2017年はこんな年だった

第45代アメリカ合衆国大統領に就任したトランプ大統領。2017年はこの話題から始まった第45代アメリカ合衆国大統領に就任したトランプ大統領。2017年はこの話題から始まった

トランプ大統領の就任から始まった2017年。
振り返ってみると、衆議院の解散総選挙、日経平均株価の連騰や仮想通貨の盛り上がりとその後のトラブルなど金融周りでの出来事が多い1年だった。

マンション市場も引き続き好調な株価と超低金利政策によって販売は好調と言われていたが、2017年後半には新築マンションの価格高騰から買い控えが発生し、デベロッパー各社も供給を絞り込んで需給バランスを維持する方針に切り替えたため、新規供給が減少する代わりに販売価格が1990年代初頭のバブル期の価格を上回るなど、全国的にも過去最高となった。

中古マンション市場は、新築市場のシュリンク傾向とは無関係に堅調に推移した。もちろん流通価格が新築よりも安価であることが需要を支えた要因だが、住宅ローン減税や低金利の恩恵はほぼ新築同様に受けられること、またここ数年活況を呈しているリフォーム&リノベーションで”新築では得られない自分らしい住み方やライフスタイル”を志向する購入者が増加し続けていることも要因の一つだろう。

結果的に、首都圏では統計を取り始めてから初めて新築マンションと中古マンションの販売戸数が逆転し、中古流通戸数が新築を上回るという現象によって2017年のマンション市場は幕を閉じた。まさに「フローからストックへ」の時代の始まりと言っても良いだろう。

5年間上がり続けたマンション市場

少し遡ると、2008年のリーマンショック以降、低水準で推移していたマンション価格は、アベノミクスが始まった2012年、ようやく復調の兆しを見せ始めた。前年の東日本大震災の経験から、最新の耐震機能・災害対策などを備えた新築マンションに人気が集まり、特に制震・免震装置のついた大規模タワーマンションの高い人気は新築信仰を強め、マンション価格の上昇を促進することになった。

もちろん超低金利政策もマンション購入希望者の背中を押したことは間違いないが、効率的で快適な都市型生活を送る上で「安心」と「安全」というキーワードが強く意識され始めたことが、新築マンション購入に向けての推進力になったことは否めない。

同時に、新築の値上がりによって中古マンションも人気エリアから徐々に値上がりし始めた。予算オーバーになった新築を諦め、築年数の浅い機能的な中古マンションへと目が向けられ始めたのが2013年以降の傾向である。
上記の通り、低金利で月々の負担が軽くなったことや、ローン減税の拡大なども追い風となって、中古マンションの需要は現在に至るまで堅調な伸びを維持し続けている。
2016年になると、仲介会社も中古マンションの需要増を受けて、築浅物件やタワーマンション、市街地中心部に立地する利便性の高い物件を中心に強気な価格設定をし始める。マイナス金利の導入による需要拡大への期待と、消費税増税後の落ち込みを見越しての動きでもあったとも考えられる。

しかし、消費増税の延期によって新築マンションへ駆け込み需要は急速に減退し、それに応じて供給を“売れるエリア”に絞り込み始めた新築に対して、市場に流通する物件数が豊富で予算に応じて選択可能な中古マンションに、結果的に一層目が向けられることとなった。冒頭述べたように、背景にリフォーム&リノベーションによって住生活の満足度を高めようという意向があったのに加え、新築と中古の価格差の拡大が、中古マンション購入へと需要者を向かわせたと見ることができるだろう。そして2017年、首都圏で中古マンションの流通戸数(成約ベース)が新築マンション供給戸数を超えるという現象に至る。

このように、マンション市場はアベノミクスによるマイナス金利政策、消費増税見送りという“外部環境”の劇的変化を受けて、大きく変化している。具体的には、2012年以降の5年間で首都圏のほぼ全ての駅で中古マンション価格が上昇したのである。実際どの程度価格が変動したかは、LIFULL HOME’Sのサイト「見える!不動産価値」で全体的な傾向や、地域ごとの価格の動きなどを直感的に理解することができる。
以下、具体的に見ていこう。

大規模タワーマンション人気は、首都圏のマンション価格の上昇を促進大規模タワーマンション人気は、首都圏のマンション価格の上昇を促進

首都圏の多くの駅で中古マンションの経年価格変動率がプラス遷移

例えば、5年前に買った築10年3,500万円の中古マンションが、2017年には4,200万円になっている。
そんな状況が、東京都内だけでなく神奈川県、千葉県、埼玉県内の主要駅で起こっている。東京都内のマンション価格は、千代田区や港区などの都心を頂点として、郊外に向かうに連れて富士山の裾野のように緩やかに低下する傾向がある。最も高いエリアにある表参道、代官山、青山一丁目は変動率も最高の133.5〜135.5%となっており、価格が高いだけでなく価格上昇率も高いことがわかる。

また、新築の供給が多く人気の高い湾岸エリアは勝どき129.7%、月島125.4%、豊洲120.9%とそれぞれ120%を超え、住みたい街ランキングの常連である中央線沿線の吉祥寺、荻窪はそれぞれ125.7%、127.0%、立川も120.3%と高い。さらに、渋谷から横浜方面に延伸する東急東横線沿線では軒並み125%を超えている。

神奈川県内では神奈川経済圏の中心である横浜と、横浜への交通アクセスが良好な駅はその利便性故にマンション価格も高い。中でも特に開発が進んだのは武蔵小杉である。5年間での経年変動率は県内最高の131.7%となり、価格帯も最高値だ。横浜の変動率が127.4%なのに対し、南武線の登戸から八丁畷間のほとんどの駅で126〜128%の変動率となっているのは、武蔵小杉の発展が大きく影響していると言ってよい。

そのほかの駅も変動率は高く、少し都心から距離のある、小田急線の新百合ヶ丘や京浜東北線の戸塚、藤沢なども120%超えとなっている。そして、横浜から都心を経て大宮に向かう京浜東北線では、南浦和から大宮間が今や埼玉県の最高価格帯エリアだ。ここは再開発指定区域になっており、大規模なマンション開発がしやすいこと、また各省庁の出先機関も多いことから公務員を中心に需要が伸びたと考えられる。結果、浦和は128.6%、さいたま新都心は130%に迫る変動率となった。

さらに、都内にアクセスしやすい駅や路線は需要が高く、埼玉では東京都に隣接する川口、戸田、和光市などが住宅地として人気になっている。和光市のマンション価格水準は5年前の時点では頭一つ抜けていたが、変動率は116%に留まり、2017年には大きな伸びを見せる浦和が、最高価格帯エリアとして肩を並べる状況になっている。千葉では埼玉県内と同様の理由で、京葉線、総武線、東京メトロ東西線に人気が集まり、市川や浦安、新浦安の価格が高い。
他地域と少し状況が違うのは、人気の集まりやすい駅だけ変動率が高いというわけではないことだ。例えば北国分は、市川や新浦安を少し上回って113.9%となっている。これは、都心への通勤時間が同程度の場合、埼玉や神奈川に比べて安価な地域が多いことから、東京に近いエリア全域で需要拡大が起こっているためだ。

ただし、都心へのアクセスが決して良いというわけではない流山おおたかの森の伸びには別の理由がある。駅前を中心とした再開発が進み、街並みも綺麗に整備されて、湾岸エリアのタワーマンションとは違った横に広い大規模な郊外型物件(板状型マンション)がこの5年で大量供給された。住宅を購入するだけでなく、教育や生活にもきちんとお金をかけたいという、経済的なバランスの中で生活環境を重視する子育て世代へのアプローチが成功した好例と言えるだろう。

首都圏の多くの駅で中古マンションの経年価格変動率がプラス遷移となり、東京都内だけでなく神奈川県、千葉県、埼玉県内の主要駅で起こっている首都圏の多くの駅で中古マンションの経年価格変動率がプラス遷移となり、東京都内だけでなく神奈川県、千葉県、埼玉県内の主要駅で起こっている

人気のある駅が「買い」の駅なのか?

湾岸エリアや武蔵小杉、浦和などが交通条件や生活利便性とのバランスから「買い」という結果に湾岸エリアや武蔵小杉、浦和などが交通条件や生活利便性とのバランスから「買い」という結果に

一義的に、価格帯と変動率の高さに注目すれば、湾岸エリアや武蔵小杉、浦和などが交通条件や生活利便性とのバランスから「買い」という結論が導かれる。しかし、急激に利用者数の増えた駅およびエリアではある種の”歪み”も窺われるようになってくる。それは通勤&通学ラッシュや、幼稚園や学校、病院や図書館など各種の公共施設、社会インフラの不足だ。

交通インフラや公共施設の整備は、民間のマンション開発に合わせて進められるわけではない。長期的に不足や不便が解消されない場合、需要の低下を招く可能性もある。周辺施設の有無だけではなくそのキャパシティはどうか、都心や職場への単純距離としての近さだけでなく時間帯による通勤快適性はどうかなど、希望する生活スタイルに支障がないかも重要な要素になってくる。
最近では、都心から比較的遠い駅の通勤負担を緩和するために、小田急線や京王線などで通勤時間帯の有料座席指定列車を運行し始めている。またこれと反対に見える動きとしては、通勤快速や急行などが増えたことで途中駅に停車する電車が減少し、混雑が拡大していた東急田園都市線では、朝の快速運転を取りやめることで緩和を試みるなど、鉄道各社で実に様々な工夫がなされている。また、武蔵小金井のように市と協力してマンション開発と駅周辺開発を同時に一括して行い、生活利便性の高い環境創りを目指す事例もある。

こうした状況も考え合わせると、直近の人気だけでは「買い」の判断は難しく、10年20年という中長期での生活環境に対するイメージや、将来の自分の生活スタイルを見据えて選択の幅を広く持っておくことが生活上級者にとってのポイントになるだろう。

大切なのは、資産価値と市場ニーズのトレンドを知ること

基本的には建物は築年が進むにつれて価格(=使用価値)が下がっていくため、この5年間のような中古マンションの価格上昇トレンドは、例外的なものと見るべきだろう。実際に「買った時より高く売れる」マンションを選ぶのも決して簡単なことではないし、災害や事故など想定外の事象も発生することを考慮すれば、高く売り抜けることを考えるのではなく、住宅ローンの返済以上に元本である資産価値が目減りする(=オーバーローン)状態になる可能性の高い物件の購入を避けることのほうが重要だ。

では、この先のマンション選びはどのように考えれば良いだろうか。
もちろん、交通利便性や快適性、生活利便性、周辺の安全性を考慮することは重要でこれはもはや基本条件とさえ言えるだろう。それに加えて、マンションの資産価値と市場ニーズがどのようなトレンドなのかを「知っておく」ことが重要になる。

現在の理想の生活スタイルと、将来ライフステージが変化する折にどのような住まい方をしていくか。将来のライフステージの変化をイメージする際、手元の資産価値を知っていると、より現実に即した将来像が見えてくる。

そのためには、「見える!不動産価値」などのサービスを活用し、不動産のトレンドや市場ニーズをしっかり押さえて自分のマンションを賢く使いこなすことが当面の、そして将来の”生活防衛手段”になることを覚えておきたい。

▼マンションの資産価値や市場ニーズをチェックする
「見える!不動産価値」: https://www.homes.co.jp/owner/

マンションの資産価値と市場ニーズがどのようなトレンドなのかを「知っておく」ことが重要マンションの資産価値と市場ニーズがどのようなトレンドなのかを「知っておく」ことが重要

2018年 05月21日 11時05分