まず、リフォーム減税の種類を確認してみよう
住宅のリフォーム工事をしたとき、それが一定規模以上のものであり、その費用に充てるため住宅ローン(リフォームローン)を借りたのであれば、通常の住宅ローン減税の適用を受けることができる。しかし、リフォーム工事が一定の省エネ改修工事またはバリアフリー改修工事に該当するのであれば、独自の制度に基づく「ローン型減税」を適用することもできる。どちらの要件にも該当するときは、有利なほうを選択することが可能だ(重複利用は不可)。
また、住宅ローンを借りずに自己資金でリフォーム工事をした場合にも、一定の耐震改修工事、省エネ改修工事またはバリアフリー改修工事に該当すれば、「投資型減税」を受けることができる。住宅ローンを借りた場合でも、投資型減税のほうが有利であればそちらを適用することも認められる。どの制度を利用するときでも、翌年の確定申告は欠かせない。
なお、一定の耐震改修工事、省エネ改修工事、バリアフリー改修工事に対しては、その家屋にかかる翌年の固定資産税を減額する措置も講じられている。
投資型減税は1年分の控除に限られる
住宅ローンを借りない場合に適用することのできる投資型減税では、2014年4月に実施される消費税率の引上げに伴い、最大控除額が拡充されるのと同時に、複数の工事を併せて行った場合における合計額の制限もなくなる。ただし、負担する消費税率が5%だった場合には、2014年4月以降の居住開始であっても従前の規定が適用されることに注意したい。また、投資型減税において所得税の控除を受けられるのは、その年1年分に限られる。
なお、下表においてバリアフリー改修工事では消費税率の引上げに伴う最大控除額の拡充がないようにみえるだろう。これは税制改正にあたっての条文改定作業に誤りがあり、本来は2014年3月まで15万円だったものが、2013年1月に遡って20万円へ引上げられたことによるものだ。
控除額の計算は、「実際の改修費用」もしくは「国土交通大臣が定める標準的な工事費」のうち、いずれか少ないほうの10%となっているが、2014年4月からは「国土交通大臣が定める標準的な工事費」の10%に統一される。この「標準的な工事費」は、工事個所や内容などに応じて耐震改修工事で7種類、省エネ改修工事で9種類、バリアフリー改修工事で21種類の単価が定められており、実際の工事内容を具体的に決めなければその試算は難しいだろう。リフォーム会社との打合せの中で確認しておきたい。
控除を適用するためには、それぞれ定められた要件を満たさなければならない。耐震改修工事では、1981年5月31日以前に建築された家屋を現行の耐震基準に適合させる工事であることが主な要件だ。住宅の面積や工事費用についての要件は定められていない。それに対して、省エネ改修工事やバリアフリー改修工事では、登記上の床面積が50m2以上であり、国や地方公共団体から交付される補助金などの額を除いた工事費用が30万円(2014年4月からは50万円)を超えることが求められる。
省エネ改修工事では、すべての居室の窓全部の改修工事、その工事と併せて行う床、天井、壁の断熱工事で、改修部位の省エネ性能がいずれも「平成11年基準」以上になることなども要件とされる。なお、2014年4月からは断熱工事に併せて行う高効率空調機、高効率給湯器、太陽熱利用システムの設置も対象に含まれる。バリアフリー改修工事では、工事内容が一定の要件に該当することのほか、居住者の要件として50歳以上の者、介護保険法に規定する要介護または要支援の認定を受けている者、所得税法上の障がい者である者、高齢者等と同居している者のうち、いずれかに該当することが必要だ。
そのほかにもいくつかの細かな要件があるので、工事をするときにはあらかじめリフォーム会社の担当者などに確認すると良いだろう。
ローン型減税は5年間の控除が認められる
ローン型減税では、省エネ改修工事とバリアフリー改修工事が対象となり、耐震改修工事には適用されないことに注意したい。こちらも消費税率の引上げに伴い、最大控除額が少し拡充されることになっている。控除期間は一般の住宅ローン減税が10年間なのに対して、こちらは5年間となる。また、負担する消費税率が5%だった場合に、2014年4月以降の居住開始であっても従前の規定が適用されることは投資型減税の場合と同様だ。
対象となる住宅や工事内容、バリアフリー改修工事における人的要件などは投資型減税の場合とほぼ同じになっている。ただし、ローン型減税を適用する場合には、リフォームにかかる借入金の返済期間が5年以上でなければならない。細かな要件などについては、リフォーム会社の担当者などに確認しておこう。
一般の住宅ローン減税は10年間にわたり控除される
住宅を購入したときに適用される住宅ローン減税は、増改築の場合でも使うことができる。上記の投資型減税やローン型減税の要件に合わないときだけでなく、それぞれの要件に当てはまっていても、一般の住宅ローン減税のほうが有利であればこちらを選択することが可能だ。
ただし、リフォーム工事で一般の住宅ローン減税を適用するためには、一定規模以上の修繕や模様替え、一定の耐震改修工事、一定の省エネ改修工事やバリアフリー改修工事など、工事要件のいずれかに該当し、かつ、その工事費用が100万円を超えること、家屋の登記上の床面積が50m2以上であることなどが要件となる。また、リフォームにかかる借入金の返済期間が10年以上であることも必要だ。
控除期間や控除額などは購入の場合と同じであり、2014年4月の消費税率の引上げに伴い、控除対象額の上限は2,000万円から4,000万円に拡充される。しかし、リフォーム工事の費用が2,000万円を超えること自体が少なく、その恩恵を受けられるケースは稀だろう。
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