上昇傾向の大地震の発生確率

2011年の東日本大震災に続き、昨年の横浜のマンション傾斜問題や今年の熊本地震などで、住まいの耐震性に不安を覚える人は多いだろう。

政府の地震調査委員会が公表している2016年度版「全国地震動予測地図」によると、全国の市庁舎周辺で今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率がもっとも高いのは千葉市で85%だった。続くのは水戸市と横浜市で81%。南海トラフ地震が懸念される中部地方の太平洋側では、静岡市が68%で2ポイント増、名古屋市が1ポイント増となっている。
やはりこれから家を建てる人にとっては、万全な耐震性の確保は必須と言えるだろう。そこで新築住宅の地盤調査と地盤改良の代表的な方法を解説したい。

3.11時に多くの地域で発生した液状化

東日本大震災では、多くの地域で液状化の被害が発生した。液状化は地下水の水位が高く砂を多く含んだ地盤で起こることが多く、地震動によってその砂が水に浮いたような状態となり、地面に水や砂が噴き出してくる現象だ。液状化した地盤は急に柔らかくなり、その上に立つ建物が沈下したり傾くなどの被害が想定される。また、地中に埋め込まれた上下水道管の破損にもつながり、水道が出ない、トイレが使用できないといった状況にもなる。

このような液状化が起きやすい場所は、過去に河川や池だったところや水田、埋め立て地といったところだ。

東日本大震災で液状化被害を受けた千葉県の様子。道路に水と砂が噴き出て地盤が緩み、電信柱が傾いている東日本大震災で液状化被害を受けた千葉県の様子。道路に水と砂が噴き出て地盤が緩み、電信柱が傾いている

メインの調査方法はスウェーデン式サウンディング調査

スウェーデン式サウンディング調査。スクリュー状になった鉄の棒を回転させながら荷重をかけて、何回転したかによって地盤の強さを測定するスウェーデン式サウンディング調査。スクリュー状になった鉄の棒を回転させながら荷重をかけて、何回転したかによって地盤の強さを測定する

とはいえ、そのような場所がすべて危険だとは言い切れない。建物の建築前に地盤調査を行い、その結果に基づいてしっかりと地盤改良などの対策を打てば液状化の被害を最小限に留めることが可能だ。

地盤調査の方法は、スウェーデン式サウンディング調査やボーリング調査など様々なものがある。一戸建ての場合は、比較的短時間で安価に行うことができるスウェーデン式サウンディング調査が選ばれることが多い。

同調査の名前の由来は、1917年ごろスウェーデンの国有鉄道が路盤の調査を目的として採用し、その後スカンジナビア諸国で広く普及したことにある。

その方法は、スクリュー状になった鉄の棒を回転させながら荷重をかけて、何回転したかによって地盤の強さを測定する。従来は地表面から5m程度の深さまで測定することが一般的だった。費用の相場は5か所程度の調査で10万円前後、所要時間は半日程度だ。

しかし、東日本大震災などの経験から5mでは足りないことが分かってきた。そこで調査深度を10mとし、試料(サンプル)採取も併せて行うケースも増えているようだ。この場合、費用の目安は15万円から25万円程度になる。

軟弱地盤の深度によって変わる地盤改良工法

調査結果によって地盤改良が必要かどうか、さらに改良工法が決まる。こちらも様々な方法があるが、メインとなるのは次の3種類だ。

1.表層改良工法
軟弱地盤が深度2mまでの場合に採用する工法。セメント系の固化材を軟弱地盤に散布、混合し、転圧することで地盤を改良する。工期は1~2日。費用の目安は80~150万円程度。

2.柱状改良工法
軟弱地盤の深度が2mから8mの場合に採用する工法。地盤にセメントを柱状に流し込み、セメントの柱で建物を支える。工期は2~3日。費用の目安は100~200万円程度。

3.鋼管杭工法
軟弱地盤の深度が8m以上の場合や狭小地などで大型重機が使用できずに他の工法を採用できない場合に用いられる工法。鋼管で地中に打ち込み、建物を支える。工期は2~3日。費用の目安は150~250万円程度。

上記の工法はあくまで一般的なものだ。たとえ同じ工法でも独自の技術や材料を採用している施工会社もある。さらに費用も非常に幅が広い。そのため、検討する際は複数の施工会社から提案を受けることをお勧めしたい。

また、地域によっては自治体の助成金制度がある。たとえば、東日本大震災で多くの液状化被害を受けた東京都葛飾区では、地盤の地盤調査費と地盤改良工事費をセットにした助成制度の2016年度中の施行を予定している。両費用をセットにした制度は都内初の試みだ。調査費助成の上限は30万円、工事費助成の上限は90万円。くわしくは同区のHPに近日中にアップ予定だ。
https://www.city.katsushika.lg.jp/index.html
このような助成金制度は、年度によって大きく変更されることがある。自宅の建築スケジュールがはっきりした時点で各自治体へ確認した方がいいだろう。

代表的な地盤改良工法。左から表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法。<BR />軟弱地盤の深度などによってどの工法を採用するのかが決まる代表的な地盤改良工法。左から表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法。
軟弱地盤の深度などによってどの工法を採用するのかが決まる

2016年 07月20日 11時01分