老母の死がきっかけで、2世帯住宅を1世帯用にリフォーム

「おとな3人リビング」でリフォームした川崎市のSさん一家「おとな3人リビング」でリフォームした川崎市のSさん一家

晩婚化・非婚化が進む中、熟年夫婦と単身の子からなる「おとな3人世帯」が増えている。こうした世帯を対象に、旭化成リフォームでは、2013年8月に新商品『おとな3人リビング』を発売した。
これは、大人3人の快適な暮らしを提案するLDKリフォーム商品。この商品を利用して自宅のリフォームを行ったのが、川崎市在住のSさんだ。リフォームした経緯や現在の住まいについて、詳しく取材してみた。

Sさんは25年前に2世帯住宅を建てたが、1階に住む母親が亡くなったのを機に、リフォームを決意。夫・妻・社会人の次女がゆったりと快適に暮らせるよう、1世帯用の住宅に改装することを決めた。

「以前は、結婚前の姉も同居していたので、2階の1フロアに一家4人がひしめきあって暮らしていました。一家が集まれるのは6.5畳の台所だけ。狭くて、ソファを置くスペースもないほどでした。祖母が亡くなった後は、1階が空き家になっていたので、放置しておくのはもったいない。将来、両親の介護が必要になった時のことも考え、“老後の家”としてリフォームすることになったんです」(次女のE子さん)

掃除のしやすさにこだわり、和室をすべて洋室に統一

部屋の雰囲気に合わせて仏壇収納(右端)を工夫。ソファを置き、仏間も兼ねたくつろぎのスペースが誕生した部屋の雰囲気に合わせて仏壇収納(右端)を工夫。ソファを置き、仏間も兼ねたくつろぎのスペースが誕生した

リフォームに着手したのは、老母の1周忌をすませた2011年9月。工事は3ヵ月で完了し、翌年の正月は新居で迎えることができた。今回のリフォームのコンセプトは、「老後の家」と「掃除がしやすい家」の2本柱。とくに、娘のE子さんと妻のK子さんが強く主張したのが、全体を洋風に統一することだった。

「1階には2間続きの座敷があったのですが、和室は畳や障子の手入れに手間がかかる。その点、フローリングの洋室なら掃除も簡単です。周囲では『畳の部屋があったって、使わないよ』という意見も多かったので、和室はなくして洋室に統一したい、とずっと考えていたんです」(妻・K子さん)

だが、ご主人のSさんは、最後まで仏間の和室を残すことにこだわった。結局、洋室に改装することには同意したものの、仏壇を部屋の真ん中に置くことだけは譲らなかったという。
「仏壇は大切なものだから、部屋の真ん中に置くべきだ、というのが僕の考えでした。でも、アドバイザーの方が、『仏壇が真ん中にあると、部屋の使い勝手も悪いし、見栄えもよくないですよ』と言うのを聞いて『なるほど』と思いました。それで、ご先祖様に頭を下げて、部屋の隅に移ってもらうことにしたんです」(Sさん)

こうして、仏壇は作りつけの収納家具に納められ、1階の南西奥のコーナーに置かれることに。仏壇を壁際に寄せたことで部屋が広く使えるようになり、ソファとテレビのある快適なくつろぎスペースが誕生した。

広々としたLDKをスクリーンで間仕切りし、将来の介護にも対応

LDKにロールスクリーンと半透明の引き戸を取り付け、間仕切りとして使用LDKにロールスクリーンと半透明の引き戸を取り付け、間仕切りとして使用

「老後も快適に暮らせる家」にするため、1階部分はバリアフリーを徹底。車椅子に対応できるよう、トイレのサイズも大きくした。また、老後の使い勝手を考えて、以前は3部屋に分かれていた1階をひと続きのLDKにリフォーム。将来は1階の南西奥のコーナーに介護ベッドを置くことを想定し、リビングから丸見えにならないよう、ロールスクリーンで仕切ることにした。

こうして1階は、仕切り壁のない広々としたLDKに生まれ変わった。だが、それには問題がなかったわけではない。
「部屋を広くすればするほど、冷暖房の効率が悪くなるので、夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。そこで、ダイニングに引き込み式の引き戸を付けて、冷暖房の効果を上げることにしました。引き戸やロールスクリーンで部屋を仕切ってエアコンを入れると、部屋がすぐに暖かくなる。これは、特にやってよかったなあと思いますね」(妻・K子さん)

来客があるときは、引き戸やロールスクリーンを開放してリビングを広く使い、夏や冬には間仕切りをして冷暖房を効かせることもできる。おかげで、広さと快適さ、省エネ効果を兼ね備えたリビングになった、とK子さんは満足気だ。

開放的なキッチンを導入したことで、家族の会話が増えた

家族の会話がはずむペニンシュラキッチン家族の会話がはずむペニンシュラキッチン

1階の南東には、調理台とカウンタートップが一体となった「ペニンシュラキッチン」を配置。両側から家族がキッチンを囲み、配膳を手伝ったりしながら会話を交わせるようになった。

「以前はキッチンとリビングが分かれていたので、食後に皆がリビングでTVを見ている間、母が1人で食器の後片付けをしていたんです。でも、今はカウンターからの視界を遮るものがないので、キッチンで後片付けをしながら、一緒にテレビを見ることもできる。食後も、家族がダイニングで過ごすことが増えたので、以前よりも会話が多くなりましたね」(次女・E子さん)

また、家族が集まるリビングはどうしても雑然となりがちだが、Sさん宅では、ダイニング側のキッチンセットの背面に収納を組み込むことで、家族全員にとって使いやすい収納を実現。キッチンの脇にはロールスクリーンで仕切った収納コーナーを作り、玄関脇にも大きな収納スペースを設けた。

「2階の個室にも収納スペースをたっぷり設けたので、収納が見違えるように楽になりましたね。クローゼットには四季折々の衣類が全部収納できるので、衣替えをする必要がなくなったんです。物の置き場所が決まったので、『あれはどこにしまったかな』と探し回ることもなくなりました」(妻・K子さん)

機能性とデザインを兼ね備えた、ホテルライクな住まいが実現

アクセントウォールを使った玄関。四季折々の飾りつけを楽しんでいるアクセントウォールを使った玄関。四季折々の飾りつけを楽しんでいる

もちろん、リフォームにあたってこだわったのは機能性だけではない。家のインテリアは、E子さんの好みで、ダークブラウン系のシックなイメージに統一されている。2階の個室には、それぞれ色の違うアクセントクロスを使用。玄関の側壁には、厚みの違うタイルを張ったアクセントウォールが設置され、ホテルのロビーのような上質の空間が完成した。
「玄関がきれいになったので、今度は何を飾ろうか、とワクワクしますね。日々の生活の中で、季節感を楽しめるようになりました」とE子さんは語る。

一方、最後まで和室にこだわり続けたSさんの感想は。当初は、和室がなくなったことに戸惑いもあったが、今では、1階のソファのあるコーナーが大のお気に入りだという。
「この家には、1階になんとなく家族が集まってくる楽しさもあるし、1人になりたいときには、引き戸やロールスクリーンで間仕切りして、中にこもることもできる。それぞれ自分の砦(個室)もできたことだし、結果的にはよかったんでしょうね」(Sさん)

『おとな3人リビング』を導入したことで、Sさん一家は理想の住まいを手に入れた。自立した大人3人の快適な生活を実現しながら、いずれ訪れる老後にも柔軟に対応できる、新しい住まいのかたちとは何か。今回取材したSさん宅の事例は、私たちにさまざまなヒントを与えてくれそうだ。

2013年 12月27日 09時56分