ビッグデータの活用

近年におけるIT技術の進化とビッグデータといわれるような情報蓄積技術・分析技術の進歩は市場の進化をもたらすことが期待されている。つまり、市場そのものの構造や有り様を大きく変化させることが予想されている。

このような流れの影響をもっともうける市場の一つが、住宅市場である。
その理由としては、前述のように情報の整備の遅れや情報の非対称性の大きい市場であるがために新しい技術の影響を受けやすいためである。逆説的に考えれば、そのような市場の変革の流れをうまく利用し、社会課題を解決する中での社会的利益、それに伴い発生する経済的利益を享受できるような市場へと変革させていく可能性が高いその意味で成長領域とも言える。

このような動きに伴う市場変革の速度を高めるためには、単に情報を生産するだけでは不十分であり、情報流通のルールを確立することが求められる。
具体的には、前述のように製造段階での情報から第一次保有段階での情報、そして第二次…第n次段階への所有者が入れ替わったとしても当該住宅固有の情報が蓄積されていくルールを明確にしなければならない。
そして、その情報が比較可能・分析可能な状態にする必要がある。

ビックデータが市場にイノベーションを起こす可能性

情報が生産され、蓄積され、流通されていく中でビッグデータとして様々な形でのデータの融合が始まる情報が生産され、蓄積され、流通されていく中でビッグデータとして様々な形でのデータの融合が始まる

さらには蓄積された情報は、広告情報・指定流通機構への登録情報、住宅金融システムでの担保評価情報、契約情報、とすべて連動可能な状態にすることで社会的なコストを大きく低下させることができる。

英国・米国では、民間団体が中心となって投資用不動産に関する情報の共通のコードを構築することで、不動産市場と金融市場との情報融合を一気に進めたケースもある。住宅市場も広い意味での投資市場であることを考えれば、また、日本特有の住宅市場の特性を反映させるためにも、その市場特性を十分に踏まえた情報コードを策定し、その情報を更新する主体と改めて情報に関する責任を明確にしていくことが必要であると考える。

このような情報が生産され、蓄積され、流通されていく中でビッグデータとして様々な形でのデータの融合が始まる。例えば住宅情報と地図情報との融合、政府が進める公的な地域詳細データとの融合、金融情報との融合などである。このように生産された情報と分析技術が結びつくことで、いわゆるビッグデータによる様々な新しい情報が生み出され、市場にイノベーションを起こす可能性が高くなるであろう。
また、産業全体の生産性の向上に寄与することで、新しいビジネス形態が生まれてくるものと考える。

金融イノベーション

住宅市場と住宅金融市場は表裏一体のもので、住宅価格が適切にプライシングすることができれば住宅金融システムが安定化し、住宅金融市場が適正に機能すれば住宅市場も活性化する。

一般に住宅ローンは、長期の個人ローンとしての性格と不動産担保融資としての性格を併せ持っている。特に後者の立場に立てば、長期的な視野に立った資産価値の維持はきわめて重要な問題となる。
適切にプライシングが実施できるためには、住宅に関する品質と価格に関する情報が量的・質的両面において整備されていることが必要となる。
その上で住宅金融システムにおいて求められる価格とは、現在の価値というよりもむしろデフォルトが発生した段階での将来価格(中古価格)である。そのようなことを実現していくためには、リスク評価が可能な広義の不動産価格指数の開発が必要とされるが、現在の情報インフラの状況下では一定の限界がある。

つまり一連の議論の中で整理してきたように、情報が不足することでプライシングモデル・リスク管理モデルを開発することを妨げているのである。それによって、精緻なリスク管理を行うことが困難なことから、不当に高くリスク量が設定されたり新しい金融商品の開発が困難な状況にあったりする。
逆に先に示したように、ビッグデータ解析が進むことで従来は不可能と考えていたようなリスクを金融機関がとれるようになったり、一層多くのリスクがコントロールできるようになったりすれば、住宅市場を適正な水準まで拡張する可能性も出てくる。

具体的にはノンリコースローンやリバースモーゲージ・ホームエクイティローンだけでなく、新しい住宅金融商品の開発を促す可能性が高くなる。または限定された住宅市場から、一般化された市場へと成長させることができる。

このような技術の進歩は、リノベーション事業などにおけるクラウドファンディングなどを通じた新しい資金の担い手を誕生させることも容易にする。

金融イノベーションを起こすことで、住宅市場を活性化させる

それでは、どのようにしたらこのようなことが実現できるのであろうか。このこともまた取引価格情報などを含む情報整備と密接に関係してくる。

金融リスクの評価とビッグデータとの親和性が高いものの、情報がなければいくら技術が発展してもその恩恵を受けることができない。情報整備や様々な情報との融合が進むことで、住宅ローンの審査やリスク管理が一層容易になり、従来では限定的にしか実現できていなかったノンリコースローンやリバースモーゲージなどを適正な水準にまで拡大させるだけでなく、クラウドファンディングまたはそれ以外の新しい性質の資金を住宅市場に参入させる可能性を高めるであろう。

つまり、金融イノベーションを起こすことで、住宅市場を活性化させるという循環を作ることが可能となるのである。

※住宅新産業研究会 提言:「透明で中立的な不動産流通市場の条件~情報流通整備と新産業の重要性」

情報整備や様々な情報との融合が進むことで、住宅ローンの審査やリスク管理が一層容易になり、従来では限定的にしか実現できていなかったノンリコースローンやリバースモーゲージなどを適正な水準にまで拡大させるだけでなく、クラウドファンディングまたはそれ以外の新しい性質の資金を住宅市場に参入させる可能性を高めるであろう情報整備や様々な情報との融合が進むことで、住宅ローンの審査やリスク管理が一層容易になり、従来では限定的にしか実現できていなかったノンリコースローンやリバースモーゲージなどを適正な水準にまで拡大させるだけでなく、クラウドファンディングまたはそれ以外の新しい性質の資金を住宅市場に参入させる可能性を高めるであろう

2016年 03月31日 11時05分