地下鉄駅の海抜表示が10m以下なら、水害の危険性を考えよう

銀座駅は出入り口によって異なるが5m以下が大半だ銀座駅は出入り口によって異なるが5m以下が大半だ

最近、東京メトロ、都営地下鉄などの地上出入り口にその場所の標高表示があることにお気づきだろうか。これはいずれも水害への注意喚起のためである。

東京は奥まった東京湾の最奥部に位置し、水深が比較的浅いこともあって、高潮が発生しやすい。さらに近年は1時間に100ミリを超すゲリラ豪雨が頻発。1時間に50ミリの降雨を基本に整備された河川の容量を軽くオーバーするようになっており、水害発生の危険が高まっているのである。

過去、日本で最大の高潮被害をもたらした伊勢湾台風(1964年)では干潮面上約5メートルの高潮が襲来したといわれるが、もし、この規模の高潮に襲われたら、東京23区の約4割の地域が冠水していたとされる。その点から考えると、地下鉄を降りて出入り口の海抜表示がゼロm以下はもちろん、海抜5m以下の場合にも水害の危険がある。都営地下鉄は海抜10m以下の出入り口がある駅について掲示板を設置しているというから、表示があったら注意しよう。

標高から分かる地震危険度、液状化危険度

品川区は海沿い、川沿いに低地が多いため、あちこちに標高表示が設置されている品川区は海沿い、川沿いに低地が多いため、あちこちに標高表示が設置されている

もうひとつ、標高からはその場所が低地か、台地かを知ることもできる。首都圏には多摩川と荒川の間に広がる武蔵野台地、多摩川と鶴見川の間の下末吉台地、荒川と元荒川の間の大宮台地、利根川と江戸川の間の下総台地があるが、多くの台地の標高は20~40m。ということは標高が20m以上あれば台地と考えてよく、土地の改変などを考えると、10m以下、特に5m以下は低地と考えてよい。

台地と低地は地震に対する強さが異なり、低地では同じ規模の地震が起きても、震度が高くなる傾向がある。関東大震災時には下町で多くの建物が倒壊したが、それは荒川を中心に河川が集まる下町は低地で地盤が弱かったためである。また、東日本大震災でクローズアップされた液状化も、水分を多く含んだ砂質の地盤で起きやすいとされる。下町の地盤はその条件に合致していることが多く、実際、数はさほど多くはないが、東日本大震災時も下町エリアから埼玉にかけての地域では液状化が起こっている。標高からは地震時の危険度も読み取れるわけである。

相模湾沿いなど、海沿いの標高は津波危険度を示す

鎌倉駅の江ノ電乗り場脇の海抜表示。下に小さく災害情報を読み取るためのQRコードが見える
鎌倉駅の江ノ電乗り場脇の海抜表示。下に小さく災害情報を読み取るためのQRコードが見える

標高表示ではもうひとつ、電柱などを利用し、街頭に表示されているものがある。これは地震発生時の津波被害などを想定、自治体が掲出しているもので、主に都内湾岸沿い、神奈川県の各自治体で見られる。たとえば、鎌倉市では2012年10月から市内の海抜10m以下の消防署や郵便局、保育園、幼稚園や公園課が管理する都市公園、電柱、カーブミラー、郵便ポストなどにステッカーを貼り、注意を喚起している。市は海抜表示のある地図も公表しており、それによると元禄型関東地震(マグニチュード8.1)で予測される浸水域は海抜5mを中心に10m以下のエリアまで。関東大震災で神奈川では9mまで波が来た場所もある。5m以下は要注意、10m以下も注意が必要と読むべきだろう。

津波被害に関しては現地に到着、周囲の標高をチェックしたら、避難場所がどこかも同時に調べておきたい。神奈川県の相模湾沿い、津波被害が想定される自治体では高台や地域内のビル、マンションなどを避難場所として指定している。安全を考えれば高台、危険の少ない場所に住むのが一番だが、現実問題としては難しいことも多々あるはず。そんな場合にはすぐに避難できる場所かどうかをチェックし、備えることが次善の策。公園や駅周辺などには地域の地図が置かれていることが多く、同時に避難場所の高台も書かれているので、確認しておこう。前出の鎌倉市の場合には標高表示にQRコードが添えられているケースもあり、その場で情報を取得できるようになっている。

2013年 09月12日 11時21分