1997年は消費増税「後」の景況感が悪かった

1997年のデータを見る限り、消費増税は一時的にはマンション販売のネガティブ要因と考えられるが、実際はどうだったのか?1997年のデータを見る限り、消費増税は一時的にはマンション販売のネガティブ要因と考えられるが、実際はどうだったのか?

2013年10月1日、安倍首相が2014年4月1日からの消費税8%への引き上げを正式に発表した。これで経過措置対象物件および2014年3月末までに引き渡し可能な物件を除き、新築マンションの建物部分にかかる消費税は8%になる。中古住宅は原則として個人間売買なので、一般仲介の場合は建物にも消費税は発生しないが、仲介手数料は2014年4月1日以降8%になる。

この時期にマスコミ各社から頻繁に受けたのが「前回の1997年当時は消費増税後にマンション供給が激減して価格も下がったと聞いたが、今回はどうなると考えるか」との質問だった。
データを基に概説すると、例えば首都圏では1994年以降3年間9万戸台の大量供給が続いていたが、1997年は79,957戸、翌1998年も74,669戸と1万戸~1.5万戸減少し、新築マンションの平均価格も1997年の4,367万円が翌1998年には4,041万円へと7.5%下落している。このデータを見る限り、消費増税は一時的にマンション販売のネガティブ要因と考えられるが、新規の供給戸数は、1997年に減少したと言っても現状の年間5万戸を2.5万戸も上回る水準で翌々1999年には97,000戸台に戻しているし、また分譲価格も1999年に4,036万円へと続落し、2000年には3,932万円と4,000万円を割り込んでいる。

実は、前回の経済環境下では消費増税のマンション市況に与えた影響は決して大きくなく、山一証券や北海道拓殖銀行などの大型倒産が相次ぎ発生し、金融危機を迎える局面だったことが消費全体を冷やしたと見るべきだろう。

最大の違いは「地価動向」

1997年と現在とで最も異なる不動産市場のファンダメンタルズは地価の動向だ。
1997年前後の地価は、前年から毎年5~7%下落する「資産デフレ期」の真っ只中であったのに対し、現状は9月に公表された基準地価でも明らかなように都市圏の中心部では既に上昇し始めており、マンション供給の盛んなエリアでは上昇基調にある。
つまり1997年当時は地価が下落していたので、消費増税後も毎年マンション価格を下げて販売できたというのが、その後の大量供給を支える大きなポイントだったのである。
また、1997年前後はこのような理由で新築マンションの大量供給期だったが、現在は首都圏でも5万戸に届くかどうかの水準で、地域ごとの価格競争も起きにくい状況にある。さらに、1997年は消費税が1度限り2%の引き上げだったのに対し、今回は予定通りであれば2回に分けて合計5%の引き上げとなる点も見逃せない相違点である。

このように地価動向、マンション供給動向が当時と大きく異なるため、1997年のように消費増税後に新築マンションの価格が1割近く急落するとは考えにくく(もちろん売れ残りは下げるだろう)、むしろデベロッパーは供給を絞り込むことによって価格を維持する戦略に出る可能性が高いと考えている。加えて7年後の東京オリンピックを控えて中長期的に資材価格が上昇する可能性、および労務費・人件費の高騰もあり、マンション価格は2015年以降需要の減退で大きく下落する、というシナリオが描けない状況にある。

ポイントは「金利動向」

1997年当時と現状で異なることがもう一つ。それは住宅ローン金利の水準だ。
当時は10年固定金利も変動金利も4~5%と明らかに高い水準にあったが、現状は10年固定が1.6%前後、変動金利に至っては提携ローンの金利が0.775%という“超低空飛行”が続いている。
日銀が国債保有率を着々と高める状況にあっては、長期金利が早晩上昇に転じる可能性は極めて低く(アメリカの金融緩和縮小によって長期金利が上昇し、日本の長期金利も“連れ高”になる可能性は指摘されている)、この超低金利が消費増税期である2015年まで継続すれば、市場への影響も軽減できる可能性が高まる。日銀の国債大量購入を通じた“長期金利の低位誘導政策”は不動産市場にも大きな影響を与えている。
消費増税期こそ、長期の住宅ローンを組んで購入しなければならない住宅・マンションの特性を考慮して、金利の動向に注目し続ける必要があるだろう。

1997年vs2014年 消費増税期環境比較1997年vs2014年 消費増税期環境比較

2013年 11月14日 10時48分