最重要ポイントは高低差。雨の日なら分かりやすい

常に水平垂直を意識して土地、建物を見るようにすると、自然におかしいと感じるようになる常に水平垂直を意識して土地、建物を見るようにすると、自然におかしいと感じるようになる

最寄駅から現地までの間で最初に注意しなくてはいけないのは高低差。地盤の固さが水分量の多少に左右されることを考えると、周囲のどこから歩いても坂の下にあるような土地は軟弱である可能性が高いからだ。

傾斜が緩やかな場合、起伏が複雑で上り下りが続くような場合は高低差に気づきにくいので注意が必要。時間的に余裕があれば、あえて雨の日に歩いてみると水の流れから高低が分かりやすくなる。塀がずっと平行かどうかを意識してみるのも手だ。

また、道路の左右で高さが非対称になっていないかもポイント。左右で高さが違う場合には高低差があるだけでなく、道路部分がかつて河川であった可能性もある。左右を見比べながら歩くようにしたい。

遊歩道、緑道、蛇行する道は危険信号

緑道の多くは元河川。低地で湿っぽいことも多く、最近は犬の散歩をしている人が多いせいか、敏感な人だと臭気を感じることも緑道の多くは元河川。低地で湿っぽいことも多く、最近は犬の散歩をしている人が多いせいか、敏感な人だと臭気を感じることも

道路では車両通行止めになっている遊歩道、緑道に注意を。道路課ではなく、公園課、緑地課などが主管している遊歩道、緑道であれば、暗渠化された元河川である可能性が高い。遊歩道などに面した土地は緑、散歩が楽しめ、将来も眺望が変わる可能性が低いなどのメリットがあるものの、一方で土地が軟弱である場合も多い。どちらを優先するか、購入を予定している、あるいは建てる予定の建物の強度などとも合わせてよく考えてみよう。

遊歩道、緑道はたいていの場合、蛇行している。蛇行とは蛇がのたくったように緩やかにカーブしている状態だが、一般の道路でもこのような形状が見られる場合がある。もし、見かけたら、これも元河川ではなかったかを調べてみること。近くに米屋さん、酒屋さんなどのように古くから居住していた可能性が高い店舗があれば、そこで聞いてみる、あるいは周辺の古地図を調べてみるなどの方法がある。

波打つ道路、傾く電柱、飛び出したマンホールの蓋にも注意が必要

地盤が緩い場所ではその上に作られたものに影響が出る。見て分かりやすいのは道路、電柱にマンホールの蓋だろう。たとえば、軟弱地盤の上に土を盛って作られた道路は部分的に沈むことがあるため、どうしてもでこぼこに波打ちやすい。特に物件周辺の道路、前面道路などが波打っている場合には避けたほうが無難だ。路面にひび割れが多いなど、損傷が激しい場所も同様の心配がある。

1本だけ傾いている場合には他の理由も考えられるが、同じ通り沿いで何本もの電柱が傾いているようなら、これも軟弱地盤のなせる技が疑われる。マンホールの蓋だけが道路から飛び出しているような場合も同様。東日本大震災で液状化した場所ではマンホールの抜け上がりと言われる現象が起きたが、軟弱地盤でもそれに似た状況が小規模に生じるというわけである。こういう風景を見かけたら、宅地化される以前の土地利用を調べてみるべきだろう。

傾斜地では擁壁の水抜き穴、表面の湿気具合などを見る

造成中の土地であれば、どこが施工しているかの掲示があるので、どのようなやり方で造成しているかを聞いてみよう造成中の土地であれば、どこが施工しているかの掲示があるので、どのようなやり方で造成しているかを聞いてみよう

傾斜地ではまず、擁壁(斜面の土が崩れるのを防ぐために設けられる壁)を見てみよう。ぱっとみて前傾していたり、真ん中部分がはらみだしていたりするのは論外。さらに、チェックすべきポイントとしては

・水抜き穴が適正(*)に設置されているか。
・表面が湿っていたり、常に水抜き穴から水や土砂などが流れ出ていないか。
・擁壁に縦、横、斜めのひび割れが発生していないか。
・擁壁の継ぎ目の目地となっている箇所で前後、上下にずれ、段差が生じていないか。
・擁壁の上端、下端に排水溝がある場合、そこがきちんと管理されているか。

などがある。これについては、国土交通省が宅地防災のページで詳細にまとめているので、下見前にぜひ一読しておきたい。

ちなみに、傾斜地を造成する時には斜面に土を盛って作る盛土(もりど)と土を切り取って平地を作る切土(きりど)の2種類があり、危険度が高いのは前者。ただし、施工法については見ただけでは分からないので、造成した会社などに聞くなどのリサーチも必要だ。

*宅地造成等規制法施行令第10条は「壁面の面積3m2以内ごとに少なくとも1個、内径が7.5cm以上の水抜き穴」の設置が義務づけている。ただし、地域、壁の高さによっては許可が不要な場合があり、そうしたケースでは水抜き穴が作られていないことも。違法ではないが、安全を考えると、設置されているほうが良い。

ご近所の建物の基礎、植生にも土地を知るヒントが

立地自体は低地でも寺社本殿はその中では高台に作られていることも多い立地自体は低地でも寺社本殿はその中では高台に作られていることも多い

軟弱地盤に建っている家は不同沈下を起こしやすい。そこで現地周辺の古そうな一戸建てを敷地外から観察、沈んでいないかをチェックすることで、危険が察知できる。明らかに傾いている、沈んでいる場合は論外として、注意して見たいのは外壁、基礎。基礎の床下換気口周辺に離れた距離から見ても分かるほどのクラック(ひび割れ。0.2~0.3mm程度の細いヘアークラックであれば問題なし)が見られたら、赤信号と考えて良い。玄関ドア、網戸などの建具の歪みも危険信号だ。

周辺の植生にも危険を知るためのヒントが隠されている。水が溜まる場所が危険だとすると、逆に水の溜まりにくい高台は安全ということになるが、そのひとつの指標となるのが植物。多くの野菜や樹木は水はけの悪い土地では根腐れを起こしてしまうため、うまく育たない。つまり、雑木林や畑があるような場所は水はけの良い場所というわけだ。特に巨木がある場所は長年、土地の改変が行われてこなかった場所であり、安全と思われる。逆に危険と考えられるのは、根元が水に浸かって生育する葦その他の湿地性植物、樹木ではハンノキ、ヌマスギなどだ。

古い寺社仏閣がある場所も一般的には安全と考えられる。日本に限らず、世界のどこでも、地震、水害その他の危険が少ない高い場所には殿様、王様を始めとする偉い人が住み、寺社仏閣などが作られてきたためである。殿様の屋敷や城などはあまり残されていないが、寺社仏閣の多くは今も健在。鳥居の前にはほぼもれなく石段があることを考えると、目安としては非常に分かりやすい。

ただし、江戸時代の火災や関東大震災その他で郊外に疎開した寺社仏閣や、江戸幕府の意向で移転させられた寺社の中には低地に建っているものも少なくない。寺社仏閣のすべてが高台にあるわけではなく、多くが高台にあると考えるのが妥当というわけだ。

【傾斜地の危険を知るために役立つサイト】
わが家の宅地安全マニュアル(国土交通省 宅地防災)
我が家の擁壁チェックシート(案)(国土交通省 宅地防災)

2013年 10月28日 10時11分