管理費の滞納と時効

滞納された管理費や修繕積立金の回収には、時効があるので注意が必要だ滞納された管理費や修繕積立金の回収には、時効があるので注意が必要だ

マンションを購入すると毎月支払うことになる管理費や修繕積立金は、共有部分の管理や修繕のために使われる重要な資金で、区分所有者が公平に負担すべきものである。ところが、現実には滞納者を抱えている管理組合は意外に多い。

国土交通省の「平成25年度マンション総合調査」によると、管理費・修繕積立金を4ヶ月以上滞納している住戸がある管理組合は37.0%と4割近くに達している。さらに、6ヶ月以上滞納している住戸がある管理組合は22.7%、1年以上は15.9%となっている。

滞納者の割合をみると、おおむね全住戸の1~2%以下におさまっているようだが、たとえ一部とはいえ滞納者がいれば区分所有者間に不公平が生じることになり、さらにはマンションの管理水準の低下につながる可能性もあるといえるだろう。

そこで今回は、滞納されている管理費や回収のために管理組合ができることについてまとめてみたい。

時効を成立させない方法

時効を中断させながら、滞納金の回収をしていくことが大切である時効を中断させながら、滞納金の回収をしていくことが大切である

管理組合として、まずおさえておきたいことは滞納管理費等には時効があるということだ。
時効というと刑事事件などをイメージするかもしれないが、お金の滞納や貸し借りに関しても、消滅時効という時効が存在する。ちなみに、管理費と修繕積立金の時効は5年と決まっている。したがって、管理組合が滞納管理費等を回収するうえでは、この5年の時効を成立させないように注意する必要があるといえる。
民法では、時効を成立させない(「中断する」という)ための方法として、請求、差押え・仮差押え、承認等がある。

このうち請求とは滞納者に支払いを求めることである。基本的には法律に則った支払いの請求が必要で、訴訟や裁判所を通した支払督促などが該当する。支払督促をした場合は、滞納者から異議があれば訴訟に移行し、異議がなければ強制執行により滞納者の財産を差押えて回収することができる。

なお、裁判所を通さずに内容証明郵便などで支払いをもとめる催告という方法もあるが、この場合の時効の中断は一時的なものなので、正式に時効を中断させるには、その後6ヶ月以内に訴訟などの法的な手段を講じる必要がある。法的措置をとらなかった場合は、時効の中断はなかったものとなるので注意が必要だ。

差押え・仮差押えは、やはり法的な手続きで、滞納者が財産を処分することを禁止したり制限したりすることである。

一方、承認とは、裁判所を通すような方法ではなく、滞納していること、滞納分を支払うことを滞納者が認めることである。具体的には、滞納を証明する書面を作成し署名・捺印してもらったり、一部でもいいので支払ってもらったりすることで時効を中断できる。

なお、時効が中断するとは、それまで進んでいた時効が終わって、そこから新たに次の時効が進み始めるという意味であり、それ以降時効がなくなる訳ではないこともおさえておきたい。

滞納管理費を支払ってもらうためにできること

ここからは、もし管理費の滞納があった場合に管理組合としてどういった対応をとっていくことになるか、一般的な流れをご紹介したい。

通常、マンションの管理費等の徴収は管理会社に委託していることが多いと思われる。したがって、管理組合としては、滞納があった場合に月々の滞納状況を管理会社から報告してもらい、すばやく内容を把握できるようにしておくことが基本だ。

そして滞納があったときには、まずは管理会社を通じて、書面や電話・訪問などにより支払いが遅れている旨を知らせて督促することが第一歩となる。

それでも支払いがない場合は、管理組合を代表して理事長などの役員が督促を行うことになる。訪問の場合は、複数の役員で行動するとともに、滞納や支払いについての確認書をとったり、一部でも支払ってもらったりして時効を中断しておくことが大切である。

これらのことを行っても長く滞納が続く場合は、いよいよ法的手段を検討することになる。その際には、専門的な知識や手続きが必要となってくるので、弁護士に依頼するとよいだろう。ちなみに、訴訟などの法的措置は、通常、理事会の決議で実行できるようになっている。

法的措置としては、時効の中断でも説明した支払督促や訴訟がある。いきなりこれらの措置をとることもできるが、まずは内容証明郵便による催告をして、それでも支払いがない場合に法的措置を実行するという流れが一般的である。

また支払督促と訴訟のどちらを実行するかについては、滞納者の状況なども含めて担当弁護士に相談しながら判断するとよいだろう。なお、訴訟については、滞納額が60万円以下の場合、通常の訴訟ではなく審理が1日で結審する少額訴訟を起こすこともできるので覚えておきたい。

管理費の滞納をいち早く把握し、できるだけ初期対応で解決できるように、あらかじめ管理組合で対応手順を決めておくとよい管理費の滞納をいち早く把握し、できるだけ初期対応で解決できるように、あらかじめ管理組合で対応手順を決めておくとよい

管理費が滞納された中古物件を購入してしまったら?

ここまでは、滞納管理費を回収する管理組合の視点で話をしてきたが、例えば、管理費の滞納がある中古マンションを購入した場合のことを考えてみたい。

このような場合、購入者としては滞納していた前所有者に責任を持って払ってもらいたいところであるが、区分所有法によると、滞納金は新しい所有者にも請求できるようになっている。したがって、前所有者に支払い能力がないときなどは、結果的に新所有者が支払わなければならないことにもなるので、中古物件を購入するときには事前に管理費や修繕積立金の滞納がないかを十分に確認しておくことが必要だ。

また、相続によりマンションを取得した場合も、管理費等の滞納があれば、滞納金も承継されることになる。管理費等は、このように他人が滞納したものであっても、自分に支払い義務が回ってくることもあるということを知っておこう。

マンションの場合は所有者一人ひとりが管理組合の一員であり、一住戸でも滞納があると、役員でなくても当事者として関わってくることになるので、今回説明した滞納管理費等の扱いについては、基本的なことをおさえておくとよいだろう。

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2017年 05月24日 11時07分