「未来の街」へと変貌を遂げつつある、品川~田町駅エリア
▲2020年3月14日に開業した高輪ゲートウェイ駅。折り紙をモチーフにしたという隈研吾デザインの駅舎は、訪れる人に強烈なインパクトを与える。日本初のスマートラウンジ型スターバックスがオープンしたほか、今後駅ナカショップも段階的に開業していく予定になっている(開業当日の様子/筆者撮影)JR山手線の30番目の新駅「JR高輪ゲートウェイ」の開業から約1ヶ月が経った。
新型コロナ感染拡大の影響もあって、計画されていた華々しいオープニングイベントはすべて中止となってしまったが、賛否両論を集めた和風駅名書体をはじめ、AI無人コンビニやAI駅員、お掃除ロボットの導入など、まるでアニメの世界から飛び出したかのような「未来の駅の姿」が大きな話題となった。
また、高輪ゲートウェイに隣接する品川~田町駅周辺では2027年のリニア中央新幹線開業(品川~名古屋間暫定開業予定)に向けて同時多発的に大規模再開発事業が進められており、当分このエリアから目が離せない。
今後7年のうちに品川~田町駅エリアはどのような変貌を遂げていくのか?2020年3月に東京都が発表した「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」を参考にしてイメージを膨らませてみよう。
国際企業誘致やMICE機能の充足など「グローバルな活動拠点」を目指す
東京都の「まちづくりガイドライン」によると、品川駅と田町駅の周辺約650ヘクタールの開発整備地区は9つの対象地域に分かれており、その中でも
①高輪ゲートウェイを中心とした「品川駅北周辺地区」
②品川駅高輪口一帯の「品川駅西口地区」
③すでに多くの高層ビル群が周辺に林立している「芝浦水再生センター地区」
④品川駅港南口一帯の「品川駅街区地区」
の4つが優先整備地区に指定されている。この4つの地区にはそれぞれ将来の街のイメージ像が掲げられ、①と④は東西をつなぐ交流ゾーン、②は文化と緑のゾーン、③は海と風のゾーンとなっている。中でも、東京の新たな都市機能として特に重要な役割を担うことになるのは、“国際業務の集積ゾーン”に指定されている①品川駅北周辺と②品川駅西口地区だ。
もともと『田町・品川』駅周辺は、世界的企業のアジア地域における業務統括拠点や研究開発拠点の一層の集積を目指し、東京都が2011年に指定した6つのアジアヘッドクォーター特区のひとつで、法人税の所得控除(20%)や法人事業税全額減免など、総合特別区域法を用いた税制優遇措置を掲げて多国籍企業の誘致プロジェクトが進められている。同時に、国際会議や世界的規模のレセプション・展示会に参加するビジネストラベル『MICE』に対応できる街として、さらなる滞在機能の向上が期待されているエリアでもある。
つまり、対・国内の他都市ではなく、ソウル・シンガポール・北京・上海・台北などのアジアの大都市を競合相手として、日本と世界を結ぶ“一大ビジネスセンターゾーン”をこのエリアにつくるための壮大な計画が進行しているのだ。
高輪ゲートウェイだけではない交通インフラ整備、品川初の地下鉄構想も
しかし、すでにビジネス拠点としての機能が集約されている東京駅周辺でも、広大な土地を有する湾岸地域でもなく、なぜ品川駅周辺が“一大ビジネスセンターゾーン”の役割を担うことになったのか?他エリアとの圧倒的な違いはその「足まわりの良さ」にある。
品川駅は、新幹線が停車する都内屈指のビッグターミナルのひとつであり、2027年(予定)にはリニア中央新幹線の始発駅となる。また京急線(京成線乗り入れ)を利用することで羽田・成田の両空港にもスムーズにアクセスでき、横浜にも近い。新幹線や飛行機を使った都市間移動がしやすく、駅周辺には既存の大型ホテルも複数揃っているため、グローバルな活動拠点に相応しい交通環境がすでに整っている点が強みだ。
敢えて挙げるなら、課題は“ビッグターミナルながら地下鉄の無い駅”である点だが、まちづくりガイドラインの中では、かねてから噂されている品川~白金高輪駅間の地下鉄構想についても「実現に向けた取り組み」として大きく掲げられている。品川と白金高輪がつながるということは、東京メトロ南北線の延伸となるわけだが、この延伸によって、これまで少々乗り換えが不便だった六本木(六本木一丁目)方面にも品川から直結することになり、『永田町』『四ツ谷』など山手線の内側エリアへ移動する際の時短も叶えられる。
また、地上では環状第4号線の延伸工事が2027年完了(予定)を目指して進行中である点にも注目したい。これまで品川駅周辺は複数の線路の存在によって東西の生活エリアが分断されていた。線路を車で渡れる道路は駅の近くに無く、2020年4月12日に閉鎖された高輪橋架道橋(通称:お化けトンネル)のほか札ノ辻または八ツ山橋まで迂回しないと行き来できない状態だった。しかし環状第4号線の開通後は、線路東側の芝浦水再生センター付近から西側の品川駅西口地区を経由して高輪台駅付近までのルートが東西貫通することになる。これによってカーアクセス面でも利便性がぐっと高まるはずだ。
品川駅西口に”巨大な空中広場”が出現?!次世代型交通ターミナルも登場
ひとつ懸念されるのは、品川駅西口の空間不足だ。現在の西口にはかろうじてタクシープールはあるものの駅前スペースは狭く、いつも客待ちタクシーの列が第一京浜側まで延びている。また、バスロータリーといえば、駅から歩道橋を渡った道路の向かい側に小さなバス停があるのみ。この限られたスペースを“交通結節点”とするのは、物理的に困難なように感じられる。
しかし、国土交通省の「国道15号・品川駅西口駅前広場の将来の姿」を見ると、地上ではなく“空中”にスペースを広げることでその懸念を解決できるようだ。
現在の西口周辺をまるで巨大なフタで覆ってしまうかのように、西口駅前には“空中広場”が設けられる。駅前スペースを2層に分けることによって、幹線道路である第一京浜の交通量を妨げることなく、車歩道を安全に分離。広場には高速バス・ツアーバス・次世代モビリティなどの発着が可能な複合ターミナルが設置されるほか、周辺の新規開発ビルにもデッキで接続する。また、広場はイベントスペースや万一の災害時の防災拠点としても活用できるように設計されるという。東京にかつてなかった“次世代型交通結節点”の姿を想像すると心が躍る。
2024年から2027年にかけて完了予定の大規模再開発が目白押し
品川駅周辺で進行中の各整備事業については、リニア中央新幹線の開通に合わせて2027年の暫定完成予定となっているほか、高輪ゲートウェイ駅周辺では、オフィス・商業施設・コンベンションセンター・ホテル・子育て施設・住宅を備えた複合ビル群が4つの街区に登場予定で2024年のまちびらきを目指している。
また、近隣のエリアに先駆け2018年に駅直結の複合施設「ムスブ田町」が開業した田町駅周辺では、芝浦地区の児童数増加に伴い地域施設との連携を図って新設される「(仮称)芝浦第二小学校」が2022年開校予定、東芝ビルディングとJRのカートレイン乗降場跡地を活用した大規模複合開発「芝浦一丁目地区計画」が2023年度に竣工予定(ツインタワーのうちのS棟部分)、オフィス・文化交流施設・店舗・住宅・緑地を備えたオープンスペースを整備する「三田三・四丁目地区計画」が2023年度完了予定など、ビッグスケールの再開発計画が今後も目白押しだ。
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高度経済成長期から約半世紀が経過し、東京の都市開発は新たなフェーズへと突入している。その驚異的なスピードに、わたしたち東京で働く者・暮らす者は歩調を合わせついていかなくてはならない。こうした街の変化は“人々の希望に満ちた次の半世紀”を創り出すことができるのか?今後も注目していきたいと思う。
■引用元/『品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン概要版2020』
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/guideline2020/pdf/siryo_10.pdf
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