ライフスタイルとライフステージに合致したリフォームとは?

旭化成リフォーム マーケティング部 商品企画グループ 福島隼人氏旭化成リフォーム マーケティング部 商品企画グループ 福島隼人氏

晩婚化や非婚化などが進みライフスタイルが多様化する中で、同居する家族構成も変化を見せている。2010年の国勢調査によると、団塊世代を中心とする60代の世帯主の家族構成では、「夫婦のみ」で暮らす世帯よりも「夫婦と単身の子供」で暮らす世帯の方が多くなっているという。

こうした変化をいち早くとらえ、旭化成リフォームが打ち出しているのが「熟年夫婦」+「単身の子供」の大人3人が快適に暮らすためのリフォーム「おとな3人リビング」だ。旭化成リフォーム・マーケティング部で商品企画を行う福島隼人氏は、この商品を開発した背景を次のように説明する。

「前出の国勢調査がひとつのきっかけでしたが、弊社のお客様からも“リフォームはしたいけど躊躇してしまう”という声を多くいただいていました。リタイア前の余力のあるうちにリフォームをしたいという希望があるものの、家にはバリバリと仕事をしている単身の子供がまだ同居している。この先一緒に住み続けるのか、結婚などにより家を出ていくのか、世帯の最終形が見えるまでは手が付けられないというのがその理由でした。確かに個室を含めたリフォームは、今後の家族のカタチが見えないと描きにくいもの。しかしLDK部分であれば、将来を見据えながら現状のニーズに合わせたリフォームができるはず。そこで“おとな3人リビング”を打ち出したのです」

大人3人が集まるリビングこそがリフォームのカギ

同社ではさらにへーベルハウスに居住する大人3人世帯に独自調査を行った結果、リビングの重要性とその問題点が浮き彫りになったという。

「世帯構成が大人3人といえば、テレビを見たり趣味やパソコン作業などを行う場合はそれぞれの個室で行うイメージがありました。しかし実際は、個室よりもリビングで行っていることが調査によって明らかになったのです。ひとりでリビングで行うときもあれば、家族がいながらもリビングで行う場合もあります。特にパソコン作業の場合は、夫は9割方リビングを利用し、子供も自室とリビングの併用が9割を占めました。個室に引きこもるのではなく、何かにつけてリビングに集まってしまう結果、それぞれが持ち込んだモノによりリビングが雑然としてしまうのです」
しかも、そのリビングの片づけや家事を担うのはやはり「妻」が中心。夫婦2人よりも大人3人の方が生活上の利便性・安心・楽しさを感じる一方で、家事の負担が減らないという「妻の不満」が高くなっていたという。

そこで同社では①リビングを各自で片づけやすい収納「パーソナルファニチャー」、②家族の家事協力を促す「回遊型キッチン」、③趣味空間として、時には客間、そして将来的には高齢者の寝室として使える「マルチコーナー」の3つをリフォームポイントとして提案。妻の「お母さん役」からの卒業を促すと同時に、将来への配慮を図るリフォーム商品として提供している。

かつて多かった和室に隣接するリビング。段差のない一続きのスペースで<br />「パーソナルファニチャー」「回遊型キッチン」「マルチコーナー」を実現かつて多かった和室に隣接するリビング。段差のない一続きのスペースで
「パーソナルファニチャー」「回遊型キッチン」「マルチコーナー」を実現

妻が「お母さん役から卒業」できるLDK空間

「パーソナルファニチャー」収納上手の決めては“奥行30cm”「パーソナルファニチャー」収納上手の決めては“奥行30cm”

具体的にそれぞれのリフォームポイントを詳しく見ていこう。まず「パーソナルファニチャー」だが、これは「しまう場所が決まっていれば、おとなは自分で片づける」という発想のもとに、リビングに一人ひとりの専用収納を設けるものだ。
夫が本やモノを出しっぱなしにしておくので、それを妻が片づけると「あれをどこにやったんだ」と後で夫に言われる。そんな光景はどこの家庭でもよく見かけられるが、こうしたことも専用収納があれば自然と各自が片づけられるようになるという。
「特に、当社ではへーベルハウスの入居宅調査の声を活かし、“奥行き30cm”の壁面収納を提案しています。奥行が深すぎると奥のモノが取りだしにくく、結局“だしっぱなし”になっていきます。リビングで使うほとんどのモノは奥行30cmに収まります。収納は床面積より“かべ面積”で必要量を確保し、パッと見てわかる奥行の浅い壁面収納がポイント。取り出しやすい各自の収納スペースがあれば、家族と一緒に集まるモノの“だしっぱなし”状態を自然と解消し、妻の不満も解消されます」

「回遊型キッチン」はキッチンセットの一部を部屋の中央に計画することで、回遊できる動線を設けている。壁に囲まれ一端に寄ったキッチンでは、家族がよかれと思って手伝いに入ってもかえって邪魔になることがあり、結局キッチンは妻のテリトリーとなることが少なくない。間仕切壁をなくし、天井をつなげ、キッチンを回遊型とすることで、家族がキッチンを囲みやすく、自然とみんなが手伝いやすいキッチンになる。
「通常のペニンシュラキッチンでは、ガスコンロやIHなどの加熱機器とシンクが一列に並んでいますが、リフォームでは換気扇のダクトの位置や既存スペースの間口が限られているため、加熱機器とシンクを分離してシンクと作業スペースを対面にする提案を行っています。こうすれば動線がぶつからず、カウンターでお子さんが材料を切ったものを、後ろのコンロで妻が調理するといった自然と家族がキッチンを囲める形になります。いままで何もしていなかった夫も、カウンターからテーブルへお皿を運ぶ、そんなお手伝いがしやすくなります」
また、カウンターの下は収納スぺ―スとしても使えるため、すっきりとしたリビングの実現に一役買うことになる。

「今」と「将来」を両立するマルチ空間

リビングにいると家族と会話しながら趣味もできる(左)、スライドスクリーンでささっと個室に(右)リビングにいると家族と会話しながら趣味もできる(左)、スライドスクリーンでささっと個室に(右)

かつての間取りで多かったのがリビングに隣接する和室。こうした部屋をリビングに取り込みスライドスクリーンで仕切るのが「マルチコーナー」だ。普段はリビングの一部として使用するが、趣味などで集中したい時に仕切れば個室に早変わり。別に住む子世帯が帰ってきたときには宿泊室として、来客時には客間としても使用できる。

「マルチコーナーは、今現在だけでなく将来も見据えています。フローリング部分と段差のない洋室畳敷きを提案しているため、バリアフリーにも配慮がなされています。将来的に必ずやってくる高齢期に夫婦の寝室としても使いやすい空間です」

なんとなくリビングに集まってしまうのは「人の気配」を感じていたい人間の習性というもの。スライドスクリーンの間仕切りであれば、人の気配を感じながらのプライベートスペースを実現できるという。

またこうした間仕切り建具は、空調範囲の調節がしやすい利点もある。広いリビングはいいが、一人でいる時にフロア全体にエアコンを利かせるのは不経済。省エネといった面でも効果的だという。

ライフスタイルに合わせた「二度目の家づくり」

「熟年夫婦」+「単身の子供」おとな3人にベストなリフォームコンセプト。そこに新しいライフスタイルに納得の工夫がつまっている。

単なる設備の入れ替えだけではない「二度目の家づくり」。それがリフォームの真の姿だ。
旭化成リフォームでは、現在同グループの「へーベルハウス」居住者に向けたリフォームの提案を行っているが、そこには様々なライフスタイル、ライフステージに適したリフォームのヒントがある。ぜひ、みなさんにも参考にしていただきたい。

2013年 11月27日 10時05分