軽症者は「宿泊療養」が原則だが「自宅療養」を望む人のほうが多い

緊急事態宣言が解除されてから約1ケ月が経った。新しい生活様式を採り入れながら少しずつ日常を取り戻しつつあるが、第二波・第三波への警戒感もあり、新型コロナウイルスへの不安はいまだ拭い去ることができない。

厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果(2020年5月29日公表)』によると、入院患者受入確保想定病床数(ピーク時に感染症患者が利用する病床として各都道府県が見込んでいる病床数)は31,415床。幸い入院者数はその数に達するまでには至っていないものの、健全な医療提供体制を維持するために「軽症者等(※1)は指定宿泊施設での安静・療養を原則(4月23日厚労省発表)」としている。

しかし、この宿泊療養は強制ではないため、「世話をしなくてはいけない家族がいるから家にいたい」「ペットがいるから家を空けられない」といった諸事情から、自宅療養を望む軽症者が圧倒的に多いという。そこで「もしも自分が、家族が、新型コロナに感染し、自宅療養することになったらどのように対処すべきか?」について、厚生労働省のマニュアルを参考にしながら注意点と対処法を確認してみよう。

※1:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部のマニュアルでは、①高齢者 ②基礎疾患(糖尿病・心疾患・透析加療等)がある人 ③免疫抑制状態である人(免疫抑制剤・抗がん剤を用いている人) ④妊娠している人については、軽症であっても「重症化するおそれが高い者」とし、地域の利用可能な入院病床数の状況を踏まえて入院措置を行うことと定めている※1:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部のマニュアルでは、①高齢者 ②基礎疾患(糖尿病・心疾患・透析加療等)がある人 ③免疫抑制状態である人(免疫抑制剤・抗がん剤を用いている人) ④妊娠している人については、軽症であっても「重症化するおそれが高い者」とし、地域の利用可能な入院病床数の状況を踏まえて入院措置を行うことと定めている

まず徹底したいのは、軽症者とそれ以外の家族の『家庭内ゾーニング』

▲息苦しさ(呼吸困難)・強いだるさ(倦怠感)・高熱等の強い症状のいずれかがある場合は仕事や学校を休み外出を控えること。厚生労働省HPでは、上記以外でも、発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が4日以上続く場合は、最寄りの保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」(地域により名称が異なる)へ相談するよう呼び掛けている▲息苦しさ(呼吸困難)・強いだるさ(倦怠感)・高熱等の強い症状のいずれかがある場合は仕事や学校を休み外出を控えること。厚生労働省HPでは、上記以外でも、発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が4日以上続く場合は、最寄りの保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」(地域により名称が異なる)へ相談するよう呼び掛けている

自宅療養を行う際の最大の課題となるのは『ゾーニング(感染領域と非感染領域の区分け)』だ。

厚労省のマニュアルにも「上記①~④の重症化するおそれが高い者と同居している場合には、生活空間を必ず分けること」と記載されているが、広さに限りある住空間の中で、軽症者以外の家族が日常生活を継続しながら家庭内ゾーニングを行うことは難しい。そのため、最低限の対策として以下の点を徹底したい。

●患者専用の個室を確保すること。
●患者の行動範囲は最小限とし、患者と接する人は十分な距離(1m以上)を保つこと。
●患者の個室を出入りする際には、サージカルマスク等を着用し、流水と石鹸または擦式アルコール性消毒薬による手洗いを行うこと。
●患者専用の洗面所・トイレを確保することが望ましいが、ほかの家族と洗面所・トイレを共用する場合は、十分な清掃と換気を行うこと。
●患者が入浴する場合は、家族の中でいちばん最後に行うこと。
●リネン類(タオル、シーツなど)、食器、歯ブラシなどの身の回りのものは、患者と共用しないこと。

なお、トイレや洗面所については家庭内で最も接触感染リスクが高いエリアとされているため、軽症者が使用するたびにアルコール等で清拭・換気を行うことが必要だ。
※厚生労働省『新型コロナウイルス感染症患者が自宅療養を行う場合の患者へのフォローアップ及び自宅療養時の感染管理対策について』を参照。

家庭内クラスターを防ぐために、軽症者の看病にあたる家族を限定する

▲感染者の看病を行う際には、サージカルマスクだけでなく、目の粘膜を守るフェイスシールドや、ゴーグル、シュノーケリングマスク等を用意しよう。また、看病を行う家族は基本的に濃厚接触者にあたるため、移動や健康管理等について保健所の指示に従うことになる▲感染者の看病を行う際には、サージカルマスクだけでなく、目の粘膜を守るフェイスシールドや、ゴーグル、シュノーケリングマスク等を用意しよう。また、看病を行う家族は基本的に濃厚接触者にあたるため、移動や健康管理等について保健所の指示に従うことになる

軽症者が自宅療養を行う場合、家族全員が濃厚接触者になる可能性が高い。厚生労働省発表の定義では「必要な感染予防策をせずに感染者に手で触れること」または「対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった場合」に、濃厚接触者とみなされることになっているため、家庭内ゾーニングを行ったあと、軽症者の看病にあたる家族は極力限定し、軽症者との接触時には下記の宿泊療養マニュアルを参考にして慎重に看病を行いたい。なお、看病を担当する家族は基礎疾患がない健康な人が望ましい。

●サージカルマスク、長袖ガウン(身体を覆うことができ、破棄できる物で代替可。カッパ等)など必要な個人防護具を確保すること。
●体液で汚れていないリネンを取り扱う際は、手袋とサージカルマスクを付け、家庭用洗剤等で洗濯し完全に乾かすこと。
●体液で汚れたリネンを取り扱う際は、手袋、長袖ガウン、サージカルマスクをつけ、消毒(80℃以上の熱湯に10 分間以上つける)を行うこと。
●クリーニングに出す場合は、指定洗濯物を取り扱えるクリーニング所に依頼すること。
●清掃・消毒時には、手袋、サージカルマスク、眼の防護具(フェイスシールド又はゴーグル、シュノーケリングマスク等)、長袖ガウンを着用し、住戸内のドアノブなどよく触る部分やトイレは 1 日 1 回以上の消毒を行うこと。
※厚生労働省『新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養マニュアル』を参照。

ゴミを捨てるときは、袋を二重にする、空気を抜く、かたく縛るなどの対策を

ところで、意外と見落としがちなのは清掃を行ったあとの家庭ごみの処理の仕方だ。宿泊療養マニュアルでは「軽症者等の食事・ゴミ等は、基本的に感染性廃棄物として処理する」とされているが、家庭での具体的な方法については環境省HPで公開されているので参考にしたい。

【マスク・ティッシュ】
ウイルスが付着した恐れがあるマスクやティシュ等のごみを捨てる際は、ごみに直接触れないこと・ごみ袋はしっかり縛って封をすること・ごみを捨てた後は手を洗うこと。

【手袋・長袖ガウン等の防護作業着】
作業着を脱ぐ際やマスクなどの個人防護具を外す際には、必ず裏返しで脱ぎ(または外し)、マスクを外す前に手洗いや手指消毒を行うこと。事前に作業着を脱ぐ場所を決めて床にビニールなどを広げて敷いておき、すぐ捨てられるように廃棄用のごみ袋を用意しておくのが望ましい。

【枕カバー・シーツ等のリネン類】
リネン類についてはむやみに廃棄せず、⼿袋やマスクを着用して直接触れないように注意しながら、熱⽔による洗濯(80℃以上の熱湯に10 分間以上つける)や、次亜塩素酸・アルコールによる消毒を⾏うこと。

【その他、家庭ごみの捨て方】
●ごみ箱がいっぱいになる前に早めに出すこと(接触感染リスクを防ぐため)
●ごみ袋の封をするときは中の空気を抜くこと(収集車内での破裂を防止するため)
●ごみ袋の封をするときはしっかり縛ること(できればごみ袋は二重が望ましい)
※環境省HP『新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物対策について』を引用。

▲厚生労働省『ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合. 家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント~』。ごみ箱は蓋つきのものを使うようにすると、ウイルスの拡散を軽減できる▲厚生労働省『ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合. 家庭内でご注意いただきたいこと ~8つのポイント~』。ごみ箱は蓋つきのものを使うようにすると、ウイルスの拡散を軽減できる

14日間経過が自宅療養の解除目安、復職時に『陰性証明』を提出する必要はない

▲感染者数が急激に増大した2020年4月上旬時点では「軽症者は原則自宅療養」とされてきたが、4月23日以降「軽症者は原則宿泊療養」へと変わった。家庭内クラスターの発生や症の重篤化を防ぐためにも、万一の際には自宅療養ではなく宿泊療養を受け入れるべきであることを覚えておきたい▲感染者数が急激に増大した2020年4月上旬時点では「軽症者は原則自宅療養」とされてきたが、4月23日以降「軽症者は原則宿泊療養」へと変わった。家庭内クラスターの発生や症の重篤化を防ぐためにも、万一の際には自宅療養ではなく宿泊療養を受け入れるべきであることを覚えておきたい

なお、自宅療養期間の解除については「自宅療養を開始した日から 14 日間経過したときに除することができる」とされており、当該の 14 日間は保健所(または保健所が委託した者)が症状の観察を行うことになっている。

また、就業制限の解除については、自宅療養の解除基準を満たした時点で同時に就業制限の解除の基準を満たすことと判断して差し支えないとされており、解除時のPCR検査は必須ではない。厚生労働省では「復職時に職場等へ陰性証明を提出する必要はない」として、医療機関や保健所への各種証明の請求を控えるよう呼び掛けている。
※厚生労働省『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 18 条に規定する就業制限の解除に関する取扱いについて』を参照。

上記の対処法をふまえた上で、「もしも…」の第二波・第三波に備え、今のうちから消毒用アルコール・ゴーグル・長袖ガウン・蓋つきゴミ箱などの自宅療養アイテムを準備しておこう。

2020年 06月18日 11時05分