延喜式に名を残す格式ある神社で家相・風水鑑定

厄除け桃方位盤が印象的な「大津神社」厄除け桃方位盤が印象的な「大津神社」

大阪府に、宮司が家相や風水の鑑定を行っている神社がある。それは、1000年以上この大津という地に鎮座している「大津神社」だ。そもそも何故、神社の宮司が鑑定をするようになったのか?少し気になるところだ。それには、まず神社の歴史をみてみる必要がある。

この神社の歴史は古く、現在は泉大津市となっているこの大津(おおつ)という地名を、小津(おづ)と呼んでいた平安時代にまでさかのぼる。当時は港だった小津は、935年ごろ完成したといわれる日記文学『土佐日記』にも記述があり、1020年からの約40年間を綴った『更級日記』には、大津と書かれているという。当時、太平洋沿岸で勢力を誇った忌部(いんべ・のちに斎部となる)氏の一族、粟氏が小津に住み着き、氏族の氏神・天太玉命(あめのふとだまのみこと)を祀ったのが始まりとされる。後の時代に、集落の鬼門にあたる現在の場所に移されたという。天太玉命は、天照大神が天岩戸に隠れたおり、勾玉の玉飾りや鏡、真榊などを捧げ持ち岩戸の前で祈ったとされる占いや祭具を司る神様だ。

当時は「粟神社」と呼ばれ『延喜式巻第九』にもその名が記載されている。延喜式(えんぎしき)とは、全五十巻からなる平安時代中期に編纂された格式で、巻九・十は「延喜式神名帳」といわれ神社の一覧表になっている。この延喜式に記載がある神社は当時、朝廷から重要視された神社であり、一般に式内社と言って社格の一つとされた。

大津神社の宮司・籔野 信氏は「この神社でいつから家相や風水の鑑定をはじめたのかは定かではないのですが、少なくとも江戸時代にはそういったことをしていたようです。忌部氏は、真榊や鏡といった祭具を造る氏族だったこともあり、もしかするとその当時からそういったことをしていたかもしれませんね」と語る。

籔野氏は、先代の宮司となる祖父が残した家相や風水に関する古い書物を今も大切に保管し、代々受け継いだ家相と風水の鑑定を自ら行っている。

鬼門を避けて家を建てる理由って何?

宮司・籔野氏が鑑定をはじめて約30年、その豊富な経験からみた家相と風水とは、どういったものなのか気になるアレコレを聞いてみた。まずは、みんながよく知っている「鬼門」について質問してみた。

「鬼門の場所を避けて何故、家を設計するのか?」という初歩的な質問に対して籔野氏は「家相とは、家の中心から方位をみて、正中線(東と西、南と北を結ぶ十字の線)と四隅線(北東から南西、北西から南東を結ぶ×字の線)を引いて鑑定をはじめます。北東から南西を結ぶ線を鬼門線といい、北東を鬼門・南西を裏鬼門といいます。鬼門は陰陽五行でいう相克の関係にあり、その角を切ることで鬼門除けとしています」と、ちょっと難しい話しになるが、ここまでは何となく分かる気がする。

ただ「鬼門は、陰陽五行でいう相克の関係にある」とはどいうことなのか?
陰陽五行とは、月(陰)と太陽(陽)といように自然界のあらゆる物を陰と陽に分け、天地万物は『木・火・土・金・水』の5つの要素で構成されていると説く思想のことだ。木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生む、という相性の良い循環性を指すものと逆に、木は土から養分を吸い取り、土は水をせき止め、水は火を消し、火は金を溶かし、金は木を切り倒す、という相性の悪い相克の関係ともなる。

そこで、下記の「九星・九宮定位盤(後天)の図」を使って話してくれた。その図には9つのマス目があり、それぞれに『木・火・土・金・水』などが配置されている。鬼門にあたる左下の隅は“土”で、その右隣は“水”、また“土”の真上は“木”になっている。これら『土と水、土と木』は、相性の悪い相克の関係になっているというわけだ。この角を切る(なくす)と、水から木へと相性の良い流れが生じるというのだ。なるほど納得だ!

京都御所の北東の角は「猿ヶ辻」と呼ばれる鬼門除けの角切りがされている、尚かつ御幣(ごへい・神道の祭祀に用いるもの)を抱いた猿の彫り物も納められている。京都の鬼門封じとなる延暦寺の山には猿がおり、神の使いとされたことからこの場所に猿をもちいたという。

「九星・九宮定位盤(後天)の図」白い矢印は相性が良く、しま模様の矢印は並列または同一であり、黒い矢印は悪い関係を表す。「九星・九宮定位盤(後天)の図」白い矢印は相性が良く、しま模様の矢印は並列または同一であり、黒い矢印は悪い関係を表す。

家相では、欠けや張りはどう解釈される?

陰陽五行の相関図。白い矢印は相性の良い流れ、黒い矢印は相性の悪い相剋の関係を表している。陰陽五行の相関図。白い矢印は相性の良い流れ、黒い矢印は相性の悪い相剋の関係を表している。

住宅の建築図面の平面図をみると四角形や長方形など、様々な形をした家があることに気付く。近年では生活スタイルや敷地の形状などから変わった形の住宅や、外観からでっぱりやへこみが見てとれる住宅を目にすることも多い。家相とは、間取りはもちろん建物の形にも注目し鑑定を行う。

家相の中に、家(建物)の凹みや凸をさす「欠け」や「張り」というものがある。欠けは凶相で、張りは吉相という見方をよくされるがその点については、どうだろうか。

籔野氏は「張りは、良い相・方位だから張り出して、その部屋を広くとろうとするし、鬼門除けのように悪い相・方位だと欠けを作って流れを良くしようとするんです。欠けは良くないものと思い込み、どんな欠けもダメだと勘違いしている方もいらっしゃいます。でも、実際にはどこがどれだけ欠けているかによってその見方は変わるため、一概にダメとは言えないのです。例えば、九星・九宮定位盤(後天)の図でいうと左端の中央に“木”があり、その上にまた“木”があります。どちらの“木”が欠けても流れは“木”→“火”に循環する良い相性なので問題ありません。陰陽五行に基づいた欠けの話しならいいんですが、世の中には陰陽五行に関係なく欠けや張りに関する誤認されるような情報が横行しています。それは、とても残念なことだと思っています」と簡略ながらその道理について話してくれた。

さらに、話しはこう続く「風水には、八方位を示す八宅盤(はったくばん)というものがあって、そこには四つの吉方位と四つの凶方位、そして延命や禍害といった八遊星(はちゆうせい)が記されています。この八宅盤を使って家の中心からみて、どの方位が吉凶なのかとか色々みるんです」と。そして「四つの吉方位と四つの凶方位からも分かるように、全方位が吉相になる家は無いんですよ」とも語ってくれた。

凶相を弱めるための方法

家の中心からみた「正中線」と「四隅線」。この線をもとに玄関やキッチン、居室といった間取りをみる。
(イメージ図のため各線は正確ではありません)家の中心からみた「正中線」と「四隅線」。この線をもとに玄関やキッチン、居室といった間取りをみる。 (イメージ図のため各線は正確ではありません)

では、全方位が吉にならないのなら、どう対処するのだろうか。それには、陰陽五行に習い化殺(かさつ)という方法をもちいて、力を弱めたり強めたりするのだという。
例えば、八遊星をもちい鑑定した結果、玄関の位置が凶で陰陽五行でいう“金”の方位だったとする。この“金”の力を弱め良い流れにするために、相性の良い“水”に関するものを配置する。“水”は色でいうと“黒”になるため黒っぽい玄関にするとか、玄関に水槽を置く、玄関の外に水栓を引くといった策を講じるというのだ。また、この場合“金”の力を強める金の置物やドアノブなどは、玄関には使わない方が良いという結果になる。

籔野氏は「鑑定をしてその人に合わない家相は、購入前なら進めないこともあります。が、購入して住んでいるならなんとかしないといけないので、良い相は良いように使い、悪い相は化殺を施し、力を弱めるという方法などをお伝えしています」と穏やかにそして凜とした口調で話されていた。

そして、「鑑定にお越しになられる方のほとんどは、自分の中に答えをもっておられる方が多いように感じます。ただ、それを確認したい、背中を押して欲しいという思いでやってくるのではないかと思うんです。意識しているのか無意識なのか分かりませんが、その方がこうしたいと思っている琴線に触れなければ、私がいくらこうした方がいいと言っても、動こうとはしないのです。自分の考えを判断するための手段としてここへ来られている気がします」と話してくれた。

本文では、一般的に多い事柄について質問したが、次回【家相と風水②】では
家の鑑定に必要な「3つの相」などについて紹介する。

取材協力:大津神社
http://otsujinja.com/

2014年 04月30日 10時51分