侵入盗に狙われやすい一戸建て住宅
年末年始は、実家への帰省や海外旅行など長期間自宅を留守にすることが多い時期。そして、空き巣にとっての書き入れどきである。今年は新型コロナウイルスの影響で、帰省や旅行を控える人は多いかもしれない。家でゆっくり過ごす人は、この機会に家族で家の防犯について考えてみてはいかがだろう。
空き巣などの侵入盗の発生場所内訳をみると、一戸建て住宅が42.5%、3階建て以下の共同住宅が約12%、4階建て以上の共同住宅が約4%(※)。圧倒的に一戸建ては狙われやすいといえる。
今回は、狙われやすい一戸建て住宅の防犯対策として、防犯カメラについて取り上げてみたいと思う。防犯カメラは空き巣被害やいたずらの防止に役立ちそうということはわかっていても、どんな種類があるのか、どんなものを選べばいいのかなど、わからないことだらけという人がほとんどではないだろうか。
そこで、愛知県内を中心に住まいの防犯リフォームを行う株式会社ウエラ名古屋の小野達也さんに教えていただいた。防犯設備士の資格をもち、愛知県セルフガード協会の防犯設備アドバイザーでもある小野さんは
「防犯カメラは犯罪抑止や犯人の検挙に効果を発揮しますが、残念ながらカメラだけでは犯罪を防止することはできません。補助錠やCP防犯建物部品、防犯フィルムの施工と併用して、犯罪から家を守る必要があります」
と前置きしたうえで、防犯カメラを設置する際のポイントを挙げてくれた。
※警察庁「平成30年の刑法犯に関する統計資料」による
最低でもこれだけは押さえておきたい5つのポイント
空き巣などの侵入盗を抑止するために有効な屋外の防犯カメラについて、小野さんの話をもとにポイントをまとめてみた。
ポイント5つ
① 犯罪抑止効果のあるボックス型、バレット型(ガンタイプ)がおすすめ
② 夜間暗視機能が付いた赤外線LEDカメラであること
③ 安定した録画のためには有線で設置すること
④ 画質は最低でも200万画素は必要
⑤ IP66の基準を満たしていること
それぞれの項目について説明していこう。
まず①の形状について。大きく分けると、カメラをケースで覆ったボックス型、ハンディカメラのような形をしたバレット型(ガンタイプ)と呼ばれるものとドーム型の3種類がある。
小野さんによると、
「ドーム型は、周囲に溶け込んでさりげなく監視するための形状といえます。犯罪抑止のために設置する一般家庭の場合は、“いかにもカメラです!”というバレット型(ガンタイプ)を設置するのがおすすめ」とのこと。
空き巣の犯人は下見をするケースが多い。留守にする時間帯はいつか、入りやすい家か、逃げやすいか、などをチェックしているという。
「防犯カメラが設置してあれば、その家の防犯意識の高さをアピールすることができます。下見の段階で自分が映ってしまう可能性も高いので、犯人としてはわざわざリスクの高い家を狙おうとは思わないですよね」(小野さん)
②の夜間暗視機能について。
空き巣で最も被害が多いのは、一般的に不在になりがちな午前10時~午後4時の時間帯。とはいえ、暗くなってからの夕方~夜間の犯行もあり、夜間の監視もしっかりしておきたいところだ。
そこで効力を発揮するのが赤外線LEDカメラ。暗くなるとセンサーが反応し赤外線を照射することで、真っ暗な夜でも対象物を映し出すことができる。
「今はほとんどが赤外線LEDカメラを搭載していますが、安価な機種の場合は照射距離が短く対象物をはっきり映し出せないことがあります。せっかく防犯カメラを設置したのに、ぼんやりとしか映っていなかったのでは意味がないので、例えば人感(熱)で反応するセンサー付きのLEDライトをセットで設置するなど、しっかりした防犯設計が必要です」(小野さん)
安定した映像が保存できる有線タイプがおすすめ
続いて③の配線について。
撮影した画像を録画する方法については、カメラとレコーダーをケーブルでつなぐ有線と、ケーブルではなくインターネット回線でつなぐ無線の2種類がある。それぞれのメリット、デメリットについて説明したいと思う。
【有線の場合】
屋外につけるカメラとレコーダーをケーブルでつないで使用する。
メリットは画像が安定していて鮮明である点。
デメリットは、壁に穴をあけて屋内に設置したレコーダーとつなぐため、配線工事が必要となりコストがかかる点。
【無線の場合】
設置するのはカメラ本体のみ。画像はカメラ本体のSDカードや、Wi-Fiを使ってクラウドに録画される。
メリットは、カメラ本体の電源さえ確保できればいいので、設置が簡単なところ。機種によってはソーラーや電池駆動のものもあるため、電源の確保が必要ない場合もある。
デメリットは、インターネット回線の状況やアプリの質によって映像が途切れたり画質が悪くなったりと、録画が不安定になる場合があること。
それぞれにメリットデメリットがあるが、防犯設備士である小野さんは、インターネット環境に左右されない有線をおすすめしているそうだ。
「無線で設置できる防犯カメラは安価なものもたくさん出ていますが、付属のソフトがトラブルを起こすといった例も多くみかけます。外国製の場合は信頼できるブランドかどうか、日本語での対応が可能か、日本語での説明書はついているかなどを確認したほうがいいですね。
また、有線無線ともにスマートフォンやタブレットでの監視や遠隔操作は今や当然ですが、ネットワークの接続の際にプロバイダーやパソコンのスペックなどの関係で、別途操作が必要になる場合もありますので注意が必要です」
画質は200万画素、防水防塵性能はIP66をクリアしていることが最低条件
④の画質について、カメラのスペックとしては最低でも200万画素は必要だと小野さん。
「一般家庭では、テレビを防犯カメラのモニターとして使用することが多いため、ハイビジョンテレビが普及している今、防犯カメラの性能が悪ければぼやけた画像しか映らないといった事態になることもあります。
防犯カメラに求められるのは、証拠能力です。犯人の姿や車のナンバーなどはっきりした証拠を残すためには200万画素以上のものを選んでください」
屋外に設置するカメラ、雨やほこりの影響も気になる。⑤のIP66について、最初の6は「粉塵が内部に侵入しないこと」、後の6は「波浪またはいかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けないこと」を証明しているそう。
「防水や防塵に対する性能はIEC(国際電気標準会議)やJIS(日本産業規格)で定められています。基準性能をクリアした製品にはIPの表示がされていますが、防犯カメラの場合、IP66の基準をクリアしているかが重要です」
費用の平均は15万円。狙われやすい一戸建てにいくらかける?
最後に費用について。
株式会社ウエラ名古屋の場合、一般家庭で防犯カメラをつける際の費用はカメラ本体+レコーダー+設置工事費用を含め、平均で15万円ほどだという。カメラの機種、設置する台数によって当然値段は変わってくる。これを高いとみるか安いとみるかは人それぞれだろう。
小野さんいわく「ネットで安価に買える防犯カメラはいわゆる“雑貨”扱い。どこまで本格的に防犯を考えるかによって、かける費用は変わってきますね」
安く済まそうと思えば1万円ほどで設置することはできる。配線をカットされたり電源を引き抜かれたりしないように防犯仕様の配線工事ができるかどうかも費用に大きな差が出るところだ。
設置後に必要になるのはハードディスクの交換費用。交換には5万円ほどかかるという。
「ハードディスクは3年ほどで消耗し故障率が高くなります。カメラ自体はだいたい7、8年が買い替え時です。ただ配線はそのまま使えるので、最初の設置でしっかりと防犯仕様にすることをおすすめします」(小野さん)
ネットショップや電気店などでカメラを購入し自分で設置したり、購入した店舗で設置を依頼したりする人もいると思うが、効果的なカメラの設置ができるかどうか不安な場合は、防犯設備士のアドバイスを取り入れてみるのも一案だ。
防犯カメラについて熟知しているのはもちろん、昨今の空き巣の手口など言ってみれば犯人の目線で防犯カメラの設置ができるというのが最大のメリット。
性能のいいカメラを購入しても、とんちんかんな場所に取り付けていては意味がない。その家ごとに必要な場所や角度など、防犯設計をたてて効果的な抑止を期待したいところだ。
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警察庁の調べによると2018年の侵入盗発生件数は62,745件。2009年から比べると半数以下にまで減っている。
いまでは街中で防犯カメラが作動していることは誰もが知っていること。さらに一般家庭に防犯カメラが普及してきていることも被害の減少につながっているのかもしれない。
ただ、侵入盗被害の多い愛知県では1件当たりの被害総額が約178万円(うち現金被害は約52万円※)と、前年の2倍近くに急増している。壊された玄関ドアや窓の修理代、見知らぬ人に家を荒らされた精神的ダメージを考えると、防犯にはしっかりお金をかけておいて損はなさそうだ。
※愛知県警察 令和元年「住宅を対象とした侵入盗の実態と対策」による
【取材協力・写真提供】
株式会社ウエラ名古屋
http://wella-security.com/
日本防犯システム
https://www.js-sys.com/
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