「マンションギャラリー」は「マンションのテーマパーク」、大切なのはパンフレット/図面集等の紙ツール

マンションギャラリーに並ぶ綺麗なパースや模型。制作コストによってその出来栄えは大きく変わるマンションギャラリーに並ぶ綺麗なパースや模型。制作コストによってその出来栄えは大きく変わる

皆さんは、最近大規模マンションの「マンションギャラリー」を見学したことはあるだろうか。オリジナル映像をシアターで鑑賞、巨大な模型が鎮座したジオラマの部屋に通され、マンションのコンセプトや設計者の紹介、共用施設の種類、周辺施設の案内等様々な展示や掲示を見た後に、モデルルームを見学。営業担当から話を聞くまでに30分は優にかかる。

その昔「販売センター」や「モデルルーム」と呼ばれた販売拠点は、至れり尽くせりの展示や掲示を伴って「マンションギャラリー」もしくは「マンションパビリオン」等と呼ばれる場合が多い。語義からすると「ギャラリー」より「パビリオン」の方が近いが、考えれば面白い和製英語だ。

ギャラリー/パビリオンはどちらも鑑賞するための施設であり、物を買う場所ではない(ギャラリーで美術品を販売することがないわけではないが…)。立派な展示は、見ていると楽しいが購入を検討するには雰囲気にのまれてはいけない。「マンションのテーマパーク」だと割り切って見学するのが良い。

大切なのはパンフレットや図面集などの紙モノ。「マンションギャラリー」でも「マンションパビリオン」でも(以下「販売センター」で統一)、入念なチェックをして作られているが、マンションの売主がそれにもまして絶対に間違えず顧客からクレームが出ないように作成しているのがパンフレット類だ。

モデルルームは気にしない/その間取り・コーディネートには訳がある

マンションを購入しても、高級家具に品の良いインテリア雑貨や調度品がついてくるわけではないマンションを購入しても、高級家具に品の良いインテリア雑貨や調度品がついてくるわけではない

販売センターの展示物等に目を奪われずパンフレットや図面集からの情報を大切にすべきなのだが、それは販売センター内のモデルルームとて同じことである。むしろモデルルームの方がコーディネートに目を奪われないように気を付けるべきである。

モデルルームは、一番使い勝手の良い間取りや広くて見栄えの良い間取り、複数作る場合には「実際に見せないと売りにくい間取り」等が選ばれる。モデルルームがどのタイプになるかは明確に売主の意図がある。なので「広い」「間取りがいい」などと思っても、自分がそれと同タイプを選ばなければ意味はない。もしも同タイプを購入するとしても、購入して引渡を受ける住戸をイメージすることは大変難しい。

すべての部屋に気の利いた家具が置かれているが、その家具は自分たちが実際に置く家具と比べて大きさや高さはどうなのかを考える必要がある。作り付けの家具が置かれている場合があるが、往々にして市販の家具寸法だと見栄えが悪いからそのようにしていることも多い。特に子供部屋や書斎スペースなどはよく見ておいた方がいい。

モデルルームは気にしない/「元の姿」を想像するのは困難

また、モデルルームの見方でよく取りざたされるのがオプションの話だ。まずオプションとは何か簡単に整理する。

オプションには2種類ある。有償オプションと無償オプションだ。有償オプションは追加費用のかかるもので、食器乾燥洗浄機や電子コンベック等を追加/変更する「グレードアップ系」、フローリングマニキュアや玄関鏡の設置といった「インテリア系」、収納の形状変更や開き戸を引き戸に変える「設計変更系」などがある。ほかに間取り変更(3LDK→2LDK等)が可能な場合もある。無償オプションは追加費用がかからずセレクトプランと呼ばれることもあり、「カラーセレクト」は多くのマンションで行われている。

「有償オプションはシール等で分かるようになっているのでしっかりと確認すること」といった話があるが、これは難しい。有償であるかどうかは、確かわかる。しかし、一般の人に「そこにあるオプションが無かったらどのように見えるか」を想像することは困難だ。

家具がなく、有償オプションがない状態を想像する。場合によっては色目や間取りすらも想像する必要がある。モデルルームを見て、自分が引渡を受ける住戸をイメージするとはそういう事だ。また、昨今の分譲マンションの基本スペックは、価格帯にもよるが、ある程度以上の品質はクリアしている。大外れはない。

買おうとしている商品の、イメージはしにくいが品質に大きなバラツキはない。であれば、血眼になってモデルルームのチェックはする必要はなく、販売センターでは別の部分に労力を振り向けたい。

営業マンをうまく活用する/物件情報はよく知る人に聞くのが一番、一般論の営業トークには注意

ではどこに時間をかけるか?販売センターでは営業マンからのヒアリングに時間をかけたい。

これは好き嫌いが分かれるところである。「自分で考えるから、話を聞くのは面倒だ」。そう考える人は多い。もしあなたが建物や金融、周辺エリアについて十分な知識があるのであればそれでも構わない。しかし、不動産業に携わる人が営業マンの話を聞かないかというとそんなことはない。地盤、構造、近隣の様子、周辺の開発計画等々、判断材料となるが知識として持ち合わせていない事を営業マンに聞くに違いない。

大切なのは、こちらが主導権を持って話しをする事。漫然と営業マンの話しを聞く事ではない。営業マンの話す内容は2種類ある。1つは物件に関する情報。立地、構造、仕様、共用部、管理、借入等々。聞く意味がある大切な情報だ。もう1つは購入を促す為のトーク。「賃貸よりも分譲の方が支払い総額が少なく得である」「戸建てよりもマンションの方が流動性が高く資産として優れている」。知見を深める為に聞く分には構わないが、販売当事者が話す内容である。バイアスがかかっている可能性もある。このような話しは一般論として聞くにとどめる。「戸建ての方が良かった」と後悔しても、何の保障もしてくれない。

販売センターにいる営業マンは、物件に対する知識は豊富だ(時折、そうでない人もいなくはないが…)。わからないところをしっかりと聞いて、場合によっては根拠となる書面を提示してもらい、その場で答える事ができなかった質問は後日教えてもらえるように約束をし、しっかりと「購入すべきかどうか?」のジャッジをする為の情報を引き出したい。

マンションギャラリーよりも現地/現地で得られる情報は多大

マンション周辺の街並みや風景をそうそう変わるものではない。これから5年10年、そこで暮らすことを考えて街を歩いてみる事には価値があるマンション周辺の街並みや風景をそうそう変わるものではない。これから5年10年、そこで暮らすことを考えて街を歩いてみる事には価値がある

最後に強調したいのは、マンションギャラリーよりも現地を重視するという事。

マンションギャラリーは(現地にある場合を除き)、リアルな現地の状況がわかるものではない。作り物に過ぎない。街の雰囲気、行き交う人の様子、周辺の街並、騒音、臭気。これらの情報は、現地に行けば簡単にわかる反面、マンションギャラリーではわからない。

マンションギャラリーには何度も足を運ぶが、現地は1度見たキリ。そのような人は大変多い。現地は出来れば時間や曜日を変えて複数回見ておきたい。土日の昼間に現地を見て公園前で静かだと思っていたら、平日の夜には中学生のたまり場だった、何て事は間間ある。

プロのコーディネートで流行の高級家具を置いたモデルルーム。これは「引越後の生活イメージ」を再現したものではなく「気分を高揚させる為の装置」だ。モデルルームを始め、販売センター内の色々な仕掛けは大変楽しく、マンションのテーマパークとして楽しめる。

しかし購入するかどうかのジャッジはそれらに左右されてはいけない。必要な情報を営業マンから引出す。販売センターでの掲示等は参考にとどめ、パンフレット等の後に残る紙モノや現地をみて判断する。客観的な情報を得るように努力する事を怠らなければ、マンション選びで失敗はしない。

2014年 03月06日 08時57分