旧正月とは

日本では旧暦の1日は必ず新月になる日本では旧暦の1日は必ず新月になる

「朔日(ついたち)」はその月のはじめ、一日と同じ意味だが、「朔」(さく)は地球から見て太陽と月が重なる日、新月のことでもある。
昔の日本では太陰、つまり月の満ち欠けにより暦が作られていたので、毎月一日は必ず新月で、十五日は満月だった。だからこそ満月を「十五夜」というのだ。
現在のような太陽の位置を基準としたグレゴリオ暦が使用されるようになったのは、明治六(1873)年で、旧暦と新暦には一か月以上の差がある。
日本の旧暦は、正確には「太陰太陽暦」と呼ばれ、月の満ち欠けを基準にしつつ、太陽が元の位置に戻るまでの365日を一年としていた。一年の初めは春が始まった日。すなわち、立春を一年の初めと考えるわけだが、月の満ち欠けの方が重要視されていたため、旧正月は、二十四節気の一つである「立春(りっしゅん)」にもっとも近い新月の日とされていた。2016年なら、2月8日にあたる。

海外の旧正月

日本の旧正月は、中国文化圏の各国とほぼ同日だ。そこでまず、中国圏の旧正月を見てみよう。

中国では「春節」と呼ばれ、一年でもっとも盛大に祝われる。新暦の正月よりも重要視され、一週間近い長期休暇がある企業も多いようだ。中国とほぼ同じ暦を使用してきた北朝鮮や韓国、ベトナムなども、中国の春節と同じ日を「旧正月」として祝っている。
しかし面白いのは、同じ暦を基準としているにも関わらず、ベトナムと日本では一日ずれる年があることだろう。これは「新月」がいつ起きるかで朔日が決まるためだ。ベトナムと日本には2時間の時差があり、例えば日本時間で2月8日の1時は、ベトナムでは7日の23時にあたる。このような時間に新月が起きた年は、日本の旧正月は2月8日、そしてベトナムでは2月7日となるわけだ。

チベット仏教圏では、モンゴル暦の正月にあたる「ツァガンサル」を旧正月として祝う。
また英語では旧正月を"Chinese New Year"や"Lunar New Year"と表現する。つまり「中国の新年」「月暦の新年」という意味で、西洋では旧正月の概念はないが、キリスト教の教会では、グレゴリオ暦の基となったユリウス暦のお正月を「旧正月」として祝うこともある。

旧正月のお祝い

春節祭には中華街でもお祭りが行われる春節祭には中華街でもお祭りが行われる

中国の旧正月「春節」のお祝いは、日本でもニュースになるほど盛大だ。中華街では爆竹が鳴り響き、獅子や龍などの縁起物が舞われるし、近年では長期休暇中の中国人観光客が日本に押し寄せることが知られている。観光地のホテル料金は急騰し、予約も困難になると問題にもなっているようだ。

中国では暦を発明したのは「万年」という名前の少年だと伝えられている。万年は親孝行なうえ勤勉で、樹木の影の方向が日々変わることなどに気づいて暦を作り、その死後は寿星に祭られた。
そこで、春節祭には万年を偲んで寿星図を飾ったとされるが、現在ではその限りではないようだ。
春節の朝一番に年配者にお祝いのあいさつをし、隣近所や友人知人と正月料理を祝うのが一般的だという。正月料理は地域によって違うが、北方では餃子、南方は甘いお菓子が多いようだ。
また、「吉」と同じ発音になる鶏や、「余」と同じ音の魚を食べるのは、日本人が「まめまめしく働けるように」と豆を食べたり、「喜びが多い年になるように」と昆布を食べたりするのと似ている。

モンゴルのツァガンサルは白い月という意味だ。遊牧民であるモンゴル人にとって乳の色である白は純粋さを意味すると同時に尊い色でもある。この日はみな日の出前に起床してお祈りをする。その後晴れ着に着替えて家長へのあいさつをしたら、親族集まってのお祝いになるという。

日本の旧正月の祭り

旧正月にはお焚き上げを行う寺社も多い旧正月にはお焚き上げを行う寺社も多い

日本では旧正月を特に祝うことはないが、沖縄や南西諸島には、旧正月の祭りが残されている。この日を「ソーグヮチ」と呼んでおり、お正月料理を食べたり、親戚が集まったりする。また、鏡餅によく似た「ウチャヌク(お茶の子)」が飾られるのも面白い。
その他の地域では、旧正月といって特に何か用意することはないだろうが、立春にあたる節分は旧正月とほぼ同じ意味があると考えてもよいだろう。

また、神社や寺院では、旧正月に歳旦祭が開催されることがある。初詣客が参拝するのは新暦のお正月の方が多いので、お正月のお祭りを二度行うところも多いようだ。
しかし、「新暦の正月よりも旧正月に初詣をする方が、霊験あらたか」と教える神職さんもいらっしゃるから、「今年は例年より良い年にしたい」と考える読者は、旧正月にも神社や寺院に参拝してみてはいかがだろう。
また、旧正月ではなく、節分に大きな祭りをする寺社もある。このお祭りではお焚き上げを行う寺社も多く、身についた罪や穢れを人形(ひとがた)に移して火にくべ、清め祓いをする。その際、古いお守りやお札、しめ縄なども一緒に燃やされることもあるようだ。

読者の多くも、あまり旧正月を意識する機会はないのではないだろうか。
しかし、平安時代から明治の初めまでの日本人は、太陰太陽暦に基づいて生活をしてきた。今年の旧正月、あるいは節分の日には、昔の人々の暮らしに思いをはせてみてはいかがだろうか。

2016年 02月06日 13時00分