消臭スプレーでは消えない正体不明の住宅のニオイ

消臭スプレーでは消えない正体不明の住宅のニオイ

近年、住宅のニオイ問題が増加している。国土交通省が平成23年に発表した「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改定版)の「ペットやタバコのにおいに起因する入退時のトラブル発生状況」によると賃貸住宅において、ニオイによる入退時のトラブルが「よくある」「たまにある」との回答が30~50%近くあるのが分かる。住宅に関する問題の中でニオイは切り離せない1つの問題要素になっているようだ。

また、戸建て住宅に関するニオイトラブルも多い。憧れの我が家を手に入れたと思ったら、よく分からないニオイ問題でイライラ…なんてこともよく聞かれる。シュっと、消臭スプレーをまいてニオイがなくなればよいのだが、住宅の構造的なものから臭うニオイはそんなものではなかなか消えない。

一口に住宅のニオイと言っても、新築・中古、戸建て・マンションとそれぞれ顕在化しやすいニオイのトラブルは異なる。でも何故、近年こうした正体不明のニオイが発生しているのだろうか。一時期、“シックハウス症候群”という言葉がよく聞かれたが、覚えているだろうか。建材や家具などの化学物質によって引き起こされるアレルギー症状のことだが、そのシックハウス症候群の対策のひとつとして、2003年に建築基準法で制定されたのが「24時間換気システム」だ。しかし、その仕組みが近年のニオイトラブルに少なからず関わっているのはご存じだろうか?

設計側からしたら、こんなはずではなかった!

「24時間換気システム」は2003年にシックハウス症候群対策の観点から、建築基準法によって新築や増改築する住宅に設置が義務付けられた換気設備だ。空気の入口と出口を作り、機械制御を用いて部屋を24時間常に換気をしてくれる。導入することで合理的な空気の流れをつくるので、ただ窓を開けるのとは違い、冬暖かく、夏涼しい環境を実現できる。こうした設備をとり入れて住環境を実現したのが、高気密高断熱住宅だ。電気代が安くなるほか、室温の安定により、健康に暮らせるなどメリットも多い。 

しかし、住宅構造の欠陥や誤った使用方法で、一転してこの換気システムがニオイ問題を引き起こすケースがある。

戸建ての24時間換気システムの種類戸建ての24時間換気システムの種類

ニオイの探偵、石川氏は語る

“においの探偵”石川英一氏。個人宅のニオイの相談にものっていただける“においの探偵”石川英一氏。個人宅のニオイの相談にものっていただける

個人から法人まで様々な住宅のニオイ問題に携わってきた臭気判定士・臭気対策アドバイザーの石川英一氏に、昨今の24時間換気システムとニオイ問題について聞いてみた。

「高気密高断熱の住宅が増えてからニオイのトラブルは増えてきていますね。24時間換気はシステム第1種、第2種、第3種に分けられます。第1種は機械制御で安定して換気が行えますが、導入価格は少し高いですね。少しのニオイがどこかで発生すると薄く広まるという弱点はあるものの、全体的な気圧は適切に保たれるため全体的にいいシステムだと思います。

第2種は機械制御で空気をどんどん取り入れ、自然換気をする仕組み。家の中の気圧が高くなりクリーンルームと同じような効果があります。ただし、床下空気が負圧になりやすく床下に空気が流れ込んできます。そのため、床下の土や配管にトラブルがあると、そのそばを通った空気が部屋にあがるケースがあり、それがニオイの原因になることがあります。

一般的に多いのが第3種。レジスタという壁の入口から空気を取り入れ、トイレや浴室の換気扇から外に出すという仕組み。この仕組みはどんどん空気が外に出てしまうため、家の気圧が下がりやすいんです。通常であれば大丈夫ですが、レジスタを閉めたりするなど誤った使用方法をすると、限界まで気圧が下がってしまいます。そうすると、室内に床下や壁の中の本来露出されない部分の空気が出てニオイの原因になる場合があります。

提示したケースはトラブルの一事例なので、正しい構造で、正しい使用をすれば24時間換気システムは特に問題ないと考えます。」

新築、中古、戸建て、マンション…。それぞれ違うニオイの問題

24時間換気システム自体に問題はないようだが、使用方法や建物の構造的欠陥などによりニオイトラブルが引き起こされるケースがあるようだ。今回、石川氏への取材を通して戸建て・マンション、新築・中古、賃貸物件やリフォームなど…、物件によって顕在化するニオイの問題がそれぞれ異なることを知った。ニオイの原因が排気管や下水管によるもの場合、原因がハッキリ分かるため対処してすぐとれるが、嗅いだことのないニオイが住宅に広がった場合、原因をなかなか突き止められず問題が長期化することが多いようだ。

今回は連載を通してそれぞれの住まいの種類によるトラブル事例などを紹介。ニオイのトラブルのない住宅を探すため、また今の住宅に気持ちよく住み続けるためにこの連載の記事が役立てればと思う。

2013年 09月12日 11時21分