多様化する“終のあとの棲家”、お墓の引越しが増えている
「住み慣れた故郷の一軒家がいい」「海の見える穏やかな町で余生を過ごしたい」
人生の折り返し地点を過ぎると、“終の棲家をどうするか?”について考える機会も多くなるだろう。しかし、その先の“終のあとの棲家=自分が眠る墓”についてはどうだろうか?
従来であれば先祖代々の墓で眠るのが当然だったはずだが、近年はご承知の通り“墓じまい”がブームとなり、墓を持たない主義の人たちが増えてきた。また、「一応、お墓は持っておきたい」という場合でも、屋外墓地ではなくもっと身軽な納骨堂への“お墓の引越し”を検討している人が増加しており、『棚式』『ロッカー式』『仏壇式』『屋内墓苑式』『インターネット納骨堂』など様々なスタイルの納骨堂が登場している。
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家族の絆が強く、墓を守る意識が特に強いエリアとされているここ名古屋でも、先祖代々が眠る菩提寺の墓をしまい、納骨堂へ引越しをするケースが増えているという。
いま注目を集める先進の納骨堂とはどんなところなのか?『熱田の杜 最勝殿』の田中大輔所長(株式会社はせがわ)に案内していただいた。
墓地にも利便性が求められる時代、お参りしにくい『田舎』から『都会』へ
屋内墓苑を運営するお寺の分院が同じ建物内にあるため建物には2つの入口があり、左の入口へ進むと『勝楽寺名古屋分院』、正面の入口を入ると『屋内墓苑』の受付がある。
ここ『熱田の杜 最勝殿』は愛知県新城市にある創設八百余年の歴史ある曹洞宗『勝楽寺』が運営する屋内墓苑だが、嬉しいことに墓苑購入には宗旨宗派は問われない。
「名古屋から80km以上離れた奥三河・新城にある『勝楽寺』が名古屋都心に墓苑を作ることによって、“都会で暮らしている人たちの心の故郷のように感じてもらえたら…”という想いから、ご住職がこの場所に墓苑を作られたのです」(田中所長)。
関東から赴任して名古屋へやってきた田中所長は、当初この地方独特の“家族の絆”に驚いたのだとか。「東京では、年配のご夫婦またはご主人おひとりで見学にいらっしゃって“ここに決めます”とおっしゃるケースが多いのですが、名古屋の場合はご夫婦・お子様・ご親戚の皆様まで、親族会議を開いた上で“お墓の引越し”を決定される場合がほとんどです。また、菩提寺をお持ちの方はお寺さんとのつながりも深いため、“ご住職の了解を得てから決める”とおっしゃる方も多いですね」(田中所長)。
お墓の引越しを考える理由は「家族に迷惑をかけたくないから」
「見学で来場される方のうち、ご家族を亡くしたことをきっかけにして新しくお墓を持ちたいという方が4割、生前に自分のお墓をつくっておきたいという方が4割。残りの2割の方は、すでに菩提寺にお墓を持ってはいるもののお墓の引越しを考えたいという方です。
名古屋では、さまざまな寺院の集合墓地である『平和公園墓地』と、市営墓地の『八事霊園』『緑ヶ丘霊園』が三大霊園とされているのですが、どの霊園も戦後復興都市計画に基づく区画整理事業によってつくられたため都心から少し離れた郊外に位置しています。また、多くの屋外墓地は駅から遠く園内には坂道や階段が多いので、特にお年寄りの方は“真夏の炎天下のお墓掃除や移動手段のことを考えると、お参りがしたくでも一人で出かけにくい”とおっしゃいます。
その点、都心に近い屋内墓苑であれば、“子どもたちにお参りの送り迎えを頼まなくても済むから”という理由で、お墓のお引越しを考える方が多いようです」(田中所長)。
田中所長によると、「将来、お墓参りのことで家族に迷惑をかけたくないので、今のうちにお墓を近くに持ってきて負担をかけないようにしたい」という理由のほか、「子どもがまだ結婚せずに実家で暮らしている。今後家庭を持てるかどうかもわからないので、子どもに墓守を頼める自信がない」といった心配をしている親御さんも増えているという。現代の若者世代の『おひとりさまブーム』や『草食系ブーム』は、墓地の在り方にも少なからず影響を与えているようだ。
呼び出しから到着までわずか40秒、フォークリフトでお墓が運ばれてくる!
では、屋内墓苑に参拝する場合のシステムや料金はどのようになっているのだろうか?
「こちらの『熱田の杜 最勝殿』は『自動搬送式納骨堂』となっております。参拝カードをご持参いただき参拝コーナー入口のパネルにカードをかざすと、約40秒でお骨を収めたステンレス製のボックスが運ばれてきます。到着したボックスが墓石にセッティングされると扉が開きますので、特に時間制限無くお参りしていただけます」(田中所長)。
ボックスを墓石まで運ぶのは、スタッフではなくコンピューター制御されたフォークリフト。これは豊田自動織機が『自動搬送式納骨堂』のために開発した先進の納骨システムだという。
御影石造りの立派な墓石にはお花や線香が常に供えられているため、カード1枚さえあれば手ぶらで身軽に参拝できる。一周忌・三回忌・七回忌といった節目には、この場所に菩提寺のご住職を呼んで法要を執り行うことも可能だ。
「ご遺骨を納めるボックスは縦24.2cm×幅24.3cm×奥行き57.0cmの長方形で、骨壷の大きさにもよりますが7~8体ぐらいは収まるかと思います。また、壷ではなく布袋に入れてお納めすることも可能ですので2代・3代・4代…と引き継いでいただけますし、万一継承者がいなくなってしまった場合は『勝楽寺』でしっかりと永代供養を行いますので、“墓守”や“墓じまい”の心配もありません」(田中所長)。
価格は1区画70万円・年間管理料1万2000円。その他、名義変更手数料が1万円、埋葬する際の納骨手数料として1回あたり2万円が必要になるが、購入費用に関しては一般的な墓地よりも半分以下に抑えることができる。
いつか訪れる“そのとき”に向けて『お墓会議』を開いてみよう

「この『自動搬送式納骨堂』というのは新しいカタチのお墓ですから、ご家族やご親戚とのつながりが強い名古屋地区ではまだまだ認識していただくのに時間が必要だと思っています。
駅からも近く、熱田神宮のすぐそばという静かなロケーションは、“終のあとの棲家”としても素晴らしい環境だと思いますので、ぜひお気軽に見学にお越しいただきたいですね」(田中所長)。
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親から子へ、または、子から親へ、「お墓の話をしたい」と伝えるのはなかなか切り出しにくいものではあるが、まだまだ先のことと思っていても、誰にでも平等にそして突然に、“そのとき”は必ず訪れる。今回ご紹介した“イマドキの納骨堂事情”を会話のきっかけに、一度家族で『お墓会議』を開いてみてはいかがだろうか?
■取材協力/お仏壇のはせがわ 熱田の杜 最勝殿
http://www.hasegawa.jp/memorial/noukotsudo/atsuta_saishoden/
2017年 02月01日 11時06分