建設業の人材不足が懸念される中で、解決策の一つとして期待されているのが特定技能外国人の存在だ。一方、今年(2026年)5月には外食業分野で特定技能1号が受け入れ上限の5万人となったため受け入れ停止になった。出入国在留管理庁によると、建設業界では2026年3月末時点での充足率は67.2%の5万1,055人となっている。今後年間1万人程度増加すると想定した場合、2年ほどで受け入れ人数が上限の7万6,000人となる見通しだという。これは業界として深刻に捉えるべき問題なのだろうか。

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【NEWSクローズアップ】大東建託グループの技能実習生受け入れについて、送り出す人材の質向上に向け試験対策の支援にも注力(住宅産業新聞)

大東建託は特定技能2号人材への移行を支援

大東建託では「協力会社に対して、監理団体や現地の送り出し機関の紹介を行うことで、側面的なサポートをしている」という。

建設業界では現在、職人のうち55歳以上は全体の3割を占めており、2030年には団塊世代の職人が一気に引退していくこともあって、技能労働者不足が深刻化することが予想されている。そのため同社では、「そこに向けて若年層の人材を送り出す方法の一つが特定技能外国人の制度になる」という認識を示している。

同社では、建設業の特定技能1号の受け入れ人数が上限に達した場合、「上限枠の拡大がない場合は、単に人材を送り出すだけではなく、人材の質を上げて送り出す必要がある」と考え、特定技能1号から2号に移行するための試験対策として、教材などの支援をしている。

さらに同社では賃貸物件の9割以上が2×4工法で建てられていることから、「枠組壁建築技能士の技能検定に合格していただき、特定技能2号評価試験を受けなくても良い状況をつくっていく」としており、特定技能2号に必要な特定技能2号評価試験か単一等級の技能検定を持った外国人人材を増やすことを考えている。同社では試験費用負担のほか、合格者には支援金を出すなどの取り組みを行っている。

育成・紹介を手掛ける会社の考え方は

それでは、技能実習生および特定技能外国人の育成・紹介などを手掛けている会社は、どのような見方をしているのだろうか。

KNDコーポレーションでは、特定技能1号の受け入れ状況について「支援機関の中には、外食業分野が受け入れ上限に達し、新規の在留資格認定証交付が一時停止したことなどの状況を見て、若干の警戒はあったものの、それほど切羽詰まった状況ではない」とみている。「多くの企業は特定実習生3年+特定技能1号5年を合わせた8年間は日本で就業してほしいと考えて面接をしている」という。さらに、「昨年10月から受け入れ人数の上限がない特定技能2号に移行する合格者が50%を超えている月もある」と指摘している。同社も試験対策などに取り組んではいるが、「仮に10人の特定技能1号のうち5人が2号に移行すれば、今年あるいは来年には頻繁に1号を入れずに済む状況になるのではないか」と分析している。

2027年4月から、「技能実習」に代わる「育成就労」の制度が施行されるが、同社では「企業の中には駆け込み需要で、技能実習生の採用を増やしている」ということもあって、「技能実習で採用された人たちが、そのまま特定技能1号に移行した場合は、結果として上限に近づいていくことになる」との見方を示す。

なぜ駆け込み採用が発生するのか。それは「技能実習」と「育成就労」の制度の違いにある。「技能実習」は技能実習2号を修了した場合、特に試験を受けずに特定技能1号に移行できるが、「育成就労」の場合は、技能試験合格および日本語試験「A2」相当という2つの条件を満たすことが必要となるからだ。同社では今後の見通しについて「育成就労制度」は3年間の育成期間を通じて、外国人材を特定技能1号の水準まで引き上げるという明確な目的があるため、「仮に建設分野の受け入れ人数が上限に到達して特定技能1号に移行できなかった場合、制度そのものの建前が崩壊してしまう」と懸念している。

「外国人材とどう向き合うか考えるべき」との声も

一方、Proud partnersは今回の外食業分野の受け入れ人数が上限となったことについて、「来日を希望する外国籍人材の多くは仕事を辞めて半年以上勉強し、『これからビザを申請する』というタイミングで受け入れを打ち切られてしまった。これでは何のための勉強期間だったのかと思われても仕方がない」と語ったうえで、「ある意味で、良くない前例ができてしまった」と危惧している。

建設業の特定技能1号の受け入れ人数が上限に達するまでに約2年の期間があると考えた場合、企業にできることは何があるのだろうか。同社では「特定技能1号から就労可能期間の上限がない2号に切り替えるための支援体制について、自社で整備するか、外部企業にアウトソーシングするかを考えていくことで、本人が希望すれば日本で恒久的に働けるようにサポートしていくべきだ」と語る。

同社の場合、1号から2号に切り替える割合は建設分野で3割程度。「小テストやレポートを送って勉強をしてもらい、それに対してフィードバックをすることや、企業の要望に応じて対面授業を実施する取り組みを行っている」という。
技能実習生の受け入れ人数の上限拡大についても検討するべきだが、同社では「外国籍人材とどう向き合っていくか世論形成がされていない段階において、安易に増やすのではなく、議論が必要」との認識を示している。

荒 潔の一戸建てニュースピックアップについて

住宅産業新聞記者の荒 潔氏が、一戸建ての業界に関わる方なら知っておくべきという観点でニュースを厳選し、豊富な経験に基づくコメントとともに伝えるコーナー。業界関係者はもちろん、一戸建てを探す人にとっても、重要な動きを理解できるほか、新たな視点を得ることができるはずだ。