度重なる災害、公務員が抱える不安

2020年7月16日開催の「明日は我が身、公務員の防災を考える(主催:よんなな会、市役所をハックする!)」。オンライン上でコミュニティ形成を行う数名の公務員が登壇し、よんなな会発起人 脇雅昭氏をゲストに迎え、一般社団法人アスミーの紹介や防災についてディスカッション形式で進んでいった。参加者は公務員や民間企業・個人などさまざま。防災やこの動きに関心のある約130名がオンライン上に集まった2020年7月16日開催の「明日は我が身、公務員の防災を考える(主催:よんなな会、市役所をハックする!)」。オンライン上でコミュニティ形成を行う数名の公務員が登壇し、よんなな会発起人 脇雅昭氏をゲストに迎え、一般社団法人アスミーの紹介や防災についてディスカッション形式で進んでいった。参加者は公務員や民間企業・個人などさまざま。防災やこの動きに関心のある約130名がオンライン上に集まった

災害大国、日本。2011年の東日本大震災をはじめ、地震や豪雨・台風、火山の噴火などの自然災害が日本を襲い、近年その発生件数と被害額は、増加傾向にある。2020年7月にも、記録的な集中豪雨が九州・熊本を襲い、多数の被害者が発生した。スマホに緊急速報が入ってくる度に、ドキッとさせられる人も多いのではないだろうか。

災害が起こった際、災害で自分の家や家族が被災しても、真っ先に復旧に向けて動くのが、被災地域の公務員だ。公務員には職務専念義務があり、災害時には公務を最優先にして動く。急遽、県外から被災地に召集されるケースももちろんある。役割は、交通規制や復旧対応、災害情報発信、地域住民の援助などさまざまだ。

家族を後回しにして、復旧作業に取組む被災地域の公務員。頭をよぎる家族の顔。不安を抱えたままの家族や家は、誰が守ってくれるのだろうか?

この問題について、ひとつの解決策を投じようとするのが、『一般社団法人アスミー』だ。一体どのような取り組みなのか、法人発足の前日に開催されたオンラインイベント「明日は我が身、公務員の防災を考える(主催:よんなな会、市役所をハックする!)」で、その全貌を伺った。

町を守るために、家族を守りたい

災害支援を行った際のレポートやアスミーが発足するまでの流れなどを、スライドを使いながら紹介した。写真上は、『市役所をハックする!』の立ち上げメンバー・長野県塩尻市役所 地方創生推進係長の山田崇氏。写真下は、『一般社団法人アスミー』の理事 神戸市役所 企画調整局 つなぐラボ 特命課長 秋田大介氏災害支援を行った際のレポートやアスミーが発足するまでの流れなどを、スライドを使いながら紹介した。写真上は、『市役所をハックする!』の立ち上げメンバー・長野県塩尻市役所 地方創生推進係長の山田崇氏。写真下は、『一般社団法人アスミー』の理事 神戸市役所 企画調整局 つなぐラボ 特命課長 秋田大介氏

「一般社団法人アスミーは、被災地の公務員が、町の復旧活動に尽力できるように、その後ろにある公務員の家族を助けようとする仕組み。災害時には、アスミーのネットワークで繋がっている被災していない公務員が協力し合い支援を行います」と理事を務める、神戸市役所 企画調整局 つなぐラボ 特命課長 秋田大介氏は話す。

アスミーが生まれた背景には、公務員が中心となって運営されるオンラインサロン『市役所をハックする!』がある。公務員同士や民間企業、一般市民との意見交換を通して、まちづくりにおける問題解決を行うサロンだ。

「活動を行う中で、『市役所をハックする!』立ち上げメンバーである宮城県丸森町の公務員八島大祐さん宅が、2019年10月、台風19号の被害を受けたんです。その情報を受けたメンバー数名と現場に行き、町の復旧作業に追われ家に戻ることのできない八島さんの家族をサポートしました。その実体験をサロン内でフィードバックする中で、この仕組みを体系化しようという流れになりました」と『市役所をハックする!』の立ち上げメンバー・長野県塩尻市役所 地方創生推進係長の山田崇氏は話す。

災害の最前線で仕事に没頭するために、家族が安心できる状況を公務員同士でつくる。公益的な問題を解決する新たな仕組みとして、一般社団法人化への舵を切ることとなったのだ。

実体験とノウハウが活かされた、サポートの仕組み

災害時のサポートの仕組みも、完成している。
災害が起きると、まずアスミー内で安否確認・災害情報の把握を行う。災害が起きてすぐには現地に向かわず、まずは遠隔でサポートする。現場が不安定のまま、支援に向かうことで起こりうる二次災害を避けるためだ。その間に支援対象者の情報を共有して、カウンターパート(対応相手)を設定する。ここはアスミーの特徴的な仕組みだ。カウンターパートという役割は、被災地になるべく近距離に住む職員が役割を担う。多少なりとも現場の土地勘があることが、災害時にスムーズで適切な対応を行う秘訣なのだという。
その後、カウンターパートを通して、家族とコンタクトを取る。必要な支援の内容を精査したのち、チームを構成し、二次災害の危険がないことを確認してから支援を行うという流れだ。

「家族の苦痛を極力減らしたい。そして、一時的なボランティアではなく、『仲間』という関係性を築いて、継続的なサポートができるようにしたい。公務員が家族の心配をすることなく復旧作業に専念できる状況をつくることは、結果として、町全体の早期復旧に繋がると思うのです」と秋田氏は続ける。

アスミーが行う、災害時の活動の流れ。①安否確認・被災状況の収集 →②支援対象の連絡先を確認→③カウンターパートの設定(1、2名) →④支援ニーズの情報共有→⑤支援チームの編成→⑥(二次災害の危険がなくなってから)支援の開始。※今後改定する可能性もあるとのことアスミーが行う、災害時の活動の流れ。①安否確認・被災状況の収集 →②支援対象の連絡先を確認→③カウンターパートの設定(1、2名) →④支援ニーズの情報共有→⑤支援チームの編成→⑥(二次災害の危険がなくなってから)支援の開始。※今後改定する可能性もあるとのこと

地域災害支援の自給率を上げる、コミュニティの重要さ

Facebookページの「オンライン市役所(よんなな会)」。今回のオンラインイベントの主催者でもある『よんなな会』は、地方公務員と官僚と学生限定で情報交換を行うコミュニティだ。コロナ禍に立ち上がった『オンライン市役所・防災対策課』では、防災のノウハウを深めるため、公務員のスキルアップを目的とし、自治体をまたいだ情報共有もさかんだ。公務員同士でさまざまなコミュニティの形を設けて、連携を取りあっているFacebookページの「オンライン市役所(よんなな会)」。今回のオンラインイベントの主催者でもある『よんなな会』は、地方公務員と官僚と学生限定で情報交換を行うコミュニティだ。コロナ禍に立ち上がった『オンライン市役所・防災対策課』では、防災のノウハウを深めるため、公務員のスキルアップを目的とし、自治体をまたいだ情報共有もさかんだ。公務員同士でさまざまなコミュニティの形を設けて、連携を取りあっている

アスミーは、年会費制。参加メンバーは、民間企業・一般者からも広域に募る。平時は、さまざまなコミュニティと連携しながら、防災力を高める学び合いをしたり、顔の見える関係を築くための場づくりも行っていく。災害時、崩れやすいのはメンタル面。短期間の初対面ボランティアスタッフへの対応に、被災者が逆に神経をすり減らすという声を聞くこともあるそう。まさかの災害時に安心して頼める人間関係は、普段からどれだけ関係性を築けているかも重要なポイントなのだ。

「Publicを担う人のPersonalを支えること、公務員の家族や家を支えることが大きな軸です。災害時に、僕ら公務員自身が潰れないようにしたい。もしうまくいけば、今後、この仕組みを他のシーンで活かせる可能性もあるかもしれません。そうすれば日本全体としての復興力が上がるのではないかと感じています。災害において最も大事なことは柔軟性。そのためアスミーのルールも、柔軟です。関わる皆でバージョンアップを繰り返し、本当に使えるシステムにしていきたい」と秋田氏は締めくくった。

目的を同じくする仲間が集まり、大きな力になる。精神面のサポートも意識した、自治体を超えた新しい連携システム。早期の復興復旧、地域にとって大きな力になっていくのではないか。今後どのように育っていくのか、見守りたい。

登壇者参考リンク
・よんなな会:http://47kai.com/
・市役所をハックする!:https://www.shiyakushohack.org/
・オンライン市役所:https://online-shiyakusyo.studio.design/
・よんなな防災会:https://www.facebook.com/groups/47bosai/

2020年 08月20日 11時05分