賃貸で嫌な思いをしたから購入。子どもをもう1人欲しいから3LDK。ところが……。

マンション購入後に子どもが2人増えて3人に。3LDKは狭すぎるとお悩み中の浅井さんマンション購入後に子どもが2人増えて3人に。3LDKは狭すぎるとお悩み中の浅井さん

このところ、不動産関係者の間であるブログが話題になっている。テーマは住まいに関しては永遠の命題である、“家を買うのと借りるのとどっちが良いだろう”というもの。著者はデザイナーズ、リノベーション可などの賃貸物件を扱うRストアの浅井佳さんである。と聞くと、賃貸のプロモーションのためのブログなのでは?と思われそうだが、ご自身の住まいは2008年に購入したマンションである。ところが、2人くらいかなと思っていた子どもが3人になり、どう考えても部屋数が足りず、狭いという事態に。真剣に悩んでいらっしゃるというのだ。事情を聞いてみた。

「子どもが生まれた時は賃貸住まい。低層で独立性が高く、すごく気に入っていたのですが、同じ建物に住んでいた高齢の大家さんがちょっと変わった人だった。子どもが生まれて報告に行ったら『なんで事前に言わなかった、子どもを連れて報告に来い』と。当時は不動産売買の仕事をしていたので賃貸は分からず、大家さんが出ていけと言ったら、出て行かなくちゃいけないのだろうと思っており、誰かから借りている状況というのは嫌なものだと感じました」。

そこで、次の引越しでは賃貸は止めよう、子どもはもう1人欲しいから3LDKにしようと考え、第一子が3歳の時にマンションを購入した。ちょうどリーマンショックの直前で住宅価格が下落、安く買えるだろうという思惑も働いた。住み始めて3年目に第2子が誕生。ここまではシナリオ通りだったのだが、嬉しい誤算が生じた。続けて第3子が生まれたのである。

今の地域から離れたくない、しかし、狭い。新たなローンを抱えるのも不安

子どもの誕生は家を考える上では大きな契機になる。家を買う、買替える……。その時には成長も含めて考えておきたい子どもの誕生は家を考える上では大きな契機になる。家を買う、買替える……。その時には成長も含めて考えておきたい

浅井さん宅は72m2弱の3LDK。居室は3.5畳、4.5畳に6畳で、4.5畳は長男の部屋にしたため、家族の寝室に使えるのは6畳のみ。そこを夫婦と長女、次男の寝室にしているそうだが「6畳に4人はすでに限界。4人の体温と湿気で毎朝の結露は半端ではありません」。さらに将来、それぞれに子ども部屋が必要になった場合、男女を同室にするわけにはいかないし、そもそも、部屋数が足りない。さて、どうしようかというわけだ。

狭いなら、広いところに引っ越せば良い。賃貸なら簡単にできることだが、買ってしまっていると問題は複雑だ。「現在の場所はとても気に入っており、評判の良い公立に通う子どもを転校させたくないし、ママ友など近隣には人間的なつながりもある。ずっと住むつもりだったので、入居時に200万円、それ以降にもちょこちょこお金をかけてリフォームしたので家に愛着もあります。でも、とにかく狭い。じゃあ、家への愛着は仕方ないと諦めるとして、今の家の近くで広いところを買うとなると、当然、高くなる。これからまた、35年のローンを払えるだろうか、不安になります。現時点でも払っているお金は年間で260万円くらいですから」。

その金額で賃貸を探してみたところ、分譲物件に比べれば豊富で、借りるという選択はできそうだ。だが、その場合、現在住んでいる家をどうするか。「老後に夫婦2人で住むという可能性を考え、貸すことを考えてみた。ところが、日本ではファミリー向けの賃貸のニーズが少なく、貸してもローンその他の支払いが賄えない。持ち出しが出てしまうんです。よく、住宅購入時に『ローンが払えなくなった貸したら』と言われますが、これはかなり無理があることが分かりました」。

住宅は大きな資産だが、人生においては重荷になることもありうる

子どものいる暮らしはモノも増える。ベビーカーに始まり、靴や自転車、衣類……。そして中学生にもなると大人並みの体格。今の家で大丈夫か?子どものいる暮らしはモノも増える。ベビーカーに始まり、靴や自転車、衣類……。そして中学生にもなると大人並みの体格。今の家で大丈夫か?

そこで、浅井さんが現在考えているのは相場が好転しているであろうここ2~3年で現在の住まいを売却、広い賃貸を借りるという方法。「エリア限定で広い家への買替えを考えると、価格が高くなる上に、気に入った物件があるかという疑問もあり、かつ将来、子どもが成長して独立したら、今度は家が広すぎるという現在と逆の、でも本質的には同じような問題を抱えることになります。であれば、自由に住む場所を変えられるように選択肢を残しておいたほうが良い。それなら賃貸だろうと考えています」。

よく、賃貸住まいでは老後が心配だという人もいるが、浅井さんは20年、30年先のことなど分からないと言い切る。「今のままの社会が続くとは限らないし、地震や建替えの問題などもある。資産形成においては家は価値ある資産ですが、人生においてはどうでしょう、場合によっては資産ではなく、重荷になることもあるんじゃないかと思います。もちろん、気兼ねなく暮らせ、自由にいじれるなど持ち家にはいろいろメリットもありますが、それによってたとえば、第三子は持たないようにするなど、生き方を縛られるのは本末転倒ではないでしょうか」

3LDKマンションから4LDKの一戸建てへ。買替えを選択したSさん

マンションの場合、間取りの主流は3LDK。4LDK以上を探すとなると一戸建てのほうが現実的マンションの場合、間取りの主流は3LDK。4LDK以上を探すとなると一戸建てのほうが現実的

賃貸を選択しようとしている浅井さんとは異なり、買替えを選択した人もいる。9歳の長女、5歳の長男を持つ4人家族のSさんだ。9年前に横浜市で65年の定期借地権付き、93m2の3LDKマンションを購入したSさんはこのほど、その住まいを売却、4DLKの一戸建てを買った。

「長男、長女に子ども部屋が必要と考えると、やはり4LDKは欲しい。それに現在の住まいはローンは8万円とそれほどではないものの、土地賃貸料、管理費、修繕積み立て、駐車場代などのランニングコストが7万円近くと高額ですし、11年目からは修繕積立金が月額で5000円上がる予定。さらに来年度には自治会の役員が回ってきます。一方で今なら金利は安いし、同じマンション内で売りに出た物件は購入価額プラス500万円前後で売却できています。だったら、このタイミングで売って、一戸建てに住替えようと思いました」

オリンピックを控え、場所にもよるが、住宅価格は全体として上昇傾向にある。Sさん宅も売り出し後1週間で購入価額プラス630万円で売却できたという。ちょうど、近くに条件に合致する一戸建ての売り出しがあったのも幸いして、買替えは順調に進み、毎月の負担も楽になった。

ちなみに、一般的に築後10年前後は売却が増える時期。大規模修繕を前に修繕積立金が上がったり、家族構成に変化が出るためで、もし、これから購入するのであれば、10年後くらいのことはなんとなくでも良いから想像しておくと良いかもしれない。

3LDKをリフォーム。スペースの使い方で対処したTさん

小学校入学を機に子ども部屋を与えるという例が多く、そうなると部屋数が足りないという問題が切実になってくる小学校入学を機に子ども部屋を与えるという例が多く、そうなると部屋数が足りないという問題が切実になってくる

現在の住まいをリフォームすることで部屋数不足に対処した人もいる。品川区の3LDKマンションに住むTさんは夫婦に10歳の長女、6歳の男女の双子の5人家族。「第二子が双子で、長女と息子2人ではどうしても子どもの空間は分けざるを得ない。ですが、近くに住む実家の母の介護もあり、このエリアを離れるわけにはいかない。そこで狭さは我慢することにして空間を作ろうと双子たちが小学校に入る前にリフォーム。幸い、双子は同性なので同室にし、暮らし続けています」。

Tさん宅は3LDKといっても85m2あり、また、近くに実家があり、日常的に使わないものはそこに預けている。そのため、比較的空間があったことが幸いし、リフォームで対処できた。だが、最近の3LDKの中には70m2を切るようなものもあり、そうなるとリフォームにも限界があることは覚えておきたい。

住宅購入時には現在の住まいの問題を解決しようと考えることが多く、それ以上に将来のことを考えるのは難しい。また、考えたからといって、その通りになるわけでもない。だが、今回の事例の3人の例は決して特別なものではない。そう考えると、多少は考えておいても良いのかもしれないと思う。

2014年 03月18日 09時55分