猫と幸せに暮らす、猫も幸せに暮らす住まいとは
2月22日は「猫の日」だ。「ニャンニャンニャン」という猫の鳴き声にちなんで1987年に制定された。
古代エジプトで既に家畜化されていたといわれる猫は、日本でも古くは穀物を食い荒らすネズミを捕食する益獣として重宝された。その後、生活スタイルの変化とともに猫に求められる役割も変化し、現在では生活に癒し・安らぎを与えてくれるペットとして、重要な役割を果たしている。
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2017年に全国の猫の飼育頭数はそれまでトップであった犬の飼育頭数を超え、名実ともに日本で最も馴染みのあるペットとなった。飼育のきっかけは「拾った・迷い込んできたから」が30.3%であり、犬の1.9%に対して約16倍だ(「令和元年 全国犬猫飼育実態調査」より)。環境省が「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」で、猫について「室内飼育に努めること」と定めているものの、放し飼いにされることが多い実態がうかがえる。1年間の殺処分数も2万7,108匹と、犬の殺処分数の4倍以上である(2019年度)。
猫を放し飼いにせざるを得ない一因が、住環境の問題だ。爪とぎなど、家を傷つけてしまう習性をもつ猫は、賃貸住宅では犬と比べてオーナーから敬遠されやすい。また、前出の調査では若年層ほど「十分に世話ができない」と答える人が多い。適切な飼育を普及させるためには、これらの懸念を軽減する手段が必要になるだろう。
では、住宅分野でその課題解決に向けた動きはあるのだろうか。近年の猫ブームや、入居者獲得競争が激化する賃貸住宅市場を背景に、「ペット可」を謳う物件や、猫との共生をコンセプトに打ち出す住宅は増えている。地域住民が共同で猫の世話をする仕組みを取り入れ、世話ができないという不安の払拭を試みる住宅や、中には、猫をきっかけとしたコミュニケーションによって社会課題の解決をもめざそうとする住宅も生まれている。
今回は、猫も人も幸せに暮らす住まいや取組みを過去記事から特集する。
私たちの暮らしに癒しや安らぎを与えてくれる猫。長きにわたり共生してきた人と猫である。私たちが猫と幸せに暮らせるということは、猫にとっても幸せに暮らせるということだ。
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