毎月第3日曜は「サンビル」の日。商店街に若い女性が集う!

織田信長は、だれもが自由に商売できる「楽市楽座」によって岐阜のまちを復興させた。その自由闊達な空気感を味わえるのが、柳ケ瀬商店街で毎月第3日曜日に開かれている「サンデービルヂングマーケット」。通りいっぱいに一点ものの雑貨や器、スイーツといったハンドメイド品のお店が並び、1日で4,000人前後の客が訪れる。

このサンデービルヂングマーケット、通称サンビルは「柳ケ瀬商店街の認知を広げたい」「若い世代を呼び込みたい」という想いから、地元商店街の方と有志による実行委員会主導で始まったイベント。口コミやSNSで情報を拡散してくれる若い女性をターゲットにした狙いは当たり、2014年9月から始まって約3年で出店者数は約50店から約150店と3倍ほどに増え、情報番組や雑誌でも取り上げられる人気イベントに成長した。

では柳ケ瀬商店街の日常は?というと、通行量は減少し続け、人通りは決して多いとは言えない。でもただ手をこまねいているわけではなく、若い世代を集める仕掛けが順調にスタートしているという。さっそく「柳ケ瀬商店街」の今と未来について話を聞いてきた。

SNS映えするサンデービルヂングマーケット。「関西などの遠方を含めて毎回200~300件の出店希望があります」とは、運営する「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」の大前さん。月1回の開催に合わせて既存の店舗でも企画を行うなど、集客効果が商店街に広がっているそうSNS映えするサンデービルヂングマーケット。「関西などの遠方を含めて毎回200~300件の出店希望があります」とは、運営する「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」の大前さん。月1回の開催に合わせて既存の店舗でも企画を行うなど、集客効果が商店街に広がっているそう

「柳ケ瀬商店街」は『全天候型』『面型』という独自性が魅力

「柳ケ瀬商店街」は、JR岐阜駅から北へ約1Kmの場所に位置する商店街。約300m×300mという正方形に近いエリア内を通りが縦横無尽に走る『面型』であることと、ほとんどの通りにアーケードがあって雨天でもショッピングしやすい『全天候型』である点が面白い。

洋品店や時計店などが所狭しと並ぶレトロな雰囲気の中に、今どきのカフェも点在。新旧が混在する雰囲気が新鮮で、地域住民の日常を支えつつ、観光地としてのポテンシャルも感じた。とはいえ約25年前のピーク時に比べると、にぎわいは減っている。大型商業施設は2000年前後に相次いで撤退し、現在「岐阜高島屋」の1店のみ。映画館の減少で「柳ケ瀬で映画を見る」という文化も薄れつつある。

「平成19年~平成28年の約10年で、柳ケ瀬商店街の店舗数は100店舗ほど減少しました。主な理由は、商店主の高齢化や後継者問題、店舗の老朽化が原因と推測されます。そこで2期岐阜市中心市街地活性化基本計画では『柳ケ瀬のまちの魅力向上』も大きな軸として掲げています」
(岐阜市まちづくり推進政策課)

具体的な計画としては、商店街の一角に35階建ての再開発ビルを建てる再開発事業と、空き店舗・空きビルをリノベーションなどで再生させる事業が進んでいるという。詳しく紹介しよう。

前回の記事で紹介したように、岐阜駅前の2つのタワーと岐阜大学医学部等跡地の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」のおかげでにぎわい創出が叶った。次にこの2エリアを繋ぐ「柳ケ瀬商店街」の活性化により、回遊して楽しめるまちを目指していく前回の記事で紹介したように、岐阜駅前の2つのタワーと岐阜大学医学部等跡地の「みんなの森 ぎふメディアコスモス」のおかげでにぎわい創出が叶った。次にこの2エリアを繋ぐ「柳ケ瀬商店街」の活性化により、回遊して楽しめるまちを目指していく

マーケットで集客して、空きビル活性化へ。「ロイヤル40」プロジェクト

昭和の名作をフィルム上映する映画館でおなじみの柳ヶ瀬ロイヤルビルを再生。「ロイヤル40」の1階はファッション・雑貨・スイーツなど5店が先行オープン。名古屋駅前に出店し、本わらび餅で話題を集める「ツバメヤ」の本店も!昭和の名作をフィルム上映する映画館でおなじみの柳ヶ瀬ロイヤルビルを再生。「ロイヤル40」の1階はファッション・雑貨・スイーツなど5店が先行オープン。名古屋駅前に出店し、本わらび餅で話題を集める「ツバメヤ」の本店も!

地元商店街の方と有志による実行委員会(昨年『柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社』設立)の主導で柳ケ瀬商店街のにぎわいを取り戻そうと動き出したのが、冒頭に紹介した「サンデービルヂングマーケット(サンビル)」。ところで、この『ビルヂング』とは何か? 

「サンデービルヂングマーケットは、実は通過点にすぎません。最終的なゴールは、空きビルや空き店舗を再生して独自性の高いお店に出店してもらい、一過性ではない集客を増やすことにあります。そのためマーケット名に『ビルヂング』という名前が含まれています」
(岐阜市まちづくり推進政策課)

そのフラッグシップとして、今年40年を迎える「柳ヶ瀬ロイヤルビル」が、2017年10月15日(日)、サンビルと同日に「ロイヤル40(ヨンマル)」をグランドオープンする予定だ。サンビル会場の中心に建つ同ビルの一部をリノベーションし、11区画に店舗を誘致。小さな区画もあり、出店者にとっても「柳ケ瀬商店街で実店舗をもつ」ことに向けたテストマーケティングの場にできる。

「古いビルのデザイン性を高めるだけでなく、集客が続く仕掛けや窓口の一本化といった、出店者が継続的に営業できるような土壌づくりに、これまで時間をかけて準備をしてきました。現在は、その方にしか生み出せない『オリジナリティー』のある店舗や作家さんを選考中です」
(柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社取締役、ミユキデザイン取締役大前貴裕さん)

「昭和の雰囲気が残る柳ケ瀬商店街の味わいをガラリと変えるのではなく、よい部分は残しつつさらに伸ばして、時代に合わせた『わざわざ足を運びたくなる街』にしたいというのが今の狙いです」と岐阜市まちづくり推進政策課の担当者も語る。「ロイヤル40」から空きビル・空き店舗の再生が増え、商店街全体にワクワクする価値が広がっていくのが楽しみだ。

柳ケ瀬商店街の一角に「商業・住居・子育て支援施設」の複合ビルが誕生予定

高島屋南地区第一種市街地再開発事業の完成予想図。1・2階の商業施設はアーケードに面しており、商店街に溶け込むような設計に。さらに敷地の一部を円形状の広場とすることで多くの来訪者への活用も計画されている高島屋南地区第一種市街地再開発事業の完成予想図。1・2階の商業施設はアーケードに面しており、商店街に溶け込むような設計に。さらに敷地の一部を円形状の広場とすることで多くの来訪者への活用も計画されている

柳ケ瀬商店街の活性化を担うもうひとつのプロジェクト、「高島屋南地区第一種市街地再開発事業」を紹介しよう。これは岐阜高島屋の南にある約0.9ヘクタールの区画に、地上35階建て地下1階建ての再開発ビルを建てるというもの。完成すれば、柳ケ瀬商店街の新たなランドマークとなる。

ちなみにこの再開発ビルは、地元の権利者が組合をつくって進めていく民間事業である。
「市街地再開発事業を実現するには時間がかかります。社会の経済状況が変われば計画も変わり、やみくもに開発して周囲の店舗や住宅と競合しては活性化につながりません。丁寧に進める必要があります」(岐阜市 市街地再開発課)

約30年前に構想がスタートしたという長いプロジェクトで、平成23年12月に都市計画が決定し、平成32年度の完成を目指す。ビルの特徴は、5~35階までが(株)大京が供給する「ライオンズマンション」約330戸となること。単独ビルとしては東海エリアでも1、2位を争う大型の供給戸数となり、一気に岐阜市のまちなか居住人口が増えそうだ。

1・2階は商業施設となり、3・4階は岐阜市の「子育て支援施設」と「健康・運動施設」ができる予定。公園の少ない市街地に子どもたちが安心して遊べる市の施設ができれば、子育て世代にとって心強いに違いない。

織田信長が岐阜に入城して今年で450年。空きビル活性化や再開発ビルといった官民一体のにぎわいづくりが、少しずつ岐阜市の中心市街地を変えている。「まちなか」に住む価値に、改めて注目が集まりそうだ。

2017年 08月25日 11時05分