている。住戸内の解体からはじまり、床貼り、間仕切り壁の造作、断熱材を施した壁造り、壁のペンキ塗りなど、リノベーション住宅が完成するまでの現場作業を、ワークショップとして実施しているのだ。

このワークショップを企画した当初は、「本当に、参加者は集まるのだろうか」と関係者みんなが思っていたというが、実際はキャンセル待ちがでるほどの人気ぶりとなっている。筆者はその作業を体験すべく、昨年末に現地取材に行ってきた。

以前、紹介した「DIYリノベーションスクール」の記事もあわせてご覧いただきたい。
http://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_00135/

プロの知識を余すところなく、みんなに伝えてゆく

みんなが真剣に聞き入る講義風景。質疑応答も活発に交わされる。みんなが真剣に聞き入る講義風景。質疑応答も活発に交わされる。

「DIYリノベーションスクール」の体験取材に訪れたのは、2014年12月20日。この日に計画されていた現場作業は「窓枠・ドア取付のDIY」だ。当日の2日程前には、爆弾低気圧の影響で寒さが倍増していたのだがこんな寒い中、本当に受講者は集まってくるのだろうかと思いつつ集合場所へ。しばらくすると、年代問わず20数名の老若男女が続々と集まってきた。

このスクールでは、午前と午後に分けて、それぞれ予定が組まれている。午前中は当日のDIYに関する講義、ランチタイムをはさんで午後からがワークショップとなる。この日の現場作業は、ドア枠の取付作業のため、午前中の講義はその作業方法と注意点などについて行われた。

本日の講師は、自らの大工経験と自宅のDIYリノベーションの知識を活かし、事業へと発展させたデザイン事務所、9(ナイン)株式会社の代表取締役・久田カズオ氏だ。久田氏は、このスクールでDIYを指導する大工講師の一人でもある。みんなが席に着くとすぐに講義が始まった。黒板にドア枠の簡易図面を書き寸法を入れながら、遊びとなる隙間のサイズや木材の名前、役割を説明していく。通常のドアのサイズは800×2100だが、今回は800×1800で造作することや、木材を止めるにはどのビス(ネジ式の釘)が良いのか、今回は無垢材を使用するが他にも反りが少ない集成材などがあること、腕の良い大工仕事とそうでない大工仕事の見分け方など、そうなんだ!なるほど!と思わず関心してしまう内容ばかりが耳に飛び込んでくる。

また、ドアは右開きと左開きどっちに付ける?とか、玄関やトイレは外開きにする、といったその理由までも事細かく話されていた。普段、何気なく使っているドアだが、そうなるにはそれなりの理由があったのだと気付かされる。

20代から上は60代ぐらい?の方まで、幅広い世代が集いみんな真剣に講義に聴き入っていた。ときには受講者が手を挙げて「それは、どこに行けば買えるんですか」や「自宅のドアをリノベーションするには、何からはじめればいいですか」といった質問が投げかけられ、講師もそれについて快く回答していく。

受講者のレベルにあわせた、説明と実技で現場作業を進行

メモを取りながら説明を聞く「本気コース」での作業風景。メモを取りながら説明を聞く「本気コース」での作業風景。

午前中の講義が終わると、チーム分けが始まる。今回は「本気コース」、「学生コース」、「初心者コース」の3つが用意され、それぞれのコースを担当する大工職人の名前と部屋の号室が伝えられた。その名の通り各コースごとにレベルが違うのだが、受講者の選択の仕方はというと、自分の技量でコースを選ぶ人もいれば、人気の大工職人で選ぶ人もいる、毎回同じコースを選択する人もいれば、毎回違うコースを選ぶ人もいるようでその都度、思い思いに自分が受講したいコースを選択するのだという。受講したいコースの部屋に集まるとお弁当が配られ、みんなで色んな会話をしながらのランチタイムがはじまる。

先の項で触れたように、本日の作業内容は「窓枠・ドア取付のDIY」だ。ランチタイムが終わると、大工職人の指導のもと作業が始まる。まずは、ドアの設置位置の開口部を確認し、取り付けるドア枠となる木材の切断と、ビス止めの作業内容について、注意点や手際よく作業するための手順などの説明があり、実演実習へと移っていく。

「本気コース」、「学生コース」、「初心者コース」それぞれ、集まったメンバーのレベルに合わせた説明と実技が、各部屋ごとに行われていた。今回「本気コース」に集まったのは30〜40代の男性ばかり、大工職人の説明も専門用語がチラホラ混じっており、建築資材の名前が加わるため、初心者丸出しの筆者には少し難しい内容なのだが、初回から参加している受講者には、理解できる内容のようでみんな、うなずきながら時に質問を交えて、各自が自分のやるべきことを把握しスタスタと作業を進めていた。「学生コース」には、20〜30代の男女から人生の大先輩となる女性二人が参加していた。木材の切断について、図面通りに寸法を測り切断箇所に線を引き、電動丸ノコで木材を切りビスで止めていく。まずは、大工職人が注意点を示しながら手本をみせ、次に受講者が一人ひとり実技を行っていく。「初心者コース」は、30代〜50代の男女で構成されており、木材の性質や選び方、木の切り方からはじまり、電動丸ノコの使い方など文字通り初心者向けに、かみ砕いた説明内容と実技になっていた。

肉体労働や神経を使うことが多い現場作業、受講者の率直な感想は?

「自分でリノベーションしようと思って中古のマンションを購入したら、タイミング良くこのスクールの募集があって。まさに僕のためのワークショップです!」という男性。

「挑戦する楽しみがあってうれしい」と照れながら話す女性。

「DIYで引き出し付きの家具をいくつか造って、家で使っているんですけど、できることをもっと増やしたいんです!」という主婦の方。

「今度、うちの奥さんにもDIYの面白さを教えてあげようと思ってます。まずは、インパクトドライバーを使って日曜大工を二人で、してみようかと」といった夫婦仲の良さそうな男性。

20代の女性は、「この間、おじいちゃんの家に遊びに行ったら、DIYの工具がいっぱいあって。おじいちゃんもDIY好きなんだって初めて知ったんです。ここに来てなかったら、工具を見ても気付かなかったかも知れません。何気なく受講したんですが、私もおじいちゃんの孫なんだって思いましたね。今度は、おじいちゃんと一緒に何か造りたいです」と楽しそうに話していた。

「一番、しんどかったのは最初の解体作業でしたね。すごい肉体労働で、次の日は筋肉痛になりました。でも、日頃の嫌なことやイライラを解体作業にぶつけられたので、いいストレス発散になりました!しんどかったけど、楽しかったです!」と女性ながら頼もしい言葉だ。

また、「床を貼るときに、斜めにならないように墨出しっていって真っ直ぐな線を、墨で引いて作業するんですけど、神経を使う細かい作業で・・・。私、おおざっぱな性格なので大工さんって、こんな細かい仕事してるんや〜って、ビックリしました」と意外に繊細な仕事内容に関心している女性もいた。

各コースともに、説明を聞くときも、実演を見るときも、受講者が大工職に注ぐ視線は真剣そのものだった。それもそのはず、作業手順ひとつにしても何故そうするのかや経費を浮かす方法、作業をしやすくする方法などプロから直々に教えてもらえるのだから。

上2枚:電動丸ノコで木を切る受講者。左下:ドア枠について説明する大工職人。右下:ドア枠の取付け作業風景上2枚:電動丸ノコで木を切る受講者。左下:ドア枠について説明する大工職人。右下:ドア枠の取付け作業風景

「DIYリノベーションスクール」への参加で、未来への挑戦が生まれる

質問あり、話し合いあり、助合いあり、笑いあり、協力しあって作業する女性陣。ドア枠を整形するためインパクトドライバーでビス(ネジ式の釘)を打っていく。質問あり、話し合いあり、助合いあり、笑いあり、協力しあって作業する女性陣。ドア枠を整形するためインパクトドライバーでビス(ネジ式の釘)を打っていく。

残暑厳しい10月にスタートし、窓から紅葉が楽しめる秋、寒さ厳しい真冬、春の兆しを感じる3月まで、ほぼ毎週土曜日に開催している。

現場となる室内には当然、冷房も暖房も無い、夏は汗だくになりながら、冬は防寒着で身を包み白い息を吐きながら作業をする。この日も、昼過ぎから冷たい雨がポツリポツリと降り始めていた。解体作業ではホコリが、電動丸ノコで木を切ると細かい木くずが宙を舞い、切るときのギューンという音ともに焦げた匂いが微かに匂いはじめる。この状況を文章で読んだだけなら「大変そうだな」としか感じないかもしれない。けれど現場の空気は想像とは違って皆、やる気満々で意気揚々としている。お互いに声を掛け合って作業したり、相談したり、談笑したり、知らない者同士が集まっているとは思えない一体感が自然に生まれていた。

受講者はこのスクールを通じて、普段の生活の中では体験することのない解体作業や、住宅内の造作といったリノベーション作業を実際に経験することで、大工職人をはじめ建築や室内デザインといった住宅に関する各分野への関心や理解をも深めていた。「挑戦できることが嬉しい」と受講者が言っていたように、この成功体験がスクールの期間中だけではなく、自分の住まいをDIYで自分好みのオリジナル空間にするという、未来に向けた新しいチャレンジ精神を確固たるものにしているのではないだろうか。


「DIYリノベーションスクール」の様子はサイトやFacebookで、随時更新されている。
http://danchi-renovation.com/
https://www.facebook.com/danchidiy

取材協力
大阪府住宅供給公社:http://www.osaka-kousha.or.jp/
株式会社大都:http://www.daitotools.com/
9株式会社:http://www.ninedesign.jp/

2015年 01月26日 11時10分